雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(番外編その1)
世界最大の渦潮はどこにあるのか?
●一昨日の1月29日に、大気の希薄な過疎地に位置する拙ブログではめったにないコメントを戴きました。その何回か会ったことがあるコメンテーターは「大きな渦は他所にも有るみたいですね。」と言うのですが、世界最大の渦潮はどこにあるのか? 一応、隠れSFファンで、むかし日本2大SF同人誌(関東の宇宙塵と関西の星群)の星群に所属したこともあります。推理小説も含めてSFファンならば、世界最大の渦潮はどこにあるのか? という問いには、涼しい顔をして「それはポーの作品の中だよ」と答えるでしょう。SFファンならば10人中7人か8人までそう答えるでしょう。中には、ジュール・ヴェルヌの作品(海底二万里)の中だと答える人もあるかもしれませんが…。

それは、ポーの小説の中?!
●エドガー・アラン・ポーの短編小説 『メエルシュトレエムに呑まれて』 の中に出てくる渦潮はとてつもなく巨大なものです。何十年も昔に創元推理文庫で読んだのですが、たしか直径2マイルの渦だったと記憶しています。しかし、記憶違いがあるかもしれません。10年ほど前に、手元にあったSFや推理文庫本は大部分を古書店に持って行って処分したので、その渦が直径何マイルだったか確認作業は割愛します。話のあらすじはWikipediaを引用させていただきます。

引用開始
 語り手は年老いた漁師に先導されて、ノルウェー海岸の近くにあるロフォーデン州の山ヘルゲッセンの頂上に着く。そこは断崖絶壁になっており、眺望が開けて海と島々の様子が見渡せる。海は荒れ狂っており、一旦静まったかと思うと海流が変化し、突然巨大な渦巻きが現れた。どんな巨船も逃れられないであろう猛烈な大渦。これが「メエルシュトレエム」であった。漁師は語り手に大渦を目の当たりにさせながら、3年前に自身に起こった出来事を語り始める。

 彼は二人の兄弟とともに漁船を出し、渦の起こる近くで漁をしていた。他の漁師たちは大渦巻きを恐れて近寄らないが、そこはいつでもたくさんの水揚げがあった。普段はちゃんと時間を見ながら、潮が緩んで大渦が発生していない時に引き上げるのだが、しかしその日は運悪く、長い海上生活の経験でも予測できなかった嵐に遭遇してしまう。弟はマストごと海の中に吹き飛ばされて消え、彼と兄が乗った船は暴風によって急速に渦の方へ押しやられてしまう。時間を計っておいた漁師は、じきにメエルシュトレエムの活動が終わる頃になるに違いない、と希望を抱いていたのだが、それも空しかった。彼の時計は止まっており、もうすぐ終わるどころか、メエルシュトレエムが荒れ狂っている真っ最中であったのだ。

 船は大渦に捉えられ、回転運動をしながら次第に渦の中心に近づいていき、漁師は観念して渦の様子を見守る。渦の漏斗には船の破片など様々なものが飲み込まれて行っている。その様子を観察しているうちに、彼はやがて、体積の大きいもの、球状のものは早く渦の中心に落下して行くのに対して、円柱状のものは飲み込まれるのに時間がかかっていることに気付く。兄にそれを伝えて共に脱出しようとするが、恐怖で錯乱した兄は言う事を聞かなかった。彼は覚悟を決め、一か八かで円筒状の樽に自分の体を縛り付けて海に飛び込んでいく。船がそのあとすぐに渦の中心に飲み込まれてしまったのに対し、円筒状の樽は飲み込まれずに留まり、渦が消滅するまで持ちこたえることができた。「恐ろしさに髪は真っ白になり、まるで老人のように変わってしまって、助けてくれた漁師たちは誰も私だとわからなかった。あなた(語り手)もロフォーデンの漁師仲間と同じで、こんな事はとても信じられないでしょう」と最後に漁師は締めくくる。
引用終了

●すり鉢というか、蟻地獄のような大渦巻きの縁をぐるぐると回転しながら、渦の中心にジリジリと吸いこまれていくのですが、渦に吸い込まれていく浮遊物体を観察をすると、物体が吸い込まれていくスピードに違いがあることに気づきます。知恵を出して助かる方法を思い付き、潮の流れが変わって渦が消滅するまでの1時間を持ちこたえるというハナシです。

●ハナシとしては大変に面白いし、よく出来ています。絶体絶命の窮地からどうやって脱出するのか? スリル満点の興味深い名編であります。ポーの作品はたくさん翻訳され、多くの読者やファンがいて、日本文学とくに推理小説の分野には大きな影響をおよぼしています。なんせポーの名前を名乗る作家が居るぐらいなのです。有名な 江戸川乱歩 は敬愛するポーの名前をもじったものです。「エドガー・アラン・ポー」=「江戸川乱歩」で、たしかにポーの名前を漢字で上手く写し取っています。

しかし、なんとなく胡散臭い部分もあるが…
●クソまじめで石頭の純文学愛好家たちは、推理やSFを馬鹿にして、あまり評価しないのですけれども、推理は別として、とくにSFの評価基準の大きな要素は 「想像のリアリズム」 があるかどうか? であります。荒唐無稽な、現実にはあり得ないハナシであっても、もし本当にそういうことが起こったならば、そうなるかもしれないというふうな真実味があるのかどうか? です。真実味がありそうな作品は高く評価できると思います。ポーの大渦に飲み込まれていく短編小説は、想像のリアリズムという観点からは、何となく胡散臭いような気がします。

胡散臭く感じるのは、大渦に巻き込まれていくとき、螺旋回転運動している水流に浮かぶ浮遊物が、その浮遊物の形状や体積によって、漂流速度が変わるのかどうか? という問題です。どうなんでしょうかねえ? 正確なところは、そういうことを研究している専門家に聞かないと分かりません。風呂に満水に水を張り、水抜きの栓を抜いて渦巻を作り、色々な物体を浮かべて吸い込まれる様子を観察してみたいのですが、しかし実験するには風呂桶では小さすぎそうです。

●たとえば、ガリレオ・ガリレイがピサの斜塔で物体の落下実験をやったように、空気中で鉄球と紙切れを落下させれば鉄球の方が早く落ちるハズです。むかし月面に到着したアポ計画の宇宙飛行士が、真空中の月面で石と紙切れを落下する実験をやって、同時に着地することを示しました。真空中では鉄球も紙切れも同じ速度で自由落下していくのに、空気中では鉄球よりも紙切れの落下は遅れます。これは、鉄球と紙切れでは空気抵抗の作用のしかたが全然違うからのように思うんですが、つまるところ、静止している空気中を物体が切り分けて落ちていく為に、物体の形状により落下の速度が変わるように思えます。

一方、漂流物が海流で流されていくとか、渦潮に吸い込まれていく場合には、海水が静止しているのでは全くなくて、ちょうどベルトコンベアーみたいに海水自体が動いているハズです。浮遊物はそのベルトコンベアーに乗っかっている状態だと思います。空気中を物体が自由落下するような、静止している物の中を切り分けて進んでいくのではなく、移動している水流のベルトコンベアーに乗っかっているだけなのだから、浮遊物の大小とか形状にあまり関係なく、ほぼ一緒の速度で吸い込まれていくのではないか?? 

●台風の風が中心に近くなるほど風速を増すのと同様に、巨大渦潮に吸い込まれていく浮遊物は、角運動量保存則に従って中心に近づくほど速度を上げることはあっても、その物体が球形であるとか円筒形であるとかでは速度は変わらないのではないのか? その漂流物が、水面上に露出している部分が大きければ、風とか空気の抵抗とか受けるでしょうから速度が変わることがあるかもしれません。また、渦巻に対して物体の大きさが極端に大きければ、物体の渦の中心側と外側とでは水流の速度が違うハズだから、なんらかの影響があって、多分その場合はその浮遊物はクルクルと回転しながら渦巻に吸い込まれていくのではないか??

渦巻状になっている潮の流れとしては、浮遊ブイを使った潮流の観測調査などで巨大なものが知られています。しかし、渦潮らしい渦潮としては、直径2マイルもの巨大渦潮は現実には存在しないでしょうから、ポーは実際の観察に基づいて書いたのではないハズです。想像を逞しくして書いたのであろうと思いますから、それらしく、適当に書いただけではないのか? と思うのですけれども、わたくしは全くの門外漢ですので、専門家に聞かないと本当はどうなのかわかりません…。

Google画像群やYouTube動画などを見ると、ポーの『大渦巻に呑まれて』という名短編の舞台となったノルウェー北西部のロフォーテン諸島をはじめ、世界最強の潮流「ソルトストロウメン」は、鳴門海峡よりも景観・自然美で遥かに上のようです

ポーの小説の舞台になったノルウエーの渦潮「メイルストロム」

Googleでモスケンの大渦巻を画像検索してみた。

【YouTube動画】 ソルトストロウメン メイルストロム ― それは世界最強の潮流 ー
これはポーの小説の舞台となったロフォーテン諸島からは少し離れた別の場所で、ボードーという町の近くらしいですが、世界最強の潮流ということであります。恐ろしいような激流です。
世界最強の潮流が見られるノルウエーのSaltstraumen
↑英語版ウキペディアSaltstraumen(ソルトストロウメンと読むのか?)から写真を借用しました。ソルトストロウメンは狭い海峡であって、世界最強の潮流が見られます。ノルウェー国のノードラン県、ボード市にあり、ボードの町から南東に10キロのところです。フィヨルド湾と外洋大西洋の間をつないでいる水路になっているんですが、そのフィヨルド湾は閉鎖性の湖のようになっていて、外海への出入り口を数個の島で塞いでいます。その島の間の狭い水路(海峡)がソルトストロウメンであります。

