雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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高城山の植物 (その2) カタクリ
●5月5日に高城山でブナ帯の植物をあれこれと観察したのですが、観察したものから観賞価値がありそうな一般向けするものを取り上げます。そういう観点からはカタクリが筆頭ではないだろうか? なんせ、西日本とりわけ瀬戸内地方の平地では見ることができません。カタクリの名前はあまりにも有名で、誰でもがその名を知っていても西日本じゃ実物を見たことがない人のほうが多いのではないか? 西日本でも中国地方の内陸部ならば人里でもカタクリが自生しているところは若干ありますが、瀬戸内地方・四国・九州じゃカタクリが見たければ登山するしかありません

●カタクリを見に行く前に腹ごしらえです。登山道を何キロも歩くのですから腹ごしらえはしっかりと。実は車で行ってすぐに見られるところもありますが、盗掘防止のために非公開です。それに簡単に見られたら値打ちがないわけです。苦労してやっとのことで自生地にたどり着いたならば、貴重さがよく理解できて、盗ろうなんて気持ちは起こらないわけですわ。

本日の昼飯
↑ 本日の昼飯です。シカ肉カレーが680円、山菜入りのうどんが500円でした。高城山へ来たら ファガスの森 高城 が営業していたら立ち寄って 地下足袋王子 さんに 「お花見をさせてください」 「植物を観察させてください」 と挨拶したのち、高城山名物のシカ肉カレーを食べなければいけないらしいです。冗談めいた言い方に聞こえるかもしれませんが、そうではありません。剣山スーパー林道の通行可否状況とか、色々な花の開花情報など、行ってみないと分からない面があり、この山域のことを知悉される地下足袋王子さんが、問い合わせ先として貴重な存在ということでしょう。ぜひ名刺を頂戴しましょう。


今回、訪問したカタクリ自生地は砥石権現。
カタクリに出会えるのは高城山そのものではなく、前衛峰であるところの 砥石権現(といしごんげん) です。標高は1375mです。この山は地質的には二酸化ケイ素の含有率が高く堅い チャート という岩石から成り、研磨用の砥石 (といし) にされていたという歴史があるみたいです。下の写真は2015年3月22日、砥石権現の北側の神山町の役場付近から見上げたものです。
2015年3月22日の砥石権現

↓ 3月22日にはまだ山頂に雪が見えます。カタクリは典型的な スプリング・エフェメラル (Spring ephemeral) であります。いわゆる 「早春の植物」 です。雪解けとともに地上部が出てきて、夏緑樹林の葉が茂るころに枯れてしまい、地下茎などで1年の大半を過ごす 「はかない植物」 です。で、砥石権現のカタクリ自生地では雪解けは3月下旬位か? そのころ芽を出しブナが展葉する5月中にカタクリの地上部は消えるのかな?
山頂には雪が残る

↓ こちらは高城山山頂付近です。3月下旬ではまだだいぶん積雪があるようです。
こちらは高城山の山頂付近


ようやく砥石権現のカタクリ自生地にたどり着いた。
この場所がどこなのか国土地理院の地形図には載っていません。残念ながら詳細は盗掘防止の観点から非公開です。剣山スーパー林道に車を置いて1時間ほどハアハア言いながら登ってきましたわ。途中、トリカブト (シコクブシ、花は秋9月10月) やヤマシャクヤクの見事な群落があって目を楽しませてくれます。
カタクリ自生地看板
↑ この看板は 岳人の森のレストハウス 観月茶屋 の経営者さんが設置されたものです。土地の方が護っている自生地です。カタクリを踏んではいけないのはもちろん、盗るのはもってのほか。花を愛する登山者や観察者の合言葉は 「取ってもいいのは写真だけ、残していいのは思い出だけ」 であります。


以下写真は、2015年5月5日、砥石権現のカタクリです。
四国のカタクリは分布の南限地帯であります。北海道や信州のような見渡すかぎりのカタクリ大群落はありません。それは、まあ、しかたがありませんわ。カタクリは有名な山菜でもありますが、大群落ではないからみだりに採って試食するなどしてはいけません。
カタクリ

カタクリ

カタクリ

カタクリの花のアップ

まだ反りかえっていない花

↓ これは未開花株ですが、株が成熟していないと葉は1枚ですか? やや幅広の葉ですが、斑紋入りの特徴のある葉です。
斑紋のある独特な葉

↓ すでに花が終って果実が着く個体もあります。早い花はすでに果実をつけ、遅い花はまだ咲いているという状況は、自然観察にはとても都合がいいです。花と果実が一度に観察できて、再訪問する手間が省けます。
果実の出来ている個体もある


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淡路島ではカタクリと言えば、ウバユリのことを指す。
↓ ウバユリの若葉です。淡路島ではこれをカタクリと呼び、地方名として定着しています。地方名として定着している以上は、これをカタクリだと呼んでも間違いだとは言えません。それはそれでいいのですが、同一のある物を地方毎に色々と呼ぶのは、場合によっては大変困ることになります。特に毒キノコなんかはそう。たとえば、吾輩の実母の出身地の山村では、食用になるウラベニホテイシメジをイッポンシメジと毒キノコ名で呼んでいます。この場合はまだいいのですが、逆ならば大変なことです。毒キノコを食用キノコ名で呼んだら、その地方名の事情を知らない他地方から来たキノコファンが誤食する危険性が高いです。で、世界共通の学名や、日本全国共通の標準和名の存在意義があるといえましょう。

ウバユリ



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