雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
201606<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201608
阿波剣山のキレンゲショウマが見頃! (その1)
本日は2016年7月31日であります。

●気象庁の発表 平成28年の梅雨入りと梅雨明け (速報値) によると、わが南海道地方 (阿波・土佐・伊予・讃岐・淡路・紀伊の旧6国) は7月18日に梅雨があけ、はや2週間が経ちました。炎威たけなわで、連日の真夏日であります。おかげさまで今夏は山の家も海の家も商売ができそうです。古人が喝破したように、夏は暑ければ暑いほどいい、冬は寒ければ寒いほど景気には好ましいとされ、季節商品が飛ぶように売れるわけです。安倍ジョンイルの利権勢力に我田引水するだけのインチキ景気対策よりも、猛暑や厳冬のほうが個人消費が伸びて景気が良いわけです。安倍ジョンイルはGDPの6割が個人消費であることを軽んじています。

●とはいうものの、暑くてたまらんので、昨日の7月30日に、また四国の剣山(標高1955m)に納涼登山です。今の時期は宮尾登美子の小説 『天涯の花』 および、それを台本にしたテレビドラマで有名になった “剣山のキレンゲショウマ” をひと目見たいと日本全国から観光客・登山者がわんさかときます。ただし、キレンゲショウマを見たい天涯の花ファンはあらかた来たようでして、かつての賑わいは大分鎮静化してきました。納涼にあわせてキレンゲショウマの自生地を見に行きましたところ、ちょうど見ごろです。お盆頃までは花があると思いますので、まだ見ていない天涯の花ファンはお早めにどうぞ。できたら土日を避けるように。平日では高速道路代は高くなりますが、人出が少ないぶん、じっくりと花を観察・観賞できます。土日では花の写真を撮るにも順番待ちで、後ろの人に 「早よせんかい!」 とせきたてられますわ。 なお、キレンゲショウマの自生地 (保護地) は昔の修験道の行場であるぐらいだから、急斜面で登山道は浮石があり、ぬかるみ、足場が悪いです。健脚向きです。



●さて、本日 (7月30日) は同級生のO君 (おおくん) の車で行くことになり、吾輩は助手席に鎮座しました。で、今までなかなか撮れなかった高速道路上からの風景を撮ってみました。O君 (おおくん) ありがとう。ちなみにO君 (おおくん) の愛車は車齢17年ですが、運転席のシートには新車のときのビニールカバーがいまでもかかっていて、内装の劣化や変色など全くなく、ボディの塗装もツヤがあり、サビなど全然みられず、これは新車ですというても通用しそうな感じです。吾輩がつきあっている人々が物を大切にする究極のエコ精神には、全く驚かされます。O君 (おおくん) の愛車はトヨタ製ですが、以前に、「エコ替え」 でまだ使えるものを早く捨てなさいと宣伝してひんしゅくを買ったあのトヨタです。そんなに環境が心配で、エコ・エコ・エコと鳥のさえずりを言うのであれば、トヨタは自転車メーカーに商売替えしたほうがいいのではないか? 自転車ならばガソリンが要らず、製造に必要な鉱物資源もわずかだし、なによりもユーザーが自力で漕ぐので健康増進に最適です! 自転車ほどエコな乗り物はないわけです! 淡路島は南北50キロ、一周すると150キロほどです。京阪神の若者が来島して、自転車で一周するのにちょうどよく人気があります。彼らが疾風のごとく自転車を漕いでいるのをしょっちゅう見かけますが、なんてエコで健康的な若者たちなんだろうと感心しています。

大鳴門橋 です。時刻は5時32分です。1985年6月8日の開通だから31年が経ちました。昔は剣山に行くには、フェリーボートで鳴門海峡を渡りましたが、行きは良いとしても帰りが問題で、連休などでは時には3時間待ちでヒドイ目に遭いました。

大鳴門橋
徳島自動車道 に進入しました。
徳島自動車道に進入
↓ 車窓から東をみると淡路島の諭鶴羽山の上に太陽が昇っています。5時43分です。日の出からちょっと時間が経ってしまいました。
淡路島から日が昇る
↓ 日本には太陽崇拝があります。たとえば、教派神道の黒住教の創始者、黒住宗忠の教えでは、東から登る朝日を拝む日拝が信仰の基本です。恵みの母である太陽 (すなわち天照大神) の御神徳を我が身にいただいて、感謝の誠で日々を過ごすようにするわけです。吾輩は黒住教の信徒ではありませんが賛同します。科学的に考察しても、植物が太陽の光エネルギーで光合成して有機物をこしらえます。我々ヒトを含めて動物は、直接的あるいは間接的に、植物が作った光合成産物に依存して生きています。我々の生存の基礎は太陽の光です。したがって太陽を拝むのは合理的です。で、鳴門市の住民は早起きして太陽を拝むさいには、自動的に淡路島の諭鶴羽山に向かって手を合わせます。
鳴門市民は諭鶴羽山に手を合わす?
↓ 紀伊半島の山々が見えています。高架になっているところの高速道路上なので、防音などの柵があり、その柵の一瞬の隙間を狙って撮ったので、うまく撮れません。が、肉眼では大峰連山の最高所の八経ヶ岳 (1915m) もくっきりと視認できました。淡路島南部からでは和歌山の市街地が見えるのですが、徳島市からでは海上に浮かぶ山しか見えません。つまり和歌山県の平野部が見えません。紀伊水道は幅が40~50キロほどしかないのに、地球の丸さを感じます。
紀伊半島の山々が見える
紀伊半島の山々が見える

↓ 阿波富士と讃えられる高越山です。富士山というのは申すまでもなく成層火山ですが、高越山は火山じゃありません。で、ある場所から見ると富士山型に見えるだけで、見る角度が替わると富士山にみえません。そもそも四国には火山はありません。非常に古い (1000万年前ぐらいの) 火山ならばありますが。讃岐富士とか屋島とか、石鎚山も非常に古い火山です。一連の大昔の火山列は瀬戸内火山岩石区などと呼ばれています。
阿波富士と讃えられる高越山
阿波富士と讃えられる高越山
高越山は成層火山ではない

↓ 徳島自動車道は対面通行であります。マイペースでゆっくり行っきょたら後続車に怒られます。きばって飛ばさにゃあかんので疲れるわけですが、四国は阿波・土佐・伊予・讃岐の旧4国あわせても人口が400万人を割っています。なので対面通行もしかたないのかもわかりません。高速道路が出来ただけでもラッキーなのかも? 人口減でこの間の参議院選挙では徳島・高知両県が合区にされてしまいましたわね! やがて四国全体が1つの合区になるかも?
徳島自動車道は対面通行

矢筈山は雲の中にお隠れのようです
徳島自動車道をトラブルもなく順風満帆 (?) に西進して、矢筈山 (標高1849m) が見えるところまできましたが‥、雲が多いスね。層雲ないしは層積雲が覆っています。周辺の山々の標高から判断して雲底高度は1100~1200mぐらいか?
矢筈山が見えるところまで来たが‥
矢筈山が見えません。ヤバイすね。四国山地の主稜線から大きく外れ、一つだけ瀬戸内海側に近い矢筈山で雲が多いということは、夏場は通常は剣山のほうがもっと雲が多いことを意味します。本日の四国山地の雲は、太平洋高気圧の辺縁を回る暖湿気流が山地にぶつかって発生していると思われますから、太平洋に近い剣山は更にヤバイわけです。もし見ノ越まで行ってあまりに悪天候だったら断念する覚悟で進みます。
矢筈山は雲の中
矢筈山は雲の中
矢筈山は雲の中

↓ いつもの旧 一宇村漆野瀬の電光標識まできました。07時44分です。05時ちょっと過ぎに淡路島の雑想庵を出たので2時間半ぐらいかかっています。
旧 一宇村漆野瀬の電光標識



スポンサーサイト
7月に藪陰で咲く清楚なこの花は、ウバユリ (ユリ科ウバユリ属)
●この国は古くから中央集権の国で、エジプトのピラミッドよろしくヒエラルキーのてっぺんに居座る者どもが支配する国です。頂上で君臨するヤカラはそのときどきで豪族であったり武士であったり天皇であったり色々ですが、今はさしずめ政官財複合体か? もちろん米帝もそうで日米地位協定という不平等協定で日本を支配しています。一見して安倍ジョンイルが支配しているように見えますが、それは錯覚です。じつは安倍ジョンイルは飾りでしかありません。天皇が象徴であるように安倍ジョンイルはお飾りです。ほんまの支配者は黒子であって表には出てきません。人形浄瑠璃と同じでパペット安倍を背後であやつっている黒子どもがほんまの支配者です。

●この国の社会の構造はピラミッド型で、県は国に支配され、市は県に支配され、町内会は、市が勝手に自分らの下部組織として (法的根拠はないのに!) 支配しています。ああしろ、こうしろ、と上から降りてくるものに下は逆らえず、まったく上意下達・上命下服の世の中です。ところで、そうであるならば、何事も頂点が決め下層は従うだけならば、社会は同質で均一などこを切って観察しても金太郎飴みたいになってしまいそうです。しかしながら実際は社会には多様性がそれなりにあるようです。たとえば言葉であります。明治期の富国強兵の軍国主義時代に各地から集めた兵員がそれぞれ方言をしゃべるから、意思疎通に障害があったようで、標準語を整備しました。国家政策として言語の国内統一を図ろうとしましたが、どっこい100年以上たっても方言は生き残っています。近年では、方言は地域のアイデンティティーであり好ましいものという風潮になっています。それはそれでいいのですが、沖縄の人や東北地方の人らが方言まるだしにしゃべられたら、何を言っているのかサッパリ分かりません。とくに、沖縄語 (琉球語は絶滅危惧言語) は確かに日本語とはいえ変異が非常に大きく、系統分類的には 「変種」 ぐらいになるのでは?

