雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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真の積雪量は、積雪の深さではなく、積雪の質量で見るべきでは??
●拙稿 気象庁が観測した「最深積雪」の日本記録は、11メートル82センチ! の続編であります。テレビや新聞のマスメディアたちが、先日来の北日本の豪雪の象徴的事象として、青森県の八甲田山の山中に設置されている気象庁のアメダス観測所「酸ケ湯(スカユ)」の積雪の深さの観測値を、連日うるさいほど報道していました。

●マスコミたちの性癖として、なるべく大袈裟に煽って、大変な事態であるということを印象付けたい傾向が見られます。「大変な大変」主義ともいうべき報道姿勢なのですが、これは、恐らく、自分たちは社会の木鐸として、世の中に問題とか危機があれば、いち早く警鐘を鳴らして世間に知らせなければならない、とする変なプライドというか矜持みたいなものがあるからなのでしょう…。

マスコミたちは自ら自分たちは「社会の木鐸」だとか「社会の公器」だとか標榜しています。果たしてそうでしょうか? 社会の木鐸(しゃかいのぼくたく ) を辞書をひもとくと、“社会の人々をめざめさせ、教え導く人” という説明をしています。そうしますと、マスコミは自らを “社会の人々をめざめさせ、教え導く人” だなどと自称していることになってしまいます。なんとまあ傲慢で尊大なことか! われわれ社会の人々は、無知蒙昧であり、真なる物が何か判断する能力がないので、マスコミに教え導いてもらわなければならないことになります。何だか奇妙です。

●3.11以降、マスコミは政府の御用報道機関、原発ムラの走狗という印象が極めて強く、報道すべきことを報道せず、たいして報道する必要もないようなことを一生懸命に報道し、政府や省庁や電力会社が発表することを右から左へと転送するだけです。結果的に、政府や原発ムラの連中が原発事故の被害や危険性を矮小化したり隠蔽したりすることに加担しています。福島県の子供たちの被曝量は大したことがないとか、直ちには問題ではないという意味を言い張る原発ムラの論理を垂れ流すだけで、あまり批判的な報道はありませんでした。というよりも、大政翼賛会の一翼を担うような御用報道が多かったです。ここにきてTPP報道においても、マスコミは政府の広報機関同然です。3.11からほぼ2年が経過し、福島県の子供たちに甲状腺がんなどの晩発性放射線障害がハッキリ顕在化してきました。チェルノブイリどころではない深刻な状況が見えてきました。しかし、そんなことは初めから分かり切っていたことであります。マスコミが本当に社会の木鐸であるならば、せめて子供たちだけでも直ちに疎開させよというキャンペーン報道を展開して、政治の重い腰を叱咤すべきでありました。これでは、マスコミは、とても社会の木鐸などとは言えません。マスゴミ(大量のごみ)などと揶揄される所以です。

●さて、マスコミはつまらないことには力を入れて報道します。アメダス「酸ケ湯」の積雪深のデータを逐一報道していましたが、ならば、その後もどうなっているか報道してほしいものです。そうしたら、意外なことが見えてきます。下の表は気象庁が観測した 気象庁アメダス「酸ケ湯」 の観測データです。

アメダス「酸ケ湯」の1時間毎の観測データ (2013年2月26日01時~2月27日22時)
アメダス酸ケ湯 2013年2月26日 観測データ

アメダス酸ケ湯 2013年2月27日 観測データ

●アメダス「酸ケ湯」の積雪深のピークは、26日04時および05時の566センチであります。しかしながら、27日の22時には514センチとなっています。なんと52センチも減少しています。これは、降り積もったふわふわの新雪が時間の経過につれて締まったのであろうかと思われます。この間、気温が極めて低い状態で推移しています。溶けたということは考えられません。27日の日中には気温が僅かにプラス圏にまで上がっています。しかし積雪深が566センチを記録した時は気温は-10度以下です。翌27日07時に積雪531センチで、ピークから35センチ減少しています。この間の一番高い気温でも-7.3度です。この気温では溶けるということは考えられません。けれども35センチも積雪が減っているのです。

●26日、27日ともに風も弱く、風速は3~4メートルしかありません。地吹雪となるような強風であれば、降り積もった雪が強風で吹き飛ばされるということはありましょう。しかしながら、風が弱いためにそれは考えられません。27日の日中は日照時間が6.2時間あります。気温も0度近辺にまで上昇しています。したがって、積雪の上面が日射を受けて溶けたという可能性はありえます。しかしながら、この間の積雪深の変化は、-10センチ程度であります。溶けたとしても僅かなものです。また雪は蒸発(昇華)することはありますが、1昼夜の蒸発量などしれたものです。

ようするに、積雪量が566センチから514センチまで、52センチも減少した最大の要因は、降り積もったふわふわの新雪が時間の経過につれて、積雪それ自体の重さで引き締まっていったのであろうかと思います。なお、26日、27日の降水量は不明ですが、近隣のアメダスの観測データをチェックしたところ、ほとんど降水は記録されていません。おそらく酸ケ湯では降水(降雪)はなかったと思われます。


気温が非常に低い条件下での積雪はフワフワの綿みたい(比重が0.05)で、積雪量は大きく出る(普通50ミリの降水は50センチの積雪とされる)のですが、0度近辺の気温が高いときの降雪は湿った重い雪で、50ミリの降水も積雪量では10センチとか20センチになってしまいます。そして降り積もった雪は下に行くほど締まり、固まり、空気の間隙が減り、おおむね比重は0.5となるそうです。であるから、どれだけの積雪があったのか見たり、観測所ごとに比較するのであれば、積雪の深さだけでは不十分で、積雪水量でみるべきではないのか? でも、そんな観測は気象庁はしていないし、あえてするには有人観測で物凄く手間がかかりそうです。ま、マスコミがいたずらにアメダス「酸ケ湯」の観測データを逐一報道して煽りたてたのは、いかがかと思います。海抜高度の高い観測所は気温が極めて低いために、雪質がサラサラのふわふわで、積雪の深さが人里の平地の数値よりも大きく出る可能性があります。したがってそんな観測所の数値を逐一報道しないほうがいいと思います。

積雪水量 = 積雪深 × 密度 (すなわち積雪の質量)

積雪水量は降水量と同等です。積雪と降水量を併用して見るのが、真の積雪量ではないのでしょうかねえ? 


【参考サイト】
日本気象協会 『雪の重さを考える ~豪雪のまち 新潟県十日町市から~』
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嘘をつく 「ウソつかない」 ポスター!? 
●Facebookで “嘘をつく「ウソつかない」ポスター” が話題を呼んでいるそうです。ただ今、急速にネット空間に拡散中のようであります。ただし、この「ウソつかない」ポスターが本物なの? 自民党が作った本物かどうかという疑念は少しあります。阿部首相の写真が入った「日本を、取り戻す。」というポスターは多分本物でありましょう。何回も見ています。自民党政策パンフレットにありますから本物とみなして間違いないと思います。

しかしながら、他の2枚は全く初めて見るものです。中央の自民党本部が作ったポスターではなく、傘下の農村地帯にある自民党県組織あたりが独自に作ったものじゃないかな、という感じがします。もし仮に、悪質なイタズラで何者かが贋作したものであれば、悪質を通り過ぎています。犯罪的です。いつ貼ったかに依るかもしれませんが、犯罪に当たるかもしれません。実際に犯罪に当たるのかどうかは法律の専門家に聞かないと分かりませんが、相当マズイんじゃないでしょうか? で、そんな馬鹿なことをする人はいないでしょうから、やっぱり農村地帯の自民党県連あたりが自民党本部とは別個に作ったのではないか?

●自民党の公式マニュフェスト(J-ファイル2012 自民党総合政策集)は、TPPに関しては次のように言っています。
自民党マニフェスト39頁から引用
TPP に関しては、政府が国民の知らないところで、交渉参加の条件に関する安易な妥協を繰り返さぬよう、わが党として判断基準を政府に示しています。
① 政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
② 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
③ 国民皆保険制度を守る。
④ 食の安全安心の基準を守る。
⑤ 国の主権を損なうようなISD 条項※は合意しない。
⑥ 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。


●マニュフェストは、明らかに「反対」とか「断固反対」ではありません。ポスターの文言とかなり開きがあります。しいて申せば、マニュフェストで言っていることは「条件付き賛成」です。「いちおう賛成ではあるが、条件を付けている」という感じです。“原則は関税全面撤廃もしかたないけど、こちらが要求する分野の関税だけは残してくれるんだったら、反対はしないよ” と読めます。大いに妥協や歩み寄りはしますよ、ということなのです。②~⑥に関しては、これはあくまでも交渉参加した後の交渉項目であります。いま突きつけられているのは交渉に参加するのか、しないのかの国家の意思決定であります。具体的項目を交渉しているのでは決してありません。今、いくら強い決意を並べたところで意味はありません。そもそも、TPPは多国間の交渉事であってアメリカと日本だけではありません。したがってオバマ大統領が具体的項目について確約できるハズもなかろうかと思います。けれども、アメリカが主導権を握っているから、日本政府と米国の政治的な力学を考えたら、日本政府に交渉力は無いのは明白で、属国・植民地然とした日本は、宗主国のアメリカのいいなりでありましょう…。

多くの国民が心配しているのは、日本がアメリカと交渉して対等に渉りあえるのか? という危惧であります。もし政治力で日本が上位であるならば、逆に、日本の主張や基準をアメリカに呑ませることも有りです。それならばTPPの利用価値があるのですが、現実は逆です。いまだに米国の軍隊が日本に駐留しています。アメリカ兵が犯罪を犯しても日本の裁判所が裁けるわけではありません。日本は、治外法権がまかり通っている屈辱的な植民地なのです。オスプレイの交渉ひとつ見ても、日本はアメリカのいいなりになるしかありません。日本に交渉で渉り合える政治的強さなど、全くないのは明明白白なのです。そのことを、国民・有権者は危惧しているのです。

●自民党マニフェストはTPPに反対では全くありません。積極的賛成ではないというだけのハナシです。一方、出所不明のポスターでいう「断固反対」とは、普通に解釈するならば、一切の妥協も譲歩もしないということであり、とにかく、何事があろうとも反対するということでありましょう。自民党のマニフェストと「ウソつかない」ポスターとの間には、あまりにも大きな温度差というか落差があります。


それにしても、民主党はウソをついて国民の期待を裏切り、解党寸前のがけっぷちに追い込まれています。しかし、自民党もウソつき民主党と大して変わらないことがハッキリとしました。“ウソつきは政治の始まり” なのか? あるいは、平気でウソがつける才能がないと、政治家など到底努まらないということなのか?

