雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
201707<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201709
徳島県高越山 (海抜1133m) 遭難事故は何故起きたのか?(その8) 参考サイトを見る 「西日本最高所にある小学校」
●南北に長い日本列島のなかでは、四国は南国の範疇に入るのはほぼ間違いないところです。たしかに、室戸岬にいけば亜熱帯樹木のガジュマロにごく近縁の アコウ というクワ科イチジク属の樹木が道路の横に沢山生えています。足摺岬の近くにいけば ビロウ という亜熱帯のヤシ科の樹がはえています。亜熱帯の木性シダの ヘゴ や、木性ではないけど オオタニワタリ という亜熱帯性のシダがあります。(もちろんこれらの珍しいシダは絶滅危惧種あつかいで、特に四国ではオオタニワタリは野生絶滅) 遠出をして徳島県南部から高知県の海岸道路へとふらふらと走っていくと、人家の庭先にバナナの樹 (正しくは草) にそっくりな バショウ が植わっていたりします。これって食べられるんかいな? という小さな実がなっているのを見かけます。自然観察の目で見ると、このように四国の太平洋沿岸では亜熱帯要素の植物が沢山みられ、南国という色合いが濃厚です。でも、まあ、それはあくまでも海岸近くの平野部のハナシであって、ちょっと山間部に入ると植物の種類が一変します。

●山間部に入って、標高600mを越えると照葉樹林の優占樹種になるシイの樹が消え、800m以上に登るとスギの植林がなければ一斉にブナが現れます。申すまでもなくブナは冷温帯の代表的な樹木であります。ブナは本州中央部はもちろん東北地方南部あたりでも山のほうに行かないと見られない冷涼地の樹木です。ようするにブナの森が周囲に普通にあるところは、(寒冷地とまでは言えないにしても)冷涼地であるということです。で、四国の中央にデンと横たわる四国山地の標高が高い所にはブナの原生林がいたるところにあります。高越山の山頂付近に鎮座する高越寺の周辺にもブナがたくさんあります。何べんも阿呆の一つ覚えを言うのですが、四国山地の山間部は南国などではけっしてなく、むしろ冷涼地といって何ら差し支えありません。ま、冬はそれなりに雪が積もりますわ。もちろん、これは標高が高くなるにつれて気温が下がることだけでなく、海岸から距離があるほど冷えやすいということがあるためです。

●吾輩は四国の住人ではありませんが、北日本の人らが四国は南国であって、高越山の住職らが雪中行軍で倒れたのは雪の恐さを知らないからだ、などと言うので 「そうじゃないんですよ、四国の内陸山間部はけっこう雪がふりますわ」 と反発しているわけです。で、阿呆の一つ覚え…。さきに、徳島県平野部や淡路島ではスタッドレスタイヤ装着率は1%以下と申しましたが、これはその通りなのですが、ところが徳島県西部山間地に行けば事情は一変します。たとえば冬に旧 西祖谷山村や東祖谷山村などへはスタッドレスやチェーンなしでは恐くて絶対に行けません。東北地方等の除雪がなされる道路と事情がちがい道路の勾配がきついのでチェーンは必携です。できればスコップも。ただし積雪の絶対量は少ない (つまり冬に降水量が少ない) ので、東北地方の太平洋側と同じ程度でしょうか? で、山間部の住民の車ではスタッドレス装着率やチェーン携行率は跳ね上がります。


南国の四国にある、雪に埋もれる驚愕の小学校!
さて、四国は南国ではないという証拠のサイトを見つけたので、そのサイトを拝見します。昨年4月1日付で運用を開始した新進のサイトのようです。有名な四国カルストの西端にある高原酪農の村の小学校のようですね。借用許可を得ていませんが写真を1枚引用いたします。
愛媛県西予市立 大野ヶ原小学校公式サイト 

大野ヶ原小学校のサイトから借用

↑大野ヶ原小学校の公式サイトの2015年2月9日付の記事から写真を拝借しましたが、なんとも凄いですわね。 「今朝の最低気温が、校庭の自記気温計で未明から明け方にかけ-11℃」 であったという記述があります。積雪は豪雪地帯の新潟県ほどはなさそうですが、この写真だけでは誰も四国だとは思わないでしょう。しかも最低気温が-11度! 説明がなければ日本海側のどこだろうか? 東北地方かな? と思ってしまいます。四国に、こんなところがあるのは全く驚きです。

