雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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潮位が上がる要因はいろいろだが、荒天は磯狩りの大敵!
●われわれ瀬戸内海の島嶼人には 「磯男・いそおとこ」 や 「磯女・いそおんな」 が多いわけです。たぶん、今はともかく昔は物を買うにも店がなく、仮に店があったとしても貧乏で買うカネがなく、晩のおかずは磯に行って食材を調達していたからでありましょう。島なので住居のすぐそばが海であり磯でありますから、店で食材を買わなくてもチョイチョイと磯にいけば食材を調達できました。江戸時代から漁師の 「漁業権」 という排他的利権が設定され、現行法も江戸時代の封建的慣習をそのまま追認・踏襲しているわけですが、島の住民が晩のおかずの材料を調達する分程度ならば、厳密には違法行為であっても不問にする暗黙の了解が存在しています。(註)漁師さんたち (漁協組合) も何も言わないのです。このように島では晩のおかずの材料は磯に行って調達するというのは、瀬戸内海島嶼地方の食文化の観さえあります。

(註)、その区域 (海面) に第1種共同漁業権が設定されていて、かつ、その対象に当該魚種 (カキ等) が含まれていた場合には、漁業権を持たずに (漁業組合に入漁料等を納入して採捕の許可を受けずに) 当該魚種を採捕したならば、権利侵害になる可能性があるのでしょうが、漁協により区域によりまちまちなので一概に違法とも言えないですわね。場所により物により違法でも何でもない場合があるし、実にややこしいですわね。ま、問題となる区域ではたいてい漁業組合の警告の看板が立っていますわね。しかも漁業者が権利を侵害された! と主張してはじめて問題となる面もあるのがさらにややこしくしています。そもそも世の中に法を犯さない人は1人もいませんわね。道端で立ち小便をしても違法行為だし、公道を外れて半歩でも公道外の土地を踏んでも違法行為です。警察がマークする人間を逮捕するときにやる手です。「お前、公道からはみ出しただろう、不法侵入だ!」

●吾輩も小学生や中学生の頃、午後3時に学校が終ると、家に帰る途中で磯に寄り道をしました。大時化 (おおしけ) の後に、沖の岩礁に付着していたカキ (牡蠣) が大波の圧力で剥がされ磯に打ち上げられました。その磯に石ころのように転がっていたカキを拾って持ち帰り晩のおかずに供されました。また、平たい石をめくれば 「のうてん」 というウナギみたいな、あるいはウツボの子供みたいな魚がいました。標準和名は ギンポ と称し、江戸前の天ぷらの材料として有名ですわね。 江戸前の高級天麩羅ダネ、ギンポを釣って食べる というレポートを拝見すると、ギンポを天ぷらに調理しています。美味そうですわね。確かにギンポの天ぷらは希有なる絶品であります。しかしながら、昔は食用油は貴重品であったので、天ぷらなどめったにできず、ギンポは開いて蒲焼にして食べました。ギンポは磯で平たい石をめくれば結構獲れたし、タコなどもよくいました。ま、学校が引けてから磯で晩のおかずを獲るのは子供の仕事みたいなものでしたわ。

このような食文化・食習慣の背景があるので、月2回ある大潮が近付くと何となくそわそわとしてくるのですが、磯に行けば気分が落ち着きます。おそらく、瀬戸内海島嶼人のDNAには月2回磯に行くという行動パターンが組み込まれているのでしょう…。 


本日 (1月6日) の収獲
本日といっても深夜です。干潮のピークが深夜1時ごろでした。ただし島の南部の紀伊水道側で、干潮時刻は海域により異なります。本日は冬で満月の場合は潮が小さい(干満差がやや小さい)です。しかも、気象・海象がよろしくなく潮位が高かったので、収穫物はあまり多くはありません。磯では何といっても潮間帯下部~潮下帯に沢山の獲物がいます。狙うのは低潮線 (最も潮が引いたときの海面) の前後あたりです。 海藻の生育帯・分布域について を参照。磯で収獲物を得る条件は、とにかく潮がよく引くときに行くことに尽きます。

本日の収獲


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潮位が上がる原因は色々とある
つまり本日の磯は、潮があまり引いていなかったのですが、 天文潮位 の予想よりもかなり潮位が高かったです。なぜだったのかごく簡単に考えてみます。天文潮位とは、 「月や太陽の起潮力によって起こる潮位の変化」 でありますが、実際の潮位は天文潮位から若干ズレます。天文潮位よりも潮が良く引くこともあれば、潮が高いこともあります。潮が高くなる理由は沢山あり、色々な説があるようですが、主な要因は次のようなものでしょうかね。
潮位が上がる主な要因
①、低気圧の接近で気圧が下がる。海水の吸い上げ効果。
②、沖から海岸に向かって風が吹く。海水の吹き寄せ効果。
③、西日本太平洋岸の沖を流れる黒潮が、陸地に接岸。黒潮の本流は外洋側が陸
  地側より1mほど高くなっていることが知られている。
④、暖水渦が発生して居座る。海水の温度が高いと体積が膨張。



↓ 気象庁のホームページから 潮位観測情報 : 小松島 を借用します。図中の文字や矢印は吾輩が記入しました。紀伊水道の潮位は5日の晩から6日にかけて、観測データが高くなっています。
小松島港の潮位変化

↓ 紀伊水道の潮位の天文潮位からの偏差では5日晩から6日昼にかけて次第に高くなり、ピークでは40センチも高くなりました
潮位偏差が大きく正偏差している


↓ 続いて気象庁ホームページから アメダス:近畿地方 風向・風速 を見ると、紀伊水道では5日晩から6日昼まで 「マゼ = 南風の方言」 が吹きました。風速はあまり強くはなかったですけれども、若干波浪が立っていました。
紀伊水道に 「まぜ」 が吹き上がる


↓ 気象庁ホームページから 徳島地方気象台 の観測データを閲覧すると、5日の夕方から」6日の昼ごろまで概ね15hPa気圧が下がっています。

徳島地方気象台での気圧変化

●2枚目の図の中で、「この潮位上昇の要因は何か?」 と言うことですが、紀伊水道を吹き上がったマゼ (南風) の海水吹き寄せ効果と、気圧の谷接近による気圧低下による海水吸い上げ効果でほぼ説明がつきそうです。 「副振動」 と呼ばれる小刻みな潮位の上下動があって分かりにくいですが、おおまかな傾向線を考えてみると、5日夕方から6日昼まで、潮位偏差が+10センチから+35センチまで上昇しています。この潮位上昇にたいする寄与率は 「海水吹き寄せ」 と 「気圧低下による吸い上げ」 がほぼ半々ではないか? と見ます。もし紀伊水道を吹き上がるマゼが15mとか20mの強風だったならば、こんな潮位上昇ではすみません。1mぐらい上がっていたでしょう。つまり、天文潮位が非常に下がる格別の大潮で、待ちに待った磯狩りのチャンスであっても、荒天であれば全くダメだということであります…。


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