雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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近くの里山は食材の宝庫!
本日は2015年4月7日であります。

●昨日の夕方に、近くの里山の山裾の道路を徘徊しましたところ、色々な山菜がちょうど採り頃です。4月は食材をスーパーマッケットに買いに行くのではなく、近くの里山で調達するのもいいでしょう。田舎在住者が天然食材を活用しないのはモッタイナイです。ただし厳密に申せば自分が地権者でないところ、あるいは地権者の許可を得ていないところで、無断で山菜を採れば窃盗でありましょう。けれども、商業採取でないかぎり、あるいは晩のおかずの材料を頂戴する程度では全く問題になりません。もちろん畑に植えてあるものを盗ったりしたら怒られますが、道路際にある山菜を採る程度ならばおとがめなしです。ま、山菜など雑草みたいなものです。かりに地権者がそこにいたとしても 「しょーもない物を採りよるな、そんなもん食えるんけ?」 程度で済みます。 ただし、これは兵庫県南あかじ市 (淡路島南部) のハナシであります。山菜採りに対する許容度は、地方によって温度差が大きいと考えられます。



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●ところで、先のエントリーで申したとおり、行政の人たちは 「淡路島の豊かな自然を観光資源として活用しなければいけない」 などと井の中の蛙的な恥ずかしいことを言っているわけでありますが、いかに淡路島の自然が貧相でみすばらしいものか、何の変哲もなく特筆するに値しないかは、屋久島と比べれば一目瞭然です。 で、淡路島と屋久島について両島の自然をごく簡単に比較してみましょう。 

淡路島と屋久島の自然を比較してみたら‥‥

淡路島と屋久島との自然の比較


屋久島 の凄いところは、

①、洋上に浮かぶ海上アルプスということでありましょう。宮之浦岳を筆頭に標高1800m以上の高山が、地形図に名前が記載されるものが8座もあります。1000m以上ならば無名峰も多く、一体何座あるのかわかりません。

②、広範囲な気候帯 (植生帯) を持っていて、見事な垂直分布が見られる島であります。海岸付近はガジュマルやアコウなど亜熱帯要素の植物が色濃い暖温帯最南部 (つまり亜熱帯最北限) でありながら、2000m近い高山がそびえたつので、山頂付近は亜寒帯 (亜高山帯) の最下限に達しています。面積は淡路島と同程度の面積なのに自然環境の違いには驚くばかりです。

③、屋久島で独自に進化して、固有植物が78種もあるのはビックリです。本土 (九州本島) から61キロ離れているのでのですが、この距離はそれほどでもないのですが地史的なものが関係しているのか? 屋久島に行かなければ見ることが出来ない植物が多数あります。いちいち例示していたらキリがありませんが、たとえばシャクナゲですが、ヤクシマシャクナゲ (標高が低いところではオオヤクシマシャクナゲ) で、屋久島の山を登らない限り絶対に自生品を見ることができません。 

④、屋久島は土壌的に植物が矮小化しやすい特殊環境です。屋久島の地質図 を見れば、大昔に海溝で堆積した砂岩や泥岩の地層をつき破って、マグマが貫入・上昇してできた花崗岩の島といえましょう。花崗岩は風化しやすく出来た土壌は貧栄養の痩せた土です。しかも日本屈指の降雨量で土壌中の栄養塩類は流出しやすそう…。で、植物の生育が悪く矮小化することで有名です。緻密な材の屋久杉を見ても分かるように、本土とは植物の生育状態がかなり違います。

⑤、屋久島付近が生物分布境界線になっている。生物地理学的にものすごく巨視的に見れば、旧北区と東洋区との境界がこのあたりです。世界を8区分した生物地理区 参照。旧北区と東洋区との詳細な境界線は、屋久島よりもう少し南の小宝島と悪石島との境とされますが、ようするにアジアの熱帯と温帯の境目がここになります。 屋久島は本土とおなじ旧北区に属するのですが、(海岸付近では) 零度を割らない北限地の島です。屋久島測候所の観測データで 最低気温の記録は+0.7度 で、観測史上氷点下になった記録がまだありません。で、すこし耐寒性のある亜熱帯植物ならば越冬可能です。ベースが旧北区の動植物であることに加えて、熱帯の東洋区の動植物も漂着し生育するから生物相が豊かになるのでしょう…。

