雑想庵の破れた障子
ぺんぺん草に埋もれた山中の雑想庵。 破れた障子の小さな穴から見えるものを綴ります。
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サクラ (ソメイヨシノ) について考える。 サクラ前線は南下するもの、山から下ってくるもの…。
ヤマザクラ
↑2013年4月5日、兵庫県南あわじ市北阿万大日ダム上流の分水堰にて。山間部なので涼しく、少し遅れてヤマザクラが山中で楚々として咲き誇っております。満開であります ヤマザクラは花と同時か、あるいは花よりも早く葉がでてきます。その若葉は赤っぽいので、花はほぼ白色なのですけれども、木全体を見ると、赤っぽかったりピンク色がかっていたり結構あでやかです。しかも野生のヤマザクラは個体により遺伝的バラつきがあるのか、一本一本みな違います。濃淡さまざま、花色変幻自在、開花の早晩もさまざまであります。栽培されるサトザクラ(里桜)のように、花見の対象にはあまりなりませんが、山中でヤマザクラが高密度で自生している光景は見ごたえがあります。。

●さて、サクラ前線が日本列島をなめ尽くすようにして北上しております。気象庁の2013年のさくらの開花状況 によると、昨日4月6日現在では、太平洋側では福島県福島市まで、日本海側では富山県富山市まで、サクラ前線が北上しております。

単純な計算では、サクラ前線は 「23.4km/日」 の速さで北上だが…
ほぼ北緯35度の静岡の平年開花日は3月26日です。また、ほぼ北緯43度の札幌の平年開花日は5月3日です。静岡と札幌の緯度の差は8度ですが、この緯度8度間の南北距離は約890キロメートルであります。890キロ ÷ 38日 = 23.4キロ/日 となるので、サクラ前線は一日に20数キロづつ北上している、という計算になります。計算に使う地点を変えれば数字は若干変わりますので、幅をとれば1日に20~25キロづつ北上でしょうか?

実際には、サクラ前線は等速度運動で北上するのではなく、尺取り虫運動で北上しているのでは? つまり、間欠跛行(かんけつはこう)運動で北上。
●少し考えると、1日に20~25キロづつ北上するというのは相当変です。これはとても奇妙な数字です。なぜならば、サクラ前線は “等速度運動” では絶対にない筈です。毎日判を押したように20数キロずつ北上するなどありえません。“尺取り虫運動” に似た動きだと思います。higesentyou 様の動画を借用いたします。




日本海に低気圧が入って、どっと暖気が北方に吹き上がったならば、サクラ前線は一挙に100キロとか150キロ北上するハズです。その後、低気圧の後面で寒気が南下してくるから、そうしたらサクラ前線は足踏みするハズです。足踏みと言ってもサクラ前線は後退はしません。一旦咲いたものは咲いたのであって、未開花の状態に後退することはありません。一方向のみの動きで不可逆的です。そしてしばらく足踏みののち次の暖気進入でまた一挙に北上。サクラ前線はこの挙動を繰り返して北上していくと思いますから、結果、尺取り虫運動に近い北上のしかたになるであろうと思います。わかりやすく申せば、数歩進んでしばらく立ち止まり、また数歩進んでしばらく立ち止まり、この繰り返し…。

日平均気温が10度になったら、サクラが開花するが、日本の南部とくに九州南部がおかしい。
各地のサクラ平年開花日の気温平年値)
気象庁ホームページ より観測データを抽出して山のキノコが勝手に作表した。観測所の配列が北から南へとなるように並べました。沖縄 那覇の標本木は、ヒカンザクラ。北海道 稚内・網走・釧路・旭川・帯広はエゾヤマザクラ。種子島の開花日は少しデータは古いのですが 『日本気候表』 によります。種子島特別地域気象観測所で、日平均気温が年間で最も下がるのは、1月27日~1月30日の4日間で10.9度。種子島では冬が温暖で、そもそも日平均気温の10度以下というのは存在しません。

●上の表は、各地でのサクラ(ソメイヨシノ)の開花日を調べ、その開花日の気温を抽出したものです。サクラ開花日も気温も、30年間(1981年~2010年)の平均値です。
なお、生物季節観測のサクラ標本木の生育場所が、気温観測場所と離れている観測所もあるので、表の気温と開花日とを結びつけられない例もあるのですが、議論が複雑になるので、それは横に置いておきます。また、北海道東部および北部はエゾヤマザクラ、沖縄はヒカンサクラで観測しています。ソメイヨシノとは別種のサクラですので、それらのデータも横に除けておきます。で、表から次のことが言えそうです。


①、サクラ(ソメイヨシノ)は日平均気温が10度になったら開花します。瀬戸内海沿岸地方・近畿地方から北海道札幌まで、ほとんどの観測所で日平均気温が10度をはさんで9度~11度の範囲でサクラが開花しています。

②、しかし、南の地方、とりわけ九州南部では、“10度で開花” という図式が完全に崩れています。宮崎で12.8度、鹿児島で13.8度、種子島ではなんと15.4度になってサクラが開花します。これはサクラの早い開花がその場所の温暖さの指標にならないことを意味します。

③、なんと九州地方では、サクラ前線は北上ではなく南下しています。高知(3月22日)・福岡(3月23日)→ 長崎・大分・宮崎(3月24日)→ 鹿児島(3月26日)→ 種子島(3月27日)、と完全に南下しています。これは九州のような温暖な地方では、冬の寒さが不足しているために、サクラの休眠打破がうまく行かないことに原因があると言われています。