ただし、吾輩は雪には全然驚かないです。四国の海抜1000m以上では冬はどこもこんな感じです。吾輩が驚いたのは雪ではなく、そんな高所に人が住み、村があり、小学校があることに正直言ってビックリしました。四国カルストは淡路島からあまりにも遠いので大昔に一回行ったきりですが、山の上に村があるなんて気がつかなかったわ…。ていうか、四国カルストといっても東西に長いので、普通は観光客やライダーたちが行くのはもっと東の部分ですわね。

●大野ヶ原小学校日記の2014年4月24日記事によると、大野ヶ原は 「夏は冷涼、冬は時に2mを超える積雪のある地域です。昨年度は積雪も最高で50cm位だったかと思います」 ということで、年によって積雪の深さのバラツキが大きいような感じはします。バラツキが大きいのは四国山間部の積雪の特徴のひとつです。発達した南岸低気圧 (むかし台湾坊主と呼ばれたような) が四国沖を通過してシッカリした降水量があれば、山間部ではドカ雪です。ときには一晩で1m。低気圧通過後に冬型の気圧配置になって風向きにより関門海峡を越えて日本海から雪雲が進入してきます。或いは瀬戸内海上で雪雲が湧きたち、積雪の上乗せです。そうなると場所によっては2mとか3mです。そういうふうにならないと、せいぜい40センチとか50センチです。ちなみに 旧 剣山測候所の観測記録 でも積雪の深さは極端なブレがあります。表の最深積雪の列ですが、積雪の観測が行われた1970年~1991年の22年間で、最深積雪の最小値は30センチ、最大値は292センチです。これは吾輩が毎年冬に雪景色を見物に行っても感じるところで、今年は雪が少ないなあとか、あるいは凄く多いなというバラツキが極端です。バラツキが大きい現象は統計的には標準偏差が大きいということであり、「平年並み」 などという言葉があまり意味をなさないですわ。


       ***********************************


大野ヶ原小学校の、素晴らしい環境教育!
大野ヶ原小学校のホームページは開設して1年に満たないので、総コンテンツはまだあまり多くありません。で、ほぼ全部の記事を拝見しました。学校の近くにあるブナの樹を観察したり、北海道の小学校とブナの標本の交換をして、地方によりブナの葉の形質に大変な差があることを観察するなど、素晴らしい環境教育が行われています。ここで、大野ヶ原小学校が問題を出しています。

【大野ヶ原小学校日記、2014年9月25日(木曜日)ブナの学習2より】
問題 : 総合的な学習の時間で、ブナの木について学習しました。北海道の黒松内中から、大野ヶ原のブナの葉と比べたいと申し出があり、黒松内町のブナの葉を送っていただき、交換することになりました。西予ジオパークの学習をしているので、大野ヶ原のブナの葉について調べてみることにしました。黒松内町はブナの北限域だそうです。どちらが (四国の) 大野ヶ原のブナの葉かな?
どちらが大野ヶ原のブナでしょうか?

●自然観察 (とくに植物観察) をしている人ならば、この大野ヶ原小学校の出題は絶対に間違えない問題です。熱心に全国山登りめぐりをしている人もたぶん気付いているでしょう。申すまでもなく、四国のブナは左のものです。北海道のものは右。ブナは冷温帯を代表する樹木ですが、南限地は九州の鹿児島県の高隅山 (1236m) です。北限地は北海道の 後志 (しりべし) 総合振興局 の黒松内町付近です。ただし、真の北限地は黒松内町ではなく、その隣の蘭越町 (らんこしちょう) の 「ツバメ沢ブナ保護林」 というところで海抜600mらしい。 → 『分布最北限ツバメの沢ブナ林の林分構造』 ブナは色々なナゾがあって、北から南へいくほど葉が小さく、かつ、日本海側から太平洋側にむかっても葉が小さくなるという不思議な連続的勾配がありますね。狭い範囲で近畿地方だけを見ても、近畿日本海側のブナは葉が大きく、紀伊山地のブナは葉が小さいです。むかし葉の小さいブナを 「コハブナ、小葉ブナ」 と区別しかけましたよね。色んな説明がなされ、なぜそうなるのか諸説あるって感じですね。

