雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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けったいなベニヤマボウシ (紅山法師)
ミズキ科のヤマボウシといえば、街路樹などによく植えられるハナミズキにごく近縁の花木であります。果実はちょっと違うけれども、花や葉は良く似ていて見分けがつかないほどであります。ハナミズキは北アメリカ原産の外来種で、白い花もあればピンク色の花もあります。

ヤマボウシは日本自生種であります。淡路島では5月下旬から6月一杯に咲くのですけれども、山裾にも尾根にもいたるところで咲いております。とくに洲本市柏原山には多いです。淡路島南部の山岳地帯には、普通に見られるもので、別に珍しい物ではありません。ヤマボウシの花は普通は白ですが、ヤマボウシが咲くころに山で咲く他の花は圧倒的に白い花が多く、ネズミモチ、タンナサワフタギ、イボタノキ、ウツギ、マルバウツギ、ヒメシャラ、シタキソウ、など皆白です。それで、他の白い花に埋没してしまい、あまり観賞価値がありません。


ところが、淡路島の南部の山岳地帯のある谷筋や尾根では、白花のヤマボウシではなく、紅花のヤマボウシが沢山自生する場所があります。このたびその写真が撮れましたので、このブログに発表したいと思います。ヤマボウシは樹高10mほどの亜高木なのですが、樹冠の部分で花が咲くので、しかも森林の中で咲くので、非常に写真が撮りづらいものです。ベニヤマボウシがあるのは20年前から気付いておりましたが、長い間写真が撮れませんでした。ベニヤマボウシはヤマボウシの赤花のものですが、普通は花全体が淡いピンク色であります。淡路島の自生地のものは個体によって色合いが変化に富んでいます。今回ようやく写真が撮れたものは、非常に珍しい色合いのベニヤマボウシです。

↓ こちらは普通の白花ヤマボウシです。諭鶴羽山にあるものは白花ばかりです。
ヤマボウシ(白花)

↓ 今回写真が撮れたベニヤマボウシですが、赤色が斑点状に入るという非常に奇妙なものです。赤いインクのしずくを撒きちらしたような感じです。かなりケッタイなベニヤマボウシ(紅山法師)であります。
ベニヤマボウシの花

ベニヤマボウシの花
↑ 2013年6月25日に山のキノコが写真を撮った。淡路島南部の山岳地帯にて。海抜450メートルぐらい、鬱蒼と茂る暖帯照葉樹の二次林の中。

●4枚の花弁のように見えるのは総苞(そうほう)と呼ばれるものでありますが、その自生地にあるベニヤマボウシが、みんなこんな花というわけではないようです。花びらのように見える4枚の総苞全体が桃色という樹もあります。人相いろいろ花相いろいろです。ただ茂った樹林の中で観察したり写真を撮るので、これしか撮れませんでした。

その自生地では、遠目にみると、ピンクのサクラが咲いているような感じで、とても綺麗なものです。ただ残念なのは自生地情報を公開できないことであります。昨年10月に出版された小林先生の『淡路島の植物誌 改定増補版』(CDロム版)に載っていないので、淡路島新産植物の可能性が高そうです。それで、自生地保護のために詳細な場所は非公開です。公開しても植物愛好家や山野草マニアが荒さない時代が早く来ればなあと希望しています…。


Google画像検索 「ベニヤマボウシ」 で検索し閲覧すると、各地で撮られたベニヤマボウシの写真がアップされています。中には外来種の赤花ハナミズキが混じっているかもしれませんが、他の地方のものと比べると、淡路島南部の山岳地帯のベニヤマボウシはかなり風変りなものであると言えそうです…。

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徳川家康が愛飲した幻の薬酒 「忍冬酒」 を作ろう。(その4)     実際の作り方は、口伝が途絶え不明の部分も…。
●スイカズラ = 忍冬(にんどう) は有名な薬草であり、忍冬で作る 「忍冬酒」 は江戸時代ではそこそこ一般的であったのか? 江戸時代の代表的書物にあちらこちらに顔を出しております。 島根大学図書館デジタルアーカイブ  様が、江戸時代の代表的な百科事典であるところの 『和漢三才図会』(わかんさんさいずえ) を学外の者にも見せて下さいます。それで、忍冬が載っているページを借用させていただきます。 『和漢三才図会』 は300年前の1712年に刊行・成立しましたが、大坂の漢方医である寺島良安という人物の手になる105巻の膨大な書物でありますが、くだんの「忍冬酒」については第96巻に掲載されております。

『和漢三才図会』第96巻より
↑スイカズラ(忍冬)には沢山の異名があるみたいですね。金銀花(きんぎんか)ではなく、金銀藤(きんぎんとう?)などと書いてあります。

●お前は、やたらに古色蒼然としてカビ臭い書物を引っ張り出すみたいだな、と言われそうであります。たしかに、そうですけれども、日本は歴史が長い国であります。古い物が沢山あるのです。日本で一番古い書物は、聖徳太子が法華経の注釈書として著わした 『法華義疏』 (ほっけぎしょ) といわれていますが、615年成立です。1400年も前であります。それから日本で一番創業が古い会社は? というと良く知られています。 株式会社 金剛組 (こんごうぐみ) でありますが、578年に創業といいますから1400年以上前の飛鳥時代です。世界で一番古い会社とギネスブックに載っているとか。日本には古い物が山のようにあるのですよ。 身近なことを申しても、私は今住んでいる村の生え抜きの住民ではなく、他所から移住してきた人間ですが、私の出身母村の集落は僅か20軒ほどの集落です。その小さな集落でも長い歴史があり、天正12年(1584年)に大地震がありました。前におった場所で大規模な地滑りがあり、危険で住めなくなりました。そこで集落挙げて現在おる場所に移転しました。これは430年ほど昔のハナシですが古文書の記録が残っているのです。僅か20軒の小さな集落でも400~500年ぐらいならば遡って集落の変遷がわかるのです。

●このように、日本という国は、長い歴史に彩られていて伝統的文化が豊かな国なのです。ただ、北海道だけは明治維新ころ国家の政策で本州から開拓移住した地域ですので、歴史は少し浅いかもしれませんが、津軽海峡以南の地域はどこでも、道端の石仏にも、折々に行われる年中行事にも、ありふれた日常の中に、500年、1000年という歴史が息づいているのです。これが新興国のアメリカとは全く違うところなんです。アメリカは1620年に迫害を受けた清教徒がメイフラワー号でイギリス本土から移住してきたのが、そもそもの国のはじまりでしょうが、アメリカは宗主国イギリスから独立宣言が行われたのが1776年で、まだ建国230年余りでしかありません。歴史が非常に浅い新興国なのです。経済的・軍事的に力をもっているから、世界の警察官きどりで横暴な覇権主義の国ではありますが、世界史的な視点からは、全くの新参者・新興国なのです。言わんとすることは、日本のような歴史の長い伝統的な国が、新参国家のアメリカにぺこぺこするのはおかしいのです。そのような意味からもアメリカが主導権をにぎり、アメリカ基準を押しつけてくるTPPなどに、日本が尻尾を振って入るのは間違いなのです。

余談】 
日本は長い歴史がある伝統の国なのですが、アメリカは歴史がありません。それを象徴しているのが世界遺産でしょう。1972年にユネスコ総会で世界遺産条約が採択される経緯を調べたら、ユネスコは最初は文化遺産のみで発足させようとしましたが、アメリカのニクソン大統領が強い政治的影響力で自然遺産を含めるように働きかけています。ようするに、アメリカは歴史が無いから古い文化遺産が存在しない国です。アメリカはユネスコに沢山の金をだしているのに、文化遺産だけでは歴史の長い国と比べると決定的に不利だ、けれども自然遺産ならば、イエローストーンとかフロリダ半島の湿原とか結構ある、なので世界遺産に文化遺産だけでなく自然遺産を入れろ! と強く主張しています。アメリカには国土は非常に広いのに悲しいかな歴史がないので、世界文化遺産はたった8件しかないのです。では、世界自然遺産が多いかというとそうでもなくたった12件しかありません。国土の広さ、人口の多さから言うと少ないですね。 歴史の浅い国は、世界文化遺産があまりない。
そういう観点から考えると、古色蒼然としたカビ臭いような何百年も昔の書物だとか、柱の材が炭化して黒くなるほどの古い建物などが、大変な価値をもっていることが分かります。


家庭で簡単に忍冬酒を作るには
主に、以下のネットサイトを参考にさせていただきましたが、忍冬酒の作り方は口伝の部分があって、ハッキリ分からない部分もありそうですが、和歌山社会経済研究所 亀位匡宏 『海内無双の紀伊忍冬酒』 2006.3 が精緻な研究で大いに参考になります。紙の書物もあれこれ閲覧したら、江戸時代には、忍冬酒を作る本家本元は紀州(和歌山)であったようですが、伊勢や遠州(静岡県東部)や、九州の筑後など各地で製造されていたらしいです。

楽天市場の すずき米屋様 「徳川家康公の健康酒 忍冬酒」 や、楽天ではないので通信販売に応じてくれるかどうか分かりませんが 遠州夢倶楽部 「こだわり商品 忍冬酒」 が忍冬酒を販売しているようです。自分で作るのはめんどうくさいので、購入して飲んでみるのも一法でありましょう。

