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雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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氷河の後退・縮小は、気温上昇のみに依存するのではない。(その2)
伊藤公紀blog 「ゴア氏の間違い6.キリマンジャロの雪」 伊藤公紀氏といえば、槌田敦、近藤邦明、丸山茂徳、池田清彦、渡辺正、赤祖父俊一などの諸氏と並ぶ日本を代表するCO2地球温暖化懐疑論者の1人です。その伊藤氏がノーベル平和賞に輝いたゴア氏を批判しています。まったく伊藤氏の主張に賛同できます。そもそも、普通に考えても、地球温暖化防止の啓蒙活動をしたという理由でゴア氏がノーベル平和賞だなんていうハナシが変なのです。政治的としか言いようがありません。はっきり言って“ノーベル平和賞 = ノーベル政治賞” なのです。しかしながら、そもそも気象とか気候というのは、本来は地球回転体の重力場の中で起こる物理現象でしょうから、分野としてはノーベル物理学賞であるべき筈です。したがって、本来ならば、最初に地球温暖化を言いだしたNASAの気象学者のジェームズ・ハンセンにノーベル物理学賞を与えるべきものです。しかしながら、地球温暖化の話自体が最初から政治が深く関与しています。それでIPCCとゴア氏にノーベル賞を付与して権威付けようとしたのでありましょうが、CO2地球温暖化説も、温暖化危機説も、自然科学的な方法や手続きを踏んで客観的に証明された理論とはとても言えないしろもので、まあスパコンが描いたコンピューターシミュレーション、俗な言い方では “コンピューターゲームの絵” でしかありません。検証しようもないハナシです。数十年後に地球の平均気温は数度上がって危機的な現象が起こるといっても、本当にそうなるのか、そうならないかは、それを検証できるのは数十年後の気象観測であります。 騙されたらいけないのは、地球温暖化は検証されたハナシじゃあなくて、つまり自然科学じゃなくて政治なんです。ということで自然科学の賞として与えるのはとても無理だと、ノーベル賞委員会はそこは良識が残っていました。無理にノーベル賞を付与しようとしたので、平和賞とする他なかったのでしょうね…。このただ1点をもっても、CO2地球温暖化説は完全にインチキの馬脚をあらわしています。

政治家のゴア氏に地球温暖化に関するノーベル賞を与えてくれて、むしろ良かったと言えましょう。ゴア氏におめでとうと言うべきでありましょう。CO2地球温暖化説が政治的な話であったことが顕になったから、批判がしやすいからです。これがジェームス・ハンセンに物理学賞として与えられたのであれば、厄介であったと思います。

●伊藤公紀氏はKaserらの研究を引用しながら、次のように言っています。
「キリマンジャロ山は赤道直下にあるので、夏は氷河の北から日が当たり、冬は南から日が当たる。途中の季節は日照が少ない。その結果、氷河の南北の面が日光に照らされて融け、低い湿度のために蒸発する、というのだ。ではなぜ湿度が低いのか。Kaserらの調査の時は、原因については示唆に留まったが、最近の研究の結果も併せると、どうやら山の周辺の森林伐採が効いているらしい。チャド湖の灌漑の例に似て、キリマンジャロ山の雪にも開発の影響があるようだ。しかし、それだけでもないらしい。キリマンジャロ山の氷河後退は、アフリカの他の山岳氷河と同様に、1880年代から後退を続けていることが分かっている」

●キリマンジャロの氷河(氷帽じゃねえのか?)が後退している要因には、多くの研究者が気温上昇だけでなく、乾燥化や降雪量の減少を指摘しています。どうやらここ10年ほど前からキリマンジャロはよく雪が降り、検索したら登山者が猛吹雪に遭ったなどいうハナシがヒットします。kenpuさん撮影:キリマンジャロ国立公園周辺の写真(拡大画像) 2006年12月25日ごろに撮影された写真のようですが、写真がちょっと古いですが見事に白銀に輝やいています。なお、キリマンジャロの山頂で気温観測が50年間行われているそうですが、全然気温は上昇していないとか…。(ただし、捜したけど観測データが見つからないですが…)


どんなに気温が低くても、雪が降らなきゃ氷河は出来ず…
その証拠をいろいろな資料から借用して示しましょう。ごく大雑把に氷河が出来る条件を挙げるならば、気温が非常に低いだけではダメで、大量の雪が降ることも絶対に必要な条件でありましょう。この2条件がほとんど全てでありましょう。逆から考えると、気温の上昇だけでなく、降雪量の減少も氷河がやせ細る要因になり得る ということでありましょう。したがって、氷河の後退・縮小を以って地球温暖化の証拠とするのは、不適切です。降雪量が減ったためかもしれないからです。アラスカで後退縮小ではなく前進している氷河の存在が知られています。アラスカの前進氷河の例では、その氷河の涵養域での降雪量が増えているのではないか?という仮説が立てられそうです。

南極の例
南極のマクマードドライバレー。極地砂漠。極寒の中での礫砂漠であります。雪と氷の世界と信じられていた南極大陸の中に、4000平方キロにおよぶ広大な無雪地帯を発見したのは、1901年~1904年に越冬したスコット隊であります。
南極 ドライバレーのライト谷
国立極地研究所 が運営している 南極観測のホームページ から借用しました。調査隊が調べたら、-54度という酷寒でも凍らない塩分濃度の極端に高い不凍池があるということですので、写真で氷が張っているように見えるのは塩分が晶出したものかも? 亜熱帯や温帯の砂漠には塩湖がつきもので、塩分濃度のたかい不凍池があるということ自体が砂漠である証しかもしれませんね。ただし、いろいろとネットでも資料に当たれるので閲覧すれば、淡水の池もあるらしいです。淡水か塩分濃度の高くない池ならば、ただの氷かも?