多分、そのフィヨルド湾は外海との出入り口が極めて狭いので外海と遮断されていて、水位が常にほぼ一定状態で、外海の方が干満によって水位が2mぐらいの振幅で上下し、するとフィヨルド湾との相対的な水位が1m上がったり下がったりして、その1mの落差が潮流の要因でありましょう。要するに、鳴門海峡や、洲本市の由良港で見られる潮流と同じ原理なのでありましょう。それはさておき、写真をみると風光の素晴らしいロケーションです。とても鳴門海峡では太刀打ちできません。

ノルウェー自転車旅行 「ロフォーテン諸島(Lofoten Islands)」
2004年7月30日より1年間、ノルウェー工科自然科学大学に留学した25歳の青年が、ロフォーテン諸島を自転車旅行された旅行記のようです。第一日目から第7日目まで順に閲覧させていただきましたが、アルプスの中腹から上が海上に浮かんでいるという景観で、万年雪をいただく山あり、氷河あり、氷食尖峰あり、フィヨルドあり、オーロラも出てきています。岩と氷の極北の世界かと思いきやそうでもなく、樹木や森林もあるようです。また付近の海域は世界屈指の漁場でもあるから海洋生態系は豊かであろう思われます。ポーの小説の舞台はモスケネス島の周辺海域の渦潮ですが、そのモスケネス島を含むローフォーテン諸島こそ、鳴門海峡などよりも、遥かに世界自然遺産に近そうです。景観基準だけでなく、地質・地形基準や、生態学基準にも及第しそうな感じがします。バイキングが活躍した地域でもあるみたいで、そうならば文化遺産の要素も含みそうです…。

鳴門海峡の渦潮など、仮に、世界自然遺産候補のリストに載せても、審査の段階で恥を掻くのがオチでありましょう。

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鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その8)
1月8日付の拙稿(その1)で取り上げた新聞記事 『鳴門海峡の渦潮 世界遺産への挑戦 ③普遍的価値』 (1月6日神戸新聞朝刊)の記事の中で、ユネスコ前事務局長の松浦晃一郎氏は明言しています。

「もっともっと学術研究を積み重ねてほしい。渦潮を眺めて『素晴らしい』と言うだけでは、世界遺産にたどり着けない」

国連の専門機関であるところの国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が、候補として上がってきた案件を世界遺産として登録するかしないかの最終審議をしています。上記の言葉はそのユネスコの事務局長を務めた方の発言です。この前事務局長の松浦氏の言葉が暗黙に示唆しています。
鳴門の渦潮は、世界遺産登録の基準の⑦では、とても登録は無理じゃあ。

ここで、自然遺産登録の基準を復習しますと、次の通りであります。なお、①~⑥ が世界文化遺産の基準、⑦~⑩ が世界自然遺産の基準です。

⑦ 類例を見ない自然美および美的要素をもつ優れた自然現象、あるいは地域を含むこと。
⑧ 生命進化の記録、地形形成において進行しつつある重要な地学的過程、あるいは重要な地質学的、自然地理
  学的特徴を含む、地球の歴史の主要な段階を代表とする顕著な例であること。
⑨ 陸上、淡水域、沿岸および海洋の生態系、動植物群集の進化や発展において、進行しつつある重要な生態
  学的・生物学的過程を代表する顕著な例であること。
⑩ 学術上、あるいは保全上の観点から見て、顕著で普遍的な価値をもつ、絶滅のおそれがある種を含む、生物
  の多様性の野生状態における保全にとって、もっとも重要な自然の生育地を含むこと。

もって回った分かりにくい表現なので、端的に要約します。
⑦は、極めて美しい自然であること。
⑧は、地質学・地形学の学術的価値が高いこと。
⑨は、生態学・生物学の学術的価値が高いこと。
⑩は、生物多様性があり、絶滅危惧種が見られること。


さて、鳴門海峡の世界遺産への可能性について、⑦ の景観美の基準ではとても無理なことは、ユネスコ前事務局長の松浦氏が述べています。それゆえ松浦氏は⑧の地質・地形の基準を狙えと指南しています。しかし拙稿(その7)で考察した通り、鳴門海峡は日本地質百選にも選ばれず、国内20箇所ある世界ジオパークや日本ジオパークにも選ばれていません。この20か所のジオパークは地質学・火山学・第四紀学・地形学等の関連科学の専門家たちが評価して選んだものです。新聞記事では「科学者を確保することが優先課題」などと阿呆なことを書いていますが、全く意味ないです。まるで札束を積んで「御用学者を雇いなさい」と言っているみたいです。すでに、国内の地質や関連科学の専門家による貴重性評価は沢山行われているのです。それらの貴重性評価資料に鳴門海峡の名が無いのです。今さら何を研究せよと言うのでしょうかねえ?? 更に付け加えれば、地質関連の評価資料だけでなく、『日本の地形レッドデータブック』という報告書にも鳴門海峡など載っていないのです。専門家たちは鳴門海峡を地質学的・地形学的に保護すべき貴重なものとは評価していないのです。したがって、⑧の地質学基準で鳴門海峡が世界遺産になることは絶望的です。それどころか、日本から⑧の地質・地形の基準で世界遺産を出すのはかなり難しいのではないか?と私は思います。その根拠として、⑧の基準にもとづく世界遺産の候補がないことが指摘できます。それどころか、日本には自然遺産候補自体が1つもありません。

●日本列島は箱庭的で、色々な地質や地形のデパートみたいなものです。地質の多様性はあるんですけれども、個々の物は規模が小さすぎるのです。たとえば富士山をみても、日本一の標高を持つ秀麗な霊峰ではあります。しかし世界的なレベルでは、富士山程度の物件は世界に数十存在していて、ありふれた成層火山なのです。ジャワ島やスマトラ島には富士山のような成層火山は沢山あります。富士山はけっして世界で傑出する特別なものではありません。残念ながら、富士山より遥かに高く立派な成層火山は世界に沢山あります。一例としてメキシコ最高峰の オリサバ山 5636m 

地質学や関連科学の専門家が選んだ日本列島に20ある世界ジオパークや日本ジオパークを見ても、世界の前には見劣りします。世界ジオパークの 北海道 洞爺湖有珠山ジオパーク は世界最大のカルデラ湖のインドネシア スマトラ島のトバ湖 には規模が2まわりぐらい小さいです。同じく世界ジオパークの 糸魚川ジオパーク はフォッサマグナ(中央地溝帯)の西側の断層であるわけですが、アフリカ大陸東部の 大地溝帯 と比べるべくもありません。どちらも2つのプレートの境界であるわけですがやはり規模が2回りは異なります。地質・地形の基準で世界自然遺産に一番近そうな物件でも、世界と比べるとずいぶんと見劣りするのは否めません…。

では、⑨や⑩の基準で、鳴門海峡を世界遺産に登録の可能性は?

●ハッキリ言って論じるだけムダです。全く可能性ゼロであります。
鳴門海峡の岬や島・海岸・海域に、何か特別に多様性を現わす植物相(フロラ)や動物相(ファウナ)が見られると良いのですが、動植物の調査をする大勢の専門家や熱心なアマチュアも参加して、長年調べ上げられています。で、この地域・海域に特別に貴重な生物群集が見られるということは残念ながらありません。

●陸上の高等植物では、淡路側の鳴門岬(門岬)には兵庫県レッドデータブックでBランクのイワタイゲキとか、Cランクのユウスゲとかタイトゴメとか色々と見られますが、全国的には珍しい物でも絶滅危惧種でもありません。この岬は風が強い風衝地であるので、斜面に生えているハマヒサカキ(Cランク)などが見事な扁形樹となっているのが、生物学的に面白いかもしれませんが、扁形樹など全国各地でみられるもので特筆するほどのものではありません。

発見後すぐに野生絶滅した「ナルトオウギ」!

対岸の鳴門市側には、大毛島の海岸砂浜で1950年に ナルトオウギ というマメ科の植物が発見されましたが、まもなく自生地では消滅してしまいました。鳴門市にしか見つかっていない植物だったので、日本の固有種と考えられてきましたが、10年ほど前韓国で見つかったそうです。この絶滅植物(正確には野生絶滅種)が鳴門海峡の両岸の砂浜に見事な大群落を作っていて、厳重に保護されていたならば、世界遺産登録の⑩の基準の材料になりうるのですが、残念ながら既に絶滅しています。

海峡の中に飛島という小島があります。ここにイブキの群落があり大木も混じっているそうなんですが、徳島県の天然記念物になっています。しかし国の天然記念物じゃないし、仮に国の天然記念物であったとしても、天然記念物など全国に沢山あるのです。天然記念物ぐらいで世界遺産とはならないでしょう。

と言うふうに、陸上の高等植物をみても、とても世界遺産に繋がるような材料はなにもないのです。鳥類とか、哺乳類とか、海産動物にまで拡張すると、わたくしは十分な情報を持っていませんが、鳴門海峡周辺に保護すべき貴重な生物群集が存在するというハナシは寡聞にして聞いたことがありません。世界遺産の⑨や⑩の基準に当てはまるようなものは存在していないであろうと思います。

幕末~明治初期までは沢山いた「ニホンアシカ」と「ニホンカワウソ」!

