雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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徳島県高越山 (海抜1133m) 遭難事故は何故起きたのか?(その1) 通信社が記事を配信、全国区のニュースになった
●昨年12月4日昼ごろから5日の深夜まで、徳島県西部の山間部で大雪がありました。道路が雪で埋まり積雪の重みで樹木が倒れ、三好市やつるぎ町では孤立集落があいつぎました。救助のために自衛隊の出動があったのは記憶に新しいところです。三好市の腕山 (かいなやま、1339m) の山頂直下にある 井川スキー場 腕山 では130センチの積雪、孤立集落では70センチの積雪だったと報じられました。この大雪で徳島県では3人の犠牲者が出ました。孤立集落に住む90代の老女と、大雪の被害中心地帯からかなり東になるんですけれども、高越山 (1133m) の山頂付近で男性2人が雪中に倒れました。

●この 高越山 (こおつさん) は、剣山地の前衛の山で、吉野川ぞいの徳島平野に一番せり出している山であります。山の形が秀麗で場所によっては富士山みたいに円錐形に見えるので阿波富士とたたえられています。山頂にある 高越寺 (こうつじ) は御本尊に蔵王権現をお祀りし、阿波国修験道の発祥地と称される真言宗大覚寺派の名刹 (めいさつ) であります。淡路島南部の海岸から高越山のその秀麗にして端正な山容はよく見えていて、遠望するにひときわ目立っています。そういうこともあり、高越寺の信仰圏は間違いなく淡路島南部の南あわじ市にまで及んでいます。吾輩も何べんとなく登拝しています。 (ただし、吾輩は信心が不足しているので、寺に参るというよりも西日本一と讃えられるオンツツジの大群落を見に行くという感じではありますが…)

●高越寺の住職さんらが雪倒れたというニュースを聞いて、ヤバイなと思ったのですが、あの山はめったに雪が積もらない徳島県東部平野部や淡路島南部の人間にとって、一番至近距離で本格的な雪景色が見に行ける山でして、眺望も素晴らしく、冬の休日には雪景色や霧氷を見に来る登山者で結構にぎわいますわ。四国沖を南岸低気圧が通過したら双眼鏡で 「かなり積もっているわね」 と確認してから見に行きますね。で、そこで現実に遭難死亡事故があったわけで安易な入山は一考する必要がありそうです。おそらく高越寺の住職さんが誰よりも一番多く高越山に登り、狭くて急こう配の高越山登山道の積雪期の車での走行回数が多く、経験を積み上げているハズなんですが、その人でさえ遭難死したということは深刻です。

そういえば、かつて剣山測候所の職員も遭難死 (殉職) しています。剣山山頂を職場としてだれよりも冬の厳しい亜高山帯の山を知るベテランでも命を落とすのが山の恐さです。測候所職員と山上寺の住職さんとでは職種が全く異なりますが、ちょっとの判断ミスや不用意で命を落とす事例としては共通しますね。事故を起こさず、安全な登山・安全な雪景色見物を行い、関係方面に迷惑をかけないためにも、この 「高越山死の彷徨」 遭難事故を検証したいと思います。

まず、遭難事故の概要を見るために、ニュース記事を二本引用します。



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【雪の中で倒れていた山寺の住職と寺男 死亡確認】 NHKオンライン 2014年12月6日 (リンク切れ) 
徳島県吉野川市の高越山で5日、山頂付近にある寺に向かっていた住職と寺で働く男性の、 2人の行方が分からなくなり、6日朝になって雪の中で倒れているのが見つかりました。 2人は心肺停止の状態で病院に運ばれましたが、警察によりますと6日夜、死亡が確認されました。
 
5日、吉野川市の高越山で、山頂付近にある高越寺に向かっていた高埜茂洋さん (43) と寺で働く美馬市穴吹町の守本正夫さん (83) の行方が分からなくなったと、家族から警察に捜索願いが出されました。

2人は、6日午前8時ごろ、寺の近くの山道の雪の上で倒れているのを捜索に当たっていた知人などに発見されましたが、心肺停止の状態で、現場に到着したレスキュー隊によって病院に運ばれましたが、警察によりますと、6日夜、死亡が確認されたということです。家族が警察に説明したところによりますと、2人は、5日午前9時半ごろ、山のふもとから車で寺に向かいましたが、昼過ぎに高埜さんから 「車が脱輪して動けない」 と電話があったということです。

家族はレッカー車を手配しましたが、大雪で現場までたどり着けず、午後3時に高埜さんから 「歩いて寺に向かう」 と電話があったのを最後に連絡が取れなくなっていました。


【雪上で2人が心肺停止 不明の住職ら、徳島】 産経WEST 2014.12.6 
徳島県吉野川市の高越寺に向かった住職、高埜茂洋さん (43)=同市山川町井上=と、無職、守本正夫さん (83)=同県美馬市穴吹町三島= が5日午後から行方不明になり、県防災ヘリコプターが6日朝、寺駐車場の雪の上で倒れている2人を発見した。地元消防によると、2人は心肺停止の状態。雪の中、徒歩で寺を目指していたとみられる。

阿波吉野川署によると、高越寺は高越山 (1133メートル) の頂上付近にあり、地元消防によると、2人が倒れていた周辺は約30センチの積雪があった。

2人は5日午前9時半ごろ、高埜さんの自宅を車で出発。午後1時ごろ、寺の南約1・8キロの公園付近で 「雪で車が脱輪した」 と高埜さんから家族に電話があった。高埜さんは約2時間後、電話で再び家族に 「歩いて寺に向かう」 と話し、その後連絡がとれなくなった。
 
高埜さんの自宅は高越寺の麓にあり、寺には数日ごとに守本さんら手伝いの人が入れ替わり滞在、送迎を高埜さんがしている


石井町の六条大橋から高越山を眺める
↑ 石井町の六条大橋 (吉野川に架かる橋) の川の南側から見上げた高越山。5~6キロにわたって海抜1100m前後の稜線が続いていて、一番北の端 (画面では右になる) にあるピークが高越山です。この尾根伝いに林道が2キロほどあって、ここを雪中行軍して住職らは倒れた。写真を撮ったのは2014年10月19日。

高城山から見下ろした高越山
↑ 剣山系の主稜線上にある名峰の 高城山 (たかしろやま) の山頂から高越山を見降ろしました。リンクのWikipediaでは標高1627.9mとしていますが、これは三角点の高さであって、実際の山頂に1632mの標高点があります。


山菜採りや、茸狩りで遭難死亡事故が!
徳島県警察 の資料 安全で楽しい登山のために のなかに高越山遭難事故がしっかりと記録されています。表を1枚引用させていただきます。死亡遭難事故を注意喚起のため着色しました。1年間で警察におせわになった遭難者は28名ですが、うち徳島県人は14名、他県人も14名ですね。他県人がちょうど半数ですわね。高越山遭難事故以外での死亡者は、山菜採りと茸狩りで命をおとしています。こりゃあ、教訓として肝に銘じなければ! 徳島県警察のお世話にならないように気をつけなくっちゃ! (自戒の意味)

徳島県警察本部生活安全部地域課 『安全で楽しい登山のために』 より



【拙稿は続く】



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