忍冬酒の作り方
① 焼酎を5合(0.9リットル)用意します。
② スイカズラの花(できれば蕾のほうがいい)を100グラム採取し、天日で素早く乾燥させます。
③ コウジとモチ米を用意し、モチ米は蒸してコウジと混ぜ合わせます。要するに甘酒の元です。これを100グラム程度こしらえる。
④ 焼酎を容器に入れ、②と③も一緒に入れます。
⑤ 冷暗所で2か月寝かせますが、1週間ごとに攪拌します。
⑥ 2か月ほど熟成させたら出来上がり。濾過してもいいし、上澄みを掬って飲んでもいいです。氷水で割って飲むとよろしい。

甘くて色々な効能のある薬酒であります。作り方はとても簡単です。参考サイト等を見ると、沢山の漢方薬の材料を添加したり、スイカズラの花と等量のノイバラの花を用いたりしております。また、スイカズラの花ではなく葉と茎を用いたこともあるようです。もちろん、漢方薬の材料等が入手できれば添加するのもいいかもしれません。しかし、作り方の根本は単純で、そもそも焼酎に漬け込むだけの果実酒みたいなものでありましょう。コクモンジ酒と違い失敗がありません。

最高権力者の徳川家康が財力と権力で上納させて愛飲したと伝えられるほどの幻の薬酒です。また、江戸時代に遠州の浜名湖あたりの名産であったらしいのですが、東海道を上り下りする参勤交代の大名たちが、こぞって買い求めたらしいです。忍冬酒を飲んだからといって天下を取れるものではありませんが、健康増進のために作ってみませんか? なお、焼酎にコウジを入れると新しく酒 (酒税法第3条で規定する混成酒類のみりん) を作ったとみなされ、酒税法違反に抵触する危険性がありそうですので、「コウジ+もち米」 ではなく氷砂糖で代用する方が無難ですが、自己判断で…。 わたくしは、べつに法律を破ることをお奨めしているわけではありません。 

徳川家康が愛飲した幻の薬酒 「忍冬酒」 を作ろう。(その3)     先ず、スイカズラの花の蕾を採りにいきましょう。
山の上に自生するスイカズラの花は、紫色っぽいものが多い傾向がある
●先ず、スイカズラの花を採集しますが、淡路島の平地ではほぼ花期が終わってしまいました。しかし、まだまだ山の方に行けば、スイカズラが咲いております。蕾もたくさんあります。500mぐらいの山の上では生物季節が2~3週間遅れるようであります。山の方に自生しているスイカズラの花は、明瞭な金銀花ではなく、なんとなく紫色っぽい花の個体が多いようです。最初は白花ではなく、薄い紫色っぽくて次に黄色になるという感じですが、山に自生するものが全てそうなるというのではなく、そういう物が混じっているということであります。その理由はハッキリしません。

勝手な想像ですが、スイカズラは訪花昆虫が花粉を運ぶ植物であります。スイカズラの花の色とか、花色の変化は、ヒト(人間)が観賞するためにあるのではないでしょう。訪花昆虫たちに花の所在を認識してもらうためにあるハズです。そう考えると、多くの昆虫たちはヒトの目と異なり、紫外線で物を見ています。というよりも紫外線が見えると言われています。そうすると、標高が高くなればなるほど、紫外線の量が平地よりも増えてくるから、平地よりも強い紫外線でスイカズラの白い花が良く見えるようにと、若干紫色を帯びてくるのか?? あるいは逆で、強い紫外線で白い花が見えすぎて眩しいから、紫色を帯びて減光しているのかも?? などと推論してみましたがどうかな?? と考えてみましたが、出まかせの想像です。いろいろなフィルターが市販されているみたいだから、紫外線写真を撮ってみると何か分かるかも??


やや紫がかったスイカズラ
↑ 6月23日、淡路島南部の山岳地帯ではまだ蕾が沢山あった。海抜500メートル付近。平地と違い、山では花が紫色を帯びた個体が非常に多いです。

↓ 2013年6月23日 淡路島南部、諭鶴羽山607.9mで採取した。(これを陰干しします)
スイカズラの蕾
↑淡路島の南部の山岳地帯(諭鶴羽山)で収穫したスイカズラの蕾です。つぼみは白色ではなく、薄い緑色をしています。6月23日(日曜日)に採取。1時間ほどかけて採取しましたが、紫色がかった花の個体が多く、白(薄緑)ばかりでは沢山集められません。もっと早い時期に、5月下旬から6月上旬ぐらいに平地で採取した方が良かったかもしれません。スイカズラは九州から北海道南部まで分布は広範囲なので、長野県など中央高地だとか、東北地方北部や北海道ではいまごろが採取適期であろうかと思いますが、西日本(瀬戸内海沿岸地方)では、もう時季外れになってしまいました。西日本在住者で、忍冬酒を作りたい方は、山登りです。私の観察では、スイカズラは1000mを越える山の上にまで分布しています。西日本でも海抜1000m以上に行くと、東北北部~北海道南部に相当する気温になるので、生物季節が平地よりも1カ月遅れるのです。

↓ “日最高気温の低い方から” のランキングです。気象庁ホームベージから借用。
日最高気温の低い方からのランキング
↑ これは “日最高気温の低い方から” のランキングです。“日最低気温の低い方から” のランキングではありません。意味は全く違うんですが、ちょっと分かりにくいかもしれません…。

●申すまでもなく、北海道は日本屈指の寒冷地であります。道東や道北の冬の放射冷却による極低温には凄いものがあります。防寒具が不十分ならばたちまちに命を奪われる低温です。今年の3月2日に網走の近くの湧別町(ゆうべつちょう)で悲惨な遭難がありました。すさまじい暴風雪で視界ゼロのホワイトアウト、車が吹き溜まりにはまってスタック、父子家庭の父親が低体温で死亡し小学3年生の娘が一人生き残る、という痛ましい遭難事故でした。ま、本州の2000m級の雪山で起こる遭難死が、平地の人家の横で起こるのが北海道たるゆえんでありましょうか。上の表の観測史上の低温記録ランキングに、津軽海峡以南の都府県の観測データでは、どうあがいても全く太刀打ちできないものです。ところが例外というものが必ずあって、上の表をご覧いただきますと、並み居る北海道の強豪に伍して、南の地方から2つの観測所が食い込んでおります。1位に君臨する富士山は別格ですが、まあ、あそこは、いわば南極の昭和基地みたいなところです。

ところで、余談ながら、富士山が世界遺産になったなどと、国をあげて阿呆なお祭りさわぎの祝賀ムードですけれども、水を差すことを言うんですが、安易な登山が増えて遭難事故が急増するであろうと危惧しています…。あそこは気象条件が南極と同等なんですよ。夏でも、しばしば氷点下になるし降雪もあります。山頂の観測所の年平均気圧は638hPaです。海面上の1013hPaの僅か63%しかありません。空気が薄いので症状の個人差はあっても高山病にやられます。激しい頭痛や吐き気でクラクラ、高血圧など既往症のある人は場合によっては命取りです。さらに、瞬間最大風速91メートルの日本記録を保有する山です。5合目から上は、樹木は匍匐状のカラマツとダケカンバが僅かにパラパラとあるだけで、森林限界の上に突き抜けている山なんです。吹きさらしなんです。身を守る木陰も、窪地や岩陰なども全くありません。不用意に登って天気が急変したら恐ろしい目に遭いますよ。夏でも風雨に打たれれば、蒸れない高品質レインウェアーでないとびしょ濡れで凍死です。雷も恐いです。登山道で雷に見舞われても身を伏せる岩屋はありません。上からではなく、横からバシッと乾いた音がしたら即死です。平地みたいに遠くでゴロゴロなどではありません。前触れもなく突然にバシッと来るんですよ。山の雷は恐いですよ。富士山に登るのだったら絶対に高層天気図を読図する知識が必要です。高層天気図をチェックすれば雷の発生の有無は予想できます。落石も非常に恐いです。富士山は石炭がらが積もったような山です。非常に崩れやすく落石が多いです。動画を見ると恐いですねえ。そもそも富士山は観光気分で安易に軽装で登る人が多いから、遭難事故がけっこう発生し毎年必ず10人前後の死人が出ています。私は、国を上げてのアホウな馬鹿さわぎの祝賀ムードは自粛するべきだと思います。
遭難事故が増えないようにとお祈りいたします…。


↓ これを見たら、本当は富士山が大変恐い山であることがよく分かります。
  世界遺産登録の祝賀気分など、木っ端みじんに吹き飛んでしまいます。



残念ながら、平地ではスイカズラの花期が終わりました。山へ採りに行きましょう
●余談に力が入りましたが、それはさておき、上掲の “日最高気温の低い方からランキング” で、なんと徳島県の剣山(1955m)が堂々と12位に食い込んでおります。現在では、気象庁のリストラで残念ながら剣山測候所は廃止されてしまいました。しかし過去の観測データによると、8月の剣山の気温は、おおよそ日最低気温が13~14度くらい、日最高気温が18~19度程度です。このように山の上は非常に気温が低くなるので、サクラの開花も、新緑の展葉も、1000m以上では平地より1か月も山頂では1カ月半も2か月も遅れてしまいます。