温暖地では、サクラ前線は南下するもの、山から下ってくるもの。
沖縄桜開花情報2013 を拝見しますと、表紙にある説明に、“沖縄の桜は「緋寒桜」。バラ科サクラ属サクラ亜属の落葉高木。北上して行くソメイヨシノのサクラ前線と違い、沖縄の桜は北から開花して、南下して行きます。北部の本部町や名護市が琉球寒緋桜(かんひざくら)の名所です」” と書かれています。沖縄同様に九州では桜前線は南下するものです。 大雑把に言って、福岡と高知(ほぼ同緯度)を結ぶ線が、ソメイヨシノ開花の始発線で、この始発線から1本のサクラ前線が北へ北上するとともに、もう1本の別のサクラ前線が南下していくのです。要するに桜前線は2本あるのです。

●九州南部以外にも、たとえば甲府など異常値を示しています。甲府のサクラ開花平年日は4月5日ですが、その4月5日の日平均気温平年値は11.8度と周辺より異様に高くなっています。何故だろうか? と甲府の気温統計データをチェックしました。甲府は周囲を2000~3000メートルの山にぐるりと取り囲まれる盆地です。周辺との比高・落差が日本一の盆地です。冬の寒さが厳しいだけでなく夏の暑さも厳しく、気温年較差が非常に大きくなっています。で、甲府では周辺観測所と比べると、3月はまだまだ寒いのですが、4月になると気温が急激に上昇し逆に周辺より高くなります。サクラの開花進行よりも、気温上昇の急激さの方が早い為に起こった現象のようです。長野も最高気温にその傾向が見られます。

“日平均気温が10度に達したらサクラ開花” から、微妙に外れる観測所には2つのパターンがあるようです。
①、大都市部。大阪など。都市化によるヒートアイランド現象で冬の寒さが緩和。休眠打破が遅れるためか、都市化で暖かいわりにはサクラ開花が遅れています。
②、沿海地。銚子・神戸など。海の近くは海洋の影響で冬の冷え込みが緩い。


サクラ(ソメイヨシノ)は、残念ながら、指標生物としては欠陥品です
●子細にみていきますと、ソメイヨシノという指標生物を用いて、環境を測定するのは無理であることが鮮明に浮かび上がります。サクラの開花の早晩でその地の温暖さとか、その年が例年と比べて暖かいのか寒いのか、サクラがバイオメーター(生物計)として十分機能していないことがハッキリ浮かび上がります。九州地方での、ソメイヨシノのバイオメーターとして、環境をモニターしている表示数字は完全に狂っております。サクラが早く咲くから暖冬ではなくて、逆に暖冬だったから開花が遅れることがよくあるのです。これでは暖かさを測る物差しには不適切なのです。ソメイヨシノが日平均気温10度で開花するならば、鹿児島では2月15日に開花し、種子島では厳寒1月に咲かなければなりません。実際にはそうなっていないから指標にならないのです。

それと、そもそも、日本は面積は狭くとも、大国並みの南北の長さがあります。同一時刻での気温差は最大限でなんと50度を軽く超えます。例をあげましょう。2008年1月19日07時の気温ですが、北海道の上川支庁の江丹別(えたんべつ)で-34.6度、全く同じ時刻に、沖縄県の先島諸島の志多阿原(したあばる)で20.3度です。その差は実に54.9度に達します。これが日本という国の気候なのです。亜熱帯から亜寒帯にまで広範囲なのです。サクラの開花を観測しようとしても、3種類の物(ソメイヨシノ・ヒカン・エゾヤマ)を用いているのです。いわば、目盛りの異なる3本の温度計で測っているみたいなものです。要するに日本全土をカバーする単独のバイオメーターが無いのであります。


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健康を守るために自給自足(採集自足)を目指しましょう!
●この国には昨年3月11日以降、大いなる不安が覆っております。うっ屈した名状しがたい閉塞感に窒息しそうであります。国民の生命・財産・健康など歯牙にもかけない悪徳官僚や利権政治家、ヒラメのような御用学者、拝金事業者どもの既得権益者たちに、この国は蹂躙され、いいようにされています。被害補償の極小化と責任の回避を狙った露骨な「たいしたことではない」というプロパガンダが執拗に流され、白昼堂々と棄民政策・ジェノサイドがまかり通っております。こういう状況に至ってもまだ既得権益の温存維持を図ろうとする動きには、へどが出そうな気分であります。しだいに情報は統制されつつありまして、まるで戦前戦中の大政翼賛会そっくりの状況になりつつあるのは危機的です。自由に意見を言い、議論してこその民主主義であるのに、ものの言えない統制状態では民主主義の終焉は目の前にきております。

●さて、この国に住んでいるかぎりにおいては、国家は国民の庇護者では全くありません。残念ながら、自分の身は自分で守るという自己防衛・自己救済しかないようであります。このような情勢において、西日本はいま安全な食品の供給地帯として重要さが増しております。自分の健康を守るためには、西日本で生産されたことが確実な食品を摂ることが肝要であります。外食産業で経費削減のために、安全とは言い切れない食材を混ぜ込んでいることが発覚しております。農協の扱う米にも安全ではないものが混ぜられていたことが報じられました。信用ならないのは政府や省庁だけではなく、民間業者も陰でこそこそと不正をはたらいております。