以下、2枚の写真をネット空間で拾いましたが、出所は不明です。著作権の有無も不明です
本物か?

本物か?

気象庁が観測した「最深積雪」の日本記録は、11メートル82センチ!
やかましく報道するマスコミ
「東北と新潟は平年の2倍=日本海側積雪、酸ケ湯は記録更新」 時事通信 2月25日(月)20時44分配信
【引用開始】
 日本海側の北海道から東北、北陸では25日、強い冬型の気圧配置の影響で断続的に雪が降った。気象庁によると、積雪は北海道の日本海側で平年に比べ最大1.5倍、東北の日本海側と新潟県で2倍前後に上っており、同庁は雪崩に注意を呼び掛けている。
 青森県・八甲田山に近い観測点「酸ケ湯(すかゆ)」では25日午後8時に積雪が5メートル60センチとなり、国内に現在ある観測点の最多記録を連日更新。山形県大蔵村の「肘折(ひじおり)」では同7時に4メートル14センチ、新潟県魚沼市の「入広瀬(いりひろせ)」では3メートル82センチだった。
【引用終了】(なお、私が重要点を勝手に青色でマークした)


●ここ数日来、東北・北海道地方は厳しい寒波に襲撃されております。豪雪になっております。で、青森県の八甲田山の中腹にある気象庁アメダスの「酸ケ湯(スカユ)」の積雪観測値が、連日やかましく報道されております。気象庁ホームページ を閲覧すれば、1時間ごとの積雪の深さが居ながらにして知ることができます。新聞やテレビが毎日やかましく報道しなくても、気象庁のホームページを直接に閲覧する方が遥かに詳しく、また最新のデータを知ることができるのです。

アメダス酸ケ湯(スカユ)は、八甲田山の山中の温泉地
国土地理院「電子国土ポータル」から借用
国土地理院 「電子国土ポータル」 から借用させていただきました。酸ヶ湯(すかゆ) 温泉は、八甲田山のピークの大岳(1584.4メートル)の南西あるいは西南西2.4キロのところ、海抜880-900メートルぐらいの山の中にあるようです。人里から遠く隔たった山の中であります。海抜も高いところであり、もともと豪雪の場所のようでありますから、ここに設置されているアメダス超音波積雪計(光学式かも知れないが)が積雪○○センチだ!と観測する数字を、マスコミたちが連日やかましく報道する必要性はないように思います。もちろん、東北・北海道は厳しい寒さで豪雪となっていて、被害もでている模様であり、その対応に大変な労力や予算が費やされていますから、それはしっかりと報道しなければならないでしょうが、人里から遠く隔たった僻遠の山の中の積雪深のデータを逐一報道する必要など全くありません。

理由は実に明白です。
① 防災関係者等、豪雪の影響に対応せねばならない人々は、固唾をのんで気象観測データを見ています。
② 一般人であっても、気象に関心がある気象ファンならば、直接にデータをネットで見ています。
③ 普通の人は、特定の観測所の気象観測データなどに何の関心もない。そんなことは、どうでもいい事です。

したがいまして、マスコミが一体誰に対してアメダス酸ケ湯(スカユ)の積雪深の数字を報道しているのか? ですが、マスコミ報道を待っている人など全くいないのです。そういう意味では、マスコミの報道精神が空回りなのです。すでに「一般読者」というのが居なくなったのです。どんな問題でも、どんな分野に関する話題でも、それに関心がある人は、極めて深い情報を知りたがっています。一方、そのことに関心が無い人は、本当にまったく関心がないのです。そういう傾向が近年強くなっていますから、新聞・テレビのマスメディアの垂れ流す報道は、帯に長しタスキに短しであります。普通の人には長すぎる邪魔な帯、マニアには短すぎて役に立たないタスキという訳です…。

マスコミの狙いは危機を煽ることなのでは? 
申せば、マスコミの仕事は危機を積極的に知らせるということでありましょう。“大変な大変” の演出です。テレビのニュースで「今日は穏やかな良い一日でした。日本全国、事件も事故も何事もなく、ニュースは何もございません」と言うわけにはまいりません。新聞も何もないからと言って白紙の新聞を出すわけにはまいりません。そういう意識があるようで、自然と針小棒大に、大袈裟に、煽るような報道になるのでありましょう。で、報道におどろおどろしい表現が並びます。「記録的大雪」「統計開始以来の記録を、2日連続で更新」「積雪545cm!青森・酸ヶ湯で国内過去最高記録」「観測史上最高の545センチ」「最強寒波」「観測史上1位の記録」などなど…。報道各社により表現は色々ですが、明らかに間違っている表現も見受けられます。

気象庁が観測した過去最大の積雪深の記録は、伊吹山測候所で1927年2月14日に観測した11メートル82センチ。
●11メートル82センチが、日本で気象観測された積雪の深さの最大値です。これが本当の観測史上最大の数字であります。観測史上と言うからには、当然、気象庁の前身の中央気象台、その更に前身の東京気象台時代の観測値群も含めての第1位であるべきですし、アメダス観測所の前身ともいえる区内観測所も含めての第1位の数字こそが、本当の「観測史上最大」でありましょう。「観測史上最大」などという表現はみだりに使うべきではないと思います。使うのであれば、その観測史上最大値が出現した背後にある母集団の範囲を明確にするべきでありましょう。たとえば、その特定観測所の観測データの中での観測史上最大値なのか、国内全ての観測所のデータの中で最大値なのか、曖昧な報道が多いようです。 

●それと、そもそもアメダスは1974年から始まり、1976年から観測しているところが多いですが、観測統計期間はまだ30数年です。30年や40年弱そこらで “観測史上” などいう言葉を使うのは大袈裟であります。日本で最初の気象観測所は、1872年にできた函館気候測量所ですが、科学的な気象観測が始まってまだ140年ほどです。たった140年なのです。140年でも “史上” などという表現は大袈裟です。“史上” などと言えるのは少なくとも300年や400年積み重ねてからの表現ではないのか??


『日本気候表』から抜粋引用
↑気象庁編集『日本気候表』1991年版 413頁から抜粋引用させていただきました。滋賀県の伊吹山測候所(1919年開設2001年廃止)の極値に関するページの一部ですが、積雪深の日本最高記録の1182センチの数字が見えています。この日本記録が出た1927年には、5月1日でも、なんと3メートル61センチも積雪が残っています。気象庁のホームページ でもこの1182センチの数字がみられます。(表の一番下欄です)

●なお、伊吹山測候所(2001年廃止)は琵琶湖東岸にそびえる1377メートルの山頂にあったから、“山岳観測所じゃねえか” と言われそうですが、このたびマスコミどもが騒いでいる八甲田山中腹のアメダス酸ケ湯(すかゆ)だって山岳観測所同然ですよ。890メートルと海抜は伊吹山よりもちょっと低いですが…。それから、気象庁監修の『気象年鑑』には区内観測所の富山県上新川郡大山町真川で1945年2月26日に7メートル50センチという数字がありますし、旧国鉄の観測で長野県栄村森宮野原で1945年2月14日に7メートル85センチを記録しています。これらは一応平地(山岳ではない)の積雪日本最大値とされています。したがって、アメダス酸ケ湯(スカユ)のまだ5メートル台を、「国内過去最高記録」などとマスコミが表現するのはおかしいと思います。


日本の本当の最多積雪地は、北アルプス北部の北西斜面あたり!
Google画像検索 「雪の大谷」 を見れば物凄いです。八甲田山のアメダス酸ケ湯(すかゆ)の5メートル強など足元にも遠くおよびません。伊吹山の観測記録も全く太刀打ちできません。積雪15メートルなど当たり前、年によっては積雪20メートルを超えるみたいです。これこそ日本最強の積雪地帯でありましょう。

●申すまでもなく、富山県の黒部立山アルペンルートの立山(3003メートル)の室堂平の手前一帯であります。おそらく世界一の豪雪地でありましょう。ここが世界有数(多分世界一)の豪雪地帯になるのは必然性があります。 ①JCPZ(日本海寒帯気団収束帯)という発達した雲の帯がこのあたりにかかることが多いうえ、 ②北西の風が日本海上を吹送してくる距離が、北陸付近で一番長いので雪の原料の水蒸気をタップリとはらむうえに、 ③雪の大谷は海抜2000メートル少しあるので寒冷で雪の降る期間が非常に長くなる、と見事に3拍子そろっています。

残念なのは、「雪の大谷」で積雪が20メートルを越えようが気象庁の観測所がないことです。残念ながら気象庁が観測しなければ、どんなに積もっても記録はありません。富山県大町市は何故アメダス「雪の大谷」を設置せよと運動しないのでしょうかねえ? それはともかく、アメダス青森県酸ケ湯(すかゆ)の5メートル60ぐらいで騒ぎ立てるマスコミは、みっともないといえましょう。
鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その13)
叶わない恋もある。あきらめるのが肝心だ。
いっぽう、叶わない夢はないとも言う。あきらめてはいけない。
一縷の可能性があるのか? はたまた、ないのか?
希望は捨てるべきなのか? 追い続けるべきなのか?


むずかしい判断ですが、世界遺産登録を目指したが、いさぎよく、あきらめた例
●労力をいたずらに消耗しないためにも、余計な費用をムダにしないためにも、“あきらめる” ということは非常に大事であります。いろいろと調べてみたところ、我も我もと世界遺産を目指して運動してみたけれども、そのハードルの高さを思い知らされて、きっぱりと “あきらめた” 自治体がけっこうあるではないか!