拙ブログの記事が1カ月遅くて、淡路島の平地では、既にスイカズラの花期はほぼ終わっています。タイミングを外しました。それで諭鶴羽山(柏原山でもいい)か、あるいは遠征出来る方は、徳島県の剣山の中腹に採りに行くといいでしょう…。

追記
●富士山は海抜2400mまで車でいけるんですが、その高度で既に空気が薄くなっています。海抜2000m高度の平均気圧は799hPa(海面の79%)です。実際に登る標高差は1300m余りですけれども、物凄く体力を消耗します。安易に、観光気分で登る山ではありません。どうしても登りたいのであれば、普段から、エレベーター等には絶対に乗らず、階段をかけ足で登るとか、休日には30キロの砂袋を背負って坂道を歩くとか、体力養成の訓練をするべきです。本当に山の好きな人びとはそうしていますよ。そういう心構えであればまさかの事態でも、生きて帰れる可能性がグンと高くなります。世界遺産になったなどと浮かれていると、観光気分の安易な軽装登山が増えて、悲惨な遭難事故が増えるのではないかと、本当に心配しています。先日、ニュースキャスターの辛坊治郎氏が、小型ヨットで太平洋を渡ろうと企てて遭難事件を起こし、大勢の人々に迷惑をかけました。救助に莫大な国税が使われて、いま、辛坊氏はコテンパンに批判されています。山で遭難して救助を要請した場合、救助費用が請求される場合があります。事例ごとにケースバイケースでしょうが、救助は必ずしもタダではありません。山頂で骨折とかで動けなくなって、民間ヘリコプターが来てくれた場合には高額請求がきますよ。100万とか200万単位です。行方不明者を捜索するのは、たいていは長引くし大勢の民間人が出るので1千万単位です。資産家・高額所得者でないかぎり、山岳保険に入らないで絶対に山に登ってはいけません。海でも山でも、一つ間違えたら命がけなんです。死と隣り合わせなんです。

●安易な登山が増えると予想され、その意味から、富士山が世界遺産に登録されたのは間違いであります。2、3年後には富士山は世界遺産になるのではなかった、という後悔の声が各方面から出てくるでしょう…。賭けをしてもいいです。観光客が増えるのは一時的な効果です。じきに熱は冷めるでしょう…。観光客増加を見込んだ設備投資が過剰となります。それまでなかった規制や保全費用だけが残ります。いいことが全然ない、ということが見えていますよ…。


(拙稿は続く)

徳川家康が愛飲した幻の薬酒 「忍冬酒」 を作ろう。(その2)     スイカズラは300年前の 『大和本草』 に収録される薬草。
忍冬酒をこしらえる前に、まず観察を致します
江戸時代の有名な本草学者に、貝原 益軒(かいばら えきけん・1630年―1714年) という偉人がおります。本草学者というのは、今風に申せば、博物学者であり植物学者であり生物学者でありましょう。明治以降に西洋の生物学や農学が入ってくる前までは、貝原益軒が日本の歴史上最高の生物学者であるとの誉れが高いのですけれども、貝原益軒の代表的な著作が 『大和本草』(やまとほんぞう) であります。その大和本草にスイカズラが載っていますので見てみましょう。

【↓ Wikipediaから写真を借用。国立科学博物館所蔵のものらしい
大和本草

【↓ 中村学園様 貝原益軒アーカイブ からスイカズラの項目を借用させていただきます。】 国立国会図書館デジタル化資料でもネットから閲覧できるのですが、中村学園様のほうが鮮明です。
『大和本草』 (やまとほんぞう) のスイカズラ(忍冬)の記述

●なんともはや、古色蒼然として、カビ臭いような古い書物ではあります。しかし、こんな古臭い物と、バカにしてはいけません。この書物こそ日本独自の植物学の夜明けを飾る金字塔であり、不朽の書物であります。しかし、一般にはとっつきにくいかもしれません…。あまり身の上を明かすのはマズイですが、山のキノコは学部しか出ていませんが一応文学部国文学科の出身です。ミミズの這うような変体仮名の崩し字が出てこようが別に抵抗はないのですが、今の若い人は戦前の書物、たとえば夏目漱石にしても森鴎外でさえも、既に古典になってしまっているようです。冒頭は次のように書いてあります。江戸期以前の書物には一切句読点がないので、文意の切れるところで適宜句読点を打ちます。
忍冬(にんどう)スヒカズラ。諸々のかずら、皆右にまとう。忍冬のかずら左に巻く。故(ゆえ)に、左纏藤(さてんとう)と言う。花開くとき白し。2、3日を経て黄に変す。故に金銀花(きんぎんか)と言う。

●この大和本草の記述により、スイカズラを江戸時代中期に「金銀花・きんぎんか」と言っていたことが分かります。また左巻きの蔓植物だという意味で、「左纏藤・さてんとう」などとも言うらしいです。花が咲くときには、最初は白で、2、3日後に黄色になることなど、貝原益軒は正確に観察しています。スイカズラの花・茎・葉を陰干しにして、煎じて服用したり、酒に漬けこんで薬酒にして服用したらよろしい。腫れものが化膿して膿がたらたら出るような、すなわち、免疫力が低下して感染症が起こるような体が弱っているときには、著しい効果があると言っています。普段からお茶の替わりに飲めばなおよろしい。和え物にして食べてもいい、と言うふうなことを言っています。

花のアップ

●花は非常に面白い形をしています。花冠の下部は筒状で長細いです。花冠の先は5つの裂片に分かれていますが、上に4裂片が認められますが基部は合着しています。下には1裂片が反っています。ちょうど、手の親指を下に向け、残り4本の指を上に向けているみたいなケッタイな形状であります。
送粉昆虫が来て、めしべが受粉すると花が黄色に変わるなどと書いてある書物もありますが、果たしてそうだろうか? スイカズラの枝を持ち帰り、花瓶に挿して数日間観察しましたところ、家の中には訪花昆虫はおりませんが、最初白だった花が翌日にはみな黄色に変わりました。受粉などしなくても黄色に変わることは間違いないみたいです。白から黄色への花色変化は、受粉に依存するのではなく、時間に依存しているように思われます…。


クチナシも黄花と白花がある
↑ クチナシも花色が、白 → 黄色に変化します。花色が変化する植物は野外で観察すると南あわじ市でも結構あります。花色変化は普通説明されるのは、花粉や蜜を求める訪花昆虫は先ず白花に来て、目的の花粉や蜜を集め、その際にめしべの頭柱に花粉を受粉させる。受粉したら花の色が変化して、もうこっちの花は花粉も蜜も(つまり報酬)はありませんよ、こっちへ来ないでね、と昆虫たちにサインを送っているとされますが…、多くの花は自家不和合性であっても、そうではない物もあるし、夜行性の訪花昆虫は花の色を見分けられるのか?ということもあります。ま、花の種類によっても違うかもしれないし、諸説あったりで、よう分かりませんです。

スイカズラは蔓草で他物に巻き上る
↑ これは南あわじ市灘土生(なだはぶ)の落石防止の金網に巻きついて登るスイカズラの蔓(つる)です。これを右巻きと言うのか? あるいは左巻きというのか? 意外に難しい問題であります。別に混乱なんかしていませんが、歴史的に変遷があり書物により記述が違うので、うろたえる面はありそうです。佐竹義輔ほか『日本の野生植物』1982年、や『学術用語集 植物学編 増訂版』1990年、に倣うならば左巻きです。

左巻き……S字巻き。自分の手の甲を見て右手の親指の方向(左肩上がり)につるが登っていく。
右巻き……Z字巻き。自分の手の甲を見て左手の親指の方向(右肩あがり)につるが登っていく。

40年ほど前に定義が変更されて逆になってしまったことが、混乱しているように思える原因なのでしょう。最近の書物・論文・解説文などは全て上記のようになっているハズです。広島の植物ノート様 「つる植物の右巻きと左巻き(詳細版)」 がとても参考になります。


【これで、はなはだ簡単でございますがスイカズラの観察は終わりといたします。次回に、いよいよ徳川家康が健康のためにと愛飲したという忍冬酒を製造いたします】

徳川家康が愛飲した幻の薬酒 「忍冬酒」 を作ろう。(その1)     スイカズラは日本薬局方に収録されている薬草。
徳川家康が愛飲していたという忍冬酒を造って、水割りで飲むのはいかが? ただし、忍冬酒を飲んだからと言っても、天下は取れませんが…。

●スイカズラ科スイカズラ属の スイカズラ であります。ありふれた蔓草で、野でも山でもどこにでも自生しております。わが南あわじ市では意外に多いのは海岸で、写真は南あわじ市灘の沼島汽船乗船場の近くの防波堤で撮りました。防波堤のコンクリートの隙間に根を伸ばしているみたいです。土壌が無い、乾燥、強日射、コンクリートの照り返しによる高温、潮風などの悪条件(本当にそうかどうかは不明ですが)にもびくともせずに、元気よく頑強に育っております。本来は非常に丈夫で環境の変化にも適応力の高い蔓草のような印象がいたします。アメリカやヨーロッパに持ち込まれてスイカズラがはびこり、害草化しているらしいのですけれども、むべなるかなという感じであります。