●そこで、安全な食材は自らの手で調達をするという趣旨から、自給自足を目指すというのが意義を増してきました。かつては主義として、あるいはライフスタイルの一つとして、自給自足を目指す人々はいました。これからは自分の健康を守るためにという切羽詰まった理由で、それを目指す人々が増えることでしょう…。

自給自足というよりも、採集自足と表現すべきか? と思うのですけれども、本日磯に行ってカキ(牡蠣)を沢山獲ってきました。淡路島南部は海の幸や山の幸が豊富で、春は採集自足でかなりのところまで賄うことができます。
若いカキ
↑これはイワガキ? あるいはイボタガキ? それともマガキ? 種名は不明であります。カキは分類が難しく、しかも棲息する基質の岩の状態とか潮流の状態で貝の形が大きくかわるので、不用意に種名を断定しません。分かる方は同定おねがいします。写真のものは年数の浅い若い集団だとおもわれます。淡路島南部の海岸の岩礁はカキの宝庫で、昔は海がしけると磯に行ってカキを拾いました。波でカキが岩から剥がされて磯に打ち上がるのです。

老成したカキ
↑これは年季の入った老成したカキであります。海藻が付いて岩と同化したような状態になっています。これを見てもカキだとは気付かない人もあるにちがいありません。このような老成したものは殻が大きく、大きな身がぼたっと入っています。「ぼたがき」あるいは「だぼがき」などと地元の人は言っています。

大きい個体は長さ16センチ、重さ500グラムに達する
↑30個ほどのカキを獲ったのですが、殻の長さ・幅・重量を計測しました。採集は大きなものを選んで獲りました。殻の形状は長いものもあれば円形に近いものもあり、変異に富んでいます。それで、おおむねの数字ですけども、淡路島南部のカキの大きさは、最大限は長さ16~18㎝、重さは400~500gというところであります。

田舎のカキ料理
↑カキの天麩羅であります。これはわたくし山のキノコの作品ではありません。大きな身のカキの天麩羅が10粒もお皿に載っております。獲り合わせのレタスとパセリはもちろん自ら栽培したものです。直径30㎝の大皿に盛っているのでカキが大きく見えませんが、実際は巨大なカキの身です。食べる際にはナイフで切り分けなければならないほどの大粒カキです。

海産種子植物「アマモ」の観察の替わりに、磯の海藻を見る。
●本日は2012年4月6日です。ちょうど大潮に当たっていたので、昼前に南あわじ市福良湾の入り口付近にある小規模な干潟に行ってまいりました。狙いは海産種子植物の「アマモ」が開花を迎えているハズですから、観察をして写真を撮ろうとしました。しかしながら潮位が十分に下がっておらず、アマモの観察は無理でありました。そもそもアマモは低潮線(いちばん潮の引いたときの海面)から斬深帯(ざんしんたい・低潮線よりも下)に生育する種子植物なのです。アマモの観察には、あともう20~30㎝潮が引く必要がありました。

(あさって4月8日は今回の大潮のピークで、さらに天文潮位は20㎝下がるので、あらためて出直しです。ただし天気に依って実際の潮位は大きく変わります。気圧が1hpa上下すると大洋に面している海域では1㎝潮位が上下するし、南風が吹けば海水の吹き寄せ効果で潮位はグンと上がります。気象条件で変わるのです。)

●アマモは春の大潮で海面が著しく下がったときに、水面上に露出した葉にある花を咲かせます。小さな米粒みたいな花ですが水面にでて咲かせるのですが、今年は寒かったので5月の大潮に持ち越すのかもしれません…。アマモの写真は無理でありましたから、その替わりの写真を掲げたいと存じます。

福良湾入り口の干潟
↑福良湾の入り口付近にある小さな干潟ですが石が多いです。向こうに鳴門海峡の橋が見えています。海上に見える筏はヒラメの養殖場であります。写真の右にみえる山の崖がありますが、この崖は地層とか岩石など地学を学ぶ野外教室であります。この崖で 漣痕(れんこん) の化石がみられるのです。 赤煉瓦倶楽部舞鶴様のサイト「岡田由里の化石漣痕」 を参考にするといいでしょう。淡路島福良の化石漣痕も発見されたときには大きな話題になりました。もう1か所阿万の吹上浜の近くにも化石漣痕が小規模ながら見つかっております。

波間にたゆたうワカメ
↑水面に出ている茶色い海藻はワカメであります。ワカメは潮間帯下部~斬深帯にかけて分布する食用の海藻です。磯が少し引けばワカメは海面の上に露出します。淡路島南部では厳寒期の1月が旬でありまして、3月、4月にはもう長けていますが、食べられないわけではありません。ワカメの葉の表面にぶつぶつがまだ出ていなかったならば食べられます。ぶつぶつが出て胞子をまき散らし始めますと、まもなくワカメがどろどろに溶けてしまいます。

岩に張り付くヒジキ
ヒジキ
↑こちらはヒジキです。乾物のヒジキは真っ黒ですが、磯で自生している状態では黒くありません。知らなかったならば、これがヒジキだとはとても思えないでしょう。写真の物はすでに時期外れで、営業用のヒジキを採る漁師さんは12月頃採取しています。旬は淡路島南部では12月~1月でありますが、3月、4月でも食べられなくもありません。実際に、洲本市由良の漁師のおかみさん達は3月や4月でもヒジキを採取して加工しています。