●このように、屋久島は特異な自然環境にあり、植物相は物凄く豊かで多様性があります。非常に魅力的な島であり、どうりで世界自然遺産に登録されるわけです。かならずしも交通アクセスは便利とはいえないのですが、大勢の観光客やナチュラリストが屋久島の自然を観賞・観察に行くわけですね。残念ながら、淡路島では全く太刀打ちできませんわ。九州森林管理局 「屋久島の植物」 などを閲覧すると、屋久島の素晴らしさがよく理解できます。 そんなわけで、「淡路島の自然が豊かだ」 などと言っていたら恥ずかしいわけです。 淡路島の行政人や観光協会の人らは屋久島に見学に行く必要がありますわ。

●なお、上掲の表中にある 暖かさの指数 (寒さの指数とあわせて温量指数という) とは、気候帯 (植生帯) を区分する定量的なモノサシです。計算は簡単です。月平均気温が5度を越える部分を12か月分総計するだけです。小学生でも吾輩でも計算できます。気温減率100mあたり0.65度を用いて山の上の暖かさの指数を推定するのも簡単です。諭鶴羽山の山頂で暖かさの指数を92.3と推定しましたが、少し過剰で、95-98ぐらいかもわかりません。淡路島の緯度で暖かさの指数で85は、海抜900mぐらいです。したがって約600mの諭鶴羽山では90台は間違いないところですが、90ではなく、100に近いほうでしょう。気候帯と暖かさの指数の関係はおおむね次の通りです。180、85、45、に節目すなわち植生帯のガラリと変わる変わり目があるのが良く知られています。

亜熱帯 240-180
暖温帯(照葉樹林帯) 180-85
 暖温帯下部 180-100
 暖温帯上部 100-85
冷温帯(ブナ帯) 85-45
亜寒帯(亜高山帯) 45-15 



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貧相ではあるが淡路島で見られる山菜
↓ フキであります。南の地方のフキは草丈がせいぜい30センチとか大きくても50センチまでで小さいです。アキタブキ とか、ラワンフキ のように2mとか4mなどとバケモノみたいな巨大にはなりません。秋田フキやラワンフキの苗を南の地方に持ってきて栽培試験すると、小さくなってしまうとか…。だとすると、北日本のフキが巨大になるのは倍数性によるためだとされますが、それだけではなく、環境の違いもかなり作用しているのかも? たとえば夏場の北極圏でキャベツを栽培するとゾウに食べさせるのにちょうどいいぐらいに巨大になるらしいです。一つの要因として、北にいくほど夏至前後の日照時間は非常に長くなりますわね。 葉柄が20センチ程度の小さなフキは佃煮が最適です。炊きたての熱いご飯にフキの佃煮があれば、他におかずはいりません。
フキの群落

フキの葉
↑2015年4月6日、 兵庫県南あかじ市賀集牛内にて。

↓ ハリギリです。タラの木の親戚です。地方によっては 「いぬだら」 などと呼んで軽んじるむきもありますが、てんぷらにすれば美味いです。少しほろ苦くてアクが強いのですが、それが欠点でもあるし長所でもあります。食通好みというか熱心な山菜ファンむきのもので、一般には取りつきにくいかもしれません。ハリギリはブナ帯に多い樹木 (山菜) で、徳島県の山では海抜1500mぐらいのところでよく見かけます。ところが植物の分布は面白いもので、淡路島の海岸近くのウバメガシ林の中にもよく自生しています。 南あかじ市でハリギリの芽を採るのはたぶん吾輩だけだろうと思います。ていうか、淡路島にそんなものがあるなんて誰も知らないみたい…。で、吾輩に大当たりです。タラの芽は競合相手が大勢いて遅く行くと採られた跡ばかりですが、ハリギリは競合相手はいません。採り放題です。
ハリギリの木

ハリギリの芽

採り頃か?
↑ 2015年4月6日、兵庫県南あかじ市賀集生子にて。

↓ キクラゲです。今時分によく見られます。写真のものはニワウルシかキリの木のどちらか分かりませんが、枯れ木に発生していました。ゼラチン質のキノコで、乾燥させてから保存します。中華料理にはなくてはならないキノコです。 乾燥させたものを水で戻してから千切りにして、適当にカットしたハルサメと三倍酢であえても美味いです。 写真に写っている白っぽい小さなキノコはスエヒロタケで、これは食べられません。
キクラゲ



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