● 環境庁自然保護局 『海棲動物調査報告書』1998年3月 という報告書の120~122ページにニホンアシカについての記述があります。1974年に北海道の礼文島で最後の棲息確認がされて40年近くになります。環境庁のレッドデータブックでは、50年以上生存確認がなされないと「絶滅」としないことから、現在まだ「絶滅危惧種」扱いですが、事実上もはや絶滅したとみなしていいでしょう。動物園で曲芸などをするアシカはカリフォルニアアシカで、絶滅したニホンアシカは体が一回り大きかったとされます。

●ニホンアシカは、明治の初期までは日本全国の海岸に棲息していた記録があるようです。江戸時代にまでさかのぼると、瀬戸内海にも沢山アシカがいたみたいで、昔、鳴門市図書館に行って、鳴門市側の古い資料をあさったことがあるのですが、鳴門海峡にもニホンアシカがいた記録があります。ニホンアシカは古くは「うみうそ」などと呼ばれ、「海に居るカワウソみたいなものだ」という意味ですが、「海獺」の字を当てています。鳴門海峡の海域で昔アシカが波間を戯れていたなどとは、ちょっと信じられないようなハナシでありますが、絶滅の最大要因が油と毛皮が目的の捕獲だったとされています。また、漁師からみたら自分たちの獲物を奪う敵でもあるので、捕殺がかなり行われたと言われています。

ニホンカワウソも、ニホンアシカの後を追って事実上絶滅しています。(環境省のリストでは絶滅危惧状態)戦時中ぐらいまでは淡路島沿岸にもニホンカワウソが結構いたという記録があるみたいです。1954年に淡路島と紀伊半島の間にある友ヶ島で生存確認がされていますが、これが本州では最後の確認です。ニホンカワウソも毛皮目的で捕獲したのが絶滅の最大要因です。カワウソは川だけでなく海にも入って魚を捕るので、漁師さんの敵であり捕殺も行われたようです。

●もし、これらのニホンアシカやニホンカワウソが生き残っていて、日本で最後の生息地として鳴門海峡に数百頭レベルのコロニーを作っていて、絶滅が危惧され、手厚い保護活動がなされていたならば、世界自然遺産の基準⑩に該当する可能性が出てきます。インドネシアの スマトラの熱帯雨林遺産 が2004年に⑦⑨⑩の理由で世界自然遺産に登録されています。生物多様性が見られ絶滅危惧種が居るというのが大きな登録理由ですが、ユネスコのサイトを見ると、スマトラトラ・スマトラサイ・スマトラゾウの写真が麗々しく載っています。絶滅危惧種といっても、その分野の専門家しか知らないような珍奇な昆虫だとかはダメみたいで、誰でもが知っているような分かりやすい大型の哺乳類がいるほうが、高く評価されやすいという印象がします。

しかし、残念ですが、鳴門海峡にアシカやカワウソが沢山いたのは、100年も200年も昔の話なのです。⑨や⑩の基準によって、鳴門海峡が世界遺産になる可能性は絶対に有り得ません…。

鳴門海峡
↑大鳴門橋の右側アンカーブロックから南東方向4.5キロの地点、海抜約100mのホテルニューアワジプラザから遠望しました。渦潮は春から初夏ぐらいの大潮の干潮あるいは満潮のときに見られるだけです。大潮の日であっても潮どまりとか、播磨灘と紀伊水道との落差が少なければ見られません。3月から7月ぐらいの大潮は落差が大きいですが、大潮のピーク前後5日ぐらいが見頃か? だとしたら、渦潮らしい渦潮はは年間365日のうち、5×5の25日ぐらいか? 秋の潮は小さいですし、冬の潮は夜間が大きく昼間は小さいです。25日といっても時間帯はせいぜい2時間ぐらいか? 一日中見られるわけじゃありません。

そもそも渦潮はたんなる「現象」なのであって、その現象が発生する条件が生じたときだけに見られるのです。自然美とか景観美という場合は普通、山とか森林とか湖とか滝などの景観を言うのですが、新緑とか開花とか紅葉とか積雪など、その姿が季節や天気によって変わることはあっても、一年中、何時でも(夜間はダメですが)見られるわけです。そこが「現象」と「景観」の全く違うところです。

大鳴門橋
↑大鳴門橋です。橋梁技術の粋を集めた英知の産物とみるか? 自然美と相容れざる醜悪な夾雑物とみるか? どちらとも言えるのですが、前者の見方は経済至上・技術万能の利権者の見方、後者の見方は自然をこよなく愛するナチュラリストの見方でありましょう。わが南あわじ市にはナチュラリストは少ないようです。

(拙稿は続く)
大寒のヒラタケ、採る
●本日は、2012年1月25日であります。いよいよ年間で一番寒い時期になりました。気象観測統計をチェックしてみましたところ、わが淡路島の洲本特別地域気象観測所(旧洲本測候所)の観測統計では、1月28日~2月2日の6日間が、日最低気温の平年値が1.6度であります。この6日間が年間で一番気温が低くなります。6日間の真ん中をとれば1月30日と31日との境ということになるのですが、つまり、年間で一番気温が下がるのは1月の月末ということになりましょう。

●厳寒期にもかかわらず、ヒラタケが逞しく出てきました。西日本ではカンタケ(寒茸)という異名が広く分布しています。読んで字のごとく寒い中でも出てくるという意味ですが、その異名に恥じない面目躍如という感じです。

1月25日に見つけたヒラタケ(平茸)ホストはニワウルシの立ち枯れ木
↑本日1月25日に見つけた。収獲適期を数日過ぎているという感じではありますが、気温が非常に低い時期なので傷みがほとんどなく、食べられます。実際に晩飯のおかずに七輪(?)で炭火であぶって焼肉のタレで食べたら美味かったです。焼いて焼肉のタレで食べるという食べ方は、昨年12月23日に観察会 「おたけさん」 の 特選写真ギャラリー をした際にもヒラタケを見つけて、参加者の「おたけさん」が考案した食べ方です。
今年(この冬)はヒラタケの当たり年かも? 昨秋から何回もヒラタケを賞味させていただきました。

●昨年12月23日の観察会でのヒラタケは、エノキ の大木の枯れ木に出ていました。本日見つけたものは、ニワウルシ の枯れ木に出ていました。ニワウルシは環境省が特定外来生物に指定して目のカタキにしています。けれども、ニワウルシの大径木の枯れ木には、ヒラタケや野生のエノキタケがよく出てきます。キノコファンには有難い神様のような樹木なんです。特定外来生物に指定して目のカタキにするのは、バチが当たります。そのほかの樹木ではヒラタケは、カクレミノ にもよく発生しています。淡路島南部の山岳地帯では、ヒラタケの発生する3大樹種はエノキ・ニワウルシ・カクレミノなのです。他の樹木では発生頻度は極めて低いです。なお、ヒラタケは枯れ木でないと発生しません。生きている木はダメです。で、ヒラタケ探しのコツは、この3大樹木の立ち枯れや切り株を探すことです。

● Google画像検索「ヒラタケ」 を見ると沢山出てきます。広い世の中にはヒラタケファンが大勢いるようです。写真の撮り方にもよるんですが、傘の色など変異の幅があなりありそうです。私が本日採ったものは「ひだ」がかなり黒味を帯びたものでした。Google画像群は下の方にいくとクリタケ、ナメコ、など明らかに違う物が出ているので、参考にするには上の方の物だけにしておくほうが無難です。なお、37段あたりに観察会に参加下さった方が出てきたのにはびっくりです。

● 『今昔物語』に載るヒラタケの話 がネットに落ちていました。この文章は、多分、小川真著『きのこの自然誌』から転記したものだと思います。同小川氏著『マッタケの生物学』と並んできのこファン必読の名著です。
鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その7)
鳴門海峡の渦潮を世界遺産に登録させるために、地質学的な普遍的価値を示すことが出来るか?

●この問いに関して、応えるのはしごく簡単です。鳴門海峡の渦潮を世界遺産にと変な幻想を追いかけている人々には悪いんですけども、残念ながら、出来ませんとしか答えようがありません。なんせ、世界遺産にというハナシです。世界遺産にたどり着くには、当たり前のことですが前提として、その物件が日本一であるか、日本有数のものでなければならないハズです。たとえるならば国体で優勝出来るぐらいでないとオリンピックに出場できないのと全く同じです。国内で何の実績も記録もない選手が、オリンピックに出場できるでしょうか?

言わんとすることは、鳴門海峡に日本一かもしくは日本有数の地質学的な何かがあるのか? を考えればいいのです。地学ファンならだれでも知っていることですが、日本の地質百選 というものがあります。地質情報ポータルサイト を見てもいいです。

① 鳴門海峡は、“日本の地質百選” にすら選ばれていない!
【地質情報ポータルサイトから引用します。】
美しい日本の国土、火山の恵み・温泉、美しい景観の観光地もみんな、それを形作っている日本列島の地質があってこそのものです。 あるいは地震や地すべりなどの被害も、また地質現象の結果です。日本の地質現象は多岐にわたっており、世界の地質学者が、その素晴らしさに注目しています。そこで日本全体から、地質現象のよくわかるところを百箇所選び出し、そのユニークさを顕彰し、広く知っていただくことにしました。2007年5月10日に第一次選定として83箇所を選び、2009年5月10日[地質の日]に第二次選定として37箇所を選び、合計120箇所の地質百選を選定しました。【引用終了】

というような趣旨のものが “日本の地質百選” なのですが、その120個選定されている地質現象の良く分かる特筆すべき場所のリストに、鳴門海峡が残念ながら入っておりません。“日本の地質百選” にも選ばれないような場所が、⑧の基準で、世界遺産に選ばれるハズがございません…。これが実情であります。関係者にはまことに厳しい現実です。あきらめるしかないのですよ。鳴門海峡を世界遺産にという気持ちは分からないでもありませんが、徒労に終わるし、税金の無駄づかいになるし、幻想を追いかけるのはおよしなさいと御進言申し上げたいと存じます。

拙稿その1で、引用した新聞記事のなかで、『(ユネスコ前事務局長の)松浦さんが薦めるのは「地形学や地質学的に重要な特徴」を評価する基準。国内4か所の自然遺産はいずれも、地形・地質の基準を満たしていない。』などと書かれています。記事は新聞記者が書いたのでありましょうが、松浦氏も新聞記者も高校地学レベルの知識もなさそうです。

松浦氏がなぜ “地形学や地質学的に重要な特徴” すなわち世界自然遺産に登録する基準の⑧を口にするのか、ですが氏はユネスコ事務局長をされたお方なので、鳴門の渦潮という景観だけでは、すなわち登録基準の⑦だけでは、とても世界遺産にたどりつけないことが分かっているからだと思います。しかし松浦氏は輝かしい学歴や経歴の持ち主のようですけれども、法学部出身の方でもとは外交官であり、地学にかんする知識が不足しているようです。もし、高校地学の教科書の知識があれば、後援会で鳴門の渦潮を世界遺産にするために、⑧の基準を狙いなさいなんて指南を絶対に言わないハズです。