47NEWS 「松島の世界遺産登録を断念 宮城県知事が表明」 2010/02/17 15:58 【共同通信】
【引用開始】
 宮城県の村井嘉浩知事は17日、世界文化遺産への登録を目指していた国の特別名勝「松島」について、登録を断念すると表明した。村井知事は「引き続き登録を目指せば(テーマ設定など)内容の大幅な見直しを迫られ、現状では相当な困難が伴う」と理由を説明した。県は2007年9月、文化庁が公募した世界文化遺産候補に「松島―貝塚群に見る縄文の原風景」とのテーマで応募。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の暫定リスト入りを目指したが、08年9月にリストへの記載が見送られた。松島町の大橋健男町長は「残念だが、これからも国際的な観光に取り組みたい」とコメントした。
【引用終了】


『宮城県議会議事録』 平成22年2月定例会(第326回)-02月17日-01号 P.6「村井嘉浩知事の発言」
【抜粋引用開始】
 次に、松島の世界遺産登録についてであります。
 本県が提案しました「松島-貝塚群に見る縄文の原風景」については、一昨年九月に世界文化遺産暫定一覧表への追加記載が見送られ、引き続き登録を目指すとすれば大幅な内容の見直しを迫られる状況となったことから、関係二市三町と対応を協議してまいりました。その結果、現状では相当な困難が伴い、登録は断念せざるを得ないとの結論に達しました。なお、貝塚の一部について、北海道・北東北の縄文遺跡群との選択的統合により登録の可能性が高いと評価されたことに関しましては、引き続き関係道県の動きを注視してまいりますが、厳しい状況を踏まえた判断に御理解賜りますようお願い申し上げます。
【抜粋引用終了】


宮城県は、世界遺産を目指すのをあきらめた。名勝地「松島」
Wikipediaより 「松島」
Wikipedia 「松島」 より借用しました。この多島海は鳴門海峡よりも美しいかも…。

●日本人は付和雷同的であり、主体性が全くありません。お隣さんがそうするからうちも、とか、皆がそうしているから自分もという傾向が極めて強いです。渡り鳥や、イワシなど海の小魚の大群みたいなものです。そっくりな面があります。とにかく、その群れに加わりたがります。一緒の行動を取りたがります。皆が同じ方向を向き、同じスピードで一斉に飛んだり、泳いだりです。つかず離れず斉一的な行動を共にします。

●自然界では鳥や小魚が大群をなして行動を共にするのは、捕食者たちから身を守る為とされていますが、ヒトが群れをなして同じ行動をとるのは何故なのだろうか? 県や市町村という立場からみた場合の捕食者は国でしょうかねえ? 全国の自治体が一斉に同じ行動をとると、無難というか、目立たないのですが、目立つとどうしても批判され、やられてしまいます。たとえば、反対論の多かった「住基ネット」に不参加を貫いている矢祭町は、総務省から目の敵にされる存在になっていて、なにかと話題をふりまいていますが、巨大な権力に抗して異論を唱えるのは莫大なエネルギーが要り、心身ともにすり減らす消耗戦になっていくようであります。

●文化庁は、全国の自治体に世界遺産を目指しなさいなどと、何も言っていないけれども、全国各地が次々に名乗りをあげています。で、一応皆に歩調を合わせて、自分とこも世界遺産を目指しておいたほうがいいかな、という横並び意識なのかもしれません。あるいは他所が世界遺産に登録されて華やかにスポットライトを浴びているから、うちとこもバスに便乗しようというだけかもしれません。残念なのは、うちとこは “世界遺産なんてくだらねえもんは、目指さないよ” と堂々と言ってのける市長や県知事がいないことです。矢祭町の町長のように反骨精神のある首長が、少しは居ても良さそうな気がしますが、ほとんどいません。


世界遺産登録を目指したものの、宮城県はいさぎよくあきらめ、見事な英断を示しました。わが南あわじ市も宮城県を見習う必要があります。
●世界遺産は、日本遺産ではありません。日本を代表するような圧倒的なものであって、世界に誇り得るような水準のものでなければなりません。その高い価値が学術的に証明されなければならないとされ、ハードルが相当高いのは当然でありましょう。そもそも、「その高い価値が学術的に証明される必要がある」などと言われるような物件では、可能性はないとみるべきでしょう。鳴門海峡の渦潮は、ユネスコ元事務局長の松浦 晃一郎氏から、「渦潮を眺めて “素晴らしい” と言うだけでは世界遺産にたどり着けない。」と、顕著で普遍的な価値を学術的に裏付ける必要性を指摘されています。逆読みすれば、顕著で普遍的な価値がないんだよと烙印を押されたような格好です。ま、この段階でダメということであります。余計なカネ(税金)を無駄遣いしないうちに、いさぎよく、あきらめましょう…。


今季は寒いですね
北海道上空に、第一級の寒気が侵入!
気象庁HP から、500hPa高度・気温解析図 を一部分を抜粋して借用いたします。早く言えば高層天気図であります。見慣れていないと訳の分からない図かもしれませんが、借用した図は昨夜の2013年2月20日21時のものです。注目すべきは、北海道の上空の気温です。気象庁は、現在は全国16か所の観測所でラジオゾンデを上空に飛ばして高層気象観測をしているようですけれども、図中に北海道最北端観測所の「稚内」の気温が-48.5度とプロットされています。高層気象観測は毎日09時と21時の2回行われていますが、21時観測で観測史上歴代10位の低温になります。近年、高層観測で低温記録がやたらに目だってきました。

北海道・稚内で、500hPa面(約5040メートル上空)で、-48.5度。観測史上第10位の低温!

2013年2月20日21時 500hPa高度・気温
↑北海道では、稚内が-48.5度札幌が-42.7度釧路が-42.9度で、上空の寒気としては第一級品といえましょう。とくに、冬が終焉に近づいて稚内で観測史上ベスト10入りの低温が観測されたのは、まことに喜ばしいことで、地球温暖化の洗脳を払拭する材料にできます。なお、今回の上空の寒波は、北海道が襲われたのですが、西日本ではそれほどではありません。わが淡路島上空には-24度線が通過していますが、これは冬では当たり前の気温で、特に低いわけではありません。

●温暖化盲信論者からは、何いってやがるんだ、10位というのでは上に9つもあるではないか!と叱られそうですが、冬も終わりに近づいての10位なので値打があるのですよ。もしこの寒波が1か月前であったならば、ベスト3入りしていたでしょう。なお、2月の記録としては堂々の2位になっています。

鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その12)
観光業界の市場占有率は、日本人観光客が93~94%、外国人観光客は6~7%でしかない。しかるに、世界遺産登録は日本人観光客の増加を狙ったもの。
● そもそも、世界遺産登録を観光振興のための起爆剤にしようとする企ては、外国人観光客を呼び寄せようとたくらむのでは全くありません。増やそうとする対象はあくまでも日本人観光客です。なぜならば観光入込数における外国人観光客の比率は1割もないからです。数%の比重しかないのです。したがって、世界遺産登録を観光振興の起爆剤に出来るかどうかは、日本人観光客に対して、世界遺産登録がその観光地を選択するための訴求力になるのか? がポイントなのであります。 その場合には、人々にほとんど名前も知られていない無名の弱小観光地であるならば、世界遺産登録によりマスコミが騒ぎ立てることが、一時的には、大きな宣伝効果をもたらすでしょう。しかしながら、マスコミの馬鹿騒ぎ報道が沈静化したあとが非常にヤバイです。一時的なブームは剥げ落ち、次第に忘れ去られていきます。一方、昔から人々によく知られている観光地であるならば、世界遺産に登録されたからと言っても、さほどの宣伝効果は見受けられません。残念ながら人々の反応は、“あ、そう” で終わるのです。全く知らなかったものを新たに知ったという驚きとか感動がないからです。ようするに、その観光地の知名度が低くても高くても、どちらであってもダメだということなんです。

●日本の観光産業ののマーケットシェアは、日本人観光客が93~94%、外国人観光客が6~7%であります。当然ながら、観光売上を増やそうとしたらシェアの大きい日本人観光客を増やさなければいけないのです。外国人観光客など無視しろというのではありませんが、外国人観光客を2倍にするよりも、日本人観光客を7~8%増やす方が実現可能性は高いです。(全体の売上増分は同じです)

観光市場での外国人観光客が占めるマーケットシェアは、僅か6~7%
観光客の延べ宿泊者数の推移
↑上図は国土交通省の 『観光白書』 の各年版から数字を拾い集めて、わたくし山のキノコが勝手にグラフ化したものです。国土交通省は、平成19年1月より、全国統一基準により、すべての都道府県を対象に、従業員数10人以上のホテル、旅館及び簡易宿所のすべての宿泊者数等を調査する 「宿泊旅行統計調査(一般調査)」 を開始しました。調査開始年が新しいので古い年の数字はありません。

●この数字は宿泊旅行者が対象なので、日帰り旅行は漏れていると考えられます。しかし、考えたら日帰り旅行は観光地にカネを落とさんのですよ。なんといっても宿泊者は沢山のお金を落としてくれます。また、外国人観光客が日本に日帰りで旅行にくるというのは、有り得ないハナシではないですが、まず宿泊するでしょう。何泊かして観光地をあちこち回れば、宿泊地観光地では宿泊客としてカウントされるでしょうが、通過中に訪問した寄り道観光地では、観光施設に入場したら日帰り観光客としてカウントされましょう。したがって、観光市場における外国人の比率が6~7%と見るのは妥当でありましょう。

●というよりも、宿泊客だけをみても圧倒的に日本人観光客が多いのです。しかも、日本人観光客は日帰り旅行を盛んにするのです。日本人は “宿泊旅行+日帰り旅行” であるのに対して、外国人は “宿泊旅行” だけです。したがって観光市場全体では外国人旅行者のマーケットシェアは更に下がると考えるべきでしょう。実際につぎの表を見ると少し下がっています。

