雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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お盆に咲く花2種
タカサゴユリ? あるいはシンテッポウユリ?
●日本はユリの国だといわれて、沢山の種類の自生種が各地にあるのですけれども、淡路島南部には真の自生種はササユリしか分布していないです。諭鶴羽山系で見られるオニユリは 史前帰化植物 とされていて大昔にユリ根の食用のために中国から持ち込まれたのではないか?とする説が有力みたいであります。

●一方、写真のタカサゴユリ? もしかしたらシンテッポウユリ? は明らかに新帰化植物であります。戦後になって急速に広がったようです。江戸時代後期から以降は貿易が盛んになって(江戸期でもたとえば薩摩藩などは琉球国を通じて中国と盛んに交易していた)外国の植物がたくさん我が国に侵入してきました。江戸後期以降に侵入してきたものは新帰化植物と言っているようですが、それ以前のものは旧帰化植物と区別しています。侵入した時期により、史前帰化植物・旧帰化植物・新帰化植物と分けられています。

タカサゴユリ
↑この花の説明は拙稿 お盆のお供え花に重宝な「雑草ユリ」 参照。本日、ご先祖様のお墓詣りに行ったのですが、霊前に手向ける花を調達するためにスーパーに寄ったところ売り切れ! で、なんにもありません。しかたがないから、この雑草ユリと次のハマナデシコの枝をお墓に立てました。やはり、このタカサゴユリ? あるいはシンテッポウユリ? は重宝しますね…。なんといってもタダです。消費税が上がって可処分所得が少なくなった庶民大衆は、お墓の花はこれで上等です。節約をして生活を防衛しましょう!! でも、日本経済が崩壊するかも??

テッポウユリ ………… 琉球諸島原産のユリ
タカサゴユリ ………… 台湾原産のユリ
シンテッポウユリ …… 上の両者の園芸交雑種

鑑賞用に戦前に導入されたタカサゴユリが野生化した可能性もありえるでしょうし、品種改良のためにテッポウユリとタカサゴユリとを交配したものが野生化した可能性もありえるでしょう。どちらであるか決めるのは、染色体を調べたり、DNA解析なのでしょうかねえ??


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ハマナデシコあるいはフジナデシコ
ハマナデシコ(フジナデシコ)
↑南あわじ市灘土生(なだはぶ)です。本日8月14日に撮ったのですが、花期は長く6月ごろから秋まで何カ月も花が見られます。海岸県道の法面の落石防止金網の間から茎を伸ばしています。法面はコンクリートの吹き付けをしていますから、僅かの割れ目に生えたのでしょう。劣悪環境でも逞しく育つ丈夫な植物のようであります。海岸を美しく飾る観賞価値の高い野草であります。

●ハマナデシコという標準和名は、あきらかに浜(海岸)に生ずるナデシコという意味だと思いますが、別名のフジナデシコという名称の意味は、花の色が藤色を帯びた桃色であることから言うのでしょう。明らかに富士ナデシコではない筈です。なぜならば、富士山周辺にのみ分布するフジアザミなどと違い、フジナデシコの分布は本州から琉球に至るまで分布が広いからです。

ハマナデシコの花
↑分かりやすく言えば、野生のカーネーションの一種です。母の日の贈り物にするカーネーションと同じナデシコ科ナデシコ属の植物です。が、花は小さいです。花は花弁(花びら)は5枚あり、その花びらの先のほうはギザギザになっています。

●本種はナデシコ属の海岸型で、海岸の潮風や乾燥や強光などの環境に適応して進化したのでしょうが、葉がとても厚くボタッとしていますし、テカテカと光沢がある照葉です。諭鶴羽山系の内陸部に見られるカワラナデシコは茎が細くてひょろひょろと華奢な感じですが、ハマナデシコは海岸の強い潮風に耐える為に茎は太くガッチリしています。ま、いわば骨太のナデシコと言えましょう…。

ハマナデシコの花
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その種子を海流散布する「ハマナタマメ」
マメ科の「ハマナタマメ」です。熱帯から亜熱帯にかけて広く分布するようで、その種子が海流に乗って散布される植物です。淡路島を特徴づける海岸植物の一つで、兵庫県本土側には阪神間の浜で僅かに見られるだけでほとんどないらしいです。淡路島でも南部の海岸だけで北部の海岸にはありません。海岸の植物とされるのですが、淡路では、場所によっては海抜50mの小山の上にまで登っている例もあります。