② 鳴門海峡は、“日本ジオパーク” にさえ選ばれていない!
独立行政法人 産業技術総合研究所>地質調査総合センター>日本ジオパーク委員会 『ジオパークとは』から。
日本(世界)ジオパークの分布図
↑これが、地質学や第四紀学や地理学などの専門家たちが選定した “地質・地形版の世界遺産および日本遺産” であります。世界ジオパークが5つ、日本ジオパークが15あります。残念ながら鳴門海峡はありません。日本地質図の上に記入されているジオパークを一目見れば、鳴門海峡が世界遺産⑧の基準で登録されることなど絶対にあり得ないことが分かります。

●世界遺産は国際条約に基づくもので、目的は遺産の保護・保存です。条約の条文で明確に謳っています。観光振興が目的ではありません。
ジオパークは、ジオ(地球)に関するパーク(公園)だというのですが、目的は遺産の保護だけではなく教育などの利用も目的です。目的は世界遺産とジオパークとではやや異なるようですが、ジオパークもユネスコが深く関係しています。ユネスコ環境・地球科学部門の支援により2004年に世界ジオパークネットワーク (GGN) が設立されて、ここが運営しているのですが、世界遺産の⑧の基準で登録される自然遺産とは兄弟みたいなものだと解釈することが可能だと、私は思います。詳しくは ジオパークQ&A をご覧ください。

●日本ジオパークにも選ばれないような地質・地形学上の物件が、世界自然遺産に選ばれるハズがありません。実際に、日本一の成層火山として自然遺産に登録運動が繰り広げられた富士山は、2003年に環境省の「自然遺産の候補地の検討会」で候補地選定を見送りました。自然遺産としては富士山は候補にもなれなかったのです。(ただし2006年に手を変え文化遺産候補にはなれました)

ジオパークは後からできたものではありますが、案の定、富士山はジオパークにはなっていません。地質学者や火山学者たちは単なる成層火山というだけでは、それほどの地質学的価値を認めていないことが窺えます。世界遺産の評価と通じるものがありそうです。ちなみに、洞爺湖有珠山が世界ジオパークに選定され、磐梯山と阿蘇山が日本ジオパークに選定されていることから、カルデラを持つ火山の地質学的評価が高いようです。ま、鳴門海峡が日本ジオパークにもなっていないから、世界自然遺産の⑧の基準で登録されることなど絶対に有り得ません。

③“兵庫県版レッドデータブック地質の部” でさえ、鳴門海峡は選ばれていない!
●兵庫県版レッドデータブック2003『改定・兵庫の貴重な自然』では、「地形・地質・自然景観」の評価をしています。南あわじ市のエリアでは、護るべき地形は4地点、護るべき地質は10地点選定をしています。残念ながら鳴門海峡の淡路側であるところの鳴門岬(門岬・とさき)周辺は選定から漏れております。

鳴門海峡・鳴門岬が地質の選に漏れる!
南あわじ市のAランクの地質は2地点あります。Aランクの地形は南あわじ市にはありません。
南淡町沼島江の尾および黒崎東方海岸 …… 三波川結晶片岩類、泥質片岩中のさや形褶曲、海食
西淡町湊西方および阿那賀 ………………… 和泉層群西淡累層中のアンモナイト化石、海食

なお、沼島のさや形褶曲は “日本の地質百選” に堂々とランクインしています。

ただし、自然景観の評価では、鳴門岬周辺をAランクと選定しています。鳴門海峡に面した半島と島からなり、干潮時の潮流と渦潮を間近に見る雄大な景観、と記述があります。しかし、これは鳴門海峡の渦潮を世界遺産に、と言っている人たちの主張そのものでありますし、この景観美だけでは世界遺産の基準には弱すぎるということを、松浦氏は暗黙に言っているのです。

兵庫県版レッドデータブックにすら、鳴門海峡が地質の評価でリストに選定されていないのです。これでは、世界遺産にと運動をしても登録できるハズがありませんよ。

(拙稿は続く)
鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その6)
●1978年に登録が始まった世界遺産でありますが、2012年までの足掛け35年間に、登録された世界自然遺産は188物件、自然遺産かつ文化遺産である複合遺産は29物件の計217物件です。拙稿その4で掲上した5枚の表を少し観察してみます。世界自然遺産であると評価する基準は次の4つであります。なお、①から⑥までは文化遺産の基準なので割愛します。

⑦ 類例を見ない自然美および美的要素をもつ優れた自然現象、あるいは地域を含むこと。
⑧ 生命進化の記録、地形形成において進行しつつある重要な地学的過程、あるいは重要な地質学的、自然地理学的特徴を含む、地球の歴史の主要な段階を代表とする顕著な例であること。
⑨ 陸上、淡水域、沿岸および海洋の生態系、動植物群集の進化や発展において、進行しつつある重要な生態学的・生物学的過程を代表する顕著な例であること。
⑩ 学術上、あるいは保全上の観点から見て、顕著で普遍的な価値をもつ、絶滅のおそれがある種を含む、生物の多様性の野生状態における保全にとって、もっとも重要な自然の生育地を含むこと。

これらは多分に翻訳文体調の文で、ちょっと分かりにくいところがあります。しかし、ごく簡単に申せば、次のように要約できましょう。
⑦きわめて美しい自然である。 ⑧地質学的な価値が高い。 ⑨生態学的な価値が高い。 ⑩生物種が豊富で絶滅危惧種が見られる。

何個の基準を満たして登録されているのか?

●自然遺産の登録基準は4つあるわけですが、複合遺産を含めて217件の自然遺産がそれぞれ何個の基準を満足させて登録となっているのか? ざあっと見ますと、やはりと言うか、案の定、1978年に登録がはじまってからしばらくは基準を3つも4つも満足させた物件が多かったです。しかしながら最近の10年間を見ると3つも4つも基準を満足させるような大物の物件は少なくなっていると言えましょう。3拍子も4拍子も揃った第一級の自然遺産は早期に登録されてしまい、しだいに第二級・第三級の小粒の物件が増えてきていることを窺えます。近年は1個の基準のみで登録されている自然遺産が増えているので、かろうじて世界自然遺産になったものが多いのではないか? やはり、これ以上自然遺産の数を増やしたら質の確保が難しくなりそうです。

●日本の4個の自然遺産を見てみますと、日本には第一級の4拍子そろったような物件は残念ながらありません。東洋のガラパゴスなどとも言われる小笠原諸島でも、たった1個の基準でかろうじて世界自然遺産となったにすぎません。生物学史上の偉大な不朽の典籍、チャールズ・ダーウィンの『種の起源』を産み出す素地となったガラパゴス諸島が1978年に堂々の4個の基準で世界遺産となったのとは、比べるべくもありません。ダーウィンの乗船したビーグル号がガラパゴス諸島に寄らずに、代わりに小笠原諸島に寄ったとしたならば、はたして『種の起源』が書かれたかどうか? わたくしはダーウィンが小笠原諸島に上陸したのであったならば、ダーウィンの慧眼を以って動植物の観察をしても、『種の起源』が書かれることはなかったと思います。

(1993年登録) 屋 久 島 ⑦⑨の2個の基準で登録された。
(1993年登録) 白 上 山 地 ⑨の1個の基準で登録された。
(2005年登録) 知    床 ⑨⑩の2個の基準で登録された。
(2011年登録) 小笠原諸島 ⑨の1個の基準で登録された。

●ところで1992年に日本が「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」の締約国の仲間入りして、すぐに官民挙げて「富士山」を世界自然遺産にと運動がなされましたが、2003年に環境省の「自然遺産の候補地の検討会」で候補地選定が見送られました。(手を変えて2007年に文化遺産候補とはなっていますが)富士山でさえ自然遺産が無理だったのです。成層火山としては氷河を戴く キリマンジャロ国立公園 のキリマンジャロ山(5895m)に太刀打ちできないのです。カムチャツカ火山群 (最高峰は4750m)にもスケールで全く負けています。べつに自国の物をけなすわけではありませんが、日本人は夜郎自大(やろうじだい)になる傾向があるのです。
富士山でさえ自然遺産登録を断念せざるをえないほどですから、鳴門海峡の渦潮を世界遺産にと運動しても、骨折り損のくたびれ儲けとなるのは必定です。

さて、世界遺産は1つだけでも基準を満足させれば登録可能だとされています。188の世界自然遺産のうちで、ただ1個の基準で世界自然遺産となった物件は、43個あります。43個のうち、⑦の基準の物が9物件、⑧の基準の物が15物件、⑨の基準の物が5物件、⑩の基準のものが14物件あります。もし、鳴門海峡の渦潮が世界自然遺産の候補に選定するとしたならば、⑦の基準しか考えられません。そこで⑦の基準で世界自然遺産に登録された9個の物件を見てみましょう。

登録基準の⑦のみで自然遺産として登録された9物件。 クリックすればユネスコの公式写真が閲覧できます。(文章は英文なので読まなくてもいい。語学が達者ならば読んでもいいし、読めるところだけ読むのも一法)

ベラヴェシュスカヤ・プーシャ/ビャウォヴィエジャの森

サガルマータ国立公園

キリマンジャロ国立公園

九寨溝の渓谷の景観と歴史地域

黄龍の景観と歴史地域 これは写真ギャラリーがないので公式動画を見ます。何を言っているのかわかりません。

武陵源の自然景観と歴史地域 こちらも写真ギャラリーがないので公式動画を見ます。

三清山国立公園 公式写真が1枚しかないのでこちらを見ますGoogle画像検索「三清山国立公園」

オオカバマダラ生物圏保護区

オウニアンガ湖群

●これら9つの物件の写真や動画を見ると、どれもこれも見事な自然美を見せています。たぐい希な絶景ばかりです。特に中国のものが素晴らしいですね。世界遺産と折り紙を付けられるにふさわしい価値があります。南あわじ市当局は鳴門海峡の渦潮を世界遺産に登録するために、その担当の臨時職員(給与15万円)を今募集しています。あちこちに立てる幟も作るそうです。しかしながら世界のこんなにも素晴らしい風向明媚なものと比較されて、値踏みされるのです。鳴門海峡の渦潮など申請したら、恥を掻くのがオチでしょう。やめといたほうが無難じゃないかしら?