観光客が、旅行でどれだけのカネを落とすのかを見ても、外国人旅行者の比率は6%前後
国内の観光消費額の市場別内訳
↑この表も各年版の 『観光白書』 から数字を拾い集めて、わたくし山のキノコが勝手に作表しました。国土交通省は平成15年から、「旅行・観光消費行動調査」を実施していますが、その調査数字を拾いました。数字を移す際に誤植をやらないようにと、3回校正したので間違いは無いと思います。我が国の観光市場の規模は、おおよそ23~24兆円であります。このお金を観光地に落としてくれるお客様は、ほかならぬ我々日本人自身です。外国人が日本に来て落としてくれるお金は、わずか1.3~1.6兆円で、比率ではたった6%程度しかありません。

●ところで余談ですが、政府は、平成20年に観光庁を発足させ、「観光立国推進基本計画」を閣議決定して「観光立国」などという阿呆なものをめざしています。原発事故で放射能汚染が広がる日本を、外国人は敬遠していますし、日本人も大不況で財布のヒモが更に固く、観光どころではありません。観光立国どころか、観光はジリ貧です。末細りの先細りです。霞が関の中央官庁はリストラすべきなのに、組織の拡大・増殖に大わらわです。観光庁など役に立たないお役所で、税金の穀潰し以外のなにものでもありません。

要するに、外国人観光客の比重は極めて軽いのであり、しかも、外国人観光客が来訪する都道府県は特定の所に極端に偏っている!
次に、東日本大震災および福一原発事故で外国人観光客が落ち込んだので、震災前の平成22年のデータを 『平成23年版 観光白書』 から採取してグラフを作成しました。これを見ると、外国人観光客は特定の都道府県に集中して来訪しています。世界遺産など関係ありません。平成22年の外国人延べ宿泊者数は2614万人泊です。うち、東京都が890万人泊、大阪府が322万人泊で、実に46.3%を占めています。世界遺産など関係ない東京と大坂で半分近くを占めています。なお、東京都の小笠原諸島が世界自然遺産に登録されたのは2011年(平成23年)です。

都道府県別 外国人延べ宿泊者数 (平成22年)

世界遺産観光地の観光客はほとんどが日本人
●世界遺産に登録されている屋久島の所在県の鹿児島県は12万人泊、白神山地の秋田県は7万人泊、石見銀山の島根県はたった1万人泊でしかありません。もし、仮に、この外国人観光客が全員それぞれの世界遺産に来たと仮定しても、本当に僅かな数字であります。実際には世界遺産に来る外国人はその数字の一部でありましょう。これを見ただけでも、国内の世界遺産を訪れる観光客は日本人が大部分であることが分かります。

鳴門海峡にも外国人観光客など来ない
●鳴門海峡に関係している兵庫県は38万人泊、徳島県はたった2万人泊です。兵庫県の場合は外国人観光客が訪れるのはほとんどが神戸市でありましょう。鳴門海峡の淡路島側でも鳴門市側でも、観察してみると外国人観光客などほとんど見られません。徳島県の資料によると、鳴門ブロック観光入込数の統計資料では、鳴門ブロックでの年間の観光客の延べ宿泊数は平成22年は52万人泊です。徳島県での外国人観光客が2万人泊が、仮に全員が鳴門海峡近辺で宿泊したとしても、たった4%です。(実際はもっと少ないハズです。1%ぐらいではないか?)鳴門海峡は世界遺産ではありませんが、国内では有名な観光地であります。その観光客の圧倒的大部分は日本人観光客なのであります。

以上の現状認識を踏まえて考えてみると、鳴門海峡の渦潮を世界遺産に! などと目指しても、見に来て下さる方は外国人では全くありません。世界遺産などというと世界中から観光客を誘致するのかと錯覚しそうですが、そうではありません。対象はあくまでも日本人観光客なのであります。

さて、その日本人観光客を相手にして、世界遺産ブランドが仮に実現したと仮定しても、数ある観光地の中から鳴門海峡を特別に選んでくれる訴求力を持つのかどうかは、極めて疑問です。架橋を見るのであれば明石大橋や、瀬戸大橋、瀬戸内しまなみ海道のほうが見ごたえがあります。鳴門海峡近辺では、遠く愛媛県松山市の道後温泉まで行かないと温泉らしい温泉はありません。風呂好きの日本人にとって温泉のない観光地は、残念ながら第2級か第3級になります。雄大な高い山もなく、複雑で勇壮な海岸でもなく、観光地としての魅力がやや薄いのは否めません。したがって、世界遺産の可能性は縷々考察した通りゼロですけれども、仮に世界遺産に登録されても一時的な賑わいに終わるのがオチでありましょう。ブランドよりも実質的な魅力が必要なのです。逆に申せば、ブランドを貼りつけても実質は何も変わらないのです…。


旅行好きグループの会話
「この間のニュースで、鳴門海峡が世界遺産になったらしいね。」
「どう? 今度の休みに、みんなで行ってみないかい?」
「前に、四国旅行の時、通ったけど、大した所じゃなかったわ。なんにも、ないわ。」
「そうなの。最近、世界遺産がやたらに増えすぎて、値打ちがないもんね」



淡路島南部の山間部で積雪を観察した。(2013年2月19日)
●つい数日前の 2月15日 に、淡路島の南部の山間部で積雪があったのですが、本日2月19日の午前中に再度の降雪があり、山間部で積雪が観察できました。太平洋側の積雪は春先に多いのですが、これから南岸低気圧が頻繁に西日本太平洋側の沖を通過すると思われます。2度あることは3度あるということで、山間部ではあと数回積雪がみられる可能性がありそうです…。

諭鶴羽山(608メートル)の山頂から北に延びる緩やかな尾根です。薄っすらと白化粧しました。平地では積雪はありませんでしたが、海抜100~150メートル以上では白化粧しました。
諭鶴羽山の北尾根が白化粧

雪が降ったのは午前中でしたが、午前中は忙しかったので写真は午後3時のものです。標高の低いところでは雪はかなり消えていましたが、尾根では銀白色です。
成相渓谷奥の尾根

ヒノキの植林の上ににも積雪がありましたが、既にかなり溶けています。積もりたてはもっと綺麗であったでしょうけれども、春の雪は本当にはかないものです。数時間で消えてしまいます。
ヒノキの植林に積もる雪

正月の飾りに使うシダ植物のウラジロの上に、雪が少し残っていました。成相ダムの周遊道路際です。雪はかなり消えていますが、白と緑のコントラストが綺麗ですねえ。
ウラジロの上に積もる雪

成相渓谷の奥の方です。谷の流木の上に雪が積んでいます。積雪は僅かで、定規で測ると5センチでありました。
谷の流木の上に積もる雪

気象庁HPからアメダス気温分布図を借用いたします。下図は2月19日午前11時のものです。この図をよく見ると、「四国の徳島県香川県の境」~「淡路島洲本」~「和歌山県北東部」~「奈良県」~「滋賀県」を結ぶ線上に、1度未満の低温地帯が伸びています。近畿地方中部のこの線上で積雪が見られた可能性が高そうです。面白いのは、近畿北部の方がむしろ気温が高いことです。これは近畿北部で晴れて日射で気温上昇したのではありません。雨こそ降らなかったのですが、近畿北部も天気が悪かったです。降雨は主に近畿中部以南でありました。南海上の前線による降雨帯の北縁が淡路島あたりで、兵庫県本土側ではほとんど降雨はありませんでした。北のほうからの寒気移流は夜半から今朝がたにかけて進行したのですが、近畿中部の降雨帯では降雨(降雪)が始まるとともに、少し上空の寒気が引きづり降ろされたのではないか? という想像ができそうな感じです。近畿北部よりも近畿中部が気温が低いという、非常に興味深い気温分布になっていますが、そういうふうに考えると上手く説明がつきそうです。 (なお、氷点下を示しているところは標高の高いところです。高野山とか生駒山など)
気象庁ホームページから借用

●気象庁の観測データをグラフ化しました。北の方からの低層寒気が移流してきて夜半からじりじりと気温がさがっていますが、面白いのは夜が明けて日中になっても気温が下がっていることです。近畿北部のデータを調べてみたところ、近畿北部の観測所では、ほとんどの所が夜が明けると気温低下が止まっていました。日中は横ばいか若干気温が上昇していて、近畿中部とは気温の推移が異なっていました。明け方から雨が降り始めましたが、淡路島では降雨が上空の寒気を地上に引きづり降ろした可能性が高そうです。
気象庁観測データから作成
↑図中に、「通常は、今時分は、朝6時台に最低気温が出現します」と書き込んだつもりですが、なぜかチョン切れています。


鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その11)
●行政が主導し民間も加担して税金も使って一生懸命に運動して、目出度く世界遺産に漕ぎつけた暁には、いったい何がおこるのか? 運動中は取らぬ狸の皮算用の金儲けの欲に目が曇っているので、バラ色の想像しかできないのですけれども、いざ世界遺産登録が満願成就したのち、なんか違うなということがかなりあるみたいです。登録後に世界遺産のマイナス面が見えてくるのであります。登録後に見込まれる直接的観光収入と経済波及効果がどれぐらいかと試算・予想して運動するのですけれども、それはまさに “取らぬタヌキの皮算用” そのものなのです。

お断り】 拙稿の世界遺産に関する連載記事は、その主旨は、私の住む南あわじ市のムダづかい体質の行政批判です。私は国際条約に基ずく世界遺産の目的の「遺産の保護や保存」には全く賛成です。世界遺産そのものを批判しているのではありません。世界遺産条約の崇高な趣旨を全く理解せずに、観光資源の箔付けのための “ミシュランの三つ星評価” かと曲解・勘違いして、アホな運動をしている自分の住む市の行政批判なのです。先に世界遺産に登録されている先進観光地(?)を事例としてとりあげていますが、あくまでも他山の石として教訓を学ぶための引用であります。私としては、他山の石が、観光が賑わおうが沈滞しようが、あまり関心がありません、