★問題はヒジキを加工するには、普通の者には手に負えない…、ということであります。ヒジキは潮間帯中部~潮間帯下部に分布していて少し磯が引けば簡単に採取できます。しかし誰も採りません。食べられるように加工するのがネックとなるのです。(なにせ田舎暮らし指向のわたくし山のキノコでさえ、ヒジキは採らないのです)プロの漁師さんたちは浜に大きな釜を据えて、朝から夕方までヒジキを煮ます。7~8時間煮る必要があります。そして天日で干して乾物にするのです。

【自分で採取した磯のヒジキを食べられるようにする方法】
さて、ここに自分で採ってきたヒジキを簡便に食べられるようにする奥の手を紹介しましょう。採集したヒジキをとりあえず干します。ビニールシートを広げてヒジキを重ならないよう並べておけば、日光と風があれば半日で干しあがります。干し上がったならば貯蔵しておきます。
ヒジキ料理を作る前日に、干したヒジキを魔法瓶に入れて熱湯を注ぎます。翌朝に魔法瓶の中でヒジキが軟らかくなっていますから、水を切って油揚げやこんにゃくと一緒に炊けばいいのですこつは魔法瓶の中の温度を下げないことです。魔法瓶はあらかじめ熱湯を注いで暖めておくのはもちろんのこと、毛布や布団でくるんで保温を図ります。途中で熱湯を入れ替えるのもいいでしょう。とにかく保温を図って7~8時間釜で炊くのと同じ状態にするのです。この方法は大豆や小豆を煮るにも応用ができます。したがってヒジキや豆類を柔らかくするために、専用の大きめの魔法瓶を用意しておくとよろしいです。

アサリの収穫
↑アマモの観察と写真が叶わなかったので、手ぶらで帰るわけにはいかない、ということでアサリを掘りました。収穫はちょうど大皿に1杯(1キロあまりか?)です。昔はバケツに半分以上(5~10キロ程度)獲れていたのですが、乱獲につぐ乱獲がたたってアサリはあまりいなくなりました…。


サクラの開花が4月にずれ込む。生物季節の1週間から10日の遅れが鮮明に…。
本日は2012年4月1日です。

●注目していたサクラの開花日でありますが、淡路島の南あわじ市では結局3月中にはサクラの開花は観測されませんでした。(わたくし山のキノコが私的標本木を31日の午前10時に観察しましたが、5~6輪の開花が見られるという “開花の判定基準” を満たせなかった。)写真の「私的標本木」はわたくしが勝手に選定したもので、南あわじ市灘城方の海抜50メートル地点にあります。並木のように沢山植えられているソメイヨシノでありますが、3月30日に1本だけ開花を確認しましたが、それは標本木ではありません。灘地区のソメイヨシノを数十本観察しましたが、その1本以外にはどれも咲いておりません。

サクラの開花というのは、ごく狭い地域であっても、ごく僅かの微地形や微気象の相違により数日の早晩が生じます。早い話が建物の南側の陽だまりにあるサクラと、建物の北側の日蔭にあるところのサクラとでは、開花に2日や3日の差が生じてしまいます。それで、「この木を観察しよう」と標本木を選定して、その同じ木を経年観察するのが大事なのは申すまでもありません。そうでないと環境をモニターする「指標生物」にならないのです。

★さて、気象庁は各地の測候所を次々に廃止してしまいました。とんでもない暴挙です。2010年10月1日をもって最後の6測候所を廃止、例外的に残すことになった「帯広測候所」と「名瀬測候所」の2か所以外はすべての測候所を廃止したのです。わが兵庫県でも「豊岡測候所」「姫路測候所」「洲本測候所」が早くから廃止されています。これらの旧測候所は無人の「特別地域気象観測所」という名称にかわりました。無人になったので職員の目で観察して観測していた「生物季節」の観測が途切れてしまいました。もはや、わが淡路島で正式なるサクラの開花が観測されることはありません…。兵庫県ではサクラの正式な開花観測が行われているのは、神戸海洋気象台のみであります。

★気象観測データは、同じ場所で、同じ測器具で、同じ観測方法で、観測場所周辺の環境を一定に保って、何十年、何百年と積み重ねてこそ、精度の高い信頼性のある観測データが得られるのに、気象庁のやっていることは自然科学の在るべき姿ではありません。科学者としての技術官僚の矜持というものはないのだろうか? と疑問を感じます。早い話が、旧洲本測候所は無人になったがゆえに観測場所(露場・ろじょう)は管理手薄で草ぼうぼうになりがちです。周囲の樹木も伸び放題です。露場そのものや周囲の状態が変化したら気温とか日照時間とかに大きな影響がでます。職員が常駐して細やかな管理をしていた時代の観測データと、無人になり管理手薄になってからの観測データには、もはや連続性が失われたといっても過言ではありません…。

★各県に数ヵ所づつ存在した有人の測候所が無人の特別地域気象観測所に格下げになったので、サクラの開花観測は各県に1つづつの地方気象台等だけになってしまいました。で、観測網のメッシュが粗くなっています。粗い観測網ではサクラ前線の北上分布図を作成したところで、以前の図と同列には厳密には見ることが出来ない筈です。子細に見ていけば気象庁のやっている観測は、その方法等がコロコロと変わっています。気象観測統計データの信頼性が揺らいでいます。観測を軽視していると言っても過言ではありません。

3月31日の状態
↑南あわじ市灘城方にある私的標本木です。20年前から経年的にこの木の開花状態を観察しています。過去4月に開花がずれ込んだことがありませんが、今年は4月にずれ込むことが確定的になりました。

開花直前になっている
↑蕾が大きく膨らんでいるので、開花直前になっていると思われます。4月1日が暖かい陽気であったならば一挙に開花しそうです。しかし500hPa高層天気図で-42度の寒気が日本海北緯40度線まで南下しています。この時期としては強烈な寒波であります。南あわじ市アメダス南淡で4月1日午前2時22分に、気温が0.8度まで下がっています。明け方にはまさかの4月の氷点下か? 4月1日は日中でも10度ぐらいの寒い1日になりそうです。サクラの開花はおあづけで、4月2日ではなかろうか?