(拙稿は続く)
鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その5)
●世界自然遺産の188物件と、自然遺産でありかつ文化遺産でもある複合遺産の29物件を概観すると、素人なりに気が付くことが多々あります。

まず、世界文化遺産の件数は745物件もあるのに対して、世界自然遺産はたった188件です。複合遺産は29物件です。全世界遺産は962件であります。全体に占めるパーセンテージは、文化遺産が77.4%、自然遺産が19.5%、複合遺産が3.8%です。比較して自然遺産が少ないといえましょう。

なぜ文化遺産がやたらと多いのか?
文化遺産は1棟の建物から登録可能で、実際に、原爆ドームが典型的な例です。複数棟であっても1つの建造物とみなせる姫路城とか厳島神社とかの例は多いです。ヨーロッパでは△△城とか、△△大聖堂とか、△△の広場、△△遺跡、などというものが異常に多いです。歴史の長い地域では古い建造物はたくさんあり、これが世界文化遺産が次々に増殖していく理由ではないか? ヨーロッパや中東では自然が古くから改変され破壊され、守るべき自然が残り少ないので自然遺産が少ない半面、文化遺産がやたらと沢山登録されています。

●主だった国々について、文化遺産と自然遺産との比率を観察してみました。すると、文化遺産がやたらと多いのはヨーロッパの国々です。それから、古代文明が栄えたような歴史が長い国々です。下の表にはありませんが、メキシコも文化遺産が多いのですが、アステカやマヤなどのメソアメリカ文明が栄えた国です。要するに、文明が栄え歴史が長い国は必然的に文化遺産が多くなるということでありましょう。日本も自然遺産が4(25%)に対し文化遺産が12(75%)が比較的多いのは同様の理由でしょう。そういえば、サミュエル・ハンティトン教授のベストセラー『文明の衝突』で世界を7大文明に分けて、その1つに「日本文明」を挙げていました。そういう意味では、日本は「日本文明」が栄えた国ですから、今後、世界遺産が次々に登録されるとしたら文化遺産ばかり…、と予想できます。

●日本は7大文明の1つの国であり、歴史も文字による記録が1400年ほどもあり、古い建造物が沢山あります。文化遺産候補に成りそうなものは、比叡山延暦寺、高野山金剛峯寺、京都の寺院群、伊勢神宮、熊野古道が世界遺産であるならば四国88か所廻り…、と候補はいくらでも考えられます。文明国の世界遺産は文化遺産が中心になるから、それらのものがやがて登録されていくでしょう。残念ながら、鳴門海峡の渦潮などお呼びではないのですよ。

●以上のことを逆から見れば、世界の超大国であるアメリカに文化遺産がたった8件しか登録されていないのも首肯できます。建国が新しく、歴史が浅いからでしょう。文化遺産と呼べるような護るべき古い物件がないからでしょう。1972年にユネスコで世界遺産の話が始まったときは文化遺産のみ議論されていて、後にアメリカが自然の物件も含めるべきだと主張したそうです。歴史の浅い国の弱点があったからこそ、アメリカは自然物件もという主張をしたのではないか?

●文化遺産は1棟の建造物から登録可能です。では、自然遺産はどうかと観察してみると、ある程度の面積の土地が登録範囲になるようです。国立公園とか、自然公園など、あるいは絶滅危惧動物の生息地とか、ときには数万平方キロに及ぶ広大な土地が登録対象です。1本の巨木とか1つの岩壁とかでは無理みたいです。たとえば、屋久島を考えてみると、1本の巨木の縄文杉が世界遺産になったわけではなく、屋久島の核心地域の107平方キロの広い山域が登録の対象になっています。知床は711平方キロという広い範囲が登録対象になっています。文化遺産は傾向としては点的、自然遺産は面的なものが指定の対象なので、おのずから文化遺産は登録数が多くなるのではないか?

主な国の文化遺産と自然遺産の比率

世界遺産の分布図 ユネスコ公式サイトから借用
黄色は文化遺産、緑色は自然遺産、赤色は危機遺産です。
世界遺産分布図その1
↑ヨーロッパから中東あたりに黄色の文化遺産が極端に集中分布していて、地域的な片寄が観察できます。ヨーロッパは文化遺産を増やし過ぎであります。アジア・アフリカ・オーストラリアでは文化遺産と自然遺産の比率は適度な割合になっています。緑色の自然遺産は世界にほぼ均一な分布密度で登録されているように見えます。

世界遺産分布図その2
↑建国以来の歴史が短く、護るべき古い物件のないアメリカ合衆国は文化遺産がほとんどありません。南北アメリカ大陸で文化遺産が多いのは、アステカ・マヤ・インカ等の古代文明が栄えた地域とほぼ一致しています。このことは、世界文化遺産の登録基準に、その物件の歴史的な古さを重視していることがハッキリと窺えます。すなわち、100年~200年程度の古さの物件の評価は極めて低く、数百年~数千年の古い物件が高く評価されています。

●さて、拙稿のその1で引用した新聞記事に、<「世界遺産は数多く登録しすぎて質が確保できていない」という批判もあるが、それは文化遺産の話。自然遺産はまだ、“飽和状態”にあるとは言えない。>などと書かれています。

しかし、そうじゃないだろう。文化遺産が飽和状態で質の確保出来ていないのはヨーロッパの話でありましょう。ヨーロッパは文化遺産を増やしすぎなんです。他の地域では文化遺産・自然遺産ともにこんな程度が妥当なところでありましょう。自然遺産も、保護の対象として後世に残すべき第一級のものは、既にほぼ網羅していると思います。これ以上自然遺産を増やしたら、自然遺産もヨーロッパの文化遺産同様に質的低下は免れないでしょう…。自然遺産がまだ飽和状態ではないことは、確かにそうでありましょうが、このあたりで打ち止めにしておかないと、急激な価値逓減が起こるのは必定です。

●私見では日本で世界自然遺産に登録していいのは、あと釧路湿原ぐらいのものです。日本は人口稠密で自然が改変されすぎています。たとえば、平成23年版林業白書によると、日本は森林率66%の世界屈指の森林大国です。ところが森林の40%の面積がスギやヒノキ等の人工林です。残りの60パーセントの面積の森林が天然林です。しかしながら天然林といっても大部分は森林が伐採された後に形成された「二次林」であります。千古斧鉞(せんこふえつ)の入らぬ原生林と言えるようなものはせいぜい2%程度しかありません。つまり日本の自然は徹底的に人の手が入り改変されています。なんとしてでも護りぬかねばならない手つかずの自然林(原生林)は残念ながらほとんど残っていません。また、僅かに残っていても世界的な尺度で見るとあまりにも小規模です。ま、地形でも地質でも植生でも希少生物の生息地でも、日本のものは規模があまりにも小さく箱庭的であります。世界的なレベルでの世界自然遺産というには弱すぎるものばかりです。

鳴門海峡の海域に、絶滅したニホンアシカやニホンカワウソが生き残っていて、それら絶滅動物の一大生息地になっていて保護の手立てが講じられているようなことがもしあったならば、瀬戸内海国立公園を世界遺産に登録し、そのエリアに渦潮という類まれな景観を含んでいるということで、可能性はあるかもわかりません。しかし、鳴門海峡だけでは和泉層群のくぼんだ所が海峡になっているだけにすぎず、なんら特筆すべき地質学的事象もなく、世界遺産としては弱すぎます。まあ、無理でありましょう。

(拙稿は続く)
鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その4)
●鳴門海峡の渦潮が世界自然遺産に登録される可能性があるのか? ないのか? を論考するにあたり、まず、どのような物件が世界自然遺産に登録されてきたのかを概観して、その実際の登録事例から帰納法的に “登録可能となる条件” はいかなるものかを探りたいと思います。

ユネスコ公式サイト(英語) と、公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟(日本語) 世界遺産のリストが掲示されています。しかし、世界文化遺産も世界自然遺産も一緒くたにしていて、国別にリストが発表されています。ある意味では分かりにくいので、わたくしが勝手に世界自然遺産(複合遺産も含む)のみを抽出し、国別ではなく、編年体式に組み換えて一覧表(5枚)にしました。

世界自然遺産は2012年末で、188あります。そのうち登録抹消が1あり、危機遺産が16あります。 これらとは別に自然遺産であるとともに文化遺産でもある複合遺産が29あります。

世界遺産の登録基準
①~⑥は文化遺産基準、⑦~⑩は自然遺産基準であります。

① 人類の創造的才能を表す傑作である。

② ある期間、あるいは世界のある文化圏において、建築物、技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展におけ
  る人類の価値の重要な交流を示していること。

③ 現存する、あるいはすでに消滅した文化的伝統や文明に関する独特な、あるいは稀な証拠を示していること。

④ 人類の歴史の重要な段階を物語る建築様式、あるいは建築的または技術的な集合体または景観に関する優れ
  た見本であること。

⑤ ある文化(または複数の文化)を特徴づけるような人類の伝統的集落や土地・海洋利用、あるいは人類と環
  境の相互作用を示す優れた例であること。特に抗しきれない歴史の流れによってその存続が危うくなってい
  る場合。

⑥ 顕著で普遍的な価値をもつ出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接また
  は明白な関連があること(ただし、この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。

⑦ 類例を見ない自然美および美的要素をもつ優れた自然現象、あるいは地域を含むこと。

⑧ 生命進化の記録、地形形成において進行しつつある重要な地学的過程、あるいは重要な地質学的、自然地理
  学的特徴を含む、地球の歴史の主要な段階を代表とする顕著な例であること。

⑨ 陸上、淡水域、沿岸および海洋の生態系、動植物群集の進化や発展において、進行しつつある重要な生態
  学的・生物学的過程を代表する顕著な例であること。

⑩ 学術上、あるいは保全上の観点から見て、顕著で普遍的な価値をもつ、絶滅のおそれがある種を含む、生物
  の多様性の野生状態における保全にとって、もっとも重要な自然の生育地を含むこと。