●さて、全く同じ生物種(植物や動物)が、地方によって話者によって言い方が異なるのは具合が悪いことで、物の名称ぐらいは全国共通のものを人為的にでも作りましょうよ (決めましょうよ) という趣旨が 「標準和名」 であります。はじめから標準和名があったのではなく、色々な方言のなかから広く使われている言い方を標準和名に採用したことが多いようです。珍奇で誰も認識していなかった動植物は方言が存在していなくて、その場合は分類学者がふさわしい標準和名を考案しているようです。たとえばナルトサワギク。そもそもマダガスカル島原産の外来種だから、この植物を言う方言は存在していません。そこで、暖帯上部~ブナ帯の谷筋などに見られるサワギクに良く似ていて、徳島県鳴門市で一番最初に見つかっているからナルトサワギク (鳴門沢菊) と言おうということです。

植物方言が混乱・間違いを起こした実際例
下記に観察したウバユリの事例では、淡路島では 「ウバユリ」 を 「カタクリ」 と呼んでいます。これは非常に混乱する典型例です。 「ヤブニッケイ」 を淡路島では 「ベンド」 と呼びますが、これはベンドという標準和名の植物がないから混乱は起こりません。しかしながら、カタクリではそういう標準和名の植物が存在するから、間違いの元になってしまいます。淡路島に自生していないカタクリが淡路島にあるという間違いが起こります。 『兵庫県植物目録』 紅谷進二、 六月社書房1971年 には淡路島産の植物が508種記録されていますが、先山 (448m) にカタクリがあることになってしまっています。標本の裏付けがない植物目録なので、淡路島民がカタクリといっているのを聞いて、あるとしたのではないか?


これは標準和名で 「ウバユリ」 です。
なお、淡路地方名は 「カタクリ」 です。

↓ 2016年7月22日、南あわじ市賀集牛内ダムにて観察。写真のもので草丈はちょうど1mです。付近には ウバユリ が群生していて、大きなものでは草丈が吾輩の背ぐらいのものもあった。
ウバユリ
↓ 花は白ですが緑色がうっすらと入っています。薄暗い藪陰で白い花が浮き上がり、なかなか清楚で美しいものです。
ウバユリ
↓ ウバユリの語源は、開花期には葉が枯れて無い → 歯が無い → 歯が無い姥(うば)のようだ、という連想からとされます。が、真偽はどうかな? たしかにウバユリは開花期には葉が傷みかけていますが、葉が全くないということはありません。たいていは、葉がまだ残っています。
ウバユリ
↓ ウバユリの花はケバケバしさがなく、半開きという感じです。たとえばオニユリが花被片が強く反りかえって咲くのと比べると、しおらしいというか白花の色合いと併せると日本庭園向きの花です。
ウバユリ
↓ 6枚ある花被片のうち、上側の3枚をめくって花の内部構造を観察。花被片の内側には紫褐色の斑点が帯状にあります。6枚とも全部に斑点がありますが、多い少ないはあります。おしべは6本あって、長さの長短があり、めしべの花柱に寄り添うように粉袋が並んでいます。
ウバユリ

●このウバユリですが、上等な山菜でもあります。早春のごく若い芽や、地下のユリ根みたいな鱗茎が食べられます。ただし若干の苦みがあります。関東以西ではこのウバユリが分布し、東北・北海道には大型で花が20個ほどつく変種の オオウバユリ となり棲み分けていますが、物の本によると昔アイヌ人はオオウバユリの鱗茎を貴重な澱粉質の食料としていたらしい。ウバユリの鱗茎 (つまりユリ根) を掘るのは初冬ぐらいで、茶碗蒸しの実にするのがいいのではないか? まだやってみたことがないのですが、ウバユリのユリ根で茶碗蒸しをこしらえみましょう。

標準和名でいう 「カタクリ」 は淡路島には分布していない。
以下に、本家の標準和名のカタクリの写真を陳列します。手前味噌ですが、2015年5月10日付け記事の一部を再掲しました。淡路島の人はよくご覧ください。いいかげんな情報に振り回されて、私もさんざんカタクリを捜しましたが、これは淡路島に無いですよね! だいいち淡路島にはカタクリが生存できるような下草のない夏緑樹林がありませんわ! 環境的にカタクリガ生存できる可能性は希薄です。ただし淡路島に絶対にカタクリガ自生しないことの証明は、そんなの、いわば悪魔の証明みたいなものであって不可能です。で、万一、億一、ありましたらご一報下さい。


       ***********************************


ようやく砥石権現のカタクリ自生地にたどり着いた。
この場所がどこなのか国土地理院の地形図には載っていません。残念ながら詳細は盗掘防止の観点から非公開です。剣山スーパー林道に車を置いて1時間ほどハアハア言いながら登ってきましたわ。途中、トリカブト (シコクブシ、花は秋9月10月) やヤマシャクヤクの見事な群落があって目を楽しませてくれます。
カタクリ自生地看板
↑ この看板は 岳人の森のレストハウス 観月茶屋 の経営者さんが設置されたものです。土地の方が護っている自生地です。カタクリを踏んではいけないのはもちろん、盗るのはもってのほか。花を愛する登山者や観察者の合言葉は 「取ってもいいのは写真だけ、残していいのは思い出だけ」 であります。


以下写真は、2015年5月5日、砥石権現のカタクリです。
四国のカタクリは分布の南限地帯であります。北海道や信州のような見渡すかぎりのカタクリ大群落はありません。それは、まあ、しかたがありませんわ。カタクリは有名な山菜でもありますが、大群落ではないからみだりに採って試食するなどしてはいけません。
カタクリ

カタクリ

カタクリ

カタクリの花のアップ

まだ反りかえっていない花

↓ これは未開花株ですが、株が成熟していないと葉は1枚ですか? やや幅広の葉ですが、斑紋入りの特徴のある葉です。
斑紋のある独特な葉

↓ すでに花が終って果実が着く個体もあります。早い花はすでに果実をつけ、遅い花はまだ咲いているという状況は、自然観察にはとても都合がいいです。花と果実が一度に観察できて、再訪問する手間が省けます。
果実の出来ている個体もある




ウナギは高いので、カキの天ぷらで夏バテを乗り切ろう!
資源枯渇のウナギは、値段が高騰したので‥‥
●天然のウナギは昔はそこら中の小川や池でも見られました。吾輩の出身村は離島振興法の対象地区となっていたぐらいだから海辺の村ですが、背後が500~600mの急峻な山地になっていて、小さな谷がたくさんあります。その全長わずか2キロとか3キロの小さな谷でさえ、谷ごとにウナギがおって子供のころよく獲りました。しかしながら、ウナギがいなくなって久しいです。ウナギがいなくなった理由はハッキリしませんが、果樹園や棚田ではなく棚畑 (?) に盛んに農薬が撒かれるようになったのと同期してウナギが見られなくなったことが指摘されています。しかしその真偽は不明で、豪雨による斜面の崩れが頻発し、谷が土石流で埋まったことも関係しているのではないか? それから、旧建設省管轄の利権で小さな谷に無数の砂防ダムがつくられたことも大きな要因ではないか? これは別に吾輩の出身村だけのことではなく、全国の田舎で起こったことでもあり、全国的に天然ウナギが激減し、いまでは ウナギは環境省カテゴリーで絶滅危惧ⅠB類 と貴重生物の殿堂入りです。

●養殖ウナギにしても稚魚のシラスウナギは、河川に溯上してくる天然ものを採捕して養殖しているから、そのシラスが激減し値段が高騰していますね。 徳島県内、シラスウナギの漁獲減 河川の漁期15日短縮 2016.2.14 徳島新聞Web そんなこともあって店頭のウナギは高嶺の花で、もはや庶民の口には入りません。清水の舞台から飛び降りる決死の散財覚悟で、吾輩のような貧者がウナギ丼を食べにいっても、昔はご飯の上に5切れぐらいウナギが載っていたのに、最近では3切れかケチな店では2切れしか載っていません。消費税が10パーセントにもなろうものならば1切れになるのではないか? そのうち、アナゴとかギンポとかウツボとか長細い魚をウナギと偽装するインチキが頻発するのではないか? インチキされても本物のウナギを見たことがない庶民はまんまと騙されましょう。

平賀 源内 (ひらが げんない)先生の考案で、土用の丑の日に 「う」 で始まる食べ物をたべたら夏バテしないという迷信が21世紀のいまだに続いておりますが、猛暑で食欲減退するなか、脂の乗った高カロリーのウナギを食べるのは栄養的に合理性がありそうです。今年2016年の夏の土用の丑の日は7月30日であります。商魂たくましい商売人はウナギを売ろうと躍起になっておりますが、いかんせん庶民にはウナギは高嶺の花であります。ウナギは喰いたし、ウナギは高しで、貧者わたくし山のキノコは海岸の磯にいって天然カキを獲ってきてカキの天ぷらをウナギの代用品として夏バテを乗り切ります。