【4月2日追記】
本日4月2日午前10時に「私的標本木」に10輪の花が観察できて、開花の基準を満たしました。それにしても、今年のサクラの開花は遅れました。ここ数年前からサクラのみならず多種の生物季節の遅れが目立ってきました。「地球寒冷化」を予兆しているかも? 南あわじ市灘、阿万、賀集あたりの山をウオッチしていて、3月26日にヤマザクラの開花した個体を見つけました。本日4月2日になると山々の裾野あたりで点々とヤマザクラの開花が一斉に始まりました。ヤマザクラも例年よりも10日は遅れています。

【4月9日に追記】
本日4月9日午前10時の観察で、80%の花が開いたので満開の基準を満たしました。
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4月9日に満開

各地の地方気象台等のサクラの開花状況
(次々に追加記入します)
3月21日に開花  高知
3月24日に開花  静岡・宮崎
3月25日に開花  熊本
3月26日に開花  鹿児島・長崎
3月27日に開花  大分・福岡
3月28日に開花  佐賀
3月30日に開花  下関・松山・和歌山・名古屋・岐阜
3月31日に開花  東京
4月01日に開花  徳島・甲府
4月02日に開花  高松・広島・神戸・大阪・横浜・銚子
4月02日に開花  南あわじ市灘城方の私的標本木
4月03日に開花  岡山・奈良・京都・鳥取
4月04日に開花  津・熊谷
4月06日に開花  松江・水戸
4月08日に開花  彦根・前橋・宇都宮
4月09日に開花  舞鶴
4月10日に開花  金沢・福井
4月12日に開花  富山
4月16日に開花  新潟・福島
4月18日に開花  長野・仙台
  

満開日の分布
(地点名の後ろの数字は開花から満開までの日数です)
3月27日に満開  高知6
4月01日に満開  静岡8・福岡5
4月02日に満開  熊本8・長崎7
4月03日に満開  宮崎10・大分7・佐賀6
4月04日に満開  松山5・和歌山5
4月05日に満開  鹿児島10・徳島4・
4月06日に満開  高松4・下関7・名古屋7・岐阜7・東京6
4月07日に満開  甲府6
4月08日に満開  津4
4月09日に満開  南あわじ市灘城方の私的標本木(7)
4月09日に満開  岡山6・広島7・神戸7・大阪7・奈良6・京都6
         横浜7
4月10日に満開  鳥取7・松江4・熊谷6
4月11日に満開  銚子9
4月12日に満開  舞鶴3・彦根4・水戸6・宇都宮4・前橋4
4月13日に満開  金沢3・福井3
4月16日に満開  富山4
4月20日に満開  新潟4・福島4

3月21日に高知市でサクラ開花宣言なるも、淡路島は4月にずれ込むか?
本日は3月22日であります。

昨日、四国の高知地方気象台がサクラの開花を発表しました。
NHK Webニュースより「高知 全国で最も早くサクラ開花」

ウェザーマップ社の「さくら開花予想 2012」 では全国で最も早いサクラの開花は、3月25日の高知市であると予想していましたが、4日外れました。で、ウェザーマップ社の代表取締役で気象予報士の森田正光さんがご自身のブログ チーム森田の“天気で斬る” で、外れたあぁあ、と完敗宣言を出しました…。沖縄地方は別格としても、いよいよ本土にサクラ前線が上陸いたしましたが、この冬は寒かったのでサクラ前線の北上は遅れましょう。淡路島南あわじ市ではサクラがいつ咲くのか? は恐らく4月にずれこむのではなかろうか? 旧洲本測候所は廃止されて、無人の「特別地域気象観測所」に格下げされていますので、淡路島地方での正式なる生物季節の観測は途絶えてしまっています。まことに残念であります。で、私的標本木を自分で観察するしかないのですが、南あわじ市灘にある「私的標本木」の蕾はまだ固く、4月5日ぐらいではないか? と思います。

ハチジョウキブシ

ハチジョウキブシ
↑キブシ科のハチジョウキブシの花です。サクラの開花はまだ10日ぐらい先になりそうですが、淡路島に春を告げる花の「ハチジョウキブシ」がぼちぼちと開花が始まりました。例年ならば2月下旬ごろには咲いていますので、これも相当に開花が遅れました。

本種は3m~4mぐらいになる低木ですが雌雄異株で、写真のものは雌株です。小さな花をルーペで観察しないと、オス木なのかメス木なのか見ただけではほとんど見分けがつきません。基本種のキブシは淡路島には無く、淡路島にあるのは花穂が一回り長くて大きく、樹勢もやや大ぶりなハチジョウキブシばかりである、ということになっています。「…ということになっている」などと歯切れが悪いのですが、キブシは地域変異が大きく変種とされるものがいくつもあるようです。その違いといっても微妙な違いで、変種とされる典型的な個体は基本種と葉や果実が区別できても、中間型というか移行型というものが必ず出てくるので、分類学者でない者にはよく分からないということであります……。