世界自然遺産188件および複合遺産29件のリスト
黄色でマークしている物件は危機遺産、青色でマークしてある物件は複合遺産とその登録理由。
世界自然遺産 その1

世界自然遺産 その2

世界自然遺産 その3

世界自然遺産 その4

世界自然遺産 その5

(拙稿は続く)
鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その3)
鳴門海峡の “渦潮” を世界自然遺産にせよという主張は、アラスカで見られる壮麗な “オーロラ” を世界自然遺産にせよとか、アメリカのローキー山脈東側で発生する巨大竜巻 “トルネード” を世界自然遺産にせよとか、韓国済州島の南東方向の上空でみられる見事な “カルマン渦列” を世界自然遺産にせよ、と主張するに等しい…。

●鳴門の渦潮を世界自然遺産に登録しようという主張は、つまり私の住む南あわじ市の中田市長の主張は、自然観察に沈潜している眼には奇異というか、ひどく違和感があるのですが、なぜ違和感があるのだろうか? と考えてみました。それは、おそらく、自然界で発生する “現象” でしかなく、保全したり保護したりする対象ではないことからくる違和感なのでしょう。世界遺産の目的は、条約でハッキリと保護・保存だと言っています。で、現象そのものは保護・保全しようがないのです。自然界で見られる現象は、雷・虹・豪雪・地震・噴火・津波・渦潮・海流・暴風…、といろいろとあります。説明するまでもなく「現象」は自然保護の対象ではありません。中田市長は渦潮という「現象」を世界遺産にと言っているのですが、2重の意味で間違っています。

誤謬その1 …… 世界遺産の目的は、あくまで人類全体の貴重な遺産の保護・保存であります。そして、その世界遺産を現代の世代で破壊や消滅させることなく、後世にシッカリと残して伝えていくことにあります。世界遺産を観光資源などという主張は、目的外流用もはなはだしいということです。このことは絶滅危惧植物(レッドデータ植物)を山野草愛好家たちが値打ちのあるものとして盗掘するのに酷似しています。絶滅危惧植物も保護するために選定しているのであって、山野草愛好家のために値打ちのあるものをランク付けして盗掘を奨励しているのでは全くありません。

誤謬その2 …… 世界遺産として保護・保存の対象は、あくまで “モノ=不動産であり物質” であります。たとえばピラミッドや原爆ドームなど “建造物=不動産” であります。白神山地などでは “土地” であり “森林” でありますが、それらもやはりモノであり不動産であります。現象は保護の対象外であり、また現象それ自体は保護などやりようがないのです。その現象を発生させる条件を具備した土地は保護の対象になることはあっても、現象そのものは物質としての実体がなく保護しようがないのです。それに、物質としての保護対象は常に存在しますが、そこで起こる現象というのは特定の時・条件の場合にのみ起こります。常に起こるわけではありません。渦潮や雷やオーロラは常に発生するのではないのです。


●そういうことを踏まえて考えると、中田市長の主張は、端的にたとえるならば、室戸岬にある室戸測候所はカテゴリー5にランクされる最強の台風(ハリケーンやサイクロンも含めて)が観測された世界最北の観測点です。カテゴリー5の台風は北緯20度や25度ではしばしば観測されますが、北緯33度台という高緯度で観測されるのは異例のことです。室戸台風の911.6hPaというのが観測されています。だから、カテゴリー5の台風が見られる世界最北地点というのは希有なことで、世界自然遺産に十分に値するのだ、と主張するのと良く似ているのです。

●この主張はどこか変です。確かに、米国気象庁のランク最上階のカテゴリー5はめったにないもので、壮大で凄いものです。地上からはその全体像を観察することは困難です。しかし気象衛星が上空から捕えた画像をみると、見事な渦巻です。鳴門の渦潮がたった径30メートルでしかないのに比べると、カテゴリー5の台風は径2000㎞にも達します。鳴門の渦潮の6万倍も7万倍もあります。流体の中で発生する渦巻きとして、鳴門の渦潮も巨大台風も基本的にはそんなに大して変わらないように見えます。もちろん成因には相違がありましょうし、流体の物質の空気と海水の密度は大きく異なります。海水の方が空気の密度の800倍ぐらいでしょうか? 流体の中で渦巻が出来るパターンはいくつかあるようですが、方向の異なる2つの流れがぶつかるとか、速度の異なる2つの流れが接しているとか、流れの中に障害物が存在する場合とか、別にその流体が海水であろうと空気であろうと、発生した渦巻きを見れば良く似ているわけです。したがって、鳴門の渦潮を世界遺産に登録しろと主張するのであれば、台風やトルネードも渦巻だから世界自然遺産に登録しようと主張してもいいわけです。

鳴門の渦潮が世界自然遺産ならば、これもそうだ。済州島の南東海上に発生する見事な カルマン渦列(カルマンうずれつ)! 日韓合同の世界自然遺産だ!
気象庁HPから借用
↑気象庁HPから気象衛星画像を借用しました。衛星画像で観察すると一目瞭然です。北西季節風場の中にに済州島という障害物があるために渦巻が発生しています。

鳴門海峡の渦巻のほうが貧相で、ずいぶんと見劣りします
宇宙航空研究開発機構のHPから借用
↑ 宇宙航空研究開発機構HPのALOSデータ画像特選 から勝手に借用しました。トリミングして海峡部分を抜粋した。 播磨灘側から紀伊水道(太平洋)側に水が流れています。この航空写真を見ると一目瞭然です。鳴門海峡の中心部で流れが速くなっています。両側の岬側が流れが遅いようです。したがって早い流れが遅い流れと接して渦巻が発生しているようです。

● 2枚の画像を観察すると、明らかに渦巻の発生原因が違うように思いますが、流体の中での渦巻ということでは全く同じでありましょう。しかし立派さでは随分と差があります。済州島の風下にできるカルマン渦列と、鳴門海峡にできる渦潮との決定的な違いは、そのスケールの大きさです。

済州島カルマン渦列 …… その規模が大きく雄大です。数百キロ上空の気象衛星からハッキリ視認できます。済州島のハルラ山(1950メートル)から、屋久島の宮之浦岳の距離は506キロもあります。カルマン渦列は大抵その両島の間で発生しています。1つの渦巻は径数十キロにも達し、しかも2列あり、右列と左列とで渦巻の巻きかたが逆になっています。非常に幾何学的な不思議さと面白さがあります。神秘的で素晴らしいものです。まさに自然が見せてくれる素敵な芸術と言えましょう…。理科系の分野の人ならば何故こんな現象が起こるのだろうか?と興味しんしんでありましょうし、非理科系の者であっても自然の芸術作品として鑑賞できます。

鳴門海峡の渦潮 …… 海峡をはさんで僅か2~3キロの水流の中でしか見られません。1つの渦巻は径たった30メートルしかありません。カルマン渦列に比べると千分の一のスケールしかありません。ゾウとネズミほどの差があります。しかも鳴門の渦潮は列を成すわけでもないし、幾何学的な紋様を現わすわけでもありません。非常にちっぽけで、ちゃちで貧相です。数百キロ上空の気象衛星からではとても見られません。渦巻の形も悪く、不定型にして大小さまざま、発生の仕方も気まぐれです。自然界の壮大で不思議な現象の前には、鳴門海峡の渦潮など特筆するほどのことはありません…。


(拙稿は続く)
鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その2)
みんな勘違いしていないか? 世界遺産の目的は “保護・保存” であり、“将来世代に伝える” ことであります。

世界遺産の目的は、観光振興の道具でもなければ、村興し・町興しの宣伝材料でもありません。それは、条文を見れば明明白白です。世界遺産は申すまでもなく、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約 に基づくものであります。全38条から成り、詳細は外務省HPに掲載されているリンクを閲覧していただくとして、第四条を転記します。それと条約の最後に記されている(参考)をも転記します。(なお、山のキノコが、重要なるポイントを勝手に着色した)

【第四条】 
締約国は、第一条及び第二条に規定する文化遺産及び自然遺産で自国の領域内に存在するものを認定し、保護し、保存し、整備し及び将来の世代に伝えることを確保することが第一義的には自国に課せられた義務であることを認識する。このため、締約国は、自国の有するすべての能力を用いて並びに適当な場合には取得し得る国際的な援助及び協力、特に、財政上、芸術上、学術上及び技術上の援助及び協力を得て、最善を尽くすものとする。

【参考】
この条約は、文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し、保存することが重要であるとの観点から、国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的とするものである。

●1972年にユネスコで採択され、1992年に遅まきながら日本も批准したこの条約のどの条文を読んでも、世界遺産を大いに活用して観光振興を図りましょうだとか、地域経済発展のために世界遺産を利用しましょうなどということは、どこにも書いていません。条文を読めば、世界遺産は人類全体のための遺産なのであって、損傷や破壊の脅威から保護し保存し、将来の世代に伝えなければならないと、明確に規定し謳っております。保護や保存が目的であり義務であるということであります。

という条約の謳う崇高な理念や目的をキチンと踏まえて、わが南あわじ市の広報をみてみましょう。行政を取り巻く動きがいかにお粗末なものであるかが、良く分かります。
南あわじ市広報2012年12月号に掲載のお粗末な記事
南あわじ市広報2012年12月号より

●特にお粗末なのは、“「鳴門のうず潮」世界自然遺産登録推進協議会” とやらの設立発起人の中田市長の発言です。「うず潮は淡路島が誇る世界に通用する観光資源。みんなで知恵を出し、汗をかいて世界自然遺産登録を目指したい」 と挨拶したとのことですが、お粗末を通り過ぎて無知まるだし、恥ずかしいような挨拶をしています。世界遺産というものがどういう趣旨で行われているのか、全く理解していないようです。たんなる観光振興の道具としか考えていないようです。世界自然遺産はお金儲けの道具じゃありません。また、記事の中に出てくるユネスコ前事務局長の松浦晃一郎氏の胡散臭さも目立ちます。世界遺産登録の指南役として全国を講演してまわっているようですが、活動としては本末転倒で怪しげです。世界遺産を損傷や破壊から守るのが目的であるのに、世界遺産の新規登録の水先案内活動のみ尽力するのは、本来の目的からかなりズレています。新規登録指南ビジネスの講演屋ではないか?