石見銀山の観光施設利用状況
石見銀山 観光施設利用者数
(注)熊谷家は平成18年4月一般公開。
島根県大田市のHPの 『大田市の統計』  平成19年版40頁 および 平成23年版(最新)42頁から抜粋した。

お客様が急増したのち、急減するのは最悪のパターン!
石見銀山観光施設 入込数

●世界遺産に登録されて観光客が増えた事例として、島根県大田市の 石見銀山 を取り出してみましたが、正式な世界遺産名は「石見銀山遺跡とその文化的景観」であります。観光客が増えることは増えたけれども、線香花火がパッと輝いて消えるみたいだなんて言ったら、関係者に叱られるでしょうが、多分に一過性の増加の傾向が見られます。観光業というよりも産業として見た場合、お客さんが急増して後に急減というのはまことに具合が悪いです。最悪です。当たり前のことですが、お客さんが急増したら、つい、その増加は続くものだと思いがちです。そうすると、設備投資とか従業員を増やしたりとなりましょうが、それが裏目に出てしまいます。せっかく雇ってもらった従業員はすぐにクビです。会社は過剰設備を抱えて経営悪化しましょう。わたくしは会社の経営などしたことはありませんが、数銘柄の株式を所有しているので、会社の栄枯盛衰は常に観察しています。で、このパターンは非常に厄介です。

●お客さんが急増するというのは、本来ならばまことに好ましい喜ぶべきことなんですが、一過性に終わり、続かなかった場合は最悪です。目もあてられません。一時は売上が急増し、営業利益・経常利益も急増するでしょうけれども、下手に設備投資などしてしまいますから、コストも上昇、損益分岐点も上昇、そこにお客さんの急減が来ると、運が悪いと大赤字転落です。経営という面では、お客さんの一過性の急増は要警戒です。経営者泣かせ、従業員泣かせ、株主泣かせ、なのです。大抵の場合、お客様の数が元の黙阿弥まで減らなくても、経営的には元の状況よりも悪くなるのが普通です。こんなことになるのだったら、お客様が横ばいだったほうが良かった、と恨み節を言うでしょう。


『大田市 新観光計画 ~滞在型観光をめざして~ 平成21年6月』
上の当事者の資料を読むと、『石見銀山資料館から龍源寺間歩までの往復6㎞余りを「歩く」ことを基本に置くことになった』(12ページ)とあります。押し寄せる観光客で増便した路線バスが、騒音や排気ガスの問題を引き起こし、廃止せざるを得なくなった、そのために、観光客が6キロも歩かされた! など観光客が減る要因はあったみたいです。けれども、なんとか 「90万人程度を目標値とし、最低ラインとして昨年並みの約70万人から本年の見込みである80万人の間を維持していきたい」(17ページ) といろいろ手を打っているみたいですけれども、結局50万人まで低迷しています。この資料には、世界遺産の登録が叶った自治体の 「苦悩」 や 「あせり」 が色濃くでています。結局のところ、世界遺産効果は一時的な効果しかないということでありましょう。

あまり語られない観光公害!
『世界遺産は楽じゃない 騒音やゴミで「観光公害」 朝日新聞(2011年6月21日)』
●この記事が何時まで閲覧できるかわかりませんが、観光の持つマイナス面にも目を向けた良い記事です。

世界遺産観光のマイナス面
★観光客のマナーが非常に悪い。旅の恥はかき捨ての不心得者が多い。ゴミを捨てるわ、民家をのぞきこむわ、庭
 の鉢が盗まれるわ。泥棒同然の観光客がおる。

★旅行会社の人や観光バスの運転手が、威張って偉そうな口を叩く。わしらがお客さんを連れてきてやっているん
 だ、という態度を露骨に出す。で、当然のことのように法外なリベートを要求する。

★また観光客がやたらと道を聞いてうるさい。観光ルート上にある民家では1日に何十回も道をきかれて、生活のペ
 ースが乱される。うるさい。ちゃんと地図を見なさい。

★今まで鍵も不必要だったような静かで平和な地域の生活が、一転して喧騒と治安悪化とで根本的に脅かされる。
 危なくて、うかうかと道も歩けなくなる。

★観光客の乗り入れるクルマで狭い道路は大渋滞する。迷惑な路上駐車がはびこる。また、地域住民の足の路線
 バスが観光客で占領される。住民の暮らしに支障が出る。大迷惑だ。

★世界遺産の目的はあくまでも保護と保存である。よって、住居の改築・改装に規制がかかることがある。自分の土
 地であっても自由にさわれなくなる。不便な暮らしを余儀なくされることがあり得る。

★地域の開発が規制されることが多い。保護と開発は水と油みたいなもので、まっこうから対立することが多い。そ
 の地域は開発発展が法的に制限され、そこだけ時間を止められてしまう。

★観光収入が特定の業界・特定の業者に傾斜配分されるだけで、地域全住民が恩恵に与るのではけっしてない。カ
 ヤの外に置いてけぼりの住民は多い。不公平だ! 言うほどの経済連関・経済波及効果はない。

★何ひとつ恩恵もなく、逆に被害だけという損な住民も出てくる。得する人と損する人との対立から、地域住民の古き
 良き連帯が破壊される。地域のコミュニティーが崩されてしまう。

★外部からの資本や大手業者(たとえば、有名大手観光ホテルなど)がすべからく観光収入を総取りする。地元の業
 者はごく一部の下請業者がおこぼれにありつくだけ…。

★地元住民に観光利益が還元されないから、地元経済は回らない。地元の零細業者がつぶされる。地元業者は大
 手との競争に敗れて廃業していく。予想と逆の現象が起こる。いわゆる 「合成の誤謬」 というやつだ。

★一部の地元政治家と地元役人が、大手業者と結託して利権にする。彼らが太る一方で、世界遺産推進で税金が
 流し込まれて、その税金を担税させられる地元住民はやせ細る。

★世界遺産登録で観光客増加効果は、一時的な効果である場合が多い。マスコミが取り上げて一時的には話題沸 騰するけれども、数年もしないうちに忘れ去られる。マスコミがいつまでもタダで宣伝してくれるわけではない。

★忘れ去られないようにするには、積極的な宣伝を続ける必要があるが、膨大なコストがかかる。そのコストに見合うだけの費用対効果があるかどうか、極めて疑問だ。


思いつくまま並べても、これだけのデメリットがあります。じっくりと考えたり、調べたりすると、もっと沢山のマイナス面があるハズです。鳴門の渦潮を世界遺産にと、阿呆な運動をしている人々は、世界遺産登録がけっしてバラ色ではないことを直視するべきであります。


淡路島南部の山間部で春の雪を観察した。(2013年2月15日)
●本日は2013年2月15日です。

今日は、未明ごろから冷たい雨となりましたが、淡路島南部の山間部では雪となり、うっすらと積もりました。このあいだから、南岸低気圧が太平洋岸沖を通るたびに、淡路島でも山の方では雪となっております。春が近づいてきたことを告げています。春が近付いた証拠です。雪が降って春が近付いたというのは矛盾するようですけれども、そうではありません。南岸低気圧は厳寒期よりも春先のほうが出現頻度が高く、太平洋側の雪は春先に多いです。


3葉の写真はすべて本日2013年2月15日午前10時頃です。場所は、兵庫県淡路島南部の山間部です。兵庫県南あわじ市神代上田、上田林道の海抜340メートル地点です。平地では雨でしたが、上田林道基点の上田池(海抜130メートル)あたりから雪になり、海抜250メートルより上で積雪が見られました。積雪は少なく、せいぜい4~5センチ程度かと思います。そもそも雨量自体が少なく、未明降り始めから午前11時までの雨量は、洲本特別地域気象観測所で8.5ミリ、アメダス南淡で12.0ミリです。

薄っすらと雪化粧

マツの木にも積もる

林道にも薄っすらと積もる
↑林道は更に数キロ奥まで続いています。最高地点は海抜608メートルですが、ここで断念です。路面にも積雪があるので、スノータイヤじゃないし、これ以上は進めません。山頂付近では気温が更に下がるので、雨量から推定すると10センチ程度の積雪ではないか?

● 気象庁ホームページ からアメダス気温分布を借用させていただきます。写真を撮った午前10時のものです。近畿地方のこの気温では、平地ではほとんどのところが雨だったと思われます。わずかに、やや山間部にあたり標高のあるところの、和歌山県北東部や、奈良県、滋賀県信楽や三重県名張あたり、それから徳島県西部あたりの気温が1度以下のところでは、雪が見られた可能性がかなり高いと思います。

平地で雪になる目安とされる850hPa面(およそ1500メートル上空)で-6度の等温線が、午前9時の 高層天気図(850hPa高度、気温解析図) を閲覧すると、仙台~能登半島~隠岐を結ぶ線あたりまで北上していましたから、近畿で平地で雪は無理でありました。これから3月にかけて、南岸低気圧が南海上を通るたびに、高層天気図や寒気移流の状況をにらみながら山では雪かな?と楽しめ、山登りができます。狙うのは、淡路島の山で30㎝積もった雪景色の写真であります…。今年は3月初めぐらいにひょっとしたら?