●さて、話題がサクラに戻るのですが、高知地方気象台がサクラの開花宣言をしましたが、各地の気温データを調べてみると、本土で最早開花の高知が最も冬の気温が高かったわけではない…、というのが面白いところです。暖かければ早く咲くというのでもないのが、面白いというか、難しいところです。 気象庁の観測統計 から抜粋して、各地の1月上旬~3月中旬の8旬間の気温を表にしてみました。

各地の気温

★本土で最も早くサクラが咲いた高知市の気温が、一番高いわけでは全くありません。高知市よりも鹿児島市のほうがハッキリと気温がたかいです。表にしめした8旬の平均では、最高気温は鹿児島は14.0℃で、高知市よりも1.5℃も高いです。そして、鹿児島市の最低気温の平均は6.2℃で、高知市よりも2.8℃も高いです。鹿児島地方気象台がサクラの開花をいつ発表するか分かりませんが、高知市よりも数日遅れそうです。高知市よりも九州南部の方が明白に気温は高いのですが、サクラの開花は気温の高い順番というわけではなさそうです。

★その理由として一番考えられるのは、よく知られているように「休眠打破の遅れ」であろうかと思います。サクラを始め落葉樹は夏ごろに花芽が形成される種が多いのですが、花芽形成後はいったん「休眠」に入ります。そして冬に一定の寒さに遭うことによって “休眠が解けて” 花芽の生長が始まると言われています。冬があまり寒くない地方であるとか暖冬でポカポカの年には、この休眠打破がうまくいかずに花の生長の調子が狂ってしまうのが、鹿児島市が高知市よりも開花が遅れる最大の要因なのでは?

表の数字をよく見ると、高知市の1月上旬~2月中旬の最低気温は徳島市よりもむしろ低くなっています。朝晩はしっかりと冷えたので高知市のサクラは休眠打破が順調よく進み、その後の気温が高いので急速に蕾が膨らんだのではないか? という推論ができそうな感じです。

そういえば、沖縄のサクラは「ソメイヨシノ」ではなく「ヒカンサクラ」でありますが、長細い沖縄本島の北部から咲き始め南の方に開花が進んでいくようですし、また山の頂上から麓にむかって開花が進むというのも知られています。(本土のサクラ前線の進行方向とは正反対です、寒さに当たらないと咲かない)
沖縄桜開花情報2012 沖縄のサクラ前線は南下していく
春の到来を、満開の花がたたえる…。
本日は3月16日であります。

●わたくしが栽培管理しているウメの木がほぼ満開になりました。紅白揃って満開とは、まことに目出度いような情景で春の到来を讃えております。春への歩みは遅々として進まず、例年よりも1カ月遅れました。今年は3月一杯はウメの花見ができそうです…。
ウメの開花・満開が遅れた分、サクラの開花もかなり遅れそうな気配がいたします。まだ蕾が小さく堅いです。サクラの開花は恐らく4月に入ってからでしょう。例年は淡路島・南あわじ市では学校の入学式のころはサクラは散り終わりに近いのですが、今年はもしかしたら入学式のころ開花かあるいは2分咲きぐらいかも?

満開の白いウメの花

満開の赤いウメの花

●白いウメは実採り用で、赤いウメは観賞用のしだれウメであります。
今年は白いウメは表年であります。花の付き具合から豊作が予想できます。ヒヨドリの被害もありませんでした。年によってはヒヨドリが渡ってきて農作物に被害を与えます。葉菜類やエンドウ・ソラマメなどの葉が食われてしまいます。ウメの蕾や花も食べることがあります。なぜか、今年は渡り鳥のヒヨドリがきませんでした。ヒヨドリに関しては、渡り鳥だけでなく、留鳥(りゅうちょう)といって1年中住みついているヒヨドリも少しいるのですが、留鳥のヒヨドリは野菜等にあまり被害を及ぼしません。

★毎年、ウメを収穫したらあちこちに配っていますので、ご希望の方がおられましたら1人5~10キロほど差し上げます。(無料ですが、遠方の方は送料負担)ウメの実に千枚通しで穴をあけて、容器に入れ砂糖に漬けこんでおくと2か月ほどで爽やかなウメジュースになりますよ。(収穫は6月上旬です)

特別地域気象観測所「洲本」の気温変化
2011年12月1日 ~ 2012年3月15日 の3カ月半の気温変化です。
青線は「日最高気温」です。緑線は「日最低気温」です。滑らかな線は「日最高気温」「日最低気温」の30年平均です。現行の「平均」というのは1981年 ~ 2010年の30年間の平均です。
2011年12月1日~2012年3月15日の気温変化

●このグラフから言えることは、やはり今年の冬は寒かったということであります。とくに毎日の「最高気温」が平年値よりも低いことが圧倒的に多いです。つまり日中が寒かったです。3月に入っても日中が肌寒い日が多かったです。春のポカポカ陽気の日といえたのは、3月6日の最高気温16.8℃のたった1日だけです。
気象庁が今年の厳冬(寒冬)をラニーニャの影響だと説明するのに大わらわでありますが、気象庁は政府傘下の国土交通省の組織である以上、政府政策の「CO2地球温暖化説」に傷がつく説明は政治的に許されない、ということを念頭に置いておく方がよろしそうで。政府系研究者の外側の研究者たちからけっこう異論は出ています。