それから、四国ではおおむねブナの出現高度は800-1700mあたりです。山によって微妙に異なるようですがだいたいその範囲にありますね。北にいくほど出現高度の下限が降りてきて、北海道の渡島半島で完全に海抜ゼロまで降りますよね。(部分的には、佐渡島など海抜ゼロ近くまで降りていますが、そういう例外は除く) 北海道で出現高度下限が海抜ゼロまで降りても、上限は600-700mぐらいであるハズなんです。ところが、ツバメ沢ブナ保護林でプツリと途切れて、それ以北 (以東) ではブナが見つかっていないようです。本来ならば北海道の平地ならば全域でブナが自生可能と考えられるのに、なぜないのか? 大きな謎とされています。 こちらも諸説あるみたいです。 

で、自然が豊かな大野ヶ原で素晴らしい環境学習がおこなわれていますわね。大野ヶ原小学校出身者から立派な植物学者が現われるかも? そういえば、日本の伝統的な草本学を、近代的な植物分類学に引き上げるに不滅の功績を遺した 牧野 富太郎 (まきの とみたろう) 先生の出身地は大野ヶ原からごく近くですわね。(高知県佐川町)


大野ヶ原小学校は、西日本一の標高の高い小学校!
さて、大野ヶ原小学校関係者がたぶん気付いていないようなのですが、この小学校には大変な特徴があります。勝手に写真を借用させていただいたお礼の意味で、すこし調べてみましょう。

●この小学校は、文句なしに、群をぬいて、西日本で海抜高度の一番高い所にあります。 中央高地 (日本のハイランド=信州や北関東など) を含めた全国ランキングでも、10指に入るような高海抜です。これは宣伝材料になりますね。なんでもいいから西日本一とかいう物があれば謳い文句にできます。




西日本の天空の学校 所在地の標高の高いほうからの順位

調査方法】 国土地理院の地形図をネット閲覧し、各地の海抜高度の高い高原や山間部に存在する町や村を丹念にチェックし、公立学校 (私立も含む) の所在地を確認していった。その学校の所在地の高度は等高線で判読した。

1、 学校の敷地を等高線が横切る場合には、その等高線の高度を学校所在高度とした。
2、 学校の敷地を等高線が横切らない場合は、その学校をはさむ2本の等高線の高度を示した。 

ふつう、学校敷地は広大であり、学校敷地内でも標高の高低差はあり、学校のどの部分をもってその学校の標高とするのか? など種々問題もあるので現地調査が必要であるがそれは不可能。で、いわば、文献調査のみであり現地調査はしていない。 なお、ここでいう学校とは教育基本法や私立学校法等で規定する学校 (常識的な学校) であって、たとえばスキー場が運営する 「スキーの学校」 とか、自然保護団体が運営する 「NPO法人 山の学校」 などは学校ではない。また、県や自治体が運営する 「林間学校」 なども教育関連施設であっても、常時在籍する生徒がいるわけではないので除外します。


1位  愛媛県西予市立   大野ヶ原小学校  海抜1140m
2位  奈良県天川村立   洞川中学校     海抜840-850m
2位  和歌山県高野町   高野山高等学校  海抜840-850m
4位  和歌山県高野町立 高野山小学校   海抜830-840m
5位  和歌山県高野町   高野山大学    海抜820-840m
6位  和歌山県高野町立 高野山中学校   海抜828m(学校のHPによると)
7位  熊本県高森町立   高森東中学校   海抜800-810m
7位  熊本県高森町立   高森東小学校   海抜800-810m
9位  兵庫県神戸市立   六甲山小学校   海抜790-800m
10位 熊本県阿蘇市立   波野中学校     海抜760m
10位 熊本県阿蘇市立   波野小学校     海抜760m

四国山地や九州山地の標高が高いところ900mあたりまで点々と高地性集落が沢山あります。みな小規模の集落でありますが、ひょっとしてとんでもない高いところに分校があるかもしれません。千一、万一、漏れ落ちている学校があるかもしれません。しかし、さすがに海抜1000mを越えれば村とか集落など皆無です。また、追随する2位以下の高地性学校群から標高差で300mも抜きん出ているから、大野ヶ原小学校の第1位の王座は不動だと思います。



スポンサーサイト
コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.