ウナギの代用品として、天然カキを獲りに海岸へ‥‥
↓ 海抜40mの高みから海を眺め降ろしたところです。
高台から見た海岸
↓ 色の濃淡があるのは海底の基質によります。色が薄い所は海底が砂地です。色が濃いところは岩があってアラメやホンダワラなどの黒褐色の海藻が付着しているところです。こういうところは釣りの好ポイントで、砂地に棲む魚と岩礁に棲む魚が両方狙えます!
色の濃淡は、海底の基質(砂か岩石)による
↓ これは何カキなのか? カキといっても種類は多く正確な種名は分かりませんが、地元ではダボガキなどと呼ぶ人がおります。豊満な身がダボッと入っているから言う表現ですが、冬はもちろん、夏でも地元の大人たちは獲って食べていました。カキは夏は当るなどと言われますが、獲ってきてすぐさま剥き身にし素早く調理すれば当ることはありません。吾輩のみならず出身集落の大人たちは夏にこぞってこのカキを食べましたが、中毒したなどという話は聞いたことがありません。これも一応第一種漁業権が設定されていますが、地元の漁師さんはこんなカキなど漁の対象外なので、問題にはなりません。
天然のカキ
天然のカキ
天然のカキ


天然カキを天ぷらにして喰おう!>
↓ 天然カキ以外にもネタが要るので、山中の自給自足畑を見にいったら夏野菜が色々とありました。新サツマイモも出来ています。緑濃いピーマンもなっていますから、なにもベクレ危険性を否定しきれない東方の高原キャベツを買って食べなくても、ビタミン補給には全く問題ありません。
山の畑の収獲物
↓ 天然カキをさばいてから、身をまな板の上にのせ、カキの剥き身の上下にキッチンペーパー等を置き、カキの水分をしっかりと吸い取ります。さらに、少し重しを乗せてカキの身の脱水を図ります。水分をよく取らないと揚げるさいに油が跳ねるからです。
天然カキの剥き身
↓ 吾輩 (山のキノコ) の作品です。天然カキの天ぷらだけでなく、サツマイモ・三度豆(関東じゃインゲン豆というらしい)・長ナスも揚げ、デザートに完熟無農薬トマトを配すると結構豪勢にみえます。三度豆は揚げるさいにバラけないように爪楊枝で串刺しにします。揚がってから爪楊枝を抜く。なお、ご飯はありません。喰うのはおかずだけ。目下、減量中ということもあり、この一か月は米粒をほとんど食べていません。ていうか、そもそも吾輩はイモが主食です。日本は稲作文化の国だとされますが、イモが主食だった地域が日本に5箇所存在しています。①隆起サンゴ礁の島、②南九州シラス台地、③瀬戸内島嶼、④本州中央ハイランド、⑤北海道開拓移住期。 イモ食文化圏の末裔なのでイモが主食なのです。イモは美味いですね。サツマイモを掘った跡にまた2回目のサツマイモ苗を植えます。8~11月の4か月間でサツマイモの二期作が可能です。
天然カキの天ぷら




アサリだけでなく、タコもいなかった。
タコもいなかった。
↓ この磯からまっすぐ南は太平洋に続いています。38キロ先は伊島、そこから先は1540キロ先に沖の鳥島 (東京都小笠原村) です。沖の鳥島は僅かに海面上に出ている小さな岩であって、住むことはできず、中国が島ではないというのも一理あります。更に先は、ニューギニア島まで陸地はありません。3850キロほど先です。ニューギニア島は面積は日本列島の2倍あり、東西の長さもあるから、首都のポートモレスビーまで5035キロです。しかも真南ではなくかなり東に振れます。
磯

アサリがいなかったので、替わりにタコを獲ろうとしてまた磯にやってきました。大潮は一日だけではなく、数日磯が引くのでたいていは3日ほど連続して磯に来ます。しかしながらタコもいないではないか! タコを獲ろうとして磯にやってきて、タコを獲れなかったことはないのですけれども、タコが絶滅危惧種入り寸前というハナシは聞かないから、吾輩のタコ獲りの勘がにぶったということか?

こんなのがいた。
↓ 黒いのはムラサキウニですが、南海道の淡路や阿波では潜り漁対象魚種です。他地方ではこれはあまり獲らないようです。第一種漁業権が設定されているので獲ることはできません。ていうよりも、以前に洲本市由良の潜り漁師さんに収穫物を見せてもらったのですが、沖で潜って獲る巨大ムラサキウニにビックリ仰天です。磯に居るものはまだウニの子供で小さいので食べる身などほとんどなく、獲る価値があまりありません。赤いほうのウニは、何ウニでしょうか? 海産生物に詳しい方がいらっしゃいましたら同定お願いします。 でも、ほんまに同定してもらうには、もっと他角度からの写真をたくさん撮り、大きさ等も計測する必要があります。それも数十個ぐらい観察して種としての平均的な大きさを調べる必要がありそう‥。ま、そもそも一枚の写真だけで、それが何という種名なのか同定するなど不可能ですよね。やはり、写真よりも標本 (つまり実物) です。
黒いのはムラサキウニ、赤いのは??
↓ ナマコがおりましたが、これも正確な種名は分かりません。
ナマコであるが、何ナマコ?
↓ これはトコブシですね。アワビじゃありません。アワビは殻の長さが20センチぐらいまで大きくなり、殻の表面にある穴が煙突状の突起になっています。トコブシは殻の長さがせいぜい10センチ程度までで、殻の表面の穴は突起とならず平滑です。磯にいるのはトコブシです。アワビ (クロアワビやメガイアワビ等) は深いところにいます。トコブシも第一種漁業権が設定されているので獲ることはできません。が、磯で晩のおかずに少し戴く程度ならば、大目にみてくれるようです。ウエットスーツを着用して潜って獲るのは完全にご法度です。手が後ろに回ります。
トコブシ


海岸の植物観察
  ハマボッス です。淡路島南部では4月~5月の連休のころに白い花が咲きます。花は白く清楚です。開花・結実後に枯れる (これは越年草) のですが、来年の春に花が咲く株が早くも育ってきました。ハマボッスの大きな株を見るとつい多年草かと錯覚して、専門家も騙されることがあるようです。これは淡路島では灘海岸のような岩石海岸の岩の割れ目に生じる植物です。吹上浜のような砂浜海岸にはありません。潮風の激しいところのものは、草丈が小さく、枝が密で葉も小さくて厚く盆栽みたいに見えます。ハマボッスは観賞価値があって栽培品種が開発されなかったのは不思議です。海岸特殊環境に生育する植物なので栽培が難しい? のかもわかりません。
ハマボッス
ハマボッス

ツルナ です。淡路地方名は 「はまじしゃ」 です。淡路地方名の 「はまじしゃ」 は浜に生えるチシャの意味で、海岸に生育する上等な山菜です。標準和名のツルナは、「蔓状の茎を砂浜に匍匐して広がり、海岸に生じる食べられる菜である」 との意味でありましょう。ツルナはしばしば畑で栽培され、肥培すると葉が大きく柔らかく真夏の日照りにも旺盛な生育ぶりで、青菜の代用品になります。地元のスーパーには栽培品のツルナが店頭によく並びます。青菜の作りにくい高温多湿なわが南海道ではツルナは立派な野菜です。 

また放射脳を言うのですが、真夏には東方の海抜千mの冷涼地で栽培されたキャベツが大量に流通してきます。瀬戸内地方のスーパーにも大量に並びます。でも、厚生労働省の報道発表を見ると、そのあたりの地方で100ベクレル超の汚染が多数報告されているのです! 国民は (特に西日本では) フクイチ過酷事故など何もなかったかのように話題にものぼりません。しかしですね、当然に放射能汚染の懸念が否定できないわけです! 放射性核種によって半減期はまちまちではありますが、超長期のものが多く、汚染は未来永劫、末代まで引きずるわけです。フクイチ事故がなかったかのように報道も激減していますが、それは原発を再稼働したい利権のなせるわざであり、日本も核武装したいというハラの極右自民政治家どもの政治的圧力・世論操作によるものです。この国の放射能汚染は全く解決していません。ついでに申せば、新聞・テレビのマスゴミは今や完全に安倍ジョンイルの支配下におかれ、大本営発表を垂れ流すだけです。マスゴミどもの報道を信用していちゃダメです。


ツルナを栽培しよう!
キャベツは美味いし外葉の緑の濃い部分はビタミンもあり良い野菜です。しかしながら、リスクを冒したくないならばツルナを自ら栽培してビタミン源とするのがいいでしょう! もともと野生種です。栽培は簡単です。簡単どころか、旺盛な生育ではびこりすぎて畑の雑草同然となりますわ! 吾輩もこれを畑で栽培して、はびこりすぎて退治するのに四苦八苦しました。

ツルナ
↓ 黄色いのはツルナの花です。
ツルナの花
↓ 葉の葉柄の付け根にあるムカゴみたいなものが果実です。茶色くなった果実を採取します。夏から秋にかけて何時でも採取できますが、強い台風が来ると海岸のツルナは潮風や飛沫でメタメタにやられます。したがって台風前に果実を採取するのがいいでしょう。
ツルナの果実
↓ ツルナの果実は池にあるヒシの実に似ています。このヒシの実型の堅果の中に数個の種子が入っています。畑に蒔くときは果実のまま蒔きます。果実は乾燥させて封筒にでも入れて冷蔵庫で保管、春になったら蒔きます。プランターでも作れますから畑がなくてもOKです。
ツルナの果実






アサリを掘りにいくも、アサリはいなくなった! ウナギに続いてアサリも絶滅危惧へと向かうのか?