●これは、素人なりに長年自然観察をしている私の直観ですが、海岸は強風や乾燥や潮風など多くの植物には条件が良いとはいえない環境です。そういうところでスイカズラが意外にはびこり元気よく生育しているのは、他に競争相手の植物が少ないからではないか? 内陸部の多くの植物が生育しやすい環境のいいところでは、競争相手が多くて、必ずしも競争に勝てない。しかし、海岸では実は環境が悪いのではあるが、競争相手が少ないからスイカズラが我が世の春を謳歌できる…、のではないか? つまり、ヨーロッパやアメリカにスイカズラが帰化してはびこり害草化していることと本質的には同じ…。

スイカズラの全草
↑ 南あわじ市灘土生の防潮堤で元気よく生育するスイカズラ。コンクリートの壁に登っております。

スイカズラは有名な薬草
身近にあって忘れ去られた薬草に、スイカズラがあります。薬の品質規格基準書であるところの厚生労働省の 『日本薬局方・にほんやっきょくほう』 にニンドウという名で収録されています。国家のお墨付きの薬草であります。“忍冬・ニンドウ” と言えば中国の有名な漢方薬でありますが、中国のニンドウにごく近縁の蔓植物のスイカズラも成分は変わるものではなく、古くから人々の間で薬草として利用されてきました。とりわけ、400年余り前に、戦国武将たちが群雄割拠して内戦・分裂状態の日本国を統一して最高権力者の座に就いた徳川家康が、スイカズラから作る “忍冬酒・にんどうしゅ” を愛飲していたことは良く知られてています。しかしながら、西洋医学の薬が普及するにつれてスイカズラが薬草であったことは次第に忘れ去られ、家康が愛飲したという忍冬酒も全く幻の薬酒となってしまいました…。


酒税法違反に当たるかも?
淡路島南部の南あわじ市の山野では、6月の今頃がスイカズラの花期であります。もう花期は終盤かもしれませんが、身近なところで沢山咲いております。ありふれた普通種でありますが、本種は歴史上有名な薬草です。焼酎にスイカズラの花とコウジとモチ米を投入して糖化発酵させて造るのですが、ひょっとしたら酒税法違反に抵触する可能性が無きにしも非ずです。コウジで糖化発酵させても甘酒になるだけでアルコールはできません。アルコール分は最初にある焼酎の分だけです。さらにアルコールを醸造させるわけではないのですが、禁じられているみたいです。で、その作り方を研究してみましょうということであります。(実際に作るのではなく、文献調査等により作り方の研究です。逃げ口上ではありません。)実際につくるのは焼酎と氷砂糖で作ります。これならば酒税法違反に抵触しないみたいです。ま、逮捕されるのも厭わない方は、コウジを入れるといいでしょう…。

薬事法違反に当たるのかどうか??
なお、スイカズラは忍冬という名の生薬の原料であり、この忍冬(ニンドウ)は厚生労働省の 『第十六改正日本薬局方』 に収録されています。で、スイカズラで忍冬酒を造ることは薬事法に抵触しないか? という危惧が少しありそうですので、造るまえに、造っても良いものかどうか厚生労働省に問い合わせしたほうがいいかもしれません。


スイカズラで徳川家康が愛飲した忍冬酒をつくるのは、いろいろとヤバい面がありそうですから、実際に家庭で作るのはこっそりと造る必要がありそうです。“忍冬酒が出来たよ!” などと、おおっぴらに吹聴するのはマズイです。逆に申せばヤバイからこそ造ってみたいのが人間の心理でもありますが…。

スイカズラの花は金銀花
↑ スイカズラの花です。南あわじ市では花期は5月下旬~6月中旬ぐらいですが、山の方にいくと結構遅くまで咲いております。1個1個の花の寿命は2~3日なんですが、次々に咲いていくので花期は1カ月ぐらいの幅があります。葉は個体によって変異が大きく、丸っこい物から長細いもの、時には葉の縁がギザギザになったものなど変化に富みます。花も最初は白で翌日に黄色に変化しますが、変化の程度もその個体により差がありそうです。時には紫がかった薄い赤い花のものが出てきます

スイカズラは日本薬局方に収録されている!
第十六改正『日本薬局方』1563頁から
↑ 平成23年3月24日、厚生労働省告示第65号の 『第十六改正日本薬局方』 1563頁を写真に撮りました。本品はスイカズラの葉及び茎であると書かれています。それにしても、居ながらにして厚生労働省のホームページで日本薬局方が閲覧できるようになったのは、便利な時代になりましたね。昔は大きな図書館に行かないと見られませんでした…。

●話題が少しそれるのですけれども、スイカズラの学名は上掲の写真引用にある通り、Lonicera japonica Thunberg であります。しいてカタカナ読みすれば、 “ロニケラ ヤポニカ チュンベリー” でありましょうか? 学名は申すまでもなく “属名+種小名” の二名法で斜体字で書き、できれば命名者を付記するものでありましょうが、スイカズラの学名の命名者は有名な チュンベリー のようです。ケンペル、シーボルトと並んで江戸時代の日本に西洋医学をもたらした出島の3学者です。みな医者であると共に博物学者・植物学者であり、日本の近代化に果たした貢献は偉大でありましょう。たしか、日本史の教科書にも名前が載っていたと思います。

(拙稿は続く)

国民の多数派がTPPに反対じゃあ!! マスゴミは嘘を報道するな。
見よ! 翩翻(へんぽん)とはためくTPP反対のノボリ!

↓ あわじ島農業協同組合の某支所で掲げられているノボリです。(兵庫県淡路島にて)
TPP反対の幟

多くの団体が、業種の壁を越えて横断的に、TPP断固反対を主張しています。消費者・生活者・労働者の立場からは圧倒的に多数派がTPPに断固反対です。一方、賛成しているのは日本経団連を代表とする大企業連合であります。政治献金というカネで癒着している政・官・業であります。ここで、選挙権を持つ主権者は誰か? を考えてみると、それは明らかに消費者・生活者・労働者の個人( = 自然人)です。大企業( = 法人)は選挙権を持っておりませんから、換言するならば、企業は主権者ではありません。にもかかわらず主権者でもない法人たる大企業が政治をカネの力で支配しているのは問題でありましょう。やはり、企業団体の政治献金全面禁止という主張が出てくるのは、しごく当たり前のことでありましょう。

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以下、TPPに反対もしくは懐疑的な諸団体の主張に耳を傾けてみました

全国町村会 は、2013年3月15日に、政府のTPP交渉参加表明を受け、全国町村会は会長コメントを発表しています。 安倍首相の「TPP交渉参加表明」に対するコメント
「安倍首相は、先月の日米共同声明を踏まえ、TPP交渉への参加を表明したが、これは、農林漁業だけでなく地域経済・社会の崩壊をまねくTPP参加には絶対に反対であると繰り返し主張してきた我々の意見を全く無視したものであり、極めて遺憾である。」

日本消費者連盟 もTPPに強く反対。 「安倍首相のTPP参加表明に抗議し、参加を撤回することを求めます」
「安倍首相は国民の反対を押し切り、2013年3月15日、TPP協議に日本政府が参加することを正式に表明した。日本消費者連盟は去る2月25日、安倍首相が日米共同声明にかこつけて、国民をだまし、2012年12月の自民党の選挙公約に違反して、参加へむけて一歩踏み出したことに抗議したが、農業はもちろん、それにとどまらず、様々な分野の国民生活にアメリカ仕様のルールを押し付けられるTPP交渉への参加は許されない。また、就任直後に堂々と公約破りをすることは民主政治の根幹にかかることであり、絶対に許されない。TPP交渉に正式に参加表明したことに断固抗議し、ただちにこれを撤回することを求める。」


しゅふれん(主婦連合会) も大反対。TPPへの交渉参加に断固反対する緊急アピール
「安倍首相は、多くの消費者・国民の反対を顧みることなく、本日3月15日、TPP交渉への参加を正式に表明されました。TPPは、従来の貿易協定とは異なり、日本社会に重大な危険や不利益をもたらす協定であることを踏まえ、主婦連合会は、次の理由から、安倍首相の参加表明に強く抗議するとともに、改めて、協定参加に反対を表明します。」


JA全中(全国農業協同組合中央会) もTPP交渉参加に徹底的に反対。萬歳 章会長のTPP断固反対のメッセージ
「TPPは、国のかたちを一変させる極端な交渉であるという懸念が国民の間にあるなかで、総理が極めて前のめりな姿勢で参加表明に踏み切ったことは到底納得できない。全国の農業者とともに、強い憤りをもって抗議する。TPPの基本的な枠組みは何ら変わっておらず、日米共同声明に基づく総理の「聖域なき関税撤廃が前提ではない」という認識は理解できない。この我々の疑問に対し、十分な説明がなく、政府統一試算も事前に情報開示しないまま、拙速に参加表明した政府の姿勢は、極めて遺憾である。」


農民連(農民運動全国連合会) も強く反対。 (声明) TPP交渉への参加表明に抗議し、撤回を要求する
「安倍首相は本日、国民の強い反対を黙殺し、公約を裏切ってTPP交渉への参加を表明した。阿倍首相は、あたかも交渉で国益を守れるかのように強調したが、「守るべきものを守れない」のがTPPである。「日本を取り戻す」どころか「日本を売り渡す」安倍政権の参加表明に強い怒りをこめて抗議し、撤回を要求する。」