●で、温暖化も寒冷化も気候変動の要因は「太陽活動原因説」であると信ずるのであれば、その太陽活動から目がはなせません。
SWC 宇宙天気情報センター 宇宙天気ニュース(2016年3月16日)
2012年に入ってから太陽活動はかなり回復してきたようです。示したリンクをご覧ください。見事なオーロラが見られます。ニュージーランド南島クィーンズタウン(南緯45度)で現地在住の日本人が撮影したようです。(このリンクが閲覧できない場合は、↓のリンクを直接ご覧ください)

ニュージランド在住のMinoru Yoneto氏のサイトその日本人の方のサイトがこちらです。原色の美しい写真を多数見せて下さっています。ただし、原色鮮やか過ぎるので写真を調整してあるのかもしれません…。今年の3月になって太陽風の状態など「宇宙天気」は大荒れでニュージーランドで連日オーロラの出現らしいです。

SWC 宇宙天気情報センター 「オーロラと宇宙天気」 このページで北海道稚内で撮影された赤っぽい「低緯度オーロラ」の写真がみられます。それと人工衛星からみたリング状のオーロラの写真がみられますが、オーロラは北極の周囲に出現するのではないことに注目です。

さて、南緯45度でこんなに明瞭なオーロラが出現するのか? と驚きです。(北緯45度程度の低緯度では)普通は「低緯度オーロラ」と呼ばれるもので、ぼんやりと赤っぽいだけです。肉眼ではほとんど見えないもので、写真で露光時間を長くとると、赤く写っているという程度のものです。北海道(最北端で北緯45度)でときどき低緯度オーロラが出現しているようです。ときには本州中部まで見られます。しかしながらカナダやアラスカで見られるような帯状の色彩豊かなものとは全く異なります。
なんで南緯45度の低緯度ででこんなに明瞭なオーロラなのか? なぜだろうか?と Wikipedia 南磁極 の位置を調べて理由がわかりました。南磁極(なんじきょく)は南緯64度、西経137度の位置です。(この西経というのは、明らかに東経の誤記と思われます)

Wikipediaは信用ならない面があるので、京都大学大学院理学研究科附属地磁気世界資料解析センター のホームページを見た方がいいのですが、こちらは専門的すぎて閲覧していると頭痛がしてくるので、見ない方がよろしい。この京都大学のサイトに依ると、2012年の北磁極と南磁極の位置は、次の通りであります。
北磁極 …… 北緯85.9度、西経147.0度
南磁極 …… 南緯64.4度、東経137.1度

地磁気の偏角分布図
↑地学の教科書『新版地学教育講座1 地球をはかる』から引用。地磁気の「等偏角線」が一点に収束している場所(黒くなっているところ)が北磁極と南磁極です。この図版は1990年のもので古く、20年が経って磁石の北極と南極は若干動いてはいますが、参考には十分なります。

★これを見ると、ニュージランド南島クィーンズタウンは南磁極から約3000キロぐらいです。いっぽう、北海道稚内は北磁極から約5000キロぐらいです。
北海道から北磁極までより、ニュージーランド南島から南磁極までの距離の方がかなり短い位置にある、というのがニュージーランドで明瞭なオーロラが観察できる理由でありましょう…。
したがってニュージーランド南島でオーロラが見えるのはあたりまえのことであって、そうだからといって太陽活動が活発になったという証拠にはならないということであります。(オーストラリアの南のタスマニア島は、南磁極により500キロ近いので更によくオーロラが見えるハズです)太陽活動が回復したと言っても低調で、地球は温暖化ではなく、寒冷化に向かっていると主張する研究者が日本にも大勢います…。


南あわじ市灘で、「私的標本木」のウメの開花を観測。
本日は3月5日です。
わたくしが観察しているウメの木に、一昨日の3月3日(土曜日)に、数えると10輪の開いた花が観察できて、開花が観測されました。
ただし、これは各地の気象台が標本木を定めて観測している正式な「生物季節観測」とは異なり、あくまでも、自分が勝手にこの木を標本木として選んで観察しているのにすぎません。
3月3日に開花したウメの木
↑3月3日の写真です。これが私が観察しているウメの “私的な標本木” であります。というよりも自分が栽培管理しているウメの木でございます。品種名は不明ですが、白い花で、6月上旬には大粒の実が籠に5杯~6杯成ります。収穫量は100キロぐらいだと思います。梅干しや梅酒にするのですが、食べきれないので縁者におすそ分けしています。

気象庁の示すウメの開花日の定義は、「うめの開花日とは、標本木に5~6輪の花が咲いた状態になった最初の日」 だと言っています。南あわじ市灘で栽培している「私的標本木」に10輪の花が出現しましたから、ここに開花宣言をさせていただきます。開花日は3月3日であります。過去30年間この木を見ていますが今年が最も遅い開花でした。一番早かったのは正月明けの1月4日か5日でした。平年開花日は正確に記録や計算していませんが、およそ1月30日前後であろうと思います。ウメは僅かの寒暖の違いとか、微地形・微気象の違いで、開花の早晩に大きな幅が生じます…。そもそも、西日本一帯ではウメは “冬の花” です。普通は気温が最も下がる厳寒期に開花するのです。つまり春の花ではないのです…。

さて、3月3日にウメが開花したと言っても、これはあくまでも私的な生物季節の観察です。「標本木」というのは気象台の敷地の中かその近くで「これを標本木にしよう」と気象台が指定した木であります。その地方で別のウメの木がいくら早く咲いたとしても、正式な開花観測とはいえません。正式な観測はあくまでも「正式な標本木」を「気象台の職員」が観察しておこなうものです。民間人の行った生物季節観測は全く意味がないかというと、そうでもありませんが、正式な記録とはならないのです。

開花かどうか微妙なところ…
↑こちらは本日3月5日の写真です。樹齢10年ほどのまだ若木で、桃色・八重咲き花の「しだれウメ」です。品種名は不明です。これは開花といえるのかどうか? 蕾が大きく膨らんで開きかけのものが20花ほどあるのですが、開き切った花を数えると4つです。開花の定義(基準)に言う5~6花に1花足りません。開花はあす3月6日に持ち越しか?