気象庁HPから借用

北朝鮮は、米国が言うように、本当に悪の枢軸国なのだろうか?
●北朝鮮が恒例(?)の核実験をやったところ、轟々と非難の声があがっております。圧倒的多数は非難の声なんですけれども、一部に別の見方があります。その代表的な意見として、武田邦彦先生のご意見を、「引用はご自由にどうぞ」と書いていらっしゃいますので、引用させていただきます。武田邦彦先生は元々は原発関係の仕事をされたのですが、原発村から足を洗われて、反原発に転向されました。転向後しばらくは胡散臭さもチラチラと見え隠れしていましたが、転向後2年近く経って反原発の言説が板についてきました。

武田邦彦 『時事寸評 北朝鮮の原爆実験が「悪」の理由 その第一弾』 
引用開始(なお、箇条書き①~⑱を色付けした)
北朝鮮が2013年2月12日に数キロトン(広島原爆の数分の1の規模)の原爆実験を行った。これに対して日本の政界、マスコミなどが一斉に非難、世界的にも非難の声が広がっている。なぜ、北朝鮮の原爆実験が「悪」なのだろうか?
1、アメリカは北朝鮮を名指しで「悪の枢軸」と呼んでいる、
2、アメリカは自らが「悪」とした国の主権を認めない、
3、アメリカは国連が認めていなかったイラク攻撃をウソの理由で開始した、
4、アメリカはイラクを解体し、フセイン大統領を殺害し、混乱に落としいれた、
5、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスなどの白人国は自ら原爆を保有し、その破壊力は数メガトン規模である、
6、北朝鮮は国家主権を持つ独立国で、自衛の権利を持つ、
7、アメリカに対して北朝鮮は無防備で良いということはできない、

というのがまずあり、次に、
8、白人の方が有色人種より上位にある、
9、先に発展した国は優先権がある、
10、アメリカなどの国の核は正しいが、発展途上国の核は「悪」である、
11、国際的に孤立した国は悪である、

のような一連の白人優位説に基づくものがある、ただ、反対に、
12、現在はまだ白人の植民地支配との戦いの中にある、
13、国家主権を認めるなら、国連安保理は仕方が無いとしても、基本的には国は平等である、
14、北朝鮮は日本の隣の国であるので、応援したい、

などもあり、さらに、
15、北朝鮮が嫌いだ、
16、北朝鮮は日本人を拉致したので、何をしても「悪」だ、
17、日本はアメリカと同盟を結んでいるので、アメリカと敵対する国は非難する、
18、日本の空気が北朝鮮をバッシングしているので、理由はともかくバッシングする、

などがあるだろう。さらに考えてみるが、一応、このぐらいのことを考えると、北朝鮮が核実験をすることは国家主権の範囲であり、お隣に国を支持するという考えもあるように思う。 (平成25年2月13日)

引用終了

●さて、武田邦彦先生のご意見にはうなずけるところが沢山あります。で、私も少し考えてみました。19、以降を勝手に付け加えてみました。
19、沖縄の基地問題が議論の俎上に上がるとき、タイミング良く北朝鮮の南朝鮮への砲撃があった。
20、日本で総選挙の直前にタイミングよく北朝鮮のミサイル発射実験があった。
21、オスプレイ配備を日本が押し付けられた際に、安全性だけでなく中国・北朝鮮の脅威も語られた。
22、東アジアで軍事的緊張が高まると、日本軍・米軍・中国軍ともに軍隊が焼け太ると考えられる。
23、軍事的緊張は、軍事産業の大きなビジネスチャンスである。
24、軍需産業の賑わいは、大きな産業連関・経済波及効果がある。
25、歴史上、戦争特需が大不況脱出のきっかけになったことは、しばしばある。
26、日米同盟を強固にしなければならないとの議論は、つねに北朝鮮脅威論とセットである。
27、このたびの北朝鮮の核実験では、北朝鮮は中国と米国に事前通告している。
28、中国は北朝鮮と友好国である。
29、北朝鮮は世界最貧国に近い国で、経済崩壊予想が幾度となく流されてきた。
30、核実験をする余裕がありそうもないので、資金援助する国があるのでは?という想像も湧いてくる。
31、米国のCIAが刺客を送りこんで北朝鮮政府を転覆させるという闇情報が過去に幾度となく流れた。
32、しかし、一向に米国が(イラクのように)北朝鮮を潰そうとしない。
33、北朝鮮が恒例の核実験をしたので、国連もいちおう恒例の非難をしたように、見える。つまり、非難のための形式的な非難のようにみえる。

情報を収集して、更に考えてみますが、一応、このぐらいのことを考えてみますと、今回の核実験も胡散臭くみえるような気がいたします。真相は密生したヤブの中で窺いしれませんが、深い水面下では、米国・日本・北朝鮮・中国は繋がっている部分があり、案外、話あい核実験なのかも??

●通常語られるのは、北朝鮮の「せとぎわ外交」だとか「恫喝外交」だとかいう説明です。北朝鮮が核兵器開発の脅威をちらつかせて、経済支援などを引き出したりするための「外交カード」に核開発疑惑(もう疑惑ではありませんが)を使っているというのです。でも、おかしくありませんか? 経済力・軍事力の巨大な差を考えたら、たとえばアメリカが北朝鮮を叩きつぶそうとしたら、3日もかからないでしょう。アメリカにしたら喧嘩する値打もないような弱小国の筈です。北朝鮮にはイラクのような石油もないし…。北朝鮮が、核の脅威をちらつかせて米国や国際社会を、本当に脅迫などできるだろうか? という素朴な疑問が湧いてくるのですが、おそらく武田邦彦先生の疑問もそういうところから出ているのだろうと、思います。

これほどの経済力格差があって、北朝鮮が米国などを脅かせるだろうか?
米国のGDPは北朝鮮のそれのなんと558倍!です。中国は294倍、日本は213倍、韓国は41倍です。これだけもの格差があるので、北朝鮮がほんとうに米国などを脅かせたり、また周辺の国々が北朝鮮にビクビクとしているというハナシは、ちょっと考えたら非常に不自然です。あまりにも奇妙です。
各国のGDPの比較
各国のGDPを比較するのは通貨が異なるので難しいのですが、北朝鮮のデータがこれにしか見当たらないということで、北朝鮮を取り巻く各国のGDP(国内総生産)の数字は、IMFの国別GDPのリスト から拾いました。 人口概数は、Wikipedia「国の人口順リスト」 から採りました。1人当たりのGDPは私山のキノコがそれらの数字から計算しました。

鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その10)
世界遺産に登録されたからと言って、必ずしも、観光客数が増えるわけではない!

●この厳しい現実に目をそむけてはいけないのではないか? 世界遺産に登録することが観光振興の起爆剤になるというふうに信じている人が多いようですが、資料を閲覧してちょっと調べてみたら、違う面が浮かび上がってきます。逆のようなのです。世界遺産に登録しても観光客が全然増えなかった事例はいくつも存在しています。また、たとえ観光客が増えたとしても、一時的な世界遺産バブルが生じただけに終わり、すぐさま世界遺産バブルは崩壊、「世界遺産なんかになるんじゃなかった」と恨み節の声が上がっている事例も存在しています。世界遺産登録運動のアホな騒ぎに興じる連中は、なぜ、このような事例を直視しないのだろうか?

ヒトという動物は、都合の悪い材料は見て見ぬふりをする習性があります。ヒトの眼は、その構造は光学機器のカメラに良く似ています。というよりもカメラそのものと言ってもいいでしょう。しかしながら、その高分子有機物質の部品からできている生体カメラ眼で捉えた映像情報は、大脳で情報処理する際に、変な心理的フィルターをかけて自分の都合にあわせて補正することが多いのです。で、ありもしない物が見えたり、逆に見えるべき物が見えなかったり、ひどく歪んで見えたりなどと、外界をありのままに見ているわけでは決してありません…。見たくない物や、見えると都合の悪い物は、見えないのです。たとえば、“ルビンの壺” が向き合う人の顔にも見えれば、壺にも見えたりとかは有名な例です。犯した罪の重さにおびえる殺人犯には、ただの壁のシミが、自分があやめた被害者の姿に見えてきます。敬虔な信仰家には、壁のシミが信じる神の降臨にも見えてきます。どのように見えるのか、あるいは見えないのか、心の在り方ひとつで見え方は違います。光学機械カメラと違い、ヒトの情報処理機能付きの生体カメラ眼はある意味では都合よく、別のある意味ではは都合悪く、出来ていると言えましょう…。

要するに、自分の見ている外界の像というのは、たんに自分の心の底に潜んでいる願望だとか期待といったものの “投影” でしかないのかもしれないのです…。

●わが南あわじ市の政治家やお役人たちは、鳴門海峡の渦潮を世界遺産に! などという可能性のない主張をして、世界遺産登録のための運動をしています。そのことによる税金の無駄遣いをしています。観光業者たちも加担しているようです。また、南あわじ市だけでなく、鳴門海峡をはさんだ対岸の鳴門市でも同じ運動をしています。時々、鳴門大橋を渡って鳴門市に買い物にいったり図書館に行ったりするのですが、鳴門海峡の渦潮を世界遺産に登録しよう! というノボリがあちこちに立てられています。世界遺産登録運動をしている地方政治家やお役人たちの持つ生体カメラ眼には、とくに強いフィルターがかけられているようです。彼らには見えない物、というよりも “見たくない物” をしっかりとお見せ致しましょう…。


世界遺産登録運動の推進者たちの眼に、「見えないもの」 又は 「見たくないもの」

●鳴門海峡の渦潮を世界遺産に! という運動に賛成の方も、反対の方も、下に示したグラフをよくご覧下さい。このグラフの意味するところは、もはや語るまでもないでしょう…。

●姫路城は姫路市が管理しているようですが、詳細は 姫路城管理事務所 のサイトで知ることができます。姫路城に登閣する観光客数の推移は、姫路市のHPに掲載されている各年次版の 『姫路市統計要覧』 のなかに「姫路城登閣者数」というExcel資料があります。姫路城の登閣者が年間どれぐらいあるのか? 簡便には、Wikipedia「姫路城」 で知ることができます。 これらの資料を閲覧して、落ち穂拾いのように、姫路城の毎年の登閣者の数字を拾い集めて、勝手にわたくしがグラフ化しました。


姫路城登閣者数の推移

姫路城登閣者数
↑なお、歴代1位は、昭和39年(1964年)度の173万8000人です。昭和の大修理の竣工年ということであります。とすると、この173万人をその後50年近く超えられないということであります。低迷する観光客を増やそうとして世界遺産になったけれどもダメだった…。 なお、平成20年以外は年度という但し書きが資料にあるので、平成20年は暦年のデータの可能性がありそうです。

●平成5年(1993年)に姫路城は世界文化遺産に登録されました。観光客数(登閣者数)は前年の88万5000人から、101万9000人に僅か15%増えただけです。しかし登録年の2年後には69万5000人に急落です。32%もの大幅減少です。登録年から後、13年間ものあいだ低迷を続けています。これでは世界遺産登録には観光客増加効果など全くなかったと、言わざるをえません。

