雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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岩石海岸の自然観察 (その4)
観察日は2017年6月27日、観察場所は淡路島最南端の岩石海岸です。

こんな海岸岩場の厳しい環境で、よくまあ生育できるもんだね!

シャリンバイ (バラ科) であります。5月の連休のころに白い花を咲かせます。南淡路の海岸岩場には普通にみられます。樹高は1m内外の低木であります。写真のものは花が終わって若い果実ができています。果実は秋に紫色に熟します。大木にならないので管理しやすく、乾燥にも強いのであちこちによく植えられています。たとえば、南淡路では旧南淡町賀集のららウォークに沢山植栽されています。写真のものは、海にせり出した岩の上に一人生えています。他の植物が全く見られない岩上で孤高のシャリンバイといえましょう。土壌なんて全くない岩の間でどのように根を張っているんでしょうか?  ひょっとしたらクロマツなどと同じように菌根菌との共生?? 菌類の菌糸は維管束植物の毛根よりも更に細く、岩の造岩鉱物の間に伸びて行って水分やミネラル分を吸収すると言われますが、そういう菌類と共生している??
岩場で逞しく生きるシャリンバイ
土壌なんて全くない岩場だ
若い果実ができている


↓ この花の標準和名は ハマナデシコ (ナデシコ科) でありますが、これじゃ浜ナデシコじゃなくて岩ナデシコと言うべきかも? これも岩崖地にポツンと一人咲いています。それにしても土壌のないこんな岩壁にでよく生育しているものです。
断崖に咲く孤高のハマナデシコ
浜ナデシコじゃなく、岩ナデシコというべきか?
花は綺麗です


海岸の岩場に生じる兵庫県の絶滅危惧植物たち

イワタイゲキ (トウダイグサ科) であります。兵庫県版レッドデータではイワタイゲキは絶滅危惧Bランク ですが、他県版の絶滅危惧Ⅱ類に相当します。絶滅危惧選定理由は特殊生育地に自生し、かつ個体数が僅かであるためです。淡路島内での自生地は吾輩が知る限りでは島南部の海岸岩場で、友ヶ島・生石鼻・地野・潮崎・門崎の付根の5か所しかなく、それぞれの自生地で1株~数株しかありません。つまり淡路島の海岸に20株あるかなしかでしょう。兵庫県本土側では家島諸島や西播の海岸に少し。瀬戸内海東部から消えつつある植物ですから、採らないように。採っても鉢植えなどで栽培できる植物じゃありません! ここに見に来るだけならば大いによろしいかと思います。
岩場で逞しく生きるイワタイゲキ
花期は5月、夏には地上部は枯れる
イワタイゲキは冬型多年草です。秋に新芽をだして冬の間は青々と緑の葉が綺麗です。春に花を咲かせ、夏には地上部は枯れて地下茎で休眠します。つまり、庭に植えるチューリップやスイセンと同じです。寒候期に生育し夏には地下茎で休眠。イワタイゲキは普通は夏前に葉が赤く紅葉するのですが、この個体は色がさえないようです。
通常は夏前に美しく紅葉する


キキョウラン (小笠原植物誌) であります。名の語尾にランとつきますがラン科じゃなくてユリ科であります。葉がラン科植物に似ていて、花の色がキキョウ(桔梗)と同じ紫であるということです。東南アジアや琉球諸島や小笠原などが分布の本拠地の亜熱帯要素の植物ですが、九州南岸~四国南岸を経て紀伊水道沿いに分布が北上しています。わが淡路島(正確には西淡伊毘の沖ノ島)が北限地の植物であります。地元の南あわじ市ではもっと話題になってもいい植物ではないか? ですが自生品を見たことがない住民がほとんどでしょう。沼島・灘地野・灘仁頃・灘潮崎・沖ノ島の海岸岩場や岩崖地にあります。兵庫県版レッドデータBランク (他県版の絶滅危惧Ⅱ類に相当) 絶滅危惧選定理由は、特殊生育環境・希少に加えて分布の北限であることです。

