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雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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これも薬草か? 半寄生植物「マツグミ」
ヤドリギ科の「マツグミ」です。和名の語源は、マツ(クロマツやアカマツなどの松の木)に寄生して、グミの実に似た果実をつけることから言うそうです。花期は7~8月ごろで、果実は径5㎜で翌年の春に赤く熟します。果実は甘みがあって食べることができます。鳥が好んで食べにやって来ます。

『日本のレッドデータ検索システム』では17もの県が絶滅危惧植物に指定しています。

兵庫県ではレッドデータ種ではないのですが、『兵庫県植物目録』によると、兵庫県を旧市町村と神戸市は区に分けた99ブロックの中で、マツグミの標本が採られているのは12ブロックです。淡路島の標本はなかったのですが、兵庫県植物目録のヤドリギ科の収録されている第2報が発表された後に、2点の標本が採取されました。SNさんが慶野松原のクロマツ林で採ったものと、わたくし山のキノコが旧南淡町賀集で採ったものとが標本庫に収められています。淡路島では近年まで標本が採られなかったのですが、文献上ではマツグミを確認したなどの記述が昔にあります。おそらく、南あわじ市にはよく捜せば点々とある筈だと予想しています。

『原色牧野和漢薬大図鑑』や伊沢一男『薬草カラー図鑑』などによると、高血圧症の治療や予防に効果があるようです。大阪市環境科学研究所と東北大学薬学部の共同研究『マツグミの降圧性成分に関する研究』(1975)で、顕著な効力のあることを発表しているそうです。薬草として用いるには、夏から秋に葉や茎を採取、水洗い後日干しにします。この茎葉を1日5~10gを400~600ccの水で二分の一になるまで煎じて服用したらいいそうです。

世の中、高血圧患者が多く、わたくしも降圧剤を飲んでいます。みながマツグミを一斉に採取するほどはないので、栽培するといいかも? 春に赤く熟した果実を潰すと粘着物質の中に種子があります。で、その種子を粘着物質と一緒にマツ・モミ・ツガの枝になすりつけて “種を蒔く” といいでしょう。ただし鳥類が果実を食べて種子散布する植物は、鳥類の消化管を通らないと種子の発芽率が低いという研究もあります。したがいまして子供にマツグミの果実を食べさせて出てきた “ウンコ” をマツの木になすりつけるほうがいいと思います。もしニワトリを飼っていたら、そのニワトリに食べさせるのもいいでしょう。

公益社団法人・日本薬学会のサイトの『薬用植物一覧』には、マツグミが収録されていません。
日本薬学会が薬草としてお墨付きを与え、公認・推奨するほどの効果がマツグミにはないのかもしれません。

ヤドリギ科のマツグミ
↑南あわじ市賀集のある神社の近くのモミの木の樹上にありました。マツグミは他樹にちゃっかりと居候する寄生植物なのですが、栄養をすべて宿主に依存する完全寄生植物ではなく、葉を持ち自分でも光合成をする “半寄生植物” なのです。写真のマツグミは沢山の枝をホウキのように出して、1mほどの小低木と言う感じです。

マツグミの花
↑花の撮影適期をすこしハズしてしまいました。1週間か10日おそかったです。本日(8月11日)この近くで会合がありその帰りについでに写真を撮りました。ついでに撮るという姿勢ではダメみたいです。適期を逃さないようにするには足しげく毎日でも訪問する必要がありそうです。ルーペで観察すると、長細い花被片は4枚で先がくるりと反転しています。この花被片はくっついて筒状になっていますが、ピンセットで剥がすとすぐ離れます。雄蕊は4本ですが花被片に合着しています。、雌蕊は1本です。子房下位で子房の径2㎜、花の長さ15~17㎜です。と、観察したのですが、小さくて分かりにくいです。もし間違っていたらゴメンなさい。
(当方、植物の専門家ではありません。100%素人です。本ブログの内容は信用しないでいただきたい)

マツグミの葉
↑葉はやや厚みがあります。葉の周囲に鋸歯がありません。葉の幅は4~8㎜ぐらい、長さが15~30㎜ぐらいです。

マツグミの根とモミの枝の合着部分
↑手前の枝に隠れてよく分からない写真になってしまいました。丸いこぶみたいなものがマツグミの根元(基部)です。茶色いものは枯れたモミの葉ですが、そこから右上に向かってモミの木の太い枝があります。マツグミが大きくなっているものでは、モミとの接合部分がコブになっています。(ただし、小さなものはコブになっていないです)

宿主のモミの大木
↑これはモミの木です。これにマツグミが寄生していました。このモミは植栽品だと思われます。淡路島には植栽品はあってもあきらかな自生と思われるモミもツガもなさそうです。これの幹の胸高(地上130㎝)周囲が231㎝、樹高が約20mです。付近には7~8本のモミの木がありますが、そのうちの2本にマツグミが寄生していました。もう1本のは幹の周囲は241㎝です。

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