淡路島南部の南あわじ市です。南海道 (阿波・土佐・伊予・讃岐・淡路・紀伊の旧6国) では梅雨が明け、踊りに浮かれる情熱の夏がやってきました。紀伊水道に湾口が開いている福良湾にやってきました。久しぶりにアサリを掘ろうとするも、全くいません! 近年、アサリが急激にいなくなっているのは日本全国で起こっている現象で、その要因も諸説ありハッキリしませんが、こりゃあ、まもなくアサリも絶滅危惧生物の仲間入りでしょうか? 天然ウナギはすでに絶滅危惧種ですが、身近な生物が次々にいなくなっていますね。ヒト (人類) がいなくなるのはもう少し先か?

アサリがいなくなったので、ひざ上までジャボジャボと水に入り、海底の石をひっくり返して●●●●を獲っていたら、シーカヤックに乗った若い女性が吾輩にぶつかりそうになりました。彼女はシーカヤック初体験なのか? パドルをうまく操れず真っ直ぐに進めないようです。

「こんにちは! 面白そうですね!」
「うまく漕げないのよね、なかなか難しいです。おじさん、何とってるの?」
「アサリを掘りにきたんだけど、いないので●●●●を獲ってます!」
吾輩がバケツの中を見せたら、その若い女性は覗き込んだのですが、
「おじさんもカヤックしませんか?」
「そうだね、したいんだけど、体重制限がありそうだよね!」

シーカヤックで海上散歩していたのは3人ですが、若い男女のペアとインストラクターと思しきベテランです。1時間以上も福良湾内を海上散歩していたのですが、その女性は最初は真っ直ぐに進めなく、坐った状態だったのですが、終わるころにはなんとカヤックの上でスラと立っています。しかも、スイスイと、まるでアメンボウみたいに自在に散歩しているではありませんか! ビックリ仰天です。その女性はよほど運動神経がよく器用なのか? あるいはインストラクターの指導が良かったのか? あるいは、シーカヤックというものは誰でも1時間ほど練習すればスイスイ行けるものなのか? 吾輩はしたことがないので良く分かりません。

ところで、最近は磯遊びや釣りや、水上バイクなどマリンレジャーに繰り出す人が減ったという印象がしています。海でも山でもキャンプでも、少し前まであんなに盛んだったアウトドア・レジャーブームも去ったのではないか?




アサリが獲れないので、●●●●を獲ったのですが、なんと10個も獲れました。大収獲! 夕餉のおかずの材料です。●●●を獲りながら、海産種子植物のアマモの海中草原を歩いてみました。

アマモは胞子で殖える海藻ではなく、歴とした種子植物です。花がさきます。福良湾ではたいてい4月の初めの大潮の干潮のときに開花します。米粒ぐらいの大きさで、イネ科の花に若干に似ています。地味な花なので常識的にはとても花などと呼べません。アマモの花など見に来るのは、植物調査に参加するようなごく一部の人だけで、一般にはだれも興味を示さないのですが、アマモは波の静かな湾や入り江の浅い海底に生育し、海の生態系や水質浄化に大きな働きをしています。アマモは魚やエビなどの産卵場であり、富栄養化の元凶の多すぎる窒素やリンを吸収し、水質浄化の働きがあることで知られます。海底にアマモが大群生している所を藻場といい保護されているところが多いです。ほかにも、別名がリュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ (龍宮の乙姫の元結の切り外し) と称され、これは和名・異名を含めて最長の植物名ということでも知られます。いろいろと話題が多い植物であります。

アマモ藻場を散歩していると、ときどき海賊船が通るときに起こす引き波が土用波のように来て、足をすくわれそうになります。向こうには釣り堀があって賑わっていますが、いけすの魚を釣るのは金魚すくいと同じで、自然とはかけ離れているように見えます。山の原生林へ行ってキノコ狩りをするんじゃなくて、空調設備の完備した工場で菌床キノコを採るのと同じで、そんなの自然じゃないですわね。何が面白いんでしょうかね。でも、まあ、商売として成り立っているのを見ると面白いんでしょう‥。にわかアウトドアブームなんて、人々の行動を観察すれば、自然志向とは全然ちがうようです。

湾口に養殖イカダがあり、その向こうに鳴門大橋が見えています。





雲の上のお神輿、 霊峰剣山の山頂大祭 2017年7月17日
標高の高い所でのお神輿として、剣山山頂大祭が日本一?

●西日本第二の高峰、徳島県の南西部にそびえる剣山 (つるぎさん・標高1955m) の山頂で、7月17日に、盛大な夏祭が斎行されました。で、お参りに行ってきました。このあいだから足しげく剣山に行くわけですが、剣山は色々な顔を持つ山です。山岳信仰の山であったり、ツルギ何何というような固有種が多数記録される植物の宝庫であったり、西日本に数少ない日本百名山の1つでもあり、徳島県有数の山岳観光地でもあります。で、足しげく来たとしても見どころは毎回ちがうわけです。

残念なのはお天気がかんばしくなかったことです。とにかく雲が多く、もし、幸運にも雲海が見られたならば、“雲の上のお神輿渡御” と良い絵になったのですが、残念ながら “雲の中のお神輿” となってしまいました。それはさておき、西日本では文句なしに最高所でのお神輿です。全国的にも、こんな標高2000m近い高所でのお神輿渡御は、他に類例がないのではないか? 神事そのものはもっと高所でも行われます。たとえば、富士山山頂 (富士浅間神社の奥宮) や、立山の雄山神社などいくつかの事例が存在します。けれども、大勢の担ぎ手でお神輿が御幸するということでは、霊峰剣山 山頂大祭がたぶん日本一高所のお神輿ではなかろうか?

●剣山のミヤマクマザサの生い茂る急斜面を、太鼓のリズムに鼓舞され、修験者の法螺の音に後押しされるかのごとく、お神輿が駆け登るのは勇壮で見ごたえがあります。山頂は平家の馬場と呼ばれる隆起準平原のなだらかな広場です。その東の端に、斎竹が4本立てられ、注連縄が張り巡らされています。そこが御神幸祭の斎場のようですが、そこに到着後 小休止、本当の山頂まで雲の中をお神輿が往復します。本当の山頂でも神事が斎行されました。



東側のテラス前に舗設された斎場でご神幸祭が斎行されましたが、雲霞が蕭々 (しょうしょう) と吹きつけ、ときおり驟雨生の雨もザーッと。薄暗く眺望もありませんが、それだからこそ、かえって窺い知れない神秘の儀という良い感じです。神書の奉納、太鼓一家の和太鼓奉納、乙女軍団による剣の舞、安徳天皇の生まれ変わりかと錯覚する宝剣の舞? など繰り広げられる絢爛に参列者や登山者から喝采の拍手です。





ご神幸祭が納められたのち、太鼓の勇壮なリズムにあわせお神輿は還御します。法螺の音が余韻をひびかせながら大祭は幕をとじました。大祭終了後に神賑行事の福餅まきが行われました。餅まきの歓喜をビデオに撮ろうとしたところでカメラの電池が切れたわあァ!





↓ 国土地理院地図を借用して、お神輿渡御のルートを図解します。
お神輿渡御のルート図説

①、頂上ヒュッテの前庭から11時に出発。
②、ミヤマクマザサの斜面を駆け登る。標高差はせいぜい20mほどです。
   ふもとから標高差何百メートルも担ぎ上げたわけではありません。
③、御神幸祭斎行場所に来て、しばし小休止。
④、1955mの山頂へ向けてミヤマクマザサの草むらを突き進む。
⑤、山頂で、修祓 (しゅうばつ)・散供 (さんぐ) が行われる。
   他の神事作法もあったのかもしれないが、人垣で良く見えなかった。
⑥、御神幸祭斎行場所に還ってくる。 ご神幸祭が行われる。
   1時間ほど。神書奉納、太鼓一家奉納演奏、乙女軍団による剣の舞
   安徳天皇に扮した若者が宝剣の舞? (なんと言うのか取材不足)
   奉納ごとに参詣人や登山者から拍手喝さいが起こる。
   祝詞奏上、祭文祈願、玉串奉奠など続く。
⑦、ミヤマクマザサの斜面を駆け降りて、ヒュッテ前に還御する。
⑧、神輿を宝蔵石神社の神輿倉に収納か? 人ごみで見えなかった。
⑨、御神幸祭斎行場所で、神賑行事の福餅まきが行われた。
⑩、木道テラス上から、餅まきの熱気を撮影しようとするも、カメラの電池が切れた。
⑪、で、テラスから降りて吾輩も餅を拾ろおうとするも、1個も拾えなかった。
   子供の頃からスポーツ劣等児、要領悪く、どんくさいのは死なんと治らない!