●ほぼ全域が雪氷に覆われている南極大陸で何故ここだけが無雪地帯になっているのか? は色々な説があるみたいですけれども、ハッキリとは分からないらしい。けれども、雪が降らにゃ氷河は出来ないことには何ら変わらない…。地図を見たら、②番目の説が当たっているのではないだろうか?

①、何らかの要因で低気圧がこの地帯に近づかず、またこの地帯の近くで発生せずに、雪が全然降らないのか? 

②、この無雪地帯の周囲に2500mに達する山脈があって卓越風の風下側にあたり雪が降らないのでは? いわゆる 雨陰効果 (ういんこうか) です。たとえば北東貿易風が吹き当たるハワイ島では、風上側の島北東側は湿潤多雨ですが、島の南西側は風裏になり降水量が少なく砂漠に近いですが、雨陰効果の典型例。瀬戸内海沿岸地方は夏場は四国山地の雨陰になり、冬場は中国山地の雨陰で年間降水量が非常に少ないです。で、溜め池だらけ…。

③、南極は強烈なカタバ風(斜面下降流)という強風が吹くことで知られていますが、この谷では特に風が強く雪が吹き飛ばされるからなどという説明もありますが、この説明では、強烈なカタバ風は南極大陸では名物みたいなもので、南極大陸の他の大部分の場所が雪氷で覆われていることの説明がつかなくなってしまいそうです…。


Google Earth より 南極 マクマードドライバレー (無雪地帯)
Google Earth より借用させていただきました。(最近借用上手になった) 南極で希有の無雪氷地帯のマクマードドライバレーの衛星画像。黒く見えるのは、雪や氷がないために露岩がむきだしになっているためです。写真の右端側はロス海、左側方向は南極大陸中心方向です。

●これを見た地球温暖化盲信の環境団体などでは、ほら見ろ、南極の氷が解けている証拠だ、などと喜ぶかも分かりません。環境保護団体は地球温暖化を叫んで寄付金集めしているから、あらゆる事象を地球温暖化に結び付けて金づるにしようとしています。 ところが、広大な南極大陸でごく一部の特定の場所だけが雪氷がないのだから、温暖化では全く説明がつきません。ドライバレーは雪氷がなく礫や岩が累々としているようですけれども、氷食谷であるからには、かつては氷河で覆われていたハズです。写真で一番長い谷はライトバレーと名付けられているようで、中央部に小さな池(湖)が見えています。谷の左端に氷舌が見えていますが、大陸奥から流れてきた氷河はそこで消耗しているようです。Google Earthで見られる多数の写真で氷食地形を観察すると、かつて雪氷で覆われていた場所の氷が消失してできた極地の礫砂漠であると言えそうです。そうしますと、この地域が何らかの要因で降水(降雪)が減少化し、また非常に乾燥化した局地気候変化が、地面が露出している原因としか考えようがないのでは? もし気温上昇によるのであれば、この地域以外の場所でもここと同様に砂漠化するハズですが、そうなってはいません…。


氷河期の例
最終氷期(ヴュルム氷期)のユーラシア大陸では、スカンジナビア半島を中心とする北ヨーロッパや、ロシアの最西部あたりでは巨大な氷床が発達しました。しかし、一方シベリアの東部では山岳氷河が少し出来た程度で、北ヨーロッパのような巨大な氷床はできませんでした。その要因には色々ありましょうが、一番大きな要因は降雪量が少なかったためと考えられています。
最終氷期の地球
英語版Wikipedia 「Last glacial period (最終氷期)」 から写真を借用しました。とても上手く作ったモンタージュ写真であります。最終氷期 (ヴュルム氷期) は1.5万年~7万年前と言われていますが、氷河 (というよりも氷床と呼ぶべきでしょうが) が最も拡大したときのモンタージュ写真でありましょう。現在は、ヨーロッパは冬に降水(降雪)が多く夏に少ないです。逆にシベリア東部は冬に降水(降雪)が少なくて乾燥し、夏には降水が比較的に多いです。必ずしも最終氷期の季節的降水の多寡が現在と同じだと言いきれない面もありましょうが、冬の降雪の少なさがシベリア東部で氷床が出来なかった要因だとされています。

●アメリカ大陸では、北緯38度まで巨大な氷床が発達したとされます。ニューヨークのセントラルパークの迷子石が氷河期の置き土産だというのは非常に有名です。日本の日本海側の北陸地方は世界屈指の多雪地帯として名を馳せています。ならば気温が6~9度も低下したとされる最終氷期に、日本の北陸や中部山岳で巨大な氷河が出来そうなものですが、しかし北アルプスや中央アルプスの2500m以上で小規模な山岳氷河(谷氷河)が少し出来た程度です。日本では巨大な氷河はできませんでした。これは氷河期に海水準が下がり九州と韓国の間が陸地化、あるいは狭い海峡になり、対馬海流が日本海に入らなくなり日本海の水温が低下、あるいは結氷、日本海からの水蒸気の供給が激減して北陸地方のの降雪が減ってしまったのが要因とされているようです。要するに、氷河が発達するかどうかは気温が低いだけでなく、降雪量が多いことも必要なのです…。


拙稿は続く

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