ハマナタマメ
↑南あわじ市灘倉川にありました。海岸県道の山手側擁壁に垂れ下がって蔓を伸ばし、花が咲いています。これが本当の「壁の花」です。ハマナタマメは砂質海岸では砂浜を覆うように広がります。岩石海岸では岩石を覆います。消波ブロックと道路の人工海岸では、ご覧のように山手側の壁にぶら下がることが多いです。

花のアップ
↑花は一つの花茎に10個前後つくようです。基部から先端に向かって順番に咲いていきます。長い日数をかけて咲いていくので、花茎の基部には大きな果実(豆果)が出来ているのに先端部分ではまだ蕾があります。夏の間ずうっと花があります。花と果実が同時に観察できるのは嬉しいものです。
ハマナタマメの花の面白いのは、他のマメ科の多くの花と上下が逆になっていることです。↓のサイトは学外にも公開して下さっているものですが、マメ科の花の構造について花を解剖した写真で分かりやすく解説しています。ハマナタマメもあります。
福岡教育大学 福原達人先生のサイトから 「フジとマメ科の蝶形花」
このような質の高いサイトを閲覧しましょう。(インターネットは玉石混交です。もちろん私も含めてですが、くだらないサイトやブログが多すぎます)

ハマナタマメの豆果
↑果実はいわゆる豆果(とうか)で、エンドウ豆のさやを大きくしたような感じです。さやの中の種子が大きくなるとソラマメのさやのように丸く太ります。蔓いちめんに沢山なります。若いさやのものはエンドウにとてもよく似ているので、食べられそうに見えます。昔、ハマナタマメの若いさやを採取してフライパンで油で炒めて試食したことがあります。お味はどうかと言えばとても渋いです。渋柿ほどではないのですがかなり渋いのです。食用に供するのは難しいと思います。しばらく口の中が渋いです。
昔読んだ本で山中二男著『山と林への招待』という植物や自然についての素晴らしいエッセイがあります。この本の中に「ハマナタマメの豆果は食べられなくもない」などと書いていました。それで、植物の専門家がそう書くのだから、たぶん食べられるのだろうと思って試食をしたのですが騙されました。
(これが食べられるのであれば、栽培植物になっているハズですが、そうなっていません)

ハマナタマメの葉
↑葉はマメ科独特の3出複葉です。葉の表面に若干の光沢があり、やや厚めの葉です。先日の台風マーゴン(T1106)による高波の飛沫で海岸の植物はメタメタにやられましたが、ハマナタマメはびくともしませんでした。さすがその種子が “海流散布植物” の面目躍如というところです。海水の飛沫に対して耐性の極めて高い植物であることを見せつけています。付近に自生する兵庫県レッドデータ種Bランクの、クルマバアカネ・マルバハダカホウズキ・メジロホウズキなどみな潮風でやられてしまいました……。

ヒトモトススキは、半マングローブ植物かも?
ヒトモトススキは海岸の植物であるとされます。2mかそれ以上になる豪壮な野草です。各地の自生地を見るとほとんどが海岸の近くで、内陸部にはまずありません。ただ例外というのは必ずあって、諭鶴羽山系でも阿万の奥の本庄ダムの近くの湿地にもあります。海抜も100mを越える山の中です。海岸からはかなり距離があります。

大阪府東大阪市では、生駒山の山麓の日下新池(くさかしんいけ)にヒトモトススキが群生していて、市の天然記念物に指定しているそうです。海から数十キロも離れている山の中になぜ海岸植物があるのか? ということですが、むかし縄文海進の温暖期に大阪湾が入江となっていて、生駒山の山麓まで海が来ていたからだと、考えられているそうです。縄文海進とともに内陸地帯に分布を広げたヒトモトススキが、その後の気温低下で海退がおこっても山の中に生き残った、ということだと思います。いわば縄文温暖期の「遺存」というべきか? このようにヒトモトススキは海と密接に繋がる植物のようです。