●平成19年、20年、21年は顕著に増加しています。しかし、これは世界遺産など全く関係ありません。姫路市のHPによると、「3年続けて100万人を越えた。これは、姫路城大天守保存修理工事が始まることによる “駆け込み観光客” が増えたことなどが要因となっている。」 そして駆け込み観光の反動は強烈であります。また、次のようにも書かれています。「他にも、一昨年あたりからの歴史ブームで城郭に興味を持った若者が増えたことが考えられます。また、土日は高速割引を利用し、遠方から来城されるケースが目立ちました。」 
 要するに、姫路城は世界遺産に登録されても、観光振興には全く繋がらなかったのです。

「世界遺産のハードルは高く、世界遺産にたどり着くのは容易ではない。けれども、世界遺産登録に向けた運動をしなければ、その可能性もない」とはよく聞く推進者たちの口実です。しかしながら、このセリフは可能性が2割でも3割でもある場合の話です。縷々叙述してきたように可能性はゼロと断言してもいいでしょう。なぜ税金をドブに捨てるような無駄をするのだろうか? 例えるならば、いくら駆けっこが早いといっても、淡路島の陸上競技大会で優勝出来る程度のレベルで、オリンピック100メートル走決勝に挑むみたいなものです。勝てる見込みが全くない負け戦はしてはならないのです。100歩譲って、万一、億一、勝てたとしても世界遺産など観光振興効果などほとんどないのです。

大まかに言って、歴史のある観光地、古くから人々によく知られて知名度の高い観光地、観光開発が十分になされている観光地、宿泊施設とか交通機関とか観光地としてのインフラが整っているところ、などでは世界遺産になったからといっても観光客は全く増えていません。たとえば、「広島の平和記念碑(原爆ドーム)」「厳島神社」「日光の社寺」「法隆寺地域の仏教建造物」など。鳴門海峡は範疇としては明らかにこれらと類似性があります。

逆に、世界遺産で観光客が増えたところは、交通の便の悪い僻遠の観光地、宿泊所やアクセス交通路など観光インフラが不十分なところ知名度のない観光地、まだまだ観光開発がされていないところ、などです。例えば、「屋久島」「知床」「白神山地」「石見銀山遺跡とその文化的景観」などです。しかしながら、手放しで喜べる状況じゃないことを次回のエントリーで例証します。


(拙稿は続く)


鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その9)
●おそらく、たぶん、鳴門海峡の渦潮を世界遺産に! などという阿呆な主張が出てくる背景には、観光客の入込数がこの15年横ばいで伸び悩んでいることが考えられます。ヒトというのはとても欲張りな動物であります。つねに、物事の上昇や発展を望みます。経済的には成長や拡大再生産を望み、年々収入が増えることを望んでいます。このように欲張りなヒトという動物は、横ばいでは我慢できないのです。なので、いかんともしがたい成長志向の妄想にとらわれています。“横ばい” というのは恐ろしい「後退」や「縮小」とほとんど同義なのであって、それは、とうてい受け入れることが出来ない恐怖でさえあるのです。

ヒトの欲深さは、指数関数的変化を、無意識のうちに、対数関数に変換して捉えていることも一因。「ヴェーバー・フェヒナーの法則」

●ここに16個の数列があります。
(100、110、121、133、146、161、177、194、214、235、259、285、313、345、379、417)
数学の問題を考えようというのでは全くありません。人間の欲深さはどこからくるのか? その心理的なものを考えようというのであります。最初の年に100万円の収入があったとします。翌年に収入が1割増えたならば110万円です。翌翌年に収入が前年よりも1割増えたならば121万円です。毎年、毎年、前年よりも収入が1割増えていったばあいの経年的な収入は上記の数列になるのです。最初の年から見ると、15年後には収入は417万円になっています。なんと4倍であります。20年後には672万円に、25年後には1083万円、30年後には1744万円になります。毎年1割づつ収入を増やすことができたならば、最初に100万円の低所得だった人も、25年後、30年後には高額所得者の仲間入りをすることができます。

しかし現実には、なかなか難しいです。たとえば、商売人が1割の収入を増やそうと計画を立てて努力したら、1割ならばそう突飛な目標ではないし、目標としては低水準の目標です。おそらく可能でしょう。けれども、低い水準の目標であっても、10年、20年、30年と積み重ねる事はいかに困難なものか、自分の才覚と努力とで食いぶちを稼ぐしかない民間人ならば皆知っています。(公務員は話をしてみると案外知らない人が多いみたい…)

●さて、もし上記の16個の数列のように収入が毎年1割づづ増えたならば、ヒトはどのように感じるでしょうか? 上の数列は次第に数字が雪だるまのように膨張しています。後ろの数字を前の数字で割ると、すなわち公比は1.1です。常にその比率は1.1です。これは等比数列なのです。毎年の変化率は常に同じです。100 → 110になるのも、379 → 417になるのも比率は1.1倍です。前者は10万円増え、後者は38万円も増えています。けれども、どちらも1割増えただけです。

あまり知られてはいないかもしれませんが、ヴェーバー・フェヒナーの法則 というものがあります。 この理論によると、100万円が110万円に増えると “ちょっと増えたかなあ” と思うのですが、それは379万円が1割増えて417万に増えて “ちょっと増えたかなあ” と思うのとは心理的に全く同じだと言うのです。また、庶民が自動車を買うのに100万円の方にしようか150万円の物にしようかと悩むことは、大資産家が自家用飛行機を買うのに40億円の方にしようか60億円の物にしようかと悩むのと、心理的には全く同じです。(比率が同じなので)ヒトは物事が変化するときには、その変化というものを、その時々の変化の数量ではなく変化の比率でとらえている、というのが「ヴェーバー・フェヒナーの法則」の骨子であります。

とくに、自然界では指数関数的な大きな変化を示す事象や現象が普通に見られます。明暗とか、音の強弱、風速と風圧の関係、夜空の星の明るさ、酸性アルカリ性を表わすPH、などなど大きな変化を示します。長くなるので図示するのは割愛ですが、そうした場合、ヒトはどうやら無意識のうちで、指数関数的な大きな変化を対数関数に変換して捉えているようなんです。つまり、心理的に、感覚的に、大きな変化を小さな変化に変換して捉えているようなんです。また、数列で示すと次のような感じです。

1、2、4、8、16、32、64、128、256、512、1024、2048、4096、(自然界の指数関数的な変化)
1、2、3、4、 5、 6、  7、 8、  9、 10、 11、 12、 13、 (ヒトの心理・感覚的な捉え方)

実際の一例
6等星の明るさを1とした場合、1等星の明るさは100とされています。等級が1等級変わると、明るさは100の5乗根、すなわち約2.512倍変化します。
 1   2.51、  6.31、  15.85、 39.81、 100.00 (実際の定量的な光量変化)
6等星、5等星、 4等星、 3等星、 2等星、 1等星  (ヒトの目の感覚的な捉え方)

●ということを踏まえて先に示した数列を再掲します。
(100、110、121、133、146、161、177、194、214、235、259、285、313、345、379、417) 
当初100万円だった収入が、15年年後には4倍以上の417万円になっているのだから上等です。相当収入がふえています。けれども、心理的・感覚的な収入の増え方は次のように緩やかな増え方に感じるハズです。
100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、
収入が結構増えていっても、実際ほどには増加が感じられないのです。で、増えていても、不満が生じるのです。それで、増えていても感謝することが出来ないのです…。増えていてもそうなのだから、横ばいでは減少しているのも同然です。心理的には、「収入の横ばい」は収入の減少を意味するのであり、「価格の横ばい」は高く売りたい売主にとっては値下がりと同等なのです。ヒトの強欲の深さは、ヴェーバー・フェヒナーの法則から心理的に説明がつきます。

鳴門海峡の観光客の入り込み数は、15年前から横ばい! これが、欲張りな観光業界や行政が焦って、鳴門の渦潮を世界遺産になどと主張する背景。

徳島県の資料、『平成19年版 徳島県観光調査報告書』および『平成23年版 徳島県観光調査報告書』から、数字を採って図表を作成してみました。(図表作成者は、わたくし山のキノコ)
淡路島の資料ではなく、徳島県の資料を採ったのは、淡路側の適当な資料がなかなかないのと、鳴門市も鳴門の渦潮が観光資源であり、世界遺産にという阿呆な運動をしているからです。

徳島県・鳴門ブロック 観光入込数の推移

●平成10年(1998年)4月5日に、明石海峡大橋が開通しました。それでその年に、観光客の入り込み数が約400万人から600万人弱にジャンプしました。それと、その年に、あすたむランド徳島 というテーマパークが鳴門ブロックのエリア内の徳島県板野郡板野町にできました。このテーマパークの入場者が年間40万人程度です。鳴門ブロックの観光入り込み数の大部分は鳴門海峡関連あるいは近辺を訪れる観光客ですが、平成10年以降は「あすたむランド徳島」の入り込み数を割り引いて考える必要があるそうです。

●平成10年以降の県外客は緩やかに増加はしていますが、県内客が減少して帳消しにしています。また、県外客が緩やかに増加しても宿泊客が全く増えていません。平成10年の64.3万人がピークで、平成21年には50.8万人と低迷しています。つまり、県外客の客単価が減少しているのではないかと見られます。観光客が鳴門ブロックに落とすカネはこの15年横ばいであろうかと思われます。「横ばい」は「減少」と等価。で、欲深いヒトは可能性はないのに世界遺産と叫ぶのです。

作表のためのデータシートに入力した数字は次の通りです。】
作表のデータシートに入力した数字
ハイイロオオカミの放獣などという愚かなことは、しない方がいい
●昨日に、名無しさんという方から、コメントを戴きました。が、単にリンクを貼ってあるだけで、なんのご意見も仰っていないのでコメントとも言えません。ひょっとすると、リンク先の関係者かシンパの方の宣伝かもしれません。で、そのリンク先のサイトの主張に反論というか、別の見方を返事しようと思ったのですが、記事にするのにちょうどいいテーマなので、記事にいたします。

