雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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先山から島内を眺める
先山の山頂から、島を俯瞰した

一昨日(2014年11月3日)の夕方に、淡路島のヘソに聳える 先山(せんざん) に登りました。山頂からの眺めの写真を陳列します。



山麓から先山の山頂を仰ぎ見る
↑ 洲本市上内膳から仰ぎ見た先山です。標高はたった448mしかありません。低い。あまりにも低い山です。先山は地質的には、白亜紀後期 (1億年前~6500万年前) に地下の深い所に貫入したマグマが冷えてできた花崗岩類が、断層の活動で隆起した山であるとされますが、隆起の程度が少ないのでしょうか? 同様に花崗岩の山として著名な屋久島の宮之浦岳が2000m近くの標高を誇るのとは段違いです。写真をみても高い山という印象がなく、ただの低山であります。しかしながら、低いけれども独立峰で、すこし離れて遠望すると富士山型の秀麗な山容です。淡路富士と讃えられます。

けれども先山は火山じゃありません。古い書物では先山を火山だなどと書いている物がありますが、火山じゃないです。火山特有の玄武岩や安山岩ではなく、花崗岩であることが火山じゃない証拠でありましょう。瀬戸内海地方には古い火山帯 (瀬戸内火山岩石区) があり、1000万年前の古い火山列があります。室生火山群(三重県)~若草山(奈良県)~二上山(大阪・奈良県境)~屋島・讃岐富士・小豆島(香川県)~石鎚山・高縄山(愛媛)~周防大島の嘉納山・周防諸島(山口県)がそうです。先山はマグマが地下で冷えて固まったものであり、地表にマグマが噴出したわけではないから、富士山型の山容であるからといって火山じゃありません

瀬戸内火山岩石区
国土地理院地図 の白地図に、地質図Navi を閲覧して、中期中新世~後期中新世 (約1500万年前~700万年前) に噴火した火山の岩石 (安山岩・玄武岩類や、デイサイト・流紋岩類、火砕流の軽石や火山灰) の分布を拾い出し、白地図上にプロットしました。瀬戸内火山岩石区は、図で示しただけでなく、更に東西に延びています。西には、大分県の祖母山・傾山、長崎・佐賀の県境周辺、五島列島へと延びています。東へは愛知県鳳来寺山へと続いているようです。
瀬戸内火山岩石区

●先山は、イザナギノミコト、イザナミノミコトの二神が最初に創ったところから名づけられたとされるのですが、これはただの神話にすぎません。何の根拠もないおハナシです。そもそも神話などというものは、世界中どの民族の神話であっても、ヒトが地球上に現れてから言葉ができた後、お話好きな人が創作したものです。ある種の口承文学として語り継がれたものと思われますが、文字が発明されて話のプロットが固定化されたものです。どんなに古く見積もっても、人類が地球上に現れたのはオーダーで数十万年前~数百万年前です。人類が言葉を獲得しお話を始めたのがいつなのか? 分かりませんがせいぜい数万年前か? 文字の発明は数千年前です。人類の歴史的には神話は古いものですが、地質年代的には新しいもので、産まれたてのホヤホヤ。ヒトが地球上に現れる遥か昔から、大地があり山があり川があり、太陽が照り雨が降っていたわけです。陸地 (大陸) を作っている物質はマントルや海洋底の物質よりも軽いので、水に浮かぶ油みたいなものです。陸地は地球の表層をクラゲのごとく漂いながら、分裂と合従を繰り返し、造山運動で山がそびえ、聳えた山もやがて浸食され、久しくとどまっているわけではないです。億年の地質年代的時間スケールのなかでは、目まぐるしく変化し流動しているわけで、そんな有為転変のなかで、どの土地が、どの山が、一番最初にできたのか? などという問いはなんの意味もなさないのです。

●麓から先山の山頂を仰ぎみたら、中腹にはクヌギか? コナラか? と思われる見事な森林が見えています。山頂近くの8合目から上は見事なシイ林です。ただ、問題はかなり急斜面のようなことです。先山は何回も登っていますが、これらの森林に分け入ったことがまだありません。麓の国道から眺めていつも 「先山に何かありそう」 「先山を調べたら何か出てきそう」 という印象がしていました。で、中腹から山頂のクヌギ林やシイ林を観察調査しようと登ったのですが、なんせ午後から行ったのでじきに日が暮れてしまいました。調べるのはまた今度であります。


山頂に鎮座する千光寺
↑ 淡路島第一と評される名刹の 淡路島十三仏霊場 第一番 先山 千光寺 です。本堂はまさに山頂にあり、先山の標高は448mとされますが、これは標石のない標高点で、4等三角点 (標石のある標高点) でさえありません。見通しの利く独立峰に三角点がない良い例です。淡路島の広範囲から見える山で、測量するにこんな条件が良さそうな山頂に三角点がないのは不思議です。昔、測量するさい見通しを確保するために木を切ることが出来なかったからでしょうか? (宗教的禁伐林であろうから) あるいは山頂に本堂や山門など沢山の伽藍(がらん)があって、測量の邪魔になったのか? 三角点の選点は、遠くが見通せて、相手からもよく見えるところ

↓ ひときわ高いピークが諭鶴羽山(南南西方向)
諭鶴羽山を遠望する

↓ 中央部の3つのピークにシャクナゲが自生(南南東方向)
シャクナゲ山も見えている

↓ 三原平野が山の陰になり、山ばかり (南西方向)
三原平野が山の陰に入り、山ばかりが見える

●こうしてみると、淡路島全体が断層運動でできた地塁山地だということが実感できます。津名山地が北東ー南西の走向で、柏原・諭鶴羽山地が東西走向で存在し、淡路島の地形の主要な骨格を形成しています。両山地ともに山地両側に明瞭な活断層が走っています。淡路島は意外に山の国で、海岸部ではなく島内に住んでいたら海なんて見えないですよね。


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