(余談ながら、地球温暖化危機説はどうしようもないアホウな仮説です。地史・気候史をみれば地球温暖化も地球寒冷化も何回となく起こっています。べつに騒ぎ立てるようなことではありません。スリーマイル島、チェルノブイリ事故で退潮に追い込まれた原発産業が復権を狙ったもので、原発産業から研究資金提供を受けた気象学者のジェームス・ハンセンが仕掛けた妄説であることは、ハッキリしています。クライメートゲート事件で温暖化を裏付けるデータ自体がイカサマであったのもバレてしまいました。これでもまだCO2温暖化説を信じている人は、真正の馬鹿としかいいようがありません。)

さて、すぐ下の写真のものは波打ち際にありました。大潮の満潮時には株元に海水が迫るだろうなという場所です。地中に張っている根に塩分が影響するのはほぼ間違いないだろうなという場所です。それで、ひょっとするとヒトモトススキは「半マングローブ植物」ではないか? ということでネットで調べたら果たしてありました。

ブログ『いきもの観察記』2007.11.10の記事「黒潮つながり」第3葉の写真にオヒルギ群落のなかに生育するヒトモトススキがあります。
↑このブログの方の写真を見ると、ヒトモトススキが半マングローブ植物であることを、雄弁に語っています。ヒトモトススキは陸上だけでなく、塩湿地でも生育が可能な植物のようであります。
昆虫DNA研究会ニュースレターVol.9 September,2008『ミヤジマトンボの来た道』の33頁にヒトモトススキ群落の生じる塩湿地の写真があります。
↑この昆虫を調査されている方々の論文の冒頭の33ページに、「大潮の時に海水が流入するヒトモトススキの生えた海浜の湿地が彼らの(ミヤジマトンボ)生息場所である」との記述がみられます。

波打ちぎわに生じたヒトモトススキ
↑場所は南あわじ市阿万田尻です。カヤツリグサ科のヒトモトススキです。巨大な株になります。日本在来のカヤツリグサ科植物では最大の大きさだと言われています。写真のものは2mを越えていました。この写真のものは湾の入り口付近の波の穏やかな場所に生じたものです。波打ち際にありました。大潮の満潮時には海水が株元のすぐ近くまで迫ると思われます。

小穂の大集団
↑小穂(しょうすい)の大集団です。さしわたし10㎝に達するような大きな花序で、小穂の数はおそらく数百~千ぐらいあるでしょうか? その小穂の大集団が、1本の花茎に5~10もの段になってついています。写真のものは開花寸前という感じですがまだ蕾です。花の観察には少し早すぎたです。

ヒトモトススキは “一本薄” で1株から沢山の葉が出る
↑和名の由来は、1株の根元から沢山の葉が出ることから言うそうです。「一本薄」は1株(1個体)のススキという意味だと思われます。確かに、竹ホーキのようにというか、薪ざっぽうの束みたいというか、沢山の葉が出ています。この1株に何本の葉があるのか? 数えるのが好きな私でも見ただけでうんざりです。直感で300~400本の葉があると見ました。

南あわじ市灘では、海岸道路の上の斜面に生じる
↑これは洲本市上灘の畑田です。淡路島の太平洋岸の灘地区では、自然海岸が少ないです。それで海岸道路の山手側の山の斜面に生えます。写真に写っている金網は擁壁の上に設置されているものです。斜面崩落の防止のためコンクリートの吹きつけ工事が施されています。そんな場所に自生しているのです。海抜は10~20mぐらいです。
こことは別に、南あわじ市灘大川から潮崎に至るまでの自然海岸にも自生していますが、そこでも海岸沿いの崖の斜面に自生しています。海抜は10~20mぐらいの範囲にあります。太平洋に面して波が荒いので波打ちぎわにはありません。
なお、昨年の古い葉は枯れてもよく残り、古い葉の上に新しい葉(花茎)を出すようです。
スイセンが枯れて“ハマウド郷”となるのか?
黒岩スイセン郷のハマウド
↑夏草の生い茂る黒岩スイセン郷には、やたらとハマウドが目立ちます。ハマウド郷になっています。

ハマウドが大群落になっている
↑黒岩スイセン郷の海側はそれほどでもないのですが、谷の奥の駐車場の辺りにはハマウドだらけで、見事な大群落を作っています。

●さてスイセンとハマウドの関係についての簡単な考察です。
スイセンは秋10月になると芽を出して葉を伸ばし冬の間花を咲かせています。花が終わった後1カ月ほど葉が青いのですが、春遅くには枯れてしまいます。そして地中で球根の姿でふたたび秋が来るのを待っています。要するにスイセンは冬半年に生育して、夏半年には球根の姿で休眠しています。一方ハマウドはスイセンの花が終わるころ目覚めて芽を出し葉を展開して育ちます。梅雨ごろ花が咲き夏から秋に果実が実ります。そして秋が深まると地上部は枯れていきます。つまり夏半年に育ち、冬半年には地下茎の姿でじいっとしています。1年の時間を半年づつ “タイム・シェアリング” しています。 ま、次のような感じ…。