日本医師会 も猛反対です。 横倉義武会長の声明 「TPP 交渉参加について」
「日本医師会は、かねてから、将来にわたって国民皆保険を堅持することを強く求めると同時に、ISD 条項により日本の公的医療保険制度が参入障壁であるとして外国から提訴されることに懸念を示して参りました。今後、日本はTPP 交渉に参加して議論をすることになりますが、日本医師会は、世界に誇る国民皆保険を守るために、第1 に公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること、第2 に混合診療を全面解禁しないこと、第3 に営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと、の3 つが絶対に守られるよう、厳しく求めていきます。もし、日本の国益に反すると判断された場合は、TPP 交渉から速やかに撤退するという選択肢も持つべきです。」


日本弁護士連合会 は反対を明確にしていないが、日弁連新聞 第457号 で、事務次長 市毛由美子氏が次のように言っています。
「一昨年来、環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加問題を巡り、日弁連の立場について問い合わせをいただくことがある。しかし、意見形成の前提となる協定案や交渉内容の確認ができないため、現段階では意見を取りまとめるに至っていない。外務省の説明によると、交渉参加国と非参加国との間では情報共有や協議が禁止されており、現在協議が行われている21分野の具体的内容や条文案は、日本政府の交渉参加が認められてはじめて開示されることになるという。21分野のうち、弁護士業務に関わるのは「越境サービス」「商用関係者の移動」「紛争解決」であるが、他にも「電子商取引」「投資」「知的財産権」「競争政策」「環境」「労働」等、日弁連が検討すべき分野は多岐にわたると想定される。今春以降、日本が交渉に参加した場合には、これらの各分野について正確な情報を入手した上で、関連委員会にて調査検討して、テーマごとに必要に応じ意見を発信していくことになると思われる。」


私の傍白】 日弁連は弁護士らしいそつのない言い方です。いわゆる “訴状が来ていないからコメントしようがない” ということでありましょう。TPPは、交渉に参加してはじめて具体的内容や条文案が開示されるなどというとんでもない秘密主義なので、正確な詳細が全く不明であるから、反対するも受け入れるも言いようが無い、ということでありましょう…。なるほど、ある意味では全くその通りです。けれども、日弁連もかなり懸念を抱いていることがハッキリとにじみ出ています。訴状の文言の一言一句は不明ではありますが、断片的にリークされる情報を統合すれば、交渉に参加して詳細が分かってから反対するのでは手遅れであります。推認ではなく証拠を重んじる法律家・弁護士独特の慎重さが裏目に出そうですね…。いま反対しなくてどうするんだ! そもそも、協定の内容がほとんど知らされずに、とにかく入るか入らないかのみ迫まられること自体が不自然であります。協定の条文案が事前に開示されないということは、常識的に考えても、よほど日本にとって不利なことが書いてあるのにちがいありません。それは、まるで、何が書いてあるのか不明の契約書に判を押せというのと同然で、きわめて詐欺的・暴力的であります。

幕末の1858年に江戸幕府がアメリカと 『日米修好通商条約』 を取り結んだが、アメリカに領事裁判権を呑まされ、日本に関税自主権がなかったから、不平等条約であったと歴史的な評価になっています。この不平等条約を廃棄するのに明治新政府は苦しみ40年かかりました。1960年にアメリカと結ばれた 『日米地位協定』 の不平等性も多くの人々が指摘しています。いま日本が引きずり込まれようとしているTPPも不平等協定の色合いが濃厚であります。関連することを申せば、1994年から2008年まで続いた 『年次改革要望書』 は事実上はアメリカからの命令書でありました。鳩山首相は、毎年秋に米国から来ていたこの年次改革要望書を破棄しました。これは画期的な功績であったのにもかかわらず、米国隷属勢力のネガティブキャンペーンによって潰されました。しかし次の菅直人首相が 『日米経済調和対話』 と名前を変えて復活させました。この国は、昔から、内弁慶的なところがあって政府は国民にたいしては居丈高で、アジア諸国には高圧的に嵩にかかって偉そうにするのに、外圧とりわけアメリカからの圧力には極めて弱いようです。歴史をちゃんと見れば、アメリカに不平等条約や一方的な協定を次々に呑まされているようです…。


全国保険医団体連合会 も反対。TPPの危険な正体  国民皆保険が危機に
「TPPを熱心に推進しているのは民間保険会社と製薬会社で、医薬品価格を引き上げ、公的医療保険を縮小することで利益を得る業界である。結局、TPPの本質的な目的は、参加国の国内制度やルールを米国のグローバル企業にとって有利な基準に変えてしまおうということなのである。」

全国知事会 は、TPPに強い疑念を抱き TPP協定交渉に関する緊急要請 を政府に要請しています。
「TPP協定については、農林水産分野のみならず、国民生活のあらゆる分野に大きな影響を与えることが想定されることから、これまで求めてきた確認事項に対する明確な回答を含め、国民に対する十分な情報開示及び明確な説明を行い、国民的議論を行うことを繰り返し要請してきたところです。しかしながら、これまで求めてきた具体的な対応が政府においてなされないまま、去る3月15日、安倍首相がTPP協定交渉への参加を表明されました。このため、全国知事会として、次のことを緊急に提言します。」 3点を提言していますが詳細はリンク先を閲覧。


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捜せば、TPPに反対や懐疑的な団体はまだまだ沢山あるでしょう…。

とりわけTPPに断固反対なのは、意外にも?自民党であり安部首相ではないのかな?? 何べんでも証拠写真を再確認いたします。 ありゃあ、自民党もTPPに反対なんだ! こりゃあ、みんな反対じゃねえのか。ひとり賛成しているのは日本経団連の米倉会長ぐらいだ…。

沖縄県宮古島での話か?

本物か?

本物か?

干天に慈雨あり、遅れていた田植えができそう。
わが淡路島の南部地域は、今年になってからというものは例年よりも雨が少なく、特産品であるところのタマネギの玉太りが芳しくなく、少雨による被害が発生しかけておりました。が、本日午後2時から雨らしい雨になり、田畑がしっとりと潤っております。農家の人は日照りで田植えが出来らんと嘆いておりましたが、これで田植えができそうです。

気象庁ホームページ から借用。本日、2013年6月15日14時30分のレーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻):近畿地方 であります。南あわじ市の全域が降雨強度10~20mm/hの降雨帯に入って、しっかりと降っております。

2013年6月15日14時30分 レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻):近畿地方

2013.06.15 淡路島各地の雨量
↑ 国土交通省 リアルタイム川の防災情報 から雨量観測データを取得し作表しました。このところ消滅状態にあった梅雨前線が復活・顕現化し、降雨帯の東進にともない、淡路島でも、6月15日の昼過ぎから雨が降り始め晩まで降った。降雨強度が10~20ミリ/時としっかりとした降り方でありました。 国土交通省の雨量観測所は淡路島内に23か所もあり、気象庁アメダスよりも数倍の高密度ですが、それは河川の防災という観点から設置されているもので、河川やダムの所在に偏在しているのが難点です。しかしまあ、それは目的外利用なのでやむを得ません…。表中で(気象)と明記されている3か所のところは気象庁の観測所であります。勝手に作成した表では、総雨量だけではなく1時間毎の雨量も記録しましたが、この一覧表を見ると、約600平方キロという狭い淡路島であるのに、各地の雨量には驚くほど大きなばらつきがあります。降雨量の多寡がかなり極端であります。

●淡路島の北部では50~60ミリ程度、淡路島の中南部の、福良~洲本を結ぶライン上で70~80ミリの降雨があり、一時は20ミリ/時の降雨強度を越え激しく降りました。淡路島南部の山地では30ミリ、淡路島最南端の灘~沼島では僅か10数ミリと少なくなっております。


【旱魃懸念から一転して、日降水量の全国ランキング8位 (2013年6月15日)】
2013年6月15日 日降水量の全国ランキング
↑ 気象庁ホームページ から抜粋借用。

これでも、まだ、自民党に票を入れるのだろうか??
政治不信ここに極まれり、としか言いようがありません。菅直人―野田佳彦ラインの民主党も、マニュフェストを反故にしたという意味で醜悪きわまりない悪徳政権でありましたが、安倍晋三内閣も公約なんて舌先三寸の出まかせのウソ八百という意味で醜悪なる欺瞞政権であります。マニュフェストと言おうが、公約と言ようが、候補者や政党の主張は詐欺師の口上とほとんど等価であることがハッキリしました。もはや、なにを言っても信用ならない…。 われわれ有権者はいったい何を信じて誰に1票を託したらいいのだろうか??

票をもらうときだけ、断固反対を叫ぶ欺瞞。詐欺師でももっと上手くウソを吐くよね…。

石川啄木は、「ふるさとの 山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山は ありがたきかな」 と東北地方の名峰、岩手山(2041m)を前にして詠みました。『一握の砂』所収。政治家どもから虚仮にされているわれわれ有権者は、字余りだらけですが、次のように詠むしかないのでしょうかねえ??