保護や保存と、観光振興や開発は、対立概念であり両立はできない…
●そもそも「保護や保存」と「観光振興」は多くの場合、特に自然遺産の場合は、するどく対立します。当たり前です。たとえば、貴重な湿原であるとか、絶滅寸前の動物の生息地があるとします。実際にそのようなところが自然遺産に登録されています。損傷や破壊から保護する一番いいのは、その地域を聖域としてヒトの立ち入りを禁止することです。観光客が、わんさかと押し寄せるのはロクなことがありません。屋久島や白神山地が世界自然遺産に登録されて入山者が増えましたが、アクセスが容易ではないところなので入山者の絶対数はまだ低水準です。しかし、入山者が増えすぎるという事態が生じたら1日に何人までというふうな入山制限が行われるでしょう。白神山地の核心地域の一部は入山禁止になっています。屋久島でも押し寄せる観光客を制限しようと縄文杉見学登山者を1日360人に制限する条例が議会に提出されましたが、観光協会の圧力で否決されたとか…。世界遺産じゃないけど尾瀬が沼など押し寄せる観光客による汚染や破壊がひどく、入山制限を設けている所はあちこちにあります。世界遺産の条約が目指す保護や保存と、観光振興はそもそも対立し矛盾することなのです。世界自然遺産に登録して観光を振興しようというのは、根本的に矛盾をはらんでいるのです。

●世界自然遺産をめぐる動きでも、生物多様性問題でも、絶滅危惧生物問題でも、地球温暖化問題でも、広く環境問題とカテゴライズできる問題の胡散臭さは、まさにここにあるのです。それらの問題にかかわっていかに観光を振興させるかとか、経済成長に繋げるとか、ビジネスにできるか、というふうな金儲け主義剥きだしのエゴが見え透いています。政治家も、お役人も、学者(とくに経済学者)も、みな異口同音でそういうことを言い、金儲け主義で動いているのです。彼らのいうエコは生態学(ecology)のエコでは決してありません。経済(economy)のエコなのです。拝金主義のエコであり、利己主義の(egoism)のエゴ剥きだしで、世界自然遺産だとか環境だとか口先で言っているにすぎないのです。南あわじ市の市長も…。もっとも、上の方の環境省のお役人からしてそうです。上も、下も、胡散臭い連中ばかりです…。

(拙稿は続く)
鳴門海峡の渦潮を、世界自然遺産にだって? アホな。(その1)
もはや、新たに登録される世界遺産は価値逓減がいちじるしく、観光資源の権威付けとはなりません
●鳴門海峡に発生する渦潮を世界自然遺産に登録しよう! という会が発足しています。言っているのは島の自治体のお役人や地方政治家などであります。新聞記者や観光協会の人々も関係しているようです。しかし、全くバカバカしいというか、愚かな主張であります。ただたんに、観光資源として宣伝材料にしたいだけの目的であって、どうやって観光客を誘致してお金儲けをするか?という観点のみから考えているにすぎません…。そもそも、自然観察など無縁の人々が自然遺産について議論するのは滑稽でありバカげています。自然について考えるのではなく、自然を利用して金儲けに繋げるかを考えているだけであるのは、それは自然について冒涜するのに等しいのです。自然は単なる金儲けの道具ではないのです。

●そもそも、自然遺産に登録を!などということでは、もはや観光資源としても訴求力があまりありません。というのは世界遺産の数が雨後のタケノコのように増えすぎたからです。初期の頃のものはみな “第1級のもの” ばかりでありましたが、数が次第に増えるにつれて、第2級、第3級…、と価値逓減をハッキリと引き起こしています。通貨膨張で1万円の価値が次第に減っていくのに極めてよく似ています。最近登録された新しいものについては、それって何処にあるの? いったい何なの? というふうなものが増えていますよ。よほど、地理学の先生か、旅行業務取扱管理者試験に合格するような人でないと、換言すれば重箱の隅をほじくるような知識のある人でないと、知らないものが増えたのです。

●もはや、世界遺産に新たに登録されたからといっても、昭和天皇の口癖みたいに「あっ、そう。」というほかありません。それがどうしたの? っていう感じです。またか、という反応で目新しさとかなく、完全にマンネリ化しています。観光資源にお墨付きをつける権威としては、もはや世界遺産はその威光が色あせているのです。柳の下にそう次々にドジョウはいないのです。鳴門の渦潮の観光価値を高めたいのであるならば、別の斬新な企画を考える必要があります。いつまでも手垢のついた古い戦術に拘泥していてはいけないのです。

と、こきおろしてから、問題の新聞記事を引用させていただきます。11月の終わりぐらいにも同様の記事がデカデカと掲載されていました。最近の地方新聞は行政の広報紙に成り下がっています。
神戸新聞2013年1月6日淡路版に掲載の記事
神戸新聞2013年1月6日淡路版より

鳴門海峡の渦潮 世界遺産への挑戦


非常に問題がありそうだと思われる点は…
ユネスコ前事務局長の松浦晃一郎氏が「もっともっと学術研究を積み重ねてほしい。渦潮を眺めて『素晴らしい』と言うだけでは、世界遺産にたどり着けない」と言って、世界遺産の条件「顕著で普遍的な価値」を科学的に証明する大切さを訴えたとのことです。これ自体が極めて問題であろうかと思われます。で、「科学者を確保することが優先課題」だと新聞記事が締めくくっています。

これでは、御用学者を雇って、ウソでも捏造でもいいから、とにかく鳴門海峡の渦潮の “顕著で普遍的な価値” を壮大にブチ上げよう!ということになりかねません。原発ムラの御用学者が “原発は安くて安全でクリーンだ” と国民を騙し続けたのと構図は酷似しています。

要するに、本末転倒なんです。やり方が、あべこべで倒錯しているんです。本来ならば、学術的に高い価値があるということが先にあって、じゃあ、それならば、そんなに価値があるのだから世界遺産登録に申請してみようか、というふうであるべきなんです。逆に、世界遺産に登録して観光資源としての価値を高めようという浅はかで見え透いた思惑が先にあって、であるから、その必須条件の学術的価値を探そう、あるいは無理にでも作ろう、としているのがこのハナシです。


●これでは、地質学や地形学の御用学者を大枚を積み上げて雇っても、結論ありきの研究になってしまいます。データが改竄されたり、都合の悪いデータは隠されるし、存在しないデータが創作されることもありましょう。そして、データの恣意的な解析がなされ、データが都合のいいように解釈され説明されるでしょう…。これは非常にマズイです。結論ありきの研究だとか、予断を持った研究というのは、胡散臭いことが多いのです。

●ヨーロッパの中世の音楽家たちが、自分たちを養ってくれるパトロンの皇帝や国王のために音楽を演奏したのと同様に、現代自然科学といえども研究費を出してくれるパトロンを必要としています。真理の探究であるべき自然科学の研究が、カネを出してくれる人への奉仕であってはならないハズです。自然科学者というのは、ただひとつ、真理・真実の僕(しもべ)でなければいけないのに、パトロンへの奉仕者が多いのはとても残念です。

(原発関係の御用学者たちをみれば、わたくし山のキノコの主張が賛同いただけるのでないかと思います。たとえば東京電力が東京大学の寄附講座に5億円を出したというニュースがありましたが、そんな癒着の中からは原発を擁護する研究しか出てきません。)

世界遺産に登録されたからといって、必ずしも観光客は増えない…
●残念ながら、これが厳しい現実です。世界遺産に登録すれば観光客が増えて金儲けができるぞ! などと取らぬ狸の皮算用をしていたら、アテが外れる危険性が極めて高いです。世界遺産登録で宿泊客が増えると読んで、観光旅館が増築などしようものなら、それが裏目にでて経営破綻する可能性さえあります。世の中、思惑と逆になる可能性もありうると平素から肝に銘じていかなければいけません。逆になったならばどうするのか? という想定をしていなければ大企業だってアッという間に倒産してしまいますよ。 (そんな例は山ほどある)

●財団法人「えひめ地域政策研究センター」の研究員 服藤圭二氏の論文、『世界遺産登録による経済波及効果の分析 =「四国八十八ヶ所」を事例として=』の11ページに極めて示唆に富む図表がありますので、引用いたします。世界遺産登録先の観光客数の推移                               (千人)
世界遺産登録先の観光客数の推移

●この引用図表では黄色でマーキングしてある年にそれぞれの観光地が世界遺産に登録されました。で、目出度く世界遺産に登録された後に観光客が増えたかどうか? はケースバイケースであります。必ずしも増えるわけではありません。法隆寺や姫路城では観光客は減っています。ほぼ横ばいもあれば、一時増加して後減少もあります。屋久島や白神山地では大幅に増加しています。全く色々であります。このような調査データが存在しているので、鳴門海峡の渦潮が世界遺産に登録されたとしても観光客が増えると予想するのは、あてが外れる可能性が大いにあるのです。

●おそらく、既に、古くからの観光地として開発されている所はほとんど世界遺産効果は無いように思われます。そのような十分に知名度があり歴史がある観光地は、観光資源として開発され尽くしていて宣伝も行き渡っております。いまさら世界遺産になったからといってそれが魅力になるものでもない、ということでありましょう…。

図表で白神山地の躍進が目立っております。世界遺産登録の1993年に212千人だった観光客が、2002年には624千人へと2.94倍に激増しています。これは元々誰も来ないような秘境同然のところに、宿泊所を整備したり、ブナ林散策路を設けたり、案内するガイドを養成するなど、観光開発ゼロだった地域をすこしてこ入れした結果ではないか? もともと観光客の絶対数が極めて少なかったことから急増したように見えるだけでありましょう。急増したと言っても、他の世界遺産観光地と比べると、観光客数の水準は極めて低調であります。

