雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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徳島県高越山 (海抜1133m) 遭難事故は何故起きたのか?(その11) 高越山の山上の様子。
昨年12月の初めに高越山で発生した遭難事故ですが、検証するに際し、まず高越山の山上の尾根伝いの様子を詳細に見ておきます。 国土地理院ネット地形図 を借用して写真を撮った場所を図示します。

国土地理院地図を借用

2015年3月12日の船窪オンツツジ公園 【写真①の地点
公園に隣接する車道には、20センチ前後の積雪がみられます。少ないところで積雪深は10センチ、深い所で30センチという状態です。太陽がよく当たるところでは積雪が消えている場所もあり、積雪深にはムラがあります。

船窪オンツツジ公園

積雪深は20センチ

深いところは30センチの積雪深


つつじ公園展望所からの眺望 写真②の地点
つつじ公園の中ほどに、丸太を組んで作った展望所があります。で、登って周囲を俯瞰しました。よく日が当たる箇所では雪が消えているところもあります。空気が澄んで視程が利くときには、剣山や矢筈山や天神丸などの剣山系の高峰群がよく見えるのですが、残念ながら本日はダメです。眺望がダメなときには交通費 (鳴門大橋・自動車専用道路通行料、ガソリン代) を損したような気分になるのは毎度のこと。絶好の眺望日和にはなかなか恵まれません。ていうか、そういう日には仕事が舞い込んでしまう…。比較的に自由時間が取れるだけであって、リタイアしているわけじゃないから、しかたがありません。

つつじ公園の真ん中にある展望所

展望所から公園を見る

雪の消えている所もある

春霞で剣山が見えない


船窪オンツツジ公園の西端 【写真③の地点
船窪オンツツジ公園は舟形の長楕円形で、横幅(東南東ー西北西の走向で)450mほどあります。下の3枚の写真は公園の西端ですが、ここは高越寺へ至る参詣林道の入り口でもあります。高越寺駐車場まで約1.5キロとありますが、念のため国土地理院地図上で計測したらたしかに1.5~1.6キロあります。ただし駐車場といっても数十mの長細さなので細かな数字を挙げても意味がありません。

つつじ公園の標識

高越寺へ行く林道(参詣路)の入り口

つつじ公園の西の端あたり


このあたりで脱輪か?? 【写真④の地点
報道ではつつじ公園から少し行ったところで脱輪したというから、このあたりでしょうか? 正確な場所は捜索活動に従事した消防関係者等に取材しないと分かりませんが、辺縁系ブログ記事ではそこまではしません。道幅は4mありますが積雪がもう少し多くなると路肩がどこか分からなくなりますね。住職らが遭難したときの 気象条件の推定 では、風速10m以上、気温-3度前後、積雪20-30センチ、濃霧、横殴りの雪、スギ林中なので薄暗い状態だったと推定できます。降雪強度にはムラがあったでしょうけど一時的にはホワイトアウト状態だったのではないか? だとしたら脱輪して、自力脱出不可能という事態も、起こるべくして起こったといえましょう…。断定ではなくそう推定します。

このあたりか?

長くて苦しい上り坂 【写真⑤の地点
住職らは車(ランクル)が脱輪あるいはスタックしたのち車を放置して高越寺に向かって歩き始めたのですが、40代の住職はともかく80代の寺男にとってはこの坂はきつかったと思われます。尾根筋にあたり南向きで日があたるので写真では雪は消えていますが、遭難時には20-30センチの積雪深だったハズで、住職がラッセルしながら雪を踏み固め、その後ろを80台の寺男がトボトボと付いていったのではないか?