選挙の ポスターに向かひて 言ふことなし 選挙ポスターは 嘘八百かな


↓ 最近ネット情報空間で話題になっている1枚の写真。誰が撮ったのか、出典は不明であるが、先月の5月、沖縄県でのハナシらしいです…。
沖縄県宮古島での話か?

↓ 下の2枚の写真は今年の1月から2月ごろ話題沸騰になったもの。山形県でのハナシだったようであります。
本物か?

本物か?


山頂から見渡せる距離 (その3) 実際に目視できる 「視地平距離」 は、三平方の定理で求めた数字の7~8%増し。 
光は、かならずしも真っ直ぐには進まない…
光は真空中では真っ直ぐに進むとされるのですけれども、強い重力場の影響を受けると光の進路は曲げられます。また、光が真空中ではなく、たとえば空気とか水とかの媒質の中を進むとき、光の進路上の、その媒質に密度変化があったら光の進路は曲げられます。この、必ずしも光は真っ直ぐに進まないということが、富士山から水平線(地平線)を遠望したとき、幾何学的な計算上の水平線を越えて、より遠いもの(より遠い水平線)が見えてしまう要因なのでありましょう。

光が真っ直ぐに進まない(屈折する)ことにより起こる現象
2011.10.03 拙記事 「浮島現象、今秋初めて現る!」 より写真を再掲いたします。掲げた2枚の写真は、写真を撮る十分な機材がないために、極めて不鮮明ではありますが、島が浮きあがったり遠くの建物群がゆらゆらと幽霊みたいに足がないのが分かります。これらは浮島現象と呼ばれる蜃気楼の一種です。これは下位蜃気楼で、海面上の空気が暖かく、その上に冷たい空気が乗っかっていると光が真っ直ぐに進まずに、曲がって進むために生じると説明されますが、拙記事にリンクしてある日本気象学会の解説記事に図解があります。

『光と色と』 様 「海上に現れる蛤の化け物 蜃気楼の仕組み」 が簡単明瞭に解説しています。上位蜃気楼と、下位蜃気楼の発生気象条件は全く正反対です。

上位蜃気楼(富山湾の蜃気楼が有名)……… 上暖下令 春から夏におこる。 冷たい水の上に暖気浸入。
下位蜃気楼(浮き島や、逃げ水など) ……… 下暖上冷 秋から冬に起こる。 暖かい水の上に寒波襲来。


以下2枚の写真は下位蜃気楼の浮島現象
2011年10月に、兵庫県南あわじ市灘海岸から、和歌山県を遠望したもの。わたくし山のキノコの作品です。

浮島現象

建物が空中に浮かぶように見える

だるま太陽など歪んだ落日も、空気の粗密の揺らぎで光の進路が乱れるためでありましょう
グーグル画像検索で 「sunset mirage」 をキーワードに検索してみた 写真の不足をグーグル画像検索に補っていただきます。グーグル画像検索は大変すぐれものです。どこのどなたが撮ったのか全くわかりませんが、英語検索をかけたので恐らく世界各国のカメラマンが撮った写真であろうかと思うのですが、色々な面白い形の太陽が見られます。これらいびつな太陽も光がいろいろと屈折して進むために起こった現象でありましょう…。

 
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大気差について
●星などの天体が水平線(地平線)近くにまで落ちてくると、天体からの光は大気の厚い層を通ってくるので、光の経路は直進ではなく下方(大気の密度が高い方に)に曲げられます。そのために天体の真の高度よりも、見かけの高度のほうが高くなってしまいます。その高度の差が大気差であります。水平線ギリギリのところでは0.5~0.6度もあります。しかし、それは必ずしも一定の数値ではなく、その時の湿度・気圧・気温など大気の物理状態によって変化するものであり、大変複雑な計算をしなければ大気差が求められないらしいですが、考えたら、光が自分の目に飛び込んでくるまでの経路上の空気の物理的性質など全て分かるハズがなく、したがって真に精緻には計算しようがないのでは? まあ、近似的に、経験的に、これぐらいか? ということでしょうかねえ?

ところで、水平線に今まさに沈む夕日はやや扁平になることが多いのですが、この大気差から説明が付きそうですね。太陽の視直径は0.53度とされますが、いままさに太陽の下の縁が水平線に達したとき、下に掲げた理科年表の表から、太陽の下限と上限では大気差が2割ほども異なっています。これが落日が少し扁平に見えることが多い理由でありそうな感じがします。 また、水平線近くでは大気差と太陽の視直径がほぼ同じ数値です。ということは、日没の際、太陽の下限が水平線にタッチしたときには、本当は、太陽はちょうど水平線の下に没し終わったところといえましょう。逆に申せば、本当は沈んでいる筈の太陽がまだ見えていることを意味していましょう。

なお、太陽の光が地球に届くのには8分ちょっとかかります。したがって、今見ている太陽は8分前の太陽です。1分に太陽が動く大きさは、360(度)÷1436(分)≒0.25(度)になり、0.25(度)×8(分)=2(度)となります。すなわち、太陽はすでに3個分の角度だけ没しているじゃねえか、とツッコミが入りそうですが、それはまた別の話であります。

「大気差」 「視地平距離」 はどこのどなたが作成したのかは不明ですが、とても参考になります。 見えている月がそこにはない 大気差の仕組み は説明が簡単すぎるきらいがありますが、分かりやすいです。
 

主な視高度について大気差の数値

大気中の光の経路は屈折する
↑ 作図はあまり上手くないけれども山のキノコが作成した。

さて、以上を踏まえて拙稿のその1で示したところの、山の上から水平線(地平線)を遠望して見ることが出来る最遠のところまでの距離の簡便計算法を、大気差を考慮に入れて書き直します。

●視地平距離を計算するのに、海上保安庁水路部では、天測計算表及び灯台表において経験的に次の式を使用しているということであります。われわれは山登りなのであって、航海士ではないのですけれども、この近似的な計算法は大いに参考にできるのではないでしょうか? 山でも海の男たちの知恵を大いに活用しませう。
Dh=2.072・(h)0.5 (天測計算表)
Dh=2.083・(h)0.5 (灯台表)

なおDhは視地平距離、2.072および2.083の数字は海里(1海里=1852m)、0.5乗とは平方根のことです。

3570 × 山の高さの正の平方根 (三平方の定理からの計算で、大気差が考慮されていない)

3837 × 山の高さの正の平方根 (海上保安庁・天測計算表からの視地平距離) 
3857 × 山の高さの正の平方根 (海上保安庁・灯台表からの視地平距離)

●海上保安庁の経験則に基づく簡便な計算式は2つあるので、中間をとればいいかも??
3847 × 山の高さ(m)の正の平方根
富士山の山頂から遠望して目視できる水平線までの距離は、3847 × √3776 = 236395mで、おおよそ236km先に目視している水平線があることになります。どうりで、妙法山が見えるわけだ。

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瀬戸内海に沈む落日です。朱色が目にまぶしい美しい写真です。この太陽が、実は、もうすでに水平線の下に没していると言っても、信じられるだろうか? 「大気差」などという用語は、光学・天体観測・航海・測量などの専門分野の人々以外の、一般の者では一部の天文ファンぐらいしか知られていないから、ほとんどの人は信じないに違いない……。おたけさんの作品
↑写真家になった「おたけさん」の作品です。綺麗な写真ですねえ。また、お借りして再掲させていただきます。おたけさんにはいつもお世話になり有難うございます。お借りした写真は手を変え視点・視座を変えて何回でも活用させていただきます。

●大気差を考慮に入れると、この太陽はすでに水平線の下に沈んでおります。写真に見えている太陽は、光が曲がって進んだために水面下に落ちた太陽が見えているだけです。つまり、本当はすでに見えなくなっているにもかかわらず光が屈折して進むために見えているもので、たとえるならば蜃気楼か幻影みたいなものなのです。


このように、自然界でも、今見ているものが本当の姿ではないということが実際にあるのです。まさか? と不思議に思えることが沢山あるのです。今、自分の目で見ているものが本当なのだろうか? と疑ってみることが必要といえましょう。自然は人の目を騙す意思はないのでしょうが(生物はありますが)、ウソがあるのです。まして、欲望に目がくらんだ人の世の中というのは、社会現象や人文現象は錯覚・幻視・虚構・欺瞞・詐欺だらけかもしれません…。そういう前提に於いて、原発は安いとか、TPPは日本の為になるとか、消費税10%はしかたがないとか、生長を目指すアジェンダは正しいとか、オスプレイが日本列島を飛び回るのは国防上必要だ、などの権力者からのプロパガンダは疑ったほうが宜しそうで…。1カ月後に参議院選挙ですが、有権者がプロパガンダに乗せられないか心配しております。が、清き1票を投票するべき候補者がおれへんわなあ…。どの候補者も権力者たちのしもべ、手先ばかりだよね…。

山頂から見渡せる距離 (その2) 富士山から幾何学計算では見えない筈の妙法山が見える?!
山頂から見渡せる距離 (その1) の続編であります】

富士山(3776m)の頂上から、どこまで見えるのか? 逆に富士山を見ることが出来る最遠の地はどこなのか? どちらも同じことでありますが、和歌山県那智勝浦町の妙法山(749メートル)といわれております。