なお、来年2017年の剣山山頂大祭は7月23日とのこと
本来の祭日は7月17日であるそうだが、講社の人らの祭事参加等の便宜のため、17日以降の最初の日曜日とのことです。


宝蔵石神社の社頭の様子
剣山本宮宝蔵石神社の社頭
今日はめでたいハレの日です。ここは、中腹の劔山本宮劔神社の奥宮になるのでしょうかね? 宝蔵石神社の社頭は氏子総代や講社の関係者? で賑わっています。ご本殿の背後は層状チャートの巨岩ですが、御祭神として祀られる安徳天皇の宝剣を納めたという言い伝えのようですが、あきらかに岩倉 (盤座) であり、この巨石が御神体でありましょう。
背後の層状チャートの巨岩がご神体
頂上ヒュッテの庭に、お神輿が置かれています。宝蔵石神社の例大祭は10時から斎行され、お神輿の山頂への渡御は11時からです。
頂上ヒュッテの庭にお神輿が置かれる
今日は剣山全体が夏祭りであります。見ノ越の劔神社や円福寺も夏祭りをやっていました。山全体に忌部修験の法螺の音が響いておりましたが、水を差すわけじゃないけど、高越山には及ばないという印象が否めません。阿波国一の修験道の山は剣山ではなく、やはり西山上と讃えられる高越山ですよね。ちなみに、高越山の夏祭りは8月18日であります。
剣山 山頂大祭のチラシ

●剣山の大祭がおわると、南海道 (阿波・土佐・伊予・讃岐・淡路・紀伊の6国) に情熱の夏がやってきます。さあ阿波踊りの練習だ! 情熱で暑い夏など何のへのカッパ、温暖化を吹き飛ばせ! エコという洗脳・温暖化の利権にだまされるな! だいいち、剣山の山頂の醜悪な木道は環境省の利権だ! こんなもん、早く撤去してしまえ。ササを護るだって? アホな。四国山地の標高1500m以上にはミヤマクマザサはわんさかとあります。絶滅なんかするもんか。

タケ・ササ類は数十年に一度、開花して枯れます。記録によれば剣山地でもミヤマクマザサが昭和40年頃開花・枯死したようです。回復するのに数年を要したようですが、そのころ淡路島南部の山でもネザサ (正確にはケネザサか?) が一斉開花・枯死しています。自然の営みはダイナミックな変動を見せますね。そのダイナミックな変動の前には、登山者の踏圧やヒトの干渉など意外に小さいものです。ちなみに、アカマツ亡国論まで言われた瀬戸内地方の松はほとんど消え去り、見事な暖帯照葉樹林が復元しています。自然の復元力の見事さに驚かされます。自然の営みは大きく、変化に富んでいて、ごっついのです。専門家と言われる人たちは自然を微視的・短期的に捉えすぎです。たぶん、研究費を獲得する制約があるのではないか? 研究者たちは異動で所属を変えるから、長期の調査・研究がなかなか継続しないという面もあるのかな?


       ***********************************


剣山のハクサンシャクナゲの花と果実を同時に観察!
植物観察をするには何時が一番いいのか? という問いの答えはハッキリしています。それは “花と果実が同時に観察できるとき” です。その植物が何であるのか同定するための情報は 「花」 と 「果実」 に集中していますよね。そもそも花の構造によって分類していくから、それは当たり前のことなんですが、葉だけでは何であるのか専門の研究者や熟達のナチュラリストでも分からないことも多いようです。花の次に果実も重要ですが、普通は時系列で花の後に果実が出来ます。で、2回見に来る必要があるのですが、もし、花と果実が同時に観察できれば、一石二鳥、それは2回分の観察に相当します。 朝4時10分に淡路島南部の雑想庵を出て、6時48分に見ノ越に到着、山頂の頂上ヒュッテには8時50分に到着しました。お神輿出発まで2時間あります。その間にハクサンシャクナゲをまた見に行った。何べんでも見にきます。ほとんどビョーキなのかも?

↓ ハクサンシャクナゲ自生地へ降りていく尾根道です。良く踏み込まれて歩きやすい登山道です。登山道の幅が広いのでいい感じです。もし登山道が狭いと両側のミヤマクマザサの夜露で足がびしょぬれになります。矢筈山もいい山ですが、これが敬遠する理由。
ハクサンシャクナゲ自生地へ行く尾根
↓ 途中のヤギでもウシでも山地放牧ができそうな美しいササ原です。そういえば、ずいぶん昔ですが頂上ヒュッテに飼っているヤギがいたような記憶があります。吾輩は若いころ下宿していた家主さんがヤギを飼っていて、毎日ヤギ乳を飲まされました。牛乳よりもヤギ乳のほうが濃厚で栄養価が高いです。ヤギならばウシよりも小型で扱いやすく、自給自足にはヤギを飼うのがいいでしょう。日本は国土の6~7割が山ですが、その気になれば山地放牧大国で、国内消費を賄う牛乳生産は可能です。行ったことはないけど、スイスじゃアルプスの急斜面で放牧してますよね。 なお、生乳の自給率は100パーセントですが、しかしながら餌の濃厚飼料がほとんど輸入です。したがって実態は自給率はゼロも同然です。卵なんかもそう。この国の生鮮食料も危機的です。
途中の山地放牧できそうな笹原
↓ ハクサンシャクナゲの自生地付近から剣山の山頂を眺めたところです。山頂そのものにはハクサンシャクナゲはありません。少し降りたところです。キレンゲショウマの保護自生地付近の岩場にもハクサンシャクナゲがわずかにあります。
ハクサンシャクナゲ自生地付近から剣山山頂を見た
↓ 遅い花が残っていました。剣山のハクサンシャクナゲは、中部山岳の亜高山帯のハクサンシャクナゲが白っぽいものが多いのと比べると色が濃くて、大変に綺麗なものです。この山では、南斜面の剣山スーパー林道あたり (標高1300~1400m) まで降りるとホンシャクナゲやツクシシャクナゲが見られ、花期は5月中旬~下旬です。山頂近くのハクサンシャクナゲの花期は7月に入ってからです。花期に1~2ヶ月のずれがあります。つまり、登る道すがら2回シャクナゲの花が見られるということであります。
ハクサンシャクナゲの花
↓ 少しズームイン。
花のアップ
↓ シャクナゲの果実が既に形成されています。6月27日の段階で、この花は既に落花寸前でした。今日7月17日でちょうど20日が経過しているのですが、この20日で一挙に果実ができたようです。このように遅い花がまだ咲いている早い果実がすでに出来ている、こういうタイミングが植物観察の適期ですわね。シャクナゲ類の果実は蒴果 (さくか) と呼ばれる構造のものです。 果実の分類 を参照。
果実が出来ている
↓ 輪生状に見える葉のまん中の芽がふくらんでいます。これは来年咲く花のつぼみです。シャクナゲの芽は花芽と葉芽は別々ですが、花芽分化の時期は非常に早く、新梢が展葉し硬化したらじきに花芽かどうかは区別がつきます。
これは来年の花になる蕾


       ***********************************


剣山の山菜
本日の剣山山行の主たる目的は、山頂大祭にお参りすることでしたが、植物の観察はどのような山菜が見られるか観察しました。

タラノキ です。至る所にあります。剣山の山頂付近にも見られます。写真のものは西島駅の直下で撮りました。登山道のすぐそばにもあります。幹の先の若い葉は天ぷらにすればまだ食べられそうです。
タラノキ

↓ おお、天然 ワサビ があるではないか! 丸い葉のものです。
天然ワサビ
↓ 登山者が オオバタネツケバナを見てワサビだ! と言うてましたけど、ワサビは左の丸い葉のものです。でもまあ、オオバタネツケバナも第一級の山菜 (食べられる野草) であります。噛むとピリリと辛いのでワサビと勘違いしたのではないか? あるいは、ピリリと辛い味から地方によっては、これをワサビと称する方言が存在するのかも? なお、タネツケバナの仲間は酷似した地方変異が数種あり、同定が非常にむずかしいものです。で、① 頂小葉と側小葉の大きさが同じ、② 小葉に明瞭な柄がある2点を識別点として、九州に多い タカチホガラシ と判断します。
天然ワサビとタカチホガラシ

↓ ウコギ科の第一級の山菜、コシアブラ がありました。ここの標高では山菜として若芽の採取適期は5月中旬か? そのころは雲早山~高城山あたりへ行って徘徊するので、ここへは来れれへんなあ‥。
コシアブラの大木
↓葉は、 小葉が5枚からなる掌状複葉です。
小葉は5枚からなる
↓ 花序が伸びてきました。蕾が形成中であります。花期は8月終りごろか。
花序の跡、若い果実が形成中
↓ 太い枝の先にに数枚の葉が互生するのですが、枝先に集まるので束生にみえてしまいます。ただし、勢いのある徒長枝の葉は互生が明瞭です。
太い枝に数枚の葉が束生する
↓ 径20センチの幹です。幹の肌は白っぽくすべすべしていますが、写真のものは地衣類やコケの付着が多く、ブナみたいな感じになっています。
径20センチの幹