さて、気象庁がいうウメの開花の定義(基準)に疑問が湧いてきました
5~6花といっても、その標本木の大きさに関係なく一律に5~6というのであれば、“着花密度” が標本木の大小によって変わるではないか? 全国の気象台が定めた標本木が、樹高や樹齢がピタリと同じなどということは無かろうと思います。ならば、比較的小さな木では5花、中ぐらいの木では20花、大木では50花とすべきではないか? あるいは基準の大きさの枝を決めて(例えば直径が3㎝の枝とか)、そしてその木に何本の枝があるか大雑把に数えて、枝の個数ていどの花が出現したら開花とするとか?

次に、ウメの品種がバラバラではないか? サクラの開花の観測には「ソメイヨシノ」の品種が使われています。「ソメイヨシノ」は江戸時代後期にに江戸の染井村の植木職人が、「エドヒガン」と「オオシマザクラ」を交配して作出した品種です。苗木は原木のつぎ穂を採って生産されています。現在でも原木が現存するかどうか分かりませんが、苗木生産は「原木の接ぎ木起源のもの」から「つぎ穂」が採取されています。つまり、日本中に植栽されているソメイヨシノという品種の木は全部クローンです。遺伝的に同一のものばかりです。ソメイヨシノやはり単一種 DNAでサクラ再分類 DNAが同一ということは、指標植物として見た場合、全国各地のソメイヨシノの標本木は “生物計としての「ものさし」” が同じだということになります。これは冬から春の季節の進み具合をソメイヨシノの開花で測るのには、合理性があります。

ところが、ウメはそうじゃなさそうです。白花という指定だけなので、各地のウメの標本木が品種が異なっていたり、同一の品種であっても種子から育った木ならば遺伝的な変異があるはずです。私の観察では、同じ狭い地域に自生しているヤマザクラであっても開花に10日~14日もの早晩が生じます。つまり1本1本の個体には、かなりの遺伝的な差異があるのです。ですから、遺伝的なDNAに差異があるものを「生物計・biometer」にして冬から春の季節の進み具合を測定する「開花日」に合理性があるのだろうか? とくに開花日の広域分布だとか、開花前線の北上などには、“遺伝的ゆらぎによる厳密性の欠落” がありはしないか?

さらに申せば、その木の老若による開花日の相違はないのか? 自然観察をしていると、樹木は老木になると若木とだいぶん違った性質を表すことがあります。例えば、老木になると若木のときの「トゲ」が消失したり、葉っぱの切れ込みがなくなったり、春の新梢の伸びが短くなったり、着花(着果)がきわめて多くなるなど、だいぶん変化します。その標本木の樹齢の進み具合で開花日に変化がおこらないか? という疑問はあります。

(これは実験できそうです。同じ場所で、同一の品種を100本ぐらい大量に栽培試験をするといいです。広い場所がいるので農業試験場などが良いでしょう。同じ品種を老木100本、中齢木100本、若木100本、計300本栽培試験して開花データをとります。100本も栽培するのはデータを平均するためです。平均すればもし遺伝的差異があっても消すことが出来るからです。そして統計的に「有意差検定」をすればいいのです。ただしソメイヨシノはダメです。若木であってもクローンである以上は老木と樹齢は同じです。DNA解析をして全く同じものも除外です。クローンの可能性があるからです。同じ品種で遺伝的差異があるものを100本とか大量に30年毎に植え付けていって、樹齢20年、樹齢50年、樹齢80年のそれぞれのものを観察します。で、開花に差が生じるのか? 生じないのか? そんな100年がかりの実験結果を見たいものです…)

特別地域気象観測所「洲本」の今冬の気温推移  12月1日~3月4日までの95日間
洲本の12月1日~3月4日の気温推移
↑今冬の日々の「日最高気温」が平年値よりも低い状態がずうっーと続きました。日中が寒い日が多かったのです。植物の生育する下限の気温が5℃だといわれます。この5℃を越える部分の「積算温度」が不足したのが、ウメの開花の遅れをもたらしたのではないか?
このところ、2月下旬から寒暖の振幅が激しくなってきました。グラフでみると大波がうねるみたいです。平均気温線も鎌首を持ち上げはじめました。いよいよ春ですね。

各地のウメの開花観測
大阪管区気象台  3月1日開花  平年より20日遅い
神戸海洋気象台  2月23日開花 平年より9日遅い
和歌山地方気象台 3月1日開花  平年より18日遅い
徳島地方気象台  3月1日開花  平年より31日遅い
高松地方気象台  1月4日開花  平年より16日早い
高知地方気象台  2月20日開花 平年より26日遅い
松山地方気象台  1月20日開花 平年より18日遅い

高知地方気象台では、ウメの開花日が2月20日と、それまでの最晩記録の2月16日を4日更新しました。
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