栽培は簡単です。鉢植えも可能です。たくさんあるから少しならば採ってもよろしい。写真で分かるようにキキョウランの株は根元で沢山分けつしています。分けつ芽を1芽か2芽を間引くような採取の仕方ならば採ってもよろしい。(なお吾輩は採取の許可をする権限・立場ではありませんけど) 夏に青い実がなって種子を採取して蒔いても簡単に苗ができます。非常に強健で、栽培すると殖えすぎて困るほどです! ただし、元来が亜熱帯要素の植物なので冬の寒風害があるかも? 吾輩が栽培した経験から申すと氷点下4度までは何もしなくても大丈夫です。それ以下の低温では枯れるのかどうかは不明。(南淡路じゃそれ以下の低温はまず起こらないから)

キキョウラン
キキョウラン
キキョウラン
キキョウランの花期は5月中旬~6月上旬ぐらいが見頃ですが、花期は結構幅があるようで、まだ遅い花が残っていました。
キキョウラン


アゼトウナ(キク科) であります。花期は晩秋~初冬で黄色のとても美しい花が咲きます。兵庫県版レッドデータでは絶滅危惧Cランク (他県版の準絶滅危惧に相当) 本種は海岸だけでなくやや内陸の標高100m前後の山裾まで分布を広げています。しかしながら、そういうところでも例外なく海風が吹き込んでくる崖地や道路法面や石垣などにあって、海岸岩場の植物という生態を保っています。やはり海岸の岩場がアゼトウナにとっては安住の地なのであって、内陸では他の植物との競争に脆弱なのでしょう。
アゼトウナ
アゼトウナ


ハマヒサカキ (ツバキ科) であります。リンクの波田先生によると、「海岸に生育する植物の多くは乾燥に対する抵抗性が高く、緑地帯や道路の分離植栽などによく利用される。ハマヒサカキも海岸に生育することから、一時大量に植栽されたことがあったが、期待されたほどの耐乾性はなかったようである。その後の研究によってハマヒサカキの生育立地は、海岸ではあっても持続的な水分供給のある場所であり、期待はずれであった理由が解明された。そのように見ると、ハマヒサカキの生育立地は地形的にはややくぼんだ場所であり、持続的な湧水があるような場所であったり、水道であったりする。」 ということですが、たしかに、写真のものは岩崖地でありますが、岩のくぼ地になっています。岩場がすべて乾燥いちじるしいわけではなく、岩壁の割れ目とか弱線などで水がしみでているところが結構ありますね。写真のものは水分供給のある立地のせいか葉の色がいいです。崖の上のほんまに乾燥するところにもハマヒサカキはありますが、たしかに生育が悪く葉の色もさえないものが多い傾向です。ということでリンクの説明に納得します。 兵庫県版レッドデータでは絶滅危惧Cランク
ハマヒサカキ
ハマヒサカキ
ハマヒサカキ


海岸の岩崖地で逞しく生きる植物たち!

海岸岩崖地で逞しく生きる植物たち

トベラ (トベラ科) であります。南淡路では5月の上旬前後が花期でありまして、ニホンミツバチとかマルハナバチ類が盛んに訪花しています。おそらくニホンミツバチの重要な蜜源植物ではないか? と思われます。
トベラ

ハマボッス (サクラソウ科) であります。海岸岩場の美しい花ですが、花茎の先端に遅い花がわずかに残ってはいますが、花期はもう過ぎてしまいました。若い果実が見えていますが果実が熟すとこの株は枯れてしまします。
ハマボッス
ハマボッス

テリハノイバラ (バラ科) であります。葉には毛がなく、葉の表面はクチクラ層が発達してテカテカと光沢があります。いかにも乾燥に耐える海岸岩場の植物という感じであります。通常は花の色は白ですが、ピンク色の花の個体を見たことがあります。
テリハノイバラ
テリハノイバラ



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