コメント
鹿対策に狼の導入 参照 http://japan-wolf.org/content/faq/

私のお返事
名無しさんへ、残念ながら、全く参照にはなりませんよ。これはコメントではなく宣伝です。貴方が「日本オオカミ協会」の会員もしくは関係者なのか? あるいは単なるシンパにすぎないのか? それは分かりませんが、他人のブログに宣伝の落書きをするのはよくありません。宣伝したいのであれば、どうかご自分のサイトでして下さいませ。

●名無しさんが推奨されている 一般社団法人 日本オオカミ協会 は、WWFジャパンと同じ穴のムジナみたいなもので、色々な環境問題を材料にして寄附集め(カネ集め)を目的化している利権団体みたいなものです。特に、WWFは「地球温暖化」と「シロクマなどの絶滅危惧」を煽りたてて、企業や個人から莫大な寄附集めに大成功しています。一方、「日本オオカミ協会は」失礼ながら資金集めが下手です。会計報告を拝見すると、公的な補助金の導入にも不成功みたいです。その点はWWFジャパンのほうが遥かに上手であって、日本オオカミ協会は資金集めの手法をWWFから学ぶ必要があります。たとえば、地球温暖化を絡めるのも一法。

「日本オオカミ協会」が導入せよと主張しているのは、日本固有種であったニホンオオカミではありません。外来種のハイイロオオカミです。日本の地形は極めて複雑で箱庭的であり、急峻な山や急流の谷や川で画然と棲息行動範囲を細切れにしている可能性が高いです。なだらかな山や平原が広がる大陸に棲息して行動範囲の非常に広いテリトリーを持つハイイロオオカミと、島国の複雑な地形に適応して棲んでいたニホンオオカミとでは、その生態が異なっていた可能性すらありそうですが、ニホンオオカミは1905年の生存確認を最後に絶滅していますから、結局、その生態が科学的にほとんど何も研究されていないので、ハッキリしたことはわかりません。しかし生態が異なる可能性がある外来種の安易な導入には、強く反対致します。

「日本オオカミ協会」は、シカが増えすぎたのは捕食者の頂点に君臨していたニホンオオカミがいなくなったためだ、などという安易な推論を根拠にして外来種のオオカミの山野への放獣などという愚かな主張をしています。が、あまり賛同者がいません。というか、ほとんど賛同者がいません。

●シッカリと認識しておかなければならないのは、100年前にニホンオオカミは日本列島から絶滅しているのです。北海道にいたエゾオオカミもとっくの昔にいなくなっています。ところが、シカやイノシシによる農作物の被害が大きな問題になってきたのは比較的近年です。けっして100年まえからではありません。古くからと見てもせいぜい30年~40年前ごろからです。この点をみても、シカ・イノシシが増えすぎたのはオオカミがいなくなったからだという説は、破綻しています。100年前に絶滅したと言っても、100年前まで沢山いたのではありません。もっと前から絶滅に向かっていたハズです。したがって、もしシカ・イノシシの増殖がニホンオオカミの絶滅が要因であれば、100年前からシカ・イノシシの農作物の被害が顕著でなければなりません。しかし、農業関係で大きな問題になってきたのは近年なのです。草食獣の増減は捕食者が決定するという「日本オオカミ協会」を胡散臭い団体だと見る根拠はこの点です。

上位の栄養段階の生物による消費の動向が、下位の栄養段階の生物に与える影響のことを生態学では “トップダウン効果” と言っています。栄養段階の上位にいるオオカミが、下位にいるシカ・イノシシを捕食することによって、下位の食植者のシカや雑食性のイノシシの個体数を強く抑制しているという見方は生態学ではあり得るでしょう。逆に、食物段階の下位の緑色植物の増減が、食物段階の上位にいるシカの個体数を強く制限しているという “ボトムアップ効果” もあり得ます。どちらの効果の方が大きいのか? などと議論を始める以前に、日本にはシカやイノシシの栄養段階の上位の捕食者、すなわちニホンオオカミがとっくの昔にいないのです。したがって、生態学で言うトップダウン理論では、近年急に顕在化したシカ・イノシシの農作物被害を説明しようがないのです。「日本オオカミ協会」はトップダウン理論にこだわりすぎているのではないか??

●ところで、北海道では開拓が行われるようになった明治期に、家畜がエゾオオカミに食われることが多く、エゾオオカミの退治が官民挙げて行われています。本州にいたニホンオオカミの絶滅要因は別の理由でしょうが、北海道のエゾオオカミの絶滅の大きな要因がヒトによる捕殺です。家畜を襲うのと、毛皮目的もあったみたいです。で、安易な外来種オオカミの放獣は思わぬ問題を引き起こす可能性が高いです。そういう意味からも大反対です。シカ・イノシシによる農作物の被害をなくすために、シカ・イノシシを捕食するハイイロオオカミを放てば、そのハイイロオオカミがブタやニワトリ等の家畜を襲撃する危険性があり得ます。物事には功罪両面があるハズですが、事前には一面しか見えないことが多いです。ある対策を講じても、こんな筈じゃなかった…、というふうなことはよくあるのです。しかも、あらゆる政策や対策は、功罪両面のうち都合の良い面だけを強調しがちです。都合の悪い面は見て見ぬふりをするか、隠すのです。典型例は原発村のやり方です。あらゆる政策や対策は、そのことで利益を得る人たちが存在するために、つねに利権化していくのです。

さて、淡路島の場合は、もともとニホンオオカミは分布していなかった可能性がきわめて高いです。ニホンオオカミの古名(古典名)は山犬です。江戸時代の古典文学には頻繁に出てきます。淡路島に山犬がいたなどというハナシは、言い伝えにも聞いたことがないし、『味地草』や『淡路名所図会』など江戸時代の文献にも見たことがありません。ちなみに、キツネならば淡路島にも昔は確実にいたようです。淡路島でもシカ・イノシシの農作物への被害が顕著になってきたのは近年です。昔からシカ・イノシシの被害が顕著だったわけでは全くありません。淡路島は、もともとニホンオオカミがいなかった島ですから、オオカミがいなくなってシカやイノシシが増えて農作物に被害を及ぼしているという説は根拠が全く希薄です。

●私の考えでは、林野庁が戦後に全国でスギやヒノキの植林を強引に進めたのですが、植林事業の進展や、人工林の生長に歩調をあわせてシカ・イノシシの被害が顕在化してきたと思います。また、昭和30年代に燃料革命がおこり、田舎でも里山に入って薪炭を採らなくなったことと、シカ・イノシシの被害の発生は完全に歩調を合わせています。人工林が増えたので野生動物の棲息場所が奪われ、シカ・イノシシが人里にまで出没しだしたということがあろうかと思います。また昔はシカ・イノシシは奥山に棲息するのが普通だったのですが、人里と奥山の間に里山がありました。里山にヒトが出入りし薪炭を採っていて管理していました。奥山の動物は時には里山に出没することはあっても、それ以上は下に降りませんでした。で、里山がヒトと動物たちの生活圏を分ける緩衝地帯の役割をしていました。その緩衝地帯が奥山化してしまった、ということが問題の背景にあります。したがって隣接する田畑にシカ・イノシシが出没する頻度が非常に多くなったのです。ヒトのライフスタイルが変わったことに起因するそういう変化を良く観察すれば、「日本オオカミ協会」の “オオカミがいないからシカ等が増えるのだから、オオカミを放て” という活動や主張の根拠は間違っています。おそらく寄付金というカネ集めを目的にしているのだろうと、解釈できるんです。ただし、金集めはへたくそです。地球温暖化にからめてカネ集めを巧妙にやっているWWFジャパンを見習いなさい、と御進言申し上げたいと存じます。

●生態学的にみても、色々な見方はありましょうが、仮に、シカ・イノシシが増えすぎた場合には、餌が不足してくるので、シカ・イノシシの死亡率が上昇します。また餌不足で栄養状態が悪いと子獣の出生率が低下してきます。やがて、ある地域のシカ・イノシシの個体群の個体数は減少に向かいます。しかしゼロにはなりません。個体数が減って、シカ・イノシシが植生等に与える被食圧がへると、植生が回復してきて、やがて餌がふえます。するとシカ・イノシシが減少したのと逆のメカニズムで個体数が増加するということが起こります。というボトムアップ理論からの説明をするほうが説得力があるのではないかと考えます。数十年の大きな周期で、シカの個体群の消長が調査・研究されていることで有名なのは、宮城県の金華山です。ここでシカの個体数を減らすのは餌の不足と、時々おこる強い寒波です。オオカミがいなくても、シカが増えたり減ったりを繰り返しています。もともと、野生動物の個体群の消長が起こるのはしごく当たり前のことですし、増えすぎても、逆に減り過ぎても、適正な所に修正させるメカニズムが自然には存在しています。

ちなみに、タヌキ(狸)の個体数を調節するのはダニによる皮膚病の疥癬症です。10年ほど前までは淡路島の南部の山岳地帯でタヌキが非常に増えていました。ミカンやスイカがかなり被害を受けました。しかし疥癬症でタヌキの個体数は現在は激減しています。しかし絶滅したわけではなく、しっかりと生き残っている個体はいます。長い年数をかけてまた増えてくるでしょうが、将来に増えすぎたらまた疥癬症が蔓延して個体数を調節するということになるでしょう。自然界には増えすぎた個体を適度に減らす仕組みが備わっています。

そういう意味から、シカ・イノシシが増えすぎて大変だとと騒ぎ立てるのはみっともないのです。ほっておけばいいのです。そのうち、餌の不足とか、大寒波による死亡とか、病気であるとか、自然の摂理が適当なところに修正しますよ。農作物が被害があるというのであれば、しっかりとした金網を貼ることです。外来種のハイイロオオカミを放獣するなどという愚かで阿呆なことをしてはいけません…。シカ・イノシシを間引いて個体数を調節するために、それを捕食する外来種のハイイロオオカミを導入・放獣しようなどという主張には、私は強く反対いたします。


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