長い上り坂がある


日が当たらない部分には雪が多い 【写真⑥の地点あたり
尾根筋を離れて、林道が尾根の東側を巻くところには雪が多いです。日蔭になっていて融雪消耗しにくいだけでなく、尾根の上を北西の風が吹くときに風下側になるから、雪が吹き溜まるのかもしれません。林道は幅員4mですが3mの箇所もところどころあり、ガードレールなどなく、路肩を示すポールなどもなく、積雪20-30センチでたちまち路肩がどこか分からなくなりそうです。谷側が崖とか石垣のところも随所にあり、非常に危ない林道だという印象がします。 吾輩は積雪期の林道に立ち入って面白がっているように見えるかもしれませんが、このような所には車では絶対に入りませんわ。こういう林道は徒歩です。もちろん積雪が多ければ入らない…。この状態を視察したならば、遭難事故は起こるべくして起こったとの感がします。ここは、強い南岸低気圧が四国沖を通れば一晩で1mの積雪があり得る山です。いままで大丈夫だったのが不思議です。仮に住職らは今回助かっていたと仮定しても、いつかは…。

日当たりが悪いと雪がある

尾根の東側で雪が多い

ここも危なそうな感じ
↓ 検定済みの温度計ではなくおもちゃみたいなものですが、持参の温度計で目通りの高さで気温を測るとちょうど零度です。2015年3月12日13時07分です。海抜約1100m地点です。同じ日時の12日13時における下界の気温は、アメダス穴吹で10.5度、アメダス池田で8.0度、徳島地方気象台で11.8度でした。やはり下界よりも約10度気温が低いです。
気温は0度


また、上り坂です。 【写真⑦の地点
つつじ公園の西の端の標高は1060-1070mです。1.5キロ先の高越寺駐車場の標高も1060-1070mです。つまり全く同じです。おおむね尾根伝いを行くからあまり起伏がないかと思ったら、全然ちがいます。何回も上がったり下がったりを繰り返して起伏があります。標高で30mとか40m程度の高低差の起伏があります。むかし何べんも歩いて通っていますが、今回あらためて詳細に観察しながら歩くと、けっこう疲れるしんどい林道です。積雪で足を引きずり、風が強いことで耐寒気温は-15度くらいだったか? しかもこの坂を上がったり降りたりで80代の寺男の方が疲労困憊、低体温症でやられたのではないか? と見ます。

また上り坂


ここが最大の難所か? 【写真⑧の地点
道が狭すぎです。夏でも車で通るには危険です。むかし、5月下旬にツツジを見に来たついでに1回だけ車でここにきたことがありますが、この難所を見て、二度と車で来る気が消えうせた場所であります。幅員はいちおう3mですが山側から土砂が落ち1mほど埋まっています。で、道幅が車幅ほどしかありません。しかも片側が石垣やスギ植林の斜面です。対向車が来たら大変です。仮に、住職らの車が脱輪しなかったと仮定しても、ホワイトアウトの過酷な状況でここを無事に通過できたであろうか? という懸念が残ります。

最大の難所か


尾根の西側もスギ植林中は積雪が多い 【写真⑨の地点
ここは尾根の西側ですが雪が多くなっています。土用波みたいに筋状に雪が盛り上がっています。雪の積もり方はムラがあるから、遭難事故の翌日に捜索隊が高越寺駐車場で積雪30センチと報じていましたが、多い所では50センチとかそれ以上ということもあったのではないか。

尾根の西側もスギ林中は積雪が多い


高越寺駐車場と、高越寺参詣路の入り口。
この駐車場で住職らは雪中に倒れました。先ずは合掌。ご冥福をお祈りいたします。もし、脱輪しなかったと仮定して、車でここまで無事にこれたとしても、ここからは徒歩です。参詣路といっても普通の登山道と変わりません。狭い山道です。けっこうアップダウンがありますし、林道よりも厳しいです。距離も1.1キロあります。おそらくホワイトアウトの厳しい冬山状態を無事に寺までたどり着けたであろうか? という疑問が残ります。まして1.5キロ+1.1キロの距離を雪中行軍するには80代の寺男の方には無理であったのではないか?
高越寺駐車場
↓ ここから先は車では行けません。宗教的に車馬進入禁止というのでは決してありません。そもそも道がないのです。表参道といっても6本爪程度の軽アイゼン装着が必要な登山道しかないのであります。
参詣路の入り口


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