雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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徳島県高越山 (海抜1133m) 遭難事故は何故起きたのか?(その2) 遭難事故当時の高越山の気象を推定する
●残念ながら高越山の山頂にアメダス観測所はありませんから推定する以外にありません。さいわい高越山の山裾にアメダス穴吹があります。山頂から北西に水平距離4.5キロ、高度差約1000mであります。以下に、その観測データを図にして示します。それから西日本の上空約1000mの観測データがどうだったかも表にして示します。


↓ 以下2枚の図は、あくまでも山麓での観測データ
気象庁 アメダス穴吹の観測統計 から当該データを抽出して作成。
山麓にあるアメダス穴吹の観測データ 気温・降水強度
↑ 赤線が気温の変化で単位は℃です。青色線が1時間降水量で単位はミリですが、縦軸のスケールが度とミリを兼ねています。気温が十分に低いと通常は4ミリの降水量は4センチの積雪になります。


山麓にあるアメダス穴吹の観測データ 風速


↓ 西日本上空900hPa面 (上空約1000m) での観測データ
高層気象観測データ検索 から当該データを取得して作表した。山麓と一変するのは風速です。1000m上空は少なくとも10~15m、ときには20mの強風が吹いていた模様であります。
高層気象観測データから高越山の気温を推定する
↑ 残念ながらラジオゾンデを揚げて高層気象観測している地点は少なく、西日本の本土部分では福岡・松江・鹿児島・潮岬の4地点しかありません。しかたがないので、高越山は松江と潮岬間330キロのほぼ中間点にありますから、内挿法で両地点の中間値と考え計算しました。しかしまあ、高越山は四国山地の北側に位置するし、四国山地は1500~2000mの峰々が東西に屏風のようになっていて太平洋からの暖気をブロックするから、1000m上空ならば松江に近いかもしれません。おそらく福岡と同等程度では?


2014年12月徳島県西部大雪のアメダス降水量分布
徳島地方気象台 の気象速報 平成26年12月5日から6日の大雪について から降水量分布図を引用します。
徳島県大雪のアメダス降水量分布
↑ この図を見ると2014年徳島県西部での大雪は非常に局地的な現象だったことがわかります。アメダス池田では降水量は104ミリでしたが、気温が低い山では積雪1メートルに相当しますね。実際1mどころか井川スキー場で130センチだとホームページに書かれていました。高越山は大雪の中心から随分とはなれています。降り始めから降り終わりまでの降水量はアメダス穴吹で41ミリです。降り始めは気温がまだ高かったから積雪に貢献した降水量は30ミリ程度で、住職らが倒れていた駐車場で積雪30センチという情報とピタリと一致しています。


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●以上の客観的な気象観測データを踏まえて考えると、次の状況であったと、それなりの確度でいえそうです。

高越山山頂付近では12月4日の昼過ぎまでは気温がせいぜい零度近辺で、雪であっても湿った重い雪であまり積雪にはならなかったと推定、夕方ぐらいから気温が下がり、積もりやすい乾いた雪になったと想像できます。気温は意外に低くなくせいぜい-2度か-3度、あるいは-3度か-4度程度であったと思われます。結局、40ミリ程度の降水量であったのですが、最初は気温が高めで積雪が伸びず30センチ程度の積雪。尾根では風が強く10m以上、尾根を縫う林道は風の吹きさらすところは積雪10~20センチか? 林道が尾根の東側に回ったところでは雪が吹き溜まるので40~50センチのところもあったのでは?

1000mで6.5度気温が下がるというのはあくまでも目安です。実際にはケースバイケースで、ほとんどかわらないこともあれば、時には1000mで10度も下がる場合もあります。高越山と山裾との気温の差はそれほど大きくなかったであろうことは、高層観測データが示唆しています。降雪が上空の寒気を引きずりおろして地表付近を冷やした可能性も考えられます。

住職らが麓の自宅を出た5日9時半ころ、山麓は気温が1度か2度で、雪がチラチラと舞う程度で、山は雪化粧していたでしょうが降雪強度は1時間に1~2センチ積もる程度。麓はあまり風がなく物凄い風雪ではなかったと思われるから、出発したのではないか? 海抜1050mにある船窪つつじ公園まで登ったら (降水量と時系列から推定して) 20センチ程度の積雪で、船窪つつじ公園から林道に入ると道が狭いし積雪で路肩がわからなくなり脱輪、あるいは海抜1143mのピークの風下側を林道が巻くので予想外の吹き溜まりがありスタック、車を乗り捨てて徒歩で寺に向かう間に更に10センチ積もった、と推定します。




【拙稿は続く】


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