剣山のハクサンシャクナゲが見頃! (その3)
このあいだの7月10日の剣山山行記録を書いておきます。

山の朝はものすごく早い
おめえが早いだけじゃねえのか! 自分の個別例を一般化して言うな! と揶揄されそうですが、必ずしもそうじゃないんです。夏場の山では、日本列島の上空に寒気 (500hPa高度で-9度以下) が入っていたら午後にほぼ間違いなく雷雲が発生します! 寒気が入っていない場合でも、下層に暖湿気が侵入していたならばこれも雷雲発生の要因です。つまり午後が天気が悪い可能性が高いのです。で、午前中に全行程を終えるぐらいのつもりが合理的なのです。それから万一の場合に日没まで時間が十分にあれば善処できます。何かあって日が暮れれば心細いし危険です。で、山の朝は漁師さんや新聞屋さん並みに早いわけです。

↓ 漆野瀬 (最初のチェーン着脱場) の電光標識です。午前01時ちょうどに淡路島南あわじ市の雑想庵を出発して、高速道路と国道438号線を突っ走って、02時56分にきました。今日はあまり気温が低くありません。このあたりはすでに標高も高く、夏でも全くクーラー要らずでいわば徳島県の北海道とでも言えましょう。でもまあ、冬は積雪と寒さで厳しいところです。
漆野瀬 電光標識 02時56分
↓ 剣山の登山口の見ノ越に到着。03時57分。まだ漆黒の闇です。標高は1400mちょうど。剣神社の物置小屋に掛けてある温度計は17度でした。
見ノ越 03時57分
↓ 登山リフト終点の西島駅に来ました。標高は1720mぐらい。04時49分です。夜が明けてきましたが、雲が多いようです。
登山リフト終点 西島駅 04時49分


ガスが濃くてご来光はダメじゃ
↓ 尾根を少し登って見晴しのいいところに出ました。04時58分。旧 木屋平村、穴吹川上流域を俯瞰しましたが谷底に霧が溜まっています。
木屋平村を俯瞰する 04時58分
↓ 高城山 (1632m) 方面を眺めてもガスが多くて、こりゃあご来光を拝めません。
高城山方向 (東方) ガスが多くご来光はダメ
↓ 頂上ヒュッテに到着、05時53分です。見ノ越からちょうど2時間かかりました。むかし若いころは、いくらスポーツ劣等児でも1時間で登れたけどなあ‥。おじいさんになってしまったということです。それに体重も多すぎ。山小屋はすでに開いていて商売をしています。
頂上ヒュッテ到着 05時53分 15度か16度

ノアザミ変種トゲアザミに、帯化現象が見られた
山小屋で朝飯をと思いましたが、泊まり客が多くごった返しているので先にシャクナゲ自生地にまいります。とちゅうで、ノアザミの変種でトゲアザミの花を観察。トゲだらけでうっかり触るとヒドイ目にあいますが花は綺麗です。四国山地の固有種です。平地ではノアザミ、標高1500m以上ではトゲアザミと棲み分けている感じですが、標高1000mぐらいの山ではどちらともいえないような中間型がでてきますね。標高が上がるほどにトゲがものすごくなるという印象がします。
ノアザミ変種トゲアザミ 06時21分
写真では分かりづらいかもしれませんが、このトゲアザミに明瞭な帯化現象(たいかげんしょう) が観察できます。茎が帯状に平べったくなり、数個分の花が癒合したような感じで長細くなっています。石化 (せっか、いしか) とも呼ばれ、茎の先端の分裂組織に突然変異が起こったりウイルスや細菌に感染するなどで発生する奇形で、多くの植物に横断的に発生し、農業ではこれが起こったものを “オバケ” などと言っていますよね! オバケ水仙とかオバケ菊とか、これは花卉栽培では頭痛のタネで商品価値が下がるので嫌われますよね。写真はオバケトゲアザミでありますが、これはこれで面白いと思います。
ノアザミ変種トゲアザミ
↓ 帯化が発生すると茎が平べったくなり、茎の断面は円形ではなく長楕円形となります。
ノアザミ変種トゲアザミ

↓ 風衝地に生育するトゲアザミは特にトゲが多く背も低いようです。
トゲアザミ


剣山のハクサンシャクナゲを観察
写真再掲。なんべん見ても剣山のハクサンシャクナゲは色が濃く綺麗です。06時40分~07時50分まで1時間しっかりと観察・お花見をしました。
剣山のハクサンシャクナゲ
剣山のハクサンシャクナゲ

↓ これは何でしょうか?? 晩のおかずでしょうか?? これから取り調べます。容疑者が口を割らなかったら、晩のおかずはあきらめです。
晩のおかずか??

↓ 右が赤帽子山(1620m)、左側が丸笹山(1712m)です。
右が赤帽子山(1620m)、左側が丸笹山(1712m)

↓ 雲間に赤帽子山が見えます。
雲間に赤帽子山が見える

↓ 頂上ヒュッテまで戻ってきました。09時27分です。
頂上ヒュッテまで戻ってきた

↓ 頂上ヒュッテで半田そうめん (トッピングは鳴門ワカメ) をいただきました。写真は前にきたときのものです。注文するときに、二代目の奥さんに 「おまはん、このあいだ来たよね?」 と言われました。その通り! 来ましたよ。登山者は大勢なのに、山小屋の人に顔を覚えられたというのは、なんと光栄なことか! 長年この山に来ながら前を素通りばかりしていましたが、今後は素通りできなくなりました。
半田そうめん トッピングは鳴門ワカメ


7月17日が大祭、神輿は11時かららしい
山頂の頂上ヒュッテ横にある剣山本宮宝蔵石神社の大祭は7月17日、山頂の平家の馬場を神輿が練るのは11時からとか。2時間ほどとか。天気次第で、天気が悪いとヒュッテの中で神事をしてヒュッテ前の広場をすこしだけ神輿が出るとか、と言うてましたわ。
剣山本宮宝蔵石神社
7月17日が大祭
↓ もともと神道というのは素朴な自然崇拝です。自然は恵みであると同時に脅威でもあります。自然物や自然現象の中に神性を見出し、その恵みを祈り、怒りの鎮静を願ったのですが、そういう自然神から人を祀る人格神への変容のすえに、明治政府の国家神道になってしまいました。安倍ジョンイルを陰から支配する極右団体の日本会議は、明治政府が政治的にこしらえた国家神道の復活を目指しているようにみえますが、間違っています。神社というのは本来は自然崇拝なのです。人を祀るのは後になってからのことです。人が人を神と崇拝するのは間違いです。この宝蔵石は巨大な層状チャートですが、この巨岩そのものが御神体だと思われます。
宝蔵石
↓ 板を重ねたような構造です。地質的には層状チャートと呼ばれる岩石ですよね。写真のものでは、1つの層は厚みが3センチ前後で、深海 (深度5000m以上) の海底に堆積したプランクトンの化石の堆積ですね。堅い殻をもつある種のプランクトンは、その殻は炭酸塩や珪酸塩からできていて、その珪質が堆積して固まったのがチャートという岩石です。写真のものでは、チャートはやや透明感がある蝋 (ロウ) みたいですが、層と層の間は黒っぽくて粘土が固まったような感じです。この黒っぽい層が形成されるときにはチャートができなかったわけで、考えたら何故なのか? 不思議です。なぜこんな板を重ねたような層状になるのか? 諸説あるみたいです。1つのチャートの層が深海底で形成される時間スケールは数千年~数万年のオーダーだと言われていますね。そして1億年か2億年かけてここへ来たわけです。このような岩石ひとつとっても万年・億年の歴史があり、日本会議がいう日本の歴史や伝統を守ろうといっても、たった千年ちょっとの歴史でしかなく、薄っぺらいものなんです。自然の営みの悠久さの前には、人の知恵も行為もしょせんは浅はかなものかも? 原発利権なんかは特にそう‥。
層状チャート

↓ 山頂に登山者がほとんどみえません。ガスってしまい眺望もなく日曜日なのに登山者は少ないです。何にも見えれへんので10時すぎには下山です。今日は天気が悪かったけど、植物の写真を撮るにはこういう天気のほうがいいです。太陽がさんさんと輝いていたら明暗がどぎつすぎて写真が撮りづらいですね。
日曜日なのに登山者はあまりいない


本日観察した植物
↓ これがほんまのコメツツジです。四国では標高1500m以上で見られます。石灰岩地帯の岩場などところによっては1200mまで降りていますが、低い所にはありません。風が強すぎて樹木が良く育たない尾根筋とか、岩場などがコメツツジの生息地です。花はもう終盤ですがまだ咲き残っていました。なお、淡路島の人がコメツツジと呼んでいるのはシロバナウンゼンツツジです。
コメツツジ
コメツツジ
コメツツジ

↓ バイカウツギです。漢字ではたぶん梅花宇津木だと思います。ウメの花のような香りがある、あるいは梅の花に似た花のウツギだということです。剣山地の標高の高い所で見られます。
バイカウツギ
バイカウツギ



剣山のハクサンシャクナゲが見頃! (その2)
ハクサンシャクナゲの観察

●四国には3種のシャクナゲが自生していますが、見分け方は簡単です。見分けるポイントは次の通りですが、下表は剣山地について当てはまります。

剣山地でのシャクナゲの見分け方

●ホンシャクナゲとツクシシャクナゲは同じものですが、葉の裏に赤褐色の毛がびっしりとあるものをツクシシャクナゲと呼んでいます。画然と分かれているのではなく、どちらとも言えないような中間型が出てきます。花期や分布標高はおおむねこんなものということですが、徳島県の植物調査をしている人に聞いた話では、徳島県南部に標高50mでホンシャクナゲがあるとのことです。何事も例外はあります。極端なことを申せば、ときには秋10月にシャクナゲが咲く “不時開花” も何回か見ましたわ!