  冬     夏      冬     夏      冬
スイセン → ハマウド → スイセン → ハマウド → スイセン

自分が活動するときには、相手には地中の地下茎でおとなしくしていただく。相手が活動する季節には自分が地下茎になりおとなしくする。ということです。狭い自生場所をご互いにケンカせずに分かち合う自然の知恵のようです。一種の「すみわけ」と言えなくもないのですが、食物(餌)を分ける場合は「食い分け」と言っていますが、時間を分ける場合は「時間分け」なのか?

ハマウドは巨大になる
↑南あわじ市灘土生です。消波ブロックの間から巨大なハマウドが生育しています。

●ハマウドの簡単な観察です。写真の個体のものを観察しました。
草丈は237㎝もあります。茎の直径ですが、地面から50㎝の高さの部分で径7㎝もあります。低木の幹ぐらいあります。
根際から出る根生葉状態で巨大なものが5枚、小さなものが10枚ほどあります。太い茎にも葉が着きますがこれは小さいです。巨大な葉の広がり具合ですが、水平方向に南北220㎝、東西230㎝もの展開のしかたです。この個体の被覆面積を仮に短直径の220㎝の円の面積とするならば、3.80平方㎝もの巨大な草ということです。

この自生地はごく小規模な海浜です。この場所は元は海でしたが、20年ほど前に隣接する所が埋め立てられ、沖に護岸が出来て潮の流れが変わったのか、どんどんと砂が堆積して砂浜になったところです。砂浜が形成されると海流により種子散布される種が次々に侵入しました。ハマナタマメ、ツルナ、ハマエンドウ、ハマゴウ、ハマヒルガオ、ハマダイコンなどが定着しています。

ここにはハマウドは全部で3個体あり、他の2個体も草丈が230㎝あります。写真のものは満潮時に大波がくれば間違いなくバサァッと潮をかぶる飛沫帯に生育しています。おそらく海流に乗って種子がここに来たのであろうと推測できます。

ハマウドの葉の一部
↑葉も巨大です。大きな葉では葉柄の基部から先端まで1mを軽く越えています。2~3回羽状の複葉で、大きめの小葉は手のひらぐらいもあります。小葉の縁のギザギザ(鋸歯)は小さく、写真の個体では、1㎝幅に4~5個ぐらいです。(十分に展開していない小葉では6個ぐらいあります)葉にはテカテカと光沢が認められます。

ハマウドの葉柄
↑茎や葉柄には赤紫色の並行線の筋模様がはいります。この個体はかなり筋模様の色が薄いです。個体によってはものすごく色の濃い筋がはいります。葉柄や茎を横断的に切ると、すこし黄色味のはいった白っぽい乳液のようなものが出てきます。

ハマウドの巨大な花序
↑草姿が豪壮であるだけに花序集団も大きいです。写真の個体では花序の大集団はは5つあります。茎の枝先に「大花柄・だいかへい」という花梗を沢山(23~30本)分けていて、その1本1本の大花柄の先端からさらに「小花柄」という沢山の枝(10~23本)を分けています。その小花柄の先にようやく小さな花があります。そういう念の入った構造です。つまり、(茎の枝先)→(大花柄)→(小花柄)→(花)ということです。この花序の大集団はさしわたし約30~50㎝もあります。

なお、ここで挙げた数字はあくまで写真の個体を計測し、数えたものです。個体によりまた産地により異なる可能性があると思います。また書物の記載との乖離もあろうかと思います。

実物を見れば簡単なのですが、文章では何を言っているのかサッパリわかりません。かりに精緻に接写したシャープな写真でも分かりにくいでしょう。やはり実物(標本)が第一です。花はとても小さく米粒ぐらいか更に小さくルーペか実体顕微鏡で観察する必要があります。果実は5ミリぐらいの長さで大きいです。

ハマウドを絶滅危惧種に指定する県もあります。
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