和歌山県 那智勝浦町ホームページ 「富士山が見える最遠の地」

●那智勝浦町のホームページを閲覧すると、那智大社の裏山である妙法山(749m)で、土地の写真家が撮影した富士山の写真が掲載されています。あまり鮮明とは言えませんが、たしかに、水平線上に富士山の山頂部分が認められます。富士山の山頂の火口は、南西側から見た場合の直径走向の、北西ー南東で0.75キロほどあります。それを物差しにすると山頂付近海抜3000m以上が見えているという感じがします。あるいは海抜3200~3300m以上ぐらいか? 正確には分かりませんが、妙法山から富士山が見えるのは間違いなさそうです。那智勝浦町では、この富士山の見える限界の場所を「妙法山富士見台」として整備しているようです。むかしの熊野詣の際に、熊野古道から「富士山が見えた」との言い伝えがあったり、地元の山師のあいだでも「妙法山から富士山が見える」と言われていたとのことです。

●それまでは富士山が見える最遠の地は大台ケ原山(1695m)だとされていたそうですが、昔、私は三重県に住んだことがあり、奈良県と三重県の県境にある大台ケ原山はじめ紀伊半島の山を足しげく登りましたが、私も、4月中旬のまだ残雪が残っていたときに大台ケ原山から富士山を確認しています。て言うか三重県中部・南部の500~1000mぐらいの山々から富士山はしばしいば見えます。逆に富士山から伊勢湾の向こう側の山々(紀伊半島の山々)が見えます。もちろん、むかし「異常透明」と表現するような地上で視程50キロ以上のような空気が澄み切っていることが条件でありますが…。


ところが、幾何学的計算では、妙法山から富士山は絶対に見えない計算になるのです。どう計算しても、妙法山から富士山を遠望したら水平線直下に沈んでしまいます。じゃあ、見えない筈の富士山が何故見えるのだろうか? とても不思議です。 

幾何学的な地平距離を計算してみると…

図で示すと…

●計算では、富士山から見えるのは幾何学的な水平線上のB点までで、そこから先は水平線上の向こう側に落ちています。妙法山は見える筈がありません。逆に妙法山から見えるのもC点までで、そこから先は全くみえません。もしB点とC点とが1点に重なる状況であっても、両山から見て、相手の山の頂きが水平線とようやく重なっているという状況でありましょう…。

大気中を進む光は、必ずしも真っ直ぐではない! 曲がることもある。そのために見えない筈のものが見えたり、逆に見える筈のものが見えなくなったりということが起こりますが、長くなるので次のエントリーに続くとします。


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余談
富士山が世界遺産になるんやろか? ああ、なんぼ考えても残念やな。
●富士山が世界遺産となる可能性が高まっていますが、非常に残念であります。世間の常識と裏腹に、これは実は喜ばしいことではないのです。富士山観光でメシを食っている静岡県・山梨県の方から反発がくるかもしれませんが、富士山は両県だけのものではありません。日本人みんなの宝、日本の象徴でもあります。で、異論を唱えることにご寛容を賜わりまして、このような真逆の考え方もあるということで、少し書かせていただきます。

そもそも世界遺産条約の趣旨は、保護・保全です。観光振興などではありません
そもそも世界遺産という条約の趣旨は、普遍的価値のある  世界遺産の“保護・保存” であり “将来世代に伝える” ことなんです。観光振興などでは全くありません。 世界遺産は申すまでもなく1972年にユネスコ総会で採択され1975年に発効した 世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約 にもとづくもので、日本は1992年に参加しています。 外務省の広報 をみても、文化庁の説明 を見ても、世界遺産条約の目的は観光振興だなどとは全く言っていません。官庁の説明の文言を引用すれば 「損傷、破壊等の脅威から保護し、保存するための国際的な協力及び援助の体制を確立」が世界遺産条約の目的であります。

みんな勘違いしています
ところが、マスコミ報道や、世界遺産登録運動をしている地域の取り組みや、観光業界や、さらには文化庁や環境省でさえ、世界遺産を観光振興のための箔付けの材料と捉えているんです。条約の趣旨が完全にねじ曲げられているんです。こんなおかしな話はありません。もし、富士山が世界遺産に登録されたならば、破壊や損傷から富士山を守るために、登山客の入山制限が必要です。富士山のゴミ問題が言われていますが、富士山の裾野に侵入する道路に検問所を設けて車両進入を禁止する必要があります。究極の保護は富士山周辺に観光客を立ち入らせないこと、遠くから眺めるだけ、です。これが本当の保護・保存です。なお、大沢崩れで崩壊していくのは自然の現象だからしかたがないわけで、ほうっておけばいいのです。そもそも、世界遺産の保護・保全と、観光振興とは、あい容れざる矛盾する概念なのであります。ところが、富士山周辺の自治体とか観光業界は観光振興のために富士山を世界遺産にしようとしているのであって、それは条約の趣旨に照らし合わせると、間違っています。アフリカの国などで、世界自然遺産を保全するための活動資金が不足するために、その財源作りのため積極的に観光客を誘致するということはあるし、認められています。けれども、それは保全するという趣旨のなかでのハナシであって、観光振興ではありません。ようするに、日本の社会の世界遺産にたいする受け止め方や姿勢は、条約の崇高な趣旨に照らすと、まったく間違っています。

富士山が世界遺産になったところで、観光客はたいして増えません
百歩ゆずり拙主張を取り下げて、よしんば世界遺産が観光振興のためのものであったとしても、ハッキリ言って、観光客はほとんど増えないでしょう…。賭けをしてもいいです。日本は世界遺産条約に1992年に参加して21年が経ちました。その間に12件の文化遺産と4件の自然遺産が世界遺産に登録されています。それらの登録後の観光客の入り込み数をチェックしたらじきにわかります。観光客が増えた世界遺産もありますが、観光客が全く増えなかった世界遺産も多いのです。ケースバイケースでありますが、傾向としては知名度のなかった観光地は観光入り込み数は確実に増えます。(白神山地など)昔から有名な観光地ならば世界遺産になったからと言って、観光客増加効果は全く当て外れだったんです。富士山は完璧に後者です。日本人で富士山を知らない人はいません。登ったことがない人は多いでしょうし、まだ見たことがない人はおりましょう。けれども富士山の名を知らない人はいません。そもそも富士山は傑出して超有名な観光地なのです。いまさら、世界遺産でもないでしょう…。それに世界遺産は国内に既に16個もあるんです。もう食傷ぎみです。世界遺産騒動はもううんざりなんですよ…。
世界遺産に登録されたからと言って、必ずしも、観光客数が増えるわけではない! 姫路城の例

富士山は日本の象徴であります。世界遺産からは超越した存在であり、審査の対象外なのです。
●富士山は伊勢神宮と並んで日本の象徴であります。この両者は単に観光資源などではありません。富士山は記紀万葉の昔から、古典文学にたくさん登場します。交通の便がなく歩くしかなかった古い時代に、都であったところから遠く離れた僻遠の駿河の国の山が、詩歌に歌われ文学に頻出するといことは、いかに古代の人々の心を捉えていたかが分かります。伊勢神宮も同様で、昔は、江戸時代以前には人々は一生に一度だけお伊勢参りできるかどうかが唯一の旅行であり、今でいうならば、一生に一度だけ南極にいけるかどうか? というほどのものであったと思われます。この日本人の(観念的なものですけれども)心のふるさとであり、日本の象徴である富士山と伊勢神宮だけは、観光などというものから超越する存在です。審査とか評価がふさわしくない存在です。審査するまでもなく最高級の価値を持つものなのです。

●審査とか評価とか言う場合には、審査員がおって高みから審査対象を見降ろしています。高みから見て、これは良し、これはダメと点数を付けて価値の等級を付けるわけです。その審査する人には非欧米人も多く居るようですがその審査基準は西洋の物という色彩が強そうです。審査するという行為は冒涜ですらあります。富士山は下から見上げるべき存在なのであって、高みから見降ろすのは良くないのです。審査しようが、審査しまいが、富士山と伊勢神宮だけは絶対的な価値をもっている超越的存在であり、審査するのは超越的存在に失礼な行為なのであります。

われわれ日本人は西洋人とは別の文化的背景を背負っています。別の価値観や物の見方を持っています。例えば、西洋人は自然を「管理するもの」「人間の役にたてるもの」という考え方をが強いので、じきに保護するなどと言います。けれども日本人は自然を「人間と対置するもの」と考えないです。人間も自然の一部であり、人間は自然の中に溶け込んで共存するもの、したがって自然を管理だの保護だのという傲岸不遜な考えはなく、自然から恵みを戴くものと考えるわけです。伊勢神宮(正確には神宮、あるいは伊勢の神宮です)は20年に1度神殿を建て直す式年遷宮という文化があり、もし世界遺産にしようとするならば建物自体ではなく1200年前の建築様式を継承している無形文化を評価せねばならず、世界遺産に推薦しづらい面がありましょう。しかし、ここには西洋の石の文化とは全く異なる文化があるわけで、この一点をみただけでも世界遺産の基準で評価などできないものです。このような文化の相違、価値観・自然観の相違から、西洋の基準で富士山や伊勢神宮を審査対象とさせたら、冒涜以外のなにものでもありません。富士山と伊勢神宮だけは、世界遺産などという西洋の価値基準に基づくものからは超越した存在なのです。世界遺産など無視して相手にしない…、という姿勢が日本人としての誇りや矜持でありましょう…。