ハクサンシャクナゲは、花冠が5つに裂けています。これがホンシャクナゲやツクシシャクナゲと決定的な相違点です。剣山の亜高山帯のシラビソ (シコクシラベ) の林中に自生しています。キレンゲショウマ自生地付近の岩場にも僅かにあります。個体数は少ないです。厳重な自生個体群の保全が必要であろうかと思います。 なお、登山者から聞いた情報ですが、一ノ森の東側の斜面の尾根上 (標高1500mあたりか?) に花期が非常に遅いシャクナゲがあるとのことです。花期が非常に遅いとのことなので、ハクサンシャクナゲの可能性が濃厚ですが、登山道がない尾根なので吾輩はまだ未確認です。そのうち調査に入りたいと思います。なお、一ノ森ヒュッテの庭に植栽されているのハクサンシャクナゲです。案内なしに自生品を捜すのはかなり困難と思われますので、一ノ森ヒュッテの植栽品を拝見するといいでしょう。

なお、ハクサンシャクナゲは四国では剣山と石鎚山にあり、分布の中心の中部山岳から300~400キロ離れていて隔離分布になっています。四国では個体数が僅かで、生育基盤が弱く、徳島県・愛媛県ともに絶滅危惧Ⅰ類 (兵庫県方式のAランクに相当) に指定されています。林床には実生の子生えが見られますが、見つけても盗らないように。亜高山帯に生育するものを平地におろしても夏の暑さにやられて育ちませんわ! 秋に種子を少し頂戴して播いて育てたらひょっとすると?? 千mの山では行けるでしょうが…。六甲高山植物園 (標高800-830m) ではコケモモなど高山植物が育っています。



【下図は6月28日付記事の再掲】
↓ ハクサンシャクナゲの大まかな分布です。国立科学博物館 標本資料センター標本・資料統合データベース でハクサンシャクナゲを検索、ヒットした188点の標本をメッシュ地図分布で出力しました。石鎚山が抜けているように票本数が足りないし、メッシュも粗すぎますが、まあ、これでおおよその分布域は分かります。
ハクサンシャクナゲの大雑把な分布


剣山のハクサンシャクナゲ
剣山のハクサンシャクナゲ
↓ 右側のものは既に落花しています。この木は樹高4mぐらいもありますが、開花が進んで落花もあり、花は褪色しています。シャクナゲの欠点はこの開花後に花が褪色する (色褪せて白っぽくなる) ことです。これは原種だけでなく交配した園芸種でもそうです。ですが、剣山のハクサンシャクナゲは褪色しても結構桃色で綺麗です。
すでに落花している

亜高山帯針葉樹林の中に、ハクサンシャクナゲがある。
↓ コメツガ (徳島県絶滅危惧Ⅱ類) の上にハクサンシャクナゲの落花です。ピンボケ写真ですが、剣山では標高1600以上では葉が小さいコメツガが見られます。それ以下の標高では葉が大きなツガです。1600mあたりで画然と分かれていて見事な棲み分け・垂直分布が観察できます。
コメツガの上の落花
↓ シコクシラベ (徳島県絶滅危惧Ⅱ類) の幼木です。吾輩の背ぐらいです。クリスマスツリーにちょうどよさそうです。吾輩はクリスマスなどすると破門されますから出来ませんけど、本当にクリスマスツリーによさそうな綺麗な木です。世界三大美樹といえば、ヒマラヤスギナンヨウスギコウヤマキ ですが、前2種は外国の樹木であり、コウヤマキは日本自生で剣山地にも個体数は少ないけど点々と自生します。しかしですね、何を以って如何なる基準で美しいと判定するのか?? 絶対的な基準などあろうハズがなく、その人の主観によりましょう! わたしは抹香くさいコウヤマキよりもシコクシラベのほうが美しい樹木だと思います。 剣山のハクサンシャクナゲはこのシコクシラベやコメツガの出現する高所にあります。 このシコクシラベも標高1800あたりを境にして上にあり、それ以下ではウラジロモミで、さらに1000m以下になるとモミになって、見事な垂直分布が観察できます。
シコクシラベの幼木

花に濃淡の縞模様がある。
剣山のハクサンシャクナゲ
剣山のハクサンシャクナゲ
↓ 5裂する裂片の中央部が赤っぽいです。1つの花の中で濃淡の変化があって、縞模様になっているのが面白いです。
剣山のハクサンシャクナゲ
↓ ご覧のように花冠が5裂するのがホンシャクやツクシシャクと大きく違う点です。花冠の上側の基部 (1と番号を付した裂片のつけね) に緑色の斑点があります。いわゆるネクターガイド (蜜標) が緑色の斑点もハクサンシャクナゲの特徴ですが、白花だったら明瞭にわかるのですが剣山のハクサンシャクナゲは花色が濃いので分かりにくいです。
花冠は5裂する
↓ すでに落花して子房が露出しているのもあります。これが肥大生長して果実になりますが熟すのは10月ぐらい?? 種子を採取してまいて実生苗をつくればひょっとしたら?? 以前に購入した佐渡島のハクサンシャクナゲの実生苗を育てたことがあります。夏の暑さに耐えて5年ほど育ちました。結局、鉢植えのままだったので根詰まりを起こして枯らしてしまいましたが、原産地は大佐渡山地の標高1000mほどです。タネから実生で育てた苗は平地の気候によく耐えます。剣山のものでも種をまいて育てると行けるかも??
すでに落花もある


林床には実生苗がたくさん!
↓ ハクサンシャクナゲ自生地の林床には沢山の実生苗がみられます。散布された種子の発芽率・生存率の良好さがうかがえます。付近の亜高山帯針葉樹林は見事なモス・フォレスト (蘚苔林) で、林床は厚い苔のじゅうたんに覆われています。つねに雲霞たなびく高所なのでしっとりと湿潤で、実生の発芽・生育に最適な環境なのでしょう。この小さなハクサンシャクナゲの子供たちがみな成木まで育ったら、ハクサンシャクナゲだらけで、たきぎざっぱのように密集しすぎます。そこはうまくしたもので、適度な自然間引きが作用しましょう。後継樹の育ちを見るかぎりでは、剣山のハクサンシャクナゲ群落が消えることはなさそうです。 剣山ではシカの食害が問題になっているようですが、シャクナゲ類はシカの不嗜好植物です。じつは、シャクナゲ類はヒトには有毒植物です。
厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:シャクナゲ類
ハクサンシャクナゲの葉をお茶にして飲んだ中毒例があるそうです。また、シャクナゲ類の花から採蜜したハチミツでの中毒も報告されているらしい。養蜂家は気をつけなくっちゃ。

なお、これを見つけても盗ってはいけません。ここは夏でも最低気温13度、最高気温18度で、はるか北方の札幌よりも涼しいところです。(剣山測候所の観測データによる) 下界がうだる暑さでも25度を越えることなどめったにありません。で、気温が違いすぎて、これを平地に降ろしても絶対に育てられません! もちろん吾輩も盗ったことはありません。避暑をかねてお花見に来るだけです。

林床には実生苗がたくさん
林床には実生苗がたくさん



剣山のハクサンシャクナゲが見頃! (その1)
●昨日の7月10日に剣山のハクサンシャクナゲのお花見に行ってまいりましたが、ちょうど見ごろでありました。例年よりも少し早いかなという感じです。

ハクサンシャクナゲ参照画像 を見てもわかるように、ハクサンシャクナゲは花色が白っぽいものが多く観賞価値が他の種類のシャクナゲよりも低いとされます。しかしながらハクサンシャクナゲは必ずしも白花というわけではなく、産地により個体により花色の濃淡さまざまで、とりわけ剣山のハクサンシャクナゲは樹によっては濃色赤花に近いようなものもあり、非常に美しいものです。

剣山で一番美しい花はキレンゲショウマではない!
●ところで、20年ほどまえに発表された宮尾 登美子 (みやお とみこ) の小説 『天涯の花』 およびそれを原作としたテレビドラマにより剣山のキレンゲショウマが一躍有名になりました。7月下旬ころから咲きはじめお盆ころまで咲いているのですが、全国各地から “天涯の花” をひと目見ようと押すな押すなの大盛況です。四国の剣山といえばキレンゲショウマとこだまが跳ね返ってくるほどになってしまいましたが、剣山固有種でもなく看板が言うほど希産種でもありません。襲速紀要素の植物として、主に西日本太平洋側のブナ帯上部~亜高山帯の山々に点々と自生しています。 九州脊梁山地に点々とあるのに、九州の人がわざわざキレンゲショウマを見に剣山に来るのはバカげています。(ま、小説の舞台を見る目的ならばそうではありませんけど)


それに、『天涯の花』 を書いた宮尾 登美子氏は、キレンゲショウマの花を実際に見ていないとか! それが本当ならば絶句です。作品の題名にもなり、花から受けるイメージが作品中で重要な要素になっているにもかかわらず、見たこともない花を描写してもあまり説得力がありません。