さて、鳴門海峡の渦潮が世界遺産に登録されたら観光客数はどう変化するであろうか? まづ、鳴門海峡の渦潮は昔から有名であります。秘境ではありません。大都会の京阪神に日帰り圏内です。で、すでに昔から観光開発が十分になされています。観光旅館やリゾートホテルなど宿泊施設は余るほどあります。立派な観潮船も就航しています。展望台もあるし、なによりも巨大な架橋が出来て30年近くになります。もはや、観光開発する余地はありません。で、同じ自然遺産の白神山地とは条件が全く違います。むしろ文化遺産の姫路城や厳島神社や古都奈良に近いのではないのか? よって、わたくし山のキノコの推論では、一生懸命に熱くなっている関係者に水を差すようなことを申して悪いのですが、もし鳴門海峡の渦潮が世界遺産に登録されても、世界遺産効果はほとんどないと予想します…。

世界遺産登録先の観光客の推移を指数化した
↑引用した図表は数字の羅列で分かりにくいので、指数化してみました。それぞれの世界遺産観光地の世界遺産登録年の観光客数を100.0としました。登録年の前後でどうなっているのか、増えている場合は赤色数字で、減少しているばあいは青色数字で示しました。

政府の御用放送局のNHKの内部にも、なんと反原発の人がいる!
●グレゴリオ暦で2013年、和暦で平成25年あるいは皇紀2673年となりました。新しい年を迎えて、何か新しい展望が開けるわけでもないし、なにか新しい期待が膨らんでくるのでも決してありません。昨年から続く世の中のトレンドがきわめて線形的に進行するだけなのであって、なにか特別な相移転が起こるようなこと (たとえば固体であった物質が華麗に液体に変化するようなことなど) そんな劇的なわくわくするような大変化は何も起こらないのです。今日は昨日の延長であり、明日も今日の延長であり、明後日も…、「未来」 とは通常は過去から続く傾向線の外挿でしかないのです。要するに何も変わらないのです。

●「明けましておめでとうございます」 などと、呑気な阿呆みたいなことを言っている状況ではありません。何も変わらないのであれば、まだ、ましなのかもしれません…。むしろ、「この国は滅びへの道を下っていますね」 と新年の挨拶をしなければならない状況であります。全有権者1億人強のなかで僅か1600万人強、すなわち、たった16%の支持しかないのに、憲法改正もハッキリと射程圏にはいったほどの絶対安定多数を1党に与えてしまいました。過去に不正を行ったことが判明し自民党と繋がりの濃厚な “ムサシ” という会社の投票集計システムのプログラムに、恣意的な改竄工作が行われたのでないか? という疑問の声が澎湃として湧きおこっています。その疑問はまだ状況証拠の疑いだけの段階ですので横に置いておくとしても、さて、100人中84人の有権者が本当にこれでいいのだと思っているのであろうか? 

●早速に、政府は原発推進の動きを強めています。全原発の再稼働がおこなわれるのは、もはや時間の問題であります。原子炉の下に活断層が見つかった原発2基のみ廃炉にするのは規定のことで、完全な “煙幕作戦” であります。つまり、目くらましです。他の問題点を隠すための程度の低い戦術です。活断層があったら危ないとして、活断層の見つかった原発のみ廃止する、しかし、活断層が見つからなかった原発は安全なんだと誘導しているのです。原発の問題点は申すまでもなく沢山あります。原子炉の老朽化・海溝型巨大地震による強振動や津波・電気代以外の部分で流し込む税金コスト・核開発疑惑・高レベル放射性廃棄物…、などなど沢山の深刻な問題があるのにもかかわらず、活断層の問題のみに矮小化して誤魔化しているのです。見え透いた、国民をバカにしたような煙幕作戦に騙されてはいけないのです。

全原発再稼働は時間の問題というだけではなく、消費税というフラット課税を担税能力のほとんどない貧乏人にいたるまで一網打尽にかぶせて、頑張った人には報いを厚くする必要があるなどとして法人課税と累進課税の更なる軽減を狙っているようです。よく聞くと、“頑張った人” というのは、たとえば、右のお金を左に動かし左のお金を右に動かして何らの生産活動もしない村上世彰氏のような人を指すみたいであります。また、アメリカのオバマ大統領が 「アメリカは、アジア太平洋地域から国益を得る」 などとハッキリと公言し、参加国のGDP比重で日米で8割を占めるTPPに参加しないと、「アジアの成長から取り残される」だの 「成長のバスに乗り遅れる」 などというアホな妄言をいうTPPに巻き込まれるの必定であります。アジアの大国の中国もインドネシアも韓国も台湾も入らないTPPに参加しないと、なぜ日本がアジアの成長から取り残されるんだろうか? アホ違うか? 政府は(自民党は)日本の国益を考えているのではけっしてなく、さらなる属国化政策に向かっているとしか見えないのですが、本当に、有権者100人中16人はそれで良しとしているんでしょうが、残りの84人もこれでいいと思っているのでしょうかねえ??

さて、政府の広報機関であり、北朝鮮の国営放送と大して変わらないあのNHKの内部にも、原発反対の良識を持っている人々が居ることには驚きです。ていうか、組織の一員としては政府の広報機関を演じざるを得ないのだが、個人的な見解では反原発の考えの人々がNHK内部にもけっこう居るということなのか?

要拡散記事
『神州の泉』 様の2012年1月1日の記事 『紅白で「 NUKE IS OVER (原発は終わった)」。森本アナ&斉藤和義デュオ結成か?(マッド・アマノ)』 マッド・アマノ氏が書いた文章を神州の泉様のブログに掲載しているという形式の記事です。「ここで重要なことはブログなどで「斉藤問題」をどんどん取り上げて情報を拡散することだ。その意味からも当コメントの転載は自由としたい」とマッド・アマノ氏が書き、ブログ管理者の神州の泉様も「転載自由」としていますので、転載させていただきます。

(余談ながら、転載自由などと銘打つのは、改正著作権法が1月1日から施行されたので、その対応でしょうかねえ? 1月1日から著作権侵害が親告罪ではなくなりました。著作権を侵害された人の訴えがなくても、警察当局のさじ加減一つで著作権侵害がありと看做せば、捜査や起訴ができるようになったので、何か反体制的な主張をする場合は著作権侵害とみなされないように厳重な注意が必要になりました。不用意な過度の引用や転載は止めておくほうが無難です…)

転載開始
 紅白でシンガーソングライターの斉藤和義さんが予定の「やさしくなりたい」を取りやめて原発批判の 「ずっとウソだった」 を歌うのでは、と秘かに期待していたのだが、残念ながらそれはなかった。

 ところが斉藤さんがギターのストラップに「NUKE IS OVER」という文字を入れていた、という重要な情報を友人から知らされた。私はうっかり見逃してしまったのでネットで確認したところ、指摘の通りだった。

“(原発安全は)ずっとウソだった”を作詞作曲、You Tubeで歌った斉藤和義さんをそもそも、紅白に出場させること自体、NHKとしては異例中の異例だったはず。恐らくNHKの経営陣は斉藤さんのことをよく知らなかったのかもしれない。“♬ずっとウソだった。ずっとクソだった”などと茶化し半分の原発批判をやらかした歌手をよりによって紅白に出場させるということは自殺行為以外の何ものでもないわけで決して許されるものではないはず。これをやってのけた担当ディレクターたちの勇気は評価に値するものだ。

 私の推察によれば正月休み明けあたりからNHK内で「斉藤問題」が浮上するだろう。そして、責任追及が始まり、密かに責任者が左遷か停職処分を受ける可能性が大だ。もちろん、秘密裏にだ。私たちは、ここを見逃してはならない。

 ここで重要なことはブログなどで「斉藤問題」をどんどん取り上げて情報を拡散することだ。その意味からも当コメントの転載は自由としたい。ただし、出所元を 「ブログ神州の泉」 と記して欲しい。

 さて、NHKは一方で原発批判番組を制作し厳しいコメントを発した森本健成アナの痴漢容疑・逮捕・拘束という問題を抱えている。NHKは不起訴・停職処分ということで一件落着としたいのだろうが、この事件も非常に胡散臭いものだからこのまま見過ごしてはならない。

 聞けば、森本アナの飛び入り出演で斉藤さんとのデュオ「ずっとウソだった」を歌う予定だったとか。まっ、これはまずない話ではあるが、この際、両人の協力のもとで録画し、You Tubeに流せばいい。まず、私はそのシーンをパロディー仕立てにして当ブログに公開した。転載は自由としたので当コメントとともに、ぜひ拡散していただきたい。
転載終了

NHKの内部に、なんと、反原発の歌を歌うミュージシャンを紅白歌合戦に出場させた人が居たというのは驚きであります。期待された反原発ソングは歌えなかったが、マスコミの中にもまともな人が居るということを示唆しています。

注目するべき点は、リンク先のYouTube動画 「ずっとウソだった」 で、視聴者の高評価と低評価の比率です。この動画は「ずっと好きだった」というヒット曲の歌詞を原発批判の文言に替えた歌ですが、1月2日22時時点での視聴アクセス数は233455アクセスです。評価した人のうち高評価は834票であり、低評価は78票であります。次のように考えても大きな外れはないのではないか。やはり、世の中の人々の圧倒的多数は、嘘と誤魔化しで塗り固められた原発には反対だということでありましょう…。
高評価 = 原発反対の考えの人 …………… 834票 91.4%
低評価 = 原発賛成の考えの人 ……………  78票  8.5%

どんどん、拡散しましょう!


YouTube動画追加
「斉藤和義 ずっとウソだった」 こちらの別の動画では、2011年11月13日にアップロードされて1年余りで、442451アクセスです。反原発ソングは圧倒的多数が支持していますね。

高評価 = 原発反対の考えの人 …………… 1272票 95.7%
低評価 = 原発賛成の考えの人 ……………  57票  4.3%

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