山頂から見渡せる距離 (その1)
●京都にお住まいの登山家のKさんから、メッセージが届きました。

三俣にはひと夏だけとの思いで入山したのですが、秋、山から下りてくるとスキー場から「ぜひ今年も来て欲しい」との連絡があり「望まれるなら…」と、いい気になって、結局のところズルズルと夏は山小屋、冬はスキー場と、6年間も繰り返す羽目になりました。人間を形成する(であろう)一番大事な30歳前後を足が地に着かない、いい加減なことをして過ごしてしまったわけです。まだ、独身でしたのできたのかも。
勤めでの人間関係のわずらわしさはあまり関係なく、電気(自家発電はあったのですが)もない、水道もない、6月から10月までの4ヶ月間風呂もない、夜明けとともに起き出して、日暮れとともに就寝の日々、自然相手の生活、まことに新鮮に感じたものです。今思うに後悔ですが、当時は案外嬉々としていたのかもしれません。
普通にはどのコースを辿っても2日目にしか到着できない位置なので、360度の眺望ながら周りは山ばかり。下界の灯りはまったく届かず、満天の星だけが降るように輝いていました。
6年間いたのですが、小屋の持ち主は他に、雲ノ平と水晶の小屋のオーナーで、2年間は雲ノ平で過ごしました。
雲ノ平から2時間ほど下ったところに高天原という温泉があります。


●お若いころに、北アルプスの三俣蓮華岳(2841m)の山頂直下の鞍部にある山小屋で働かれたというハナシです。山登りは誰でも、喧騒と雑踏の都会などには全く興味がありません。できれば山の中で暮らしてみたいと思うわけです。人里を遠く離れれば離れるほど、その山が急峻で高ければ高いほど、魅力的なのです。その山登りの思いを叶えられる究極の手段が山小屋で働くということでしょう。アルバイトが長居して本当の山小屋の従業員になったり、野心を起こして自ら山小屋の経営にトライしたりということもあるみたいです。要するに三度の飯よりも好きな山を職場にしてしまう…、山登りならばだれでも一度はそういうことを考えるわけです。年寄りになってはダメですが、20代の若いころには一夏だけでも山小屋でアルバイトをしてみるのは良い経験になりましょう。これから就職をしようという学生さんならば、長野県警とか富山県警に応募して山岳警備隊を目指すなども、選択肢としてありえるかも? わたくし山のキノコも若いころに富士山の山頂で夏の3か月アルバイトしたことがあります。

●三俣蓮華岳からは (たぶん山小屋の場所からはという意味でしょうが)、「360度の眺望ながら周りは山ばかり。下界の灯りはまったく届かず、満天の星だけが降るように輝いていました」ということです。山岳重畳とする北アルプスでは、その山の前衛の山が何重にも取り囲み、しかも小屋が鞍部にあったから下界の灯りが見えなかったのでしょうね。北アルプスでも北陸地方にせり出した立山ならば富山平野の灯りが見えるハズです。山にもよりましょう…。私が山頂でアルバイトした富士山は申すまでもなく独立峰です。海抜高度も他山から突き抜けています。四囲広闊にして遮るものがありません。で、関東平野一円の灯りがよく見えていました。

さて、三俣蓮華岳からの眺望はどこまで見えるのか? ですが少なくとも190キロ先の水平線まで見えるハズです。水平線(地平線)の向こうに高い山があれば、更に遠くまで見えるハズです。しかしながら、手前の山で遮られたら見えないし、ガスがかかっても、霞や黄砂で視程が落ちれば何も見えないのは当然です。富士山から伊豆諸島を眺めたら260キロ先の八丈島まで見えます。ただし、八丈島の海岸部は水平線の向こう側に落ちています。八丈富士854mと東山701mの二つの山が水平線上にポコポコっと出ているのがみえます。340キロほど離れた青ヶ島になるともはや水平線の向こう側です。 


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山頂からの可視距離について考えてみましょう
山頂から、どこまで見渡せるのだろうか? 日本一の標高を誇る富士山を例にとって考えてみます。大昔に中学生のときに学習したピタゴラスの定理で計算します。これは、たぶん、山登り・アウトドアマン・自然観察者の常識だろうと思います。ことさら下手な講釈を垂れるのは釈迦に説法で野暮というものですが、今一度、再確認ということで復習いたしましょう。  (下図は山のキノコ作成)

山頂から水平線までの距離は、直角三角形の一辺の長さを計算すればいい

●まず、富士山の頂上を A とします。また、富士山からはるか水平線を眺め見て、水平線上の任意の一点を B とします。さらに、地球の中心を O とし、富士山の頂上の鉛直真下の海抜0メートルのところを C とします。

富士山の頂上から遥か水平線 (地平線でもいいけど) を眺めて、図中の線分 AB が富士山から見渡せる距離になるのですが、この線分 AB を延長した直線は地球の接線と同等であります。

富士山の頂上 A と、地球の中心 O と、水平線の B の3点で形成される三角形は、明らかに直角三角形です。したがって富士山の頂上 A と水平線の点 B を結ぶ線分 L をピタゴラスの定理から計算すれよろしい。

留意点
1. 富士山の標高は3775.6メートルですが、目の高さ1.4メートルを加えて、3777メートルとします。そうしないと、山頂に寝そべって目の高さを地面に合わせて眺めることになってしまいます。けれども、3776でも3777でもたいして変わりません。どちらでもいいでしょう。

2. 地球の半径を、6371000メートルといたします。理由は次の通りです。
●地球は真の球形ではなく、約23時間56分で1回転している地球楕円回転体です。回転するために遠心力がはたらきます。その遠心力は赤道で最大に、緯度が高くなるにつれて小さく、両極でゼロとなりましょう。そのため世界測地系で、赤道半径が6378137メートル、極半径で6356752メートルと、赤道半径の方が極半径よりも21385メートル膨らんでいます。富士山は北緯35度台にあるのですけれども、北緯35度台の地点では、地球の中心からの半径は赤道半径よりも減少し、楕円形の式から大雑把に計算するとおおよそ6371000メートルぐらいであろうかと思います。 多くの文献やサイトでは6378kmの数値を使っておりますが、それでは富士山が赤道直下にあることになってしまいます。また、6400の数字を使う向きもありますが、それでは大雑把すぎます。それは円周率を3だと言うのに等しいです。なお、このような議論をするときには6.371×10の6乗とすべきであるかもわかりませんが、レポートを書いているわけじゃありませんし、あれやこれやと使かっている数値にどの程度の信頼性があるのか有効桁数が不明なためと、このブログでは指数などの数式が表記できないためであります。


実際の計算方法
計算方法

富士山の高さ3776で実際に計算してみると…
hの2乗を考慮に入れて計算すると、219.381km
hの2乗を無視して計算してみると、219.348km と、僅か33mの誤差です。率にして0.015%、6700分の1の僅かの誤差であります。われわれ山登りが山頂に立って、どこまで見渡せるのだろうか? と眺める際の実用としては6700分の1の誤差など問題になりません。しかも、国内の山は富士山より皆低いです。低ければ低いほど誤差も縮小します。


補記
ところで、以上考察した計算方法は、富士山の頂上から遥か水平線を遠望して、水平線までの直線距離でありましょう。いや、そうではなく、地球表面の距離ではないのか? という考え方も当然出てきます。すなわち、富士山山頂直下の海抜ゼロの点Cから、水平線のB点までの弧の長さなのでは? ということです。つまり角COBの弧の長さということであります。既に線分AB(L)の数値は算出できています。これと、地球半径の数値から、逆三角関数をつかって簡単に計算できます。

カシオ計算機株式会社様が、大変便利で優れ物のサイトを作っております。大いに活用させていただきます。
生活や実務に役立つ計算サイト 『逆三角関数(ラジアン)』 かなり精緻な計算が出来るサイトです。

アークタンジェント219381/6371000 = 0.03442071ラジアン
0.03442071ラジアン × 6371000 = 219260(m)

ピタゴラスの定理から求めたAB (L) の長さの解は、219.381kmであります。
そのAB長と地球半径から角COBのラジアンを計算し、弧CB長を求めると、219.260kmです。
弧の長さの方が、直線距離よりも僅かに短くなるようです。たった121m短いだけです。率にして0.1%短いだけです。1000分の1です。その差は小さく実用的にはこれも無視できそうです。

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大気差の問題について
しかしながら、現実の問題としてこれでハナシは終わりではありません。山の標高の正の平方根に3570を掛けて算出する方法は、決して間違っていません。理論的に幾何学的にそう計算せざるを得ないです。どの数値を採用するか? 有効数字を何桁にするか? などの問題はありましょうがどのように計算してもそんなに違いはありません。ところが、実際の山で観察すると、水平線の向こう側に落ちているハズの物が見えるのです。理論的な計算値よりも5~6%先、すなわち水平線の向こう側が見えるのです。日没寸前の太陽は、本当は、既にそこに太陽はない、見ているのは幻影であるという問題です。

【長くなるので、次エントリーに続く】


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