●吾輩が思うに、地元の山岳観光業者も山に来る登山者・観光客も双方がキレンゲショウマにちょっと騒ぎ過ぎです。商売道具としては結構なものなのでしょうが、剣山の花はキレンゲショウマだけではありません。それよりも、剣山のハクサンシャクナゲのほうが遥かに綺麗なのです。18歳のときに初めて剣山に登拝して以来40年ちょっと、剣山に咲く花をいろいろと見てきましたが、剣山で一番美しい花はハクサンシャクナゲであると断言します。

↓ 2016年7月10日 剣山にて ハクサンシャクナゲ
剣山のハクサンシャクナゲ
剣山のハクサンシャクナゲ
剣山のハクサンシャクナゲは花の色が濃くて、しかもホンシャクナゲ (ツクシシャクナゲも) みたいに紫味が入っていないので観賞価値が非常に高いです。ちょっと見はハクサンシャクナゲじゃないみたいに見えます。
剣山のハクサンシャクナゲ
剣山のハクサンシャクナゲ

↓ 剣山のハクサンシャクナゲのつぼみ。
剣山のハクサンシャクナゲのツボミ
剣山のハクサンシャクナゲのツボミ
剣山のハクサンシャクナゲのつぼみ
まだ蕾があります。7月20日ぐらいまで花の観察ができるか?
剣山のハクサンシャクナゲのつぼみ
剣山のハクサンシャクナゲのつぼみ

↓ 来年の花のつぼみがすでに花芽分化
シャクナゲ類はみな花芽と葉芽は別々です。1つの芽に花と葉が折りたたまれて入っているのではありません。しかも、花芽分化の時期が非常に早く、すでに枝先の芽を見ると花芽か葉芽か容易に区別できます。花芽は葉芽よりも膨らんでいます。
来年のつぼみが見えています


徳島県 剣山、植物観察写真ギャラリー (その2) 2016年6月27日
見事なサワグルミ林の中にあるオオヤマレンゲ
サワグルミといえば温帯の渓畔林を形成する樹種の一つですが、湿気の多い渓谷に生じます。乾燥する尾根筋にはみられません。で、剣山では山頂の南斜面では亜高山帯の針葉樹林が優占しているのですが、湿潤な北東斜面では針葉樹一点張りではなくサワグルミなど落葉広葉樹も目立ちます。南斜面と北東斜面では森林の様子がかなり違っています。
サワグルミ林
見事なサワグルミの林ですが、ほぼ純林状態です。
サワグルミ林

↓ 幹径60センチのサワグルミの樹皮です。幹は広葉樹としては比較的に真っ直ぐに立ち上ります。
幹径60センチのサワグルミの樹皮

↓ ここのサワグルミは大きな樹が多くて、この写真のものでは目測で環境省の巨樹基準 (地上130センチで幹周3m以上) を軽々とクリアーしているように見えます。たぶん幹周4m前後だと思われます。この樹の根元にはクマ (熊) さんが冬眠する穴もあります。北海道でも 「穴しらず」 といって冬眠しそこねてウロウロするクマがいるらしいし、気温が高い南の地方のクマではそもそも冬眠しない個体群もいるとも言われますが、剣山のクマは標高が高いところ、つまり冬の気温が非常に下がるところにいますから冬眠するみたいです。
サワグルミの巨樹


剣山のオオヤマレンゲは風前の灯
↓ 剣山のオオヤマレンゲは個体数が極めて少なく、シカ食害防除網が厳重に張られています。網に阻まれて剣山のものは観察しづらいので、手前味噌ですが昨年に樫戸丸での観察を参照します。
オオヤマレンゲは、タムシバやホウノキなどと同じモクレン科の樹木
オオヤマレンゲの分布
オオヤマレンゲの観察

剣山のオオヤマレンゲ


剣山測候所の職員遭難について
↓ 剣山のオオヤマレンゲを観察したのち、一の森 (1880m) と二の森 (1870m余り) の間の鞍部に立つ殉難碑のところに出てきました。50年ほど前、1965年3月16日に、剣山測候所の職員が通信線故障の点検に向かったさいに、一の森北斜面で雪崩に巻き込まれて殉職しました。南国の四国でも雪崩に巻き込まれて遭難死がありうるという事例です。 冬期の剣山一帯に立ち入るさいは、吾輩のように雪山登山などしない者であっても、雪崩の末端が通行中の道路 (たとえば国道438号とか) まで落ちてくることはあり得ましょう。注意しなくっちゃ!
殉難碑のところに出てくる

剣山頂上ヒュッテ発行 『剣山物語 頂上ヒュッテ50年の歩み』 25-26頁、平成17年 から引用します。 引用文中の 「綱男」 は頂上ヒュッテの二代目の新居綱男氏であります。

引用開始
 綱男にとって鮮烈な思い出は、ヒュッテの場所を選定してくれた恩人、剣山測候所技官大谷好徳氏 (当時37歳) の遭難だった。1965年 (昭和40年) 3月16日、一ノ森北斜面で雪崩に巻き込まれた。今も山頂から東へ1.4キロ歩いた尾根筋に四角い黒石の碑がある。こう刻まれている。

  山を愛し
  気象観測を愛し
  こよなく
  妻子を愛せし
  男ここに眠る

 当時、気象庁山岳部長だった作家新田次郎 (本名・藤原寛人 1912-1980年) が、大谷氏を弔って刻んだ殉難碑だ。大坂管区気象台がまとめた 「大谷技官遭難捜索報告書」 によると、同3月16日午前11時すぎから午後1時前にかけて、雷を伴う寒冷前線が剣山上空を通過。剣山と高松を結ぶ唯一の通信線に障害が発生し、通信ができなくなった。

 測候所にいた3人の所員のうち、大谷氏と谷口和亮氏 (当時21歳) が午後3時前、点検に向かった。通信線は剣山から一ノ森まで地下ケーブル、さらに富士ノ池へ電柱で中継されていた。一ノ森付近の積雪は3-4メートル。二人が一ノ森北斜面に差し掛かった時「ザザッ」という音がした。15分ほど様子をうかがい、大谷氏が先になって木につかまりながら進んだ。直後、谷口氏の眼前で雪の表面が割れ、大谷氏を乗せたまま雪面が滑り始めた。大谷氏は急斜面にのみ込まれ視界から消えた。点検箇所はすぐそこだった。

 翌日から始まった捜索は深い積雪と悪天候に阻まれ、難航、消防団、県警救助隊、県山岳連盟、徳大山岳部、気象庁から延べ千人余りが捜索に参加した。カラフト犬のタロ、ジロと南極で過ごした元南極越冬隊員の村越望氏(当時気象庁職員)や富士山測候所のベテラン職員もいた。遭難から35日目、大谷氏は深い雪の中からみつかった。登山道から約15メートル下で遭難現場から約300メートルも流されていた。発見者は綱男だった。

 大谷氏が亡くなった3年後、無線通信の本格運用が始まった。通信線を中継していた焦げ茶色の電柱は、今も登山道のわきに残っている。 【引用終了



遭難現場の写真
↓ 2015年3月26日、剣山のすぐ北側の丸笹山から剣山の北側斜面をながめたものです。今年2016年は希にみる少雪で3月下旬には剣山北側斜面でも雪がほとんど消えてしまいました。
丸笹山から一ノ森北斜面を眺めた
「一ノ森北斜面に差し掛かった時ザザッという音」 がして、「木につかまりながら進んだ」 ということなので、おそらく尾根筋を行ったのではなく、近道の尾根直下の北斜面の登山道を行き、ダケカンバ (正確には変種のアカカンバ) の幹につかまりながら進んだ直後に雪面が滑り出したということでしょう。
一ノ森の北斜面

「登山道から約15メートル下で遭難現場から約300メートルも流されていた」 という記述は土地勘がないと意味不明です。で、地理院地図を借用し、図中に書き込みました。つまり、一ノ森の山頂直下で雪崩が発生し、それに巻きこまれて、谷沿いを流れ下り、富士ノ池からオオヤマレンゲ自生地・行場を経由して剣山山頂へ至る登山道の15m下で遺体が見つかった、ということです。
国土地理院地図から作成

剣山測候所の観測データ から借用。51年前のデータで、降水量や積雪の観測がないので確たることはわかりませんが、2月下旬から3月半ばまで西高東低の冷える日が続いた模様です。日中でもずうーっと氷点下、朝はマイナス15度近くまで冷え込み、一ノ森で積雪3ー4mということなので連日吹雪いたものと思われます。そこへ3月15日~16日に南風が入り気温がプラス圏に急上昇。で、表層雪崩か全層雪崩か詳細は不明ですが、気温上昇で積雪がゆるんだのではないか??
剣山測候所 1965年3月 日ごとの気温


殉難碑付近からの眺望
鑓戸山方向

↓ 遠くに石立山が見えます。険しくて四国で一番登りにくい山と言われています。かつて高山植物のムシトリスミレが発見されるなど植物の宝庫とされます。
遠く石立山が見える

↓ 次郎笈 (ジロウギュー) を拡大しますと、何となく 伊吹山 (滋賀・岐阜県境1377m) に似ていませんか?
次郎笈(ジロウギュー)

↓ 殉難碑の近くにある看板。詳細は 四国森林管理局 のホームページで。剣山は、山頂から次郎笈へと西へ行くのではなく、一ノ森へと東に行く方が遥かに見どころが満載です。特に植物観察は断然東がお奨めです